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TKF042-4■藻谷理論の批判的検討2.はじめに の まとめ |
| ■はじめに の まとめ 全国の中心商店街のほとんどが空洞化の一途をたどっている中で、都市としては「勝ち組」である愛知県刈谷市の中心商店街(とテキストが指名する)銀座街が、「負け組」の中心商店街よりも著しく空洞化、文字通り見る影もない状況に陥ったのはなぜか? 独立商圏・佐世保市の中心商店街が「日本一元気な商店街」といわれる人出があるのはなぜか? 説明してみました。 中心商店街の現状を理解するためには、その全盛時代から郊外型商業全盛という現在に至る商業機能・立地条件等の変遷を一貫して説明出来る理論を持っていることが前提である、ということがお分かりいただけたこと思います。 中心市街地活性化関連で市町村段階の商業振興を考える場合、「小売商業」などといったレベルで考えたのでは、問題解決に資するレベルの思考が出来ません。 これははっきり断言いたします。 さらに、そのようなレベルの「理解」を前提に 活性化施策を考えたりすると、まったく活性化とは直接結びつかない施策群が登場 することになります。公的経費と公的時間の浪費は取り返すことが出来ません。 また、後で説明することになると思いますが、商業は立地商売、人出が多いところが好立地といった商店街全盛・郊外SC皆無時代の常識は、とっくの昔に「非常識」になってしまっているのだ、ということもあらためて確認しておかないと、仏作って魂入れず、ということになってしまいかねません。 ●両市の課題 せっかくですから、両市の中心市街地活性化の課題、考えてみましょう。妄言多謝。 ■刈谷市の課題 銀座はすでに商業街区ではありません。ここを対象に「中心商店街を活性化する」などという案は地元にはないと思います。 刈谷市の中心市街地活性化、課題は二つあると思います。 その1 中心商店街:東陽町及び名鉄駅周辺の活性化にどう取り組むのか その2 市民のラグジュアリィなショッピングの場をどこにどのような手法で確保するか、 ということではないでしょうか。 もちろん、1が2を担うのがベストですが、果たして条件が整うか否か、しっかり吟味することが必要でしょう。 私は近年、縁があって三河地区に良く出かけているのですが、全国有数の好況といわれるこの地域においてなお、住民の買い物行き先は郊外のショッピングセンターその他しかない、というのが実状です。 つまり、日本全国、一部大都市をのぞいて買い物行き先はみんなショッピングセンター、というのが金満/経済大国日本のショッピング事情です。 三河地区、所得は潤沢なのに毎日の生活の中でこれを堪能する条件が整っていないということでは、概ね全国の中心市街地空洞化に悩む都市とまったく一律なんですね。 つまり、新しい需要の喚起は、好況・三河地区の各都市でもほとんど行われていないと言うことであり、これでは如何に三河地区が好況といっても地域全体、とりわけ中心市街地区域にその「好況」が均てんするはずがありません。 このような閉塞的なショッピング環境=ビジネス環境を打破するには、地元の力でラグジュアリィニーズ対応の商業機能を作っていく以外にありません。 すでに刈谷市の両隣り、豊田市と安城市では「既存商店街のショッピングモールへの転換」の取り組みが始まっています。 地元に「時間堪能型」商業機能を整備する、という課題は、生活環境を整備するという都市経営の任務上、優先的に取り組まなければならない課題だと思います。 一大商業集積:名古屋市中心市街地に近いから、というのは商業施策をネグレクトする理由にはなりません。 ▲刈谷市中心市街地の今後の展望 今後の刈谷市における中心市街地活性化の課題とは、 @市民の生活堪能ニーズに対応するショッピングモールの構築であり、 A東陽町〜名鉄刈谷駅の商店街群がよくその任に当たることが出来るか否かを見きわめる という仕事から始められるのではないでしょうか。 もちろん、この作業は東陽町を始め市内の商業者有志の参画が不可欠です。 まず、 1.今秋企画されている「刈谷商人塾」を何が何でも成功させること。 2.1に取り組む過程で、行政・TMO(会議所)・商店街三者による「TMO推進体制」を構築、発進させる準備を整えること。 これが実現すれば、基本計画〜TMO構想の作成にあたって、商業者自身が主体的に・責任を持って取り組んでいく基礎が作られます。 TMO構想作り、商業者が主役で取り組んでいく体制が出来れば中心市街地活性化は半分以上実現したようなものです。 先行するTMOの多くが「商業者との協働」を構築できずに停滞している折から、ここをしっかりクリアすることが出来れば「トップランナー」の位置に躍進できますね。 ■佐世保市中心商店街の課題 こちらの課題は、ズバリ、四ヶ町を物販集積として如何に活性化するか? 『整備改善/活性化法』が対処しようとする課題、スキームのまんまです。 端的に言えば、中心市街地/四ヶ町&三ヶ町をショッピングモールに見立てて再構築すること、でしょう。 この場合、問題が二つあると思います。 1.街区の繁華街的な性格が強くなっていること。 空店舗の救世主・百均、ドラッグ、居酒屋、ゲーセンなどなどは、来街目的を比較すれば、必ずしも既存の専門店群との間に相乗効果をもたらすとはいえません。 また、都市規模からしてとおり全体が繁華街に変貌するということも難しい。 混在する中で専門店群はさらに状況が深刻化することはないでしょうか。 ショッピングモールを目指すときも同様、これらラグジュアリィとは異質な集客施設の存在は、モールの機能と相殺関係にありはしないか? 2.「日本一の人出」の意味が理解されていない。 「日本一の人出」はイベントの効果ではありませんし、もちろん、各個店の経営努力の結果でもありません。「日本一元気のいい商店街」という外見とは裏腹に、立地する既存専門店群の業績は厳しく、また、これから2年、3年経つうちにイベント・人出の結果として業績が上向いてくる、などという期待は出来ません。 (ただし、自力更生の道はありますよ) 一時は減少した空店舗も今後は増加に転じると思われます。 これからもうまく「入れ替わり」が起こるかどうか、商店街の皆さんは起こらないと考えて自主的な対策を講じられた方が良いと思います。 ところで。 私には知るすべもありませんが、万一、四ヶ町において人出の多少にかかわらず売上続落が起こっているとするならば。 テキスト風にいえば、空店舗が減少し、人出=店前通行量は維持されている、という条件のもとで起きていることですから、テキストにおいて中心市街地活性化の条件とされている、「生きのいい市街地の3要素」が実現されたとして果たして「商業機能の活性化」をもたらすものかどうか、ということにあっさり答えを出していることにならないでしょうか? 四ヶ町の専門店群の実状は「3要素がそろっていればまちは大丈夫」ということの実証ではなくて、その真反対、「3要素がそろっていてもそのことによって商店街(立地の個店群)が繁盛するとは限らない」ことを実証しているのではないか、というのが私めの観測です。 以下は余談ですが、ときどき商店街関係者で佐世保市の中心商店街に視察に行った人の感想を聞いたり読んだりすることがあります。ネット上でもたまに見かけますね。 http://blog.livedoor.jp/tetsujin_69/archives/8145636.html ほとんどの人が店前通行量の多さにびっくり、商業関係者なら当然あって然るべき「で、売り上げの方は・・・?」という疑問は起きないみたいっすね。 せっかくの機会、ちょっと店内をのぞいて見ればよろしいのに・・・。 人出があれば売上げはついてくる、というのは、ずっと昔、日本全国商店街以外に買い物行き先が存在しなかった時代の話です。 日本一の人出がどう売り上げに結びついているか、ひょっとして結びついていないとしたらそれはなぜか・・・? 機会がありましたら佐世保市の中心商店街、ぜひ視察されることをお勧めします。ただし、お勧めは藻谷説の成否を確認するため、という目的に限定します。 ▲佐世保市中心市街地の今後の展望 同市では四ヶ町のジャスコが引っ越し、相の浦地区に大型SCを開設する、という構想があるそうです。 ジャスコが引っ越すとなれば、中心市街地所在のディスカウント業態の動向も怪しくなります。 中心商店街のジャスコは撤退交渉が難航、現状維持した上でのSC開設、という方向らしいです。(平17年4月現在 さらに。九州全域でイオングループとSC開発ゲームを展開中のイズミも相の浦地区にSC開設の計画があるとか。http://www.izumi.co.jp/shoukai/index.html ゆめタウンの出店候補地は、四ヶ町にほど近い海岸部とのこと。 紆余曲折がありそうですが、出店すればその影響はさらに大きい。 隣接しているから相乗効果がある、などと考えるととんでもない。 これまで四ヶ町の金城湯池であった佐世保市以北の喉首に2大SCが揃い踏み? 四ヶ町を中核とする佐世保市中心市街地、どのような対策を講じようとされているのか? 阻むには「コンパクトシティ構想」が最適ですが間に合うでしょうか。北部地区の市民のSC期待論もありそうです。 四ヶ町の対応策はすでに述べたとおりです。 SC騒動を「チャンス」ととらえて「ショッピングモールへの転換」を打ち出すべき時ですが、さて、誰が言い出しっぺになるか? というあたりにこの街の課題がありそうです。 →本論1へ →藻谷理論の批判的検討目次へ |