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都市経営フォーラム保存版

総務省の勧告に関する考察 2004.9.18

中心市街地・国の中間総括
『中心市街地の活性化に関する行政評価・監視』
〈評価・監視結果に基づく勧告〉  総務省 平成16年9月15日
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/pdf/040915_1_1.pdf

趣 旨:
『整備改善・活性化法』のスキームによる取り組み、基本計画の作成状況、事業の実施状況等を調査し、改善事項を提案するもの
(from総務省 to総務省・農林水産省・経済産業省・国土交通省)

概 要:
1.中心市街地の活性化の状況
 統計指標の動向等から判断すると中心市街地の活性化が図られていると認められる市町は少ない状況

2.改善勧告
(1)基本計画の的確な作成:数値目標設定の有効性や中心市街地の区域設定の
  要件について具体的内容を明示すること
(2)事業の着実な実施:民間連携のための体制整備やTMO構想の速やかな策定
  の有効性について具体的内容を明示すること
(3)基本計画の見直し:事業の進捗状況等の定期的把握や基本計画の見直しの必
  要性について具体的内容を明示すること
(4)基本計画の的確な評価:優れた基本計画に対し重点的な支援を行うため、基本
  計画の内容を的確に評価すること。

法制定以来6年、その間に環境条件も大きく変わっており、中間総括の実施はまことに時宜を得たもの思われます。
内容はどうでしょうか?


第2−1 基本計画の的確な作成(総務省報道資料より)

@制度:
 市町村は中心市街地活性化法及び基本方針に基づき、次の事項を定める基本計画を作成、これは市町村で中心市街地活性化を進める上で根幹となるもの
 ○中心市街地活性化の目標
  出来る限り具体的かつ明確な目標を設定することが重要とされている。
 ○中心市街地の区域
  基本方針では都市機能が相当程度集積しているなどの条件を満たすこと。また
  一体感があり集中的・効果的な取り組みが可能な広さとすることとされている。

A現状実態
 ○基本方針では数値目標の設定やその指標などについて具体的に示されてい
   るものが少ない
   (人口、年間商品販売額等の「数値目標」を設定している市町は10%)
 ○基本方針では、商業等の集積程度、事業実施範囲と「区域」面積の関係など
   について具体的には示されていない。

B勧 告
次の事項に関わる基本方針の考え方について具体的内容を明示すること
 ○基本計画における数値目標設定の有効性及び数値目標として掲げる目標
 ○中心市街地設定にあたっての要件
■目標数値と要件

では勧告の内容を見ていきます。

> B勧 告
> 次の事項に関わる基本方針の考え方について具体的内容を明示すること
>  ○基本計画における数値目標設定の有効性及び数値目標として掲げる目標

ここで言われていることは、
@中心市街地活性化を実現するには、数値目標を設定することが有効であることを周知させるとともに
A数値目標として掲げるのに適切な目標を示せ
ということですね。

@について私なりに考えてみますと、
具体的な数値目標を掲げると、実現のための方策も具体的に考案し・かつシミレーション等の手法で実現可能性を検討しなければならない。計画に実現性が高くなる、ということでしょうか。

Aではどのような目標としてはどのような数値が考えられるか?
勧告(報道資料)第1 中心市街地の状況で活性化が出来ていない根拠としていくつかの数値を使って評価しています。

次の数値に係わる市町全体の数値に占める中心市街地の割合
・人口 ・商店数 ・年間販売額 ・事業所数 ・事業所従業者数
特に ・人口 ・年間商品販売額 ・事業所数

これらの数値をもって活性化の状況を把握する、ということですから、勧告が期待している「目標数値」はこれらの指標に関するものなのでしょうか?
目標を上記のような数値のレベルまで落とすとなると大変です。

まず計画の目標について。次のような段階を踏むことが必要です。

1.現在は「中心市街地の活性化」ですが、まずこれを「中心市街地に立地する商業機能の活性化」に限定する。

2.活性化を目指す新商業機能の潜在的需要を推定する

3.需要に対応した施設設置を計画する。

勧告は、2を立てることで3の具体性を確保しようと言うことでしょうが、2を立てることは難しいですね。

ある事業に取り組めばたちまち長期低落傾向がストップ、上向きに転じる、ということはあり得ません。当面は繁盛を目指す取り組みと現状維持=転落への道をたどるものが交錯するわけで、総合すれば下げ止まり、空店舗についても増加傾向がストップする、というところではないでしょうか。

当面は空店舗の活用に取り組んでいる傍ら、新しく空店舗が出現する、という可能性は今後高まることはあっても改善されることはありません。

当社は、計画の見直し作業で販売額などの数値目標が立てられる現場に居合わせたこともありますが、まぁ、「こうなったらいいな」以上のものは作れません。だって算定する基礎となる資料がない状態で予測するということで、もちろん、出来上がるのは担当者が「こうなったらいいな」というだけで、根拠のない数字です。

