第3講 郊外型ショッピングセンター論(その3)
2002-07-29 (Mon)

3.郊外型SCの将来

 以上みてきたように、郊外型SCは、@サブ・テナントの個性で集客したい核・量販百貨店とA量販百貨店の集客をあてに出店したサブテナント群で構成されている「他力集客依存型店舗」の「寄せ集め」だということになります。
 これは、まさに百貨店や量販店を「核」に多種多様な小売店、サービス業などが軒を連ねていた、かっての中心商店街そのものです。
 中心商店街と違うのは、@モータリゼーションに対応している A店舗面積が計画的に取れる Bテナントの入れ替えが容易、B核店舗による運営統制がある程度出来る と言ったところです。(これらは商店街の商業集積としての弱点ですね。)

 こうしてみると、商店街と郊外型ショッピングセンターの違いは、まったくレベルが違うということではなく、コンセプトとしては同じレベルだが、計画的に建設された分、ハードとしては商店街と比べものにならないくらい機能が充実しています。
 商店街の核店舗が郊外型の核にしてやられ、商店街がショッピングセンターに敗北したのは、ショッピングセンターが商店街と異質の来街目的を作っているからではありません。
 内容が同じ程度なら便利な方を選ぶ、というのはお客の常、郊外型ショッピングセンターは商店街と同じ買い物をより便利に・より快適にすることで現在の位置を確保しているわけです。
 SCをおそれることはありません。SCと同じ商売をしなければいいだけの話です。
 例えば、コンビニエンスストア、例えばディスカウントストア、SCと違う商売をしている業態はSCの影響をほとんど受けません。

 郊外型SCは、テナントミックスによって集積としてのコンセプト=お客から見た全体としての存在価値=来店目的を実現する、という本来ショッピングセンターが実現を目指す方向とはまったく無関係の存在です。

 核店舗をはじめそれぞれのテナントは、それなりにストア、ショップとしてのコンセプトを持ち、店づくりをしていたとしても、それは1店止まりのこと、彼らがSCのコンセプトを分担し、一体となってSCのコンセプトを作りあげているというわけではありません。
 今後さらにSC間競争が激しくなるなかでSCの将来は、しっかりしたコンセプトをつくり、それをテナントミックスで実現することですが、わが郊外型SCにはそんな能力が無いことはこれまでに見てきたとおりです。
 むしろそういった戦略が計画段階から全く考慮されていないのが郊外型SCである、と言っても過言でありません。

 第1講で説明した進化した小売商業集積の3つの類型を思い出してください。
現在の郊外型SCは、@コンビニエンスニーズ対応でも Aコストコンシャス対応でも、ましてやBラグジュアリィニーズ適応でもありません。「たくさん売れ るものなら何でも売りたい」という過去の成功経験に支配されている量販百貨店を核に据えているかぎり、郊外型SCがコンセプト主導による新しい商業集積に 変身する、というおとは有り得ません。
 
 なぜなら量販店が新しいコンセプト主導の業態に転換することは不可能だからです。何故出来ないのでしょうか? それにはいくつかの理由があります。

 第一の理由は、社内に業態転換を実現していくために必要な能力が備わっていない、と言うことです。量販小売業各社が社内に持っている人材は、量販というを専門とするスペシャリストです。
 この人達をもういちど教育し直して新しい事業に適した人材に育て直すことは、新人を育成する以上に難しいことです。
 第二には「キーテナント」である自社の「核売場」であるスーパーマーケット部分を除くことが出来るか、ということです。
 SCの営業は休日集中型ですから平日の集客は大変重要、スーパーマーケットの廃止はとても出来ないでしょう。スーパーマーケット部門と他の売場を隔離する試みも行われていますが、成功していないようです。
 第三に、転換は一度ですっきり成功するとは限りません。何度か試行錯誤が必要になれば、その分、短期的には業績が下がる可能性があります。立地特性を見 極めながら大体の方向をつかむまでに1年かかるとすれば、試行錯誤期間の運転資金の準備が必要になります。ただでさえ運転資金に悩む量販小売業各社です、 思い切った転換に討って出る決断は極めて難しいと思います。
 おそらく、大都市周辺の郊外型SCの新設やリニューアルを機に革新を目指すことになりますが、「ラグジュアリィ」に到達することは難しいでしょう。

 商業の進化は、購買行動の変化と平行して進みます。お客の購買行動が3極に分化していくと私たちの予測が正しければ、既存郊外型SCの社会的な役割は徐々に変化しています。
 特に中心商店街が「ショッピングモール」への転換に踏み出せば、その影響は郊外型SCを直撃する致命的なものになるでしょう。

 コンビニエンス(利便性)ニーズは、スーパーを核とするコンビニエンス型SCに、コストコンシャス(コスト性)ニーズはアウトレットモール、ディスカウントストアなどにそれぞれ代替が進んでいます。
 ラグジュアリィニーズはもともとからの量販百貨店の弱点、テナントミックスによる補強も失敗、というのが郊外型SCのテナント充実戦略の現状です。

 このようにみれば、郊外型SCは中心市街地においてコンセプト主導のきちんとした店づくりをしている専門店にとってなんら脅威にはならない、ということが明かです。
 いまや、かって量販百貨店が対応していた「人並みの消費」という購買行動は流行に敏感なヤングを除き、激減しています。量販店が核となっている郊外型SCの命運にも黄信号が点滅し始めている、と言うことです。
 もの余り・オーバーストア時代には「あってもなくても良い店・SC」は次第に淘汰されていくでしょう。それも激しい競合に負けるという形ではなく、単純にお客にそっぽを向かれて衰退していく、というのがもの余り・オーバーストア時代の恐ろしいところです。
 既存の郊外型SCのほとんどが購買行動の対象となる来店目的を提供できない「はずれSC」として衰退の道をたどっていくことは確実です。
 量販百貨店に自己改革の可能性がない以上、郊外型SCも改革・再生の道はほとんどありません。

※これで「郊外型SC論」は終了です。郊外型SCについては、必ず、頻度よく視察して、ここで述べていることを確認しておくことが大切です。特に自店と 「競合」関係にあると思われるテナントや売場についてはしっかりチェック、理論的にも現実の店づくりでも自店の敵ではない、ということをキッチリ確認して おくことが必要です。


戻る

Copyright (C) 2003 (有)クオールエイド  All Rights Reserved