過去の最大値を目標にする、という話があり得るかも知れませんが、当時とは「環境の三点セット」の中味が大転換していますからまずムリですね。

というか、その程度のことも分からずに目標数値を設定するなどということは有り得ない、と思われますがどっこい、あり得るのです(W

> B勧 告
>○中心市街地設定にあたっての要件

これは「基本方針」において三要件が示されていますが、問題がある。
@三要件から逸脱する街区を含めているため、要件に該当する中心市街地の活性化に支障を来す恐れがある
A集積が見られず、事業本来の目的と無関係な地域を含んでいる
など。

もっと根本的な問題は、三要件や事業区分が「整備改善」と「商業等の活性化」とされていることから明らかなように、法律の目的が「中心市街地所在の商店街(商業機能)の活性化」であるのに、中心市街地という名詞に幻惑されて、「中心市街地(所在の都市機能全般)の活性化」と認識してしまっている例が少なくない、問うことではないでしょうか?

観光、歴史資源、文化などなど、施策体系は文字通り広義の「中心市街地活性化」を対象に考えられています。
基本計画の作り方=「基本方針」をちゃんと読んでいれば誤解の余地のないところだと思いますが・・・。


第2−2 事業の着実な実施(総務省報道資料より)

@制 度
 ○事業の推進体制
   市町村における推進体制に加え、必要に応じ民間事業者も含めた連携のた
  めの推進体制の整備に務める
 ○TMO構想
   中心市街地の商店街等を一体としてとらえて、テナント配置やソフト事業を推
  進する構想(TMO構想)を商工会等が策定し、市町村が認定。認定を受けたも
  のがTMOとして事業を推進する主体となる。

A現状実態
 ○推進体制
   基本方針では、民間連携のための推進体制整備の有効性について具体的に
  は示されていない。 
 ○TMO構想
   TMO構想の策定に着手する時期が具体的には示されていない
   TMO構想の認定の有無によりTMOが事業主体となる短期事業着手率に2
  倍の格差が生じている

B勧 告
 次の事項の有効性に関わる基本方針の考え方について具体的内容を明示する
 こと
 ○市町村における推進体制だけでなく、民間連携のための推進体制も併せて整
  備
 ○基本計画作成、変更の早い時期から商工会等がTMO構想の作成に着手し、
  速やかに策定

民間組織の早期立ち上げ

>○推進体制
 基本方針では、民間連携のための推進体制整備の有効性について具体的には示されていない。 

『基本計画』作成主体が行政のため、民間が自分たちが主体的に取り組み、活性化を実現するための計画としての認知度が低い。
主体的な取り組みを推進するために民間と連携した推進組織を整備することの有効性を強調する


>TMO構想の認定の有無によりTMOが事業主体となる短期事業着手率に2倍の格差が生じている

というところから、
@TMO構想作成の早期着手、基本計画を見直す場合は見直し作業と並行して取り組むよう指導する

> 『基本計画』作成主体が行政のため、民間が自分たちが主体的に取り組み、活性化を実現するための計画としての認知度が低い。

多くの都市に共通している課題です。
先進的といわれるTMOでも商店街組織と連動する体制を作っているところは、管見の限り、きわめて少ない。

連携が出来ていないということは、やっている事業が従来の「振興組合」レベルの事業を事業主体と範囲だけ広げてやっているか、再開発事業などもっぱら施設整備に注力しているか、でしょう。

これでは本来の目的である「商店街の活性化」は実現できません。
「勧告」は当然のことですが、問題は連携組織の結集の「軸」は何か、ということでしょう。
第2−3 基本計画の見直し(総務省報道資料より)


@制度・仕組み
 基本方針では市町村は基本計画の見直しを適切な時期に行うことが望ましいこととされている

A現状実態
 ○事業の進捗状況を把握している市町村は少ない
 ○目標達成状況を把握している市町村は少ない
 ○社会経済情勢の変化等に応じた全般的な見直しを行っている市町は極端に少
  ない(6%)

B勧 告
 ○事業の進捗状況等の定期的な把握やそれを踏まえた基本計画の見直しを行
  うことの必要性に関わる考え方について具体的内容を明示すること

■見直しの必要性

>○事業の進捗状況等の定期的な把握やそれを踏まえた基本計画の見直しを行うことの必要性に関わる考え方について具体的内容を明示すること

勧告全体が指摘していることは、既存の計画は、中心市街地活性化の進捗状況に鑑み、見直しが必要であり、その要点はこれこれである、ということです。

指摘されていることから勘案すると見直しの必要性は、事業の進捗状況や環境の変化よりも、作成時点での計画立案スキルに問題があった、ということが明らか。

今回の勧告ではキモとなるところを基本方針においてさらに「具体的に明示する」ことで対応しようとしているわけですが、さて、これで果たしてOKでしょうか?

見直しの必要性、見直しに取り組んだとして果たして活性化を実現できる計画になりうるか?
勧告的「基本方針」の運用をもって、市町村の行政以下の関係者の力で求められている計画見直し、新しい計画・TMO構想・連携組織の立ち上げ等々が可能でしょうか?

第2−4 基本計画の的確な評価(総務省報道資料より)


@制度・仕組み
 ○国は基本計画の内容を独自性、先進性、塾度等の観点から評価し、総体とし
  て優れた基本計画に定められた事業に対して重点的に支援すること

A現状実態
 ○国による評価状況を見ると的確な評価が行われているとは認められない状況(
  社会情勢の変化等に応じた全般的な見直しを行っている市町は少ない 6%、
  8市)
 ○活性化の観点から不十分と認められる基本計画の事業に対しても国庫補助金
  が交付されている場合有り)

B勧 告
 ○関係省庁連絡会議等を活用して優れた基本計画に対して重点的な支援を行う
  ため、基本計画の内容や的確な見直しが行われたか否かについて的確に評価
  すること


「基本計画の見直し」を誘導する

> B勧 告
>  ○関係省庁連絡会議等を活用して優れた基本計画に対して重点的な支援を行うため、基本計画の内容や的確な見直しが行われたか否かについて的確に評価すること

(1)〜 (3)の勧告事項を中心に指導を行い、そのラインで基本計画を見直し、並行して民間連携組織の編成を進め、併せてTMO構想の作成・見直しに取り組ませる。


その他の勧告事項


@基本計画の作成にあたって、人口等の基礎データや地域住民、商業関係者のニーズを分析することの必要性に関する基本方針の考えかたについて、その具体的内容を明示すること

A国庫補助事業について、活性化効果や施設利用の見込みを審査する仕組みを整備し、厳正な採択審査を行うこと。


■手 法

> @基本計画の作成にあたって、人口等の基礎データや地域住民、商業関係者のニーズを分析することの必要性に関する基本方針の考えかたについて、その具体的内容を明示すること

@人口等の基礎データの分析:商圏調査、ライリーさん、ハフさんなどの業績のお出まし?
A地域住民、商業関係者のニーズの分析:この人たちが意識しているニーズを把握、充足する方策を講じれば活性化が実現出来る、とはなりませんよね。

> A国庫補助事業について、活性化効果や施設利用の見込みを審査する仕組みを整備し、厳正な採択審査を行うこと。

これは難しいですね。
活性化効果:目標を数値で掲げさせて達成可能性を見る、という方法でしょうか。確かに具体的な事業メニューを案出するためには数値目標を出すことは一案でしょうが、中心市街地の現状で目標数値を立てるとなるとどの程度のスパンを考えるのか?

商業集積の活性化ということをメインに考えるなら、おそらく3年後に来街者の増加傾向が顕著になる、という程度ではないかと思います。

もちろん、集客施設の設置により一挙に来街者の増加を図る、という手法も考えられますが、その結果として商店街の活性化=商品販売額の顕著な増加が帰結されるかどうかとは別の問題です

■問題意識

そもそもこのような「勧告」が出されたのは何故か?
何が問題か?
勧告は何を問題と考え、その解決策として何を勧告しているのか、まずはこのことを検討してみましょう。

勧告では最初に「中心市街地の活性化の状況」として、
中心市街地の活性化が図られていると認められる市町は少ない状況」と総括しています。

どうして全国的に取り組んでいるにも関わらず成果が挙がらないのか?
勧告されていることが解答となる状況を考えてみましょう。

勧告1:基本計画の的確な作成
現 状:的確ではない基本計画が多い

何が的確でないか?
@中心市街地活性化基本計画に「数値目標」などが設定されていない
A「中心市街地の定義」が具体的でないために、区域設定が散漫になっている


勧告2:事業の着実な実施
現 状:体制が不備のため事業に着手できない

どこが不備か?
@民間連携のための推進組織の整備が遅れている
ATMO構想の作成に着手しない市町が見受けられる

勧告3:基本計画の見直し
現 状:社会情勢の変化等に応じて見直しを行っている市町は少ない

何故か?
見直しが必要である、ということの具体的な指導が不足している

勧告4:基本計画の的確な評価
現 状:適切とは言えない基本計画がまかり通っている

何故か?
国による適時適切な指導が行われていない

ということですね。


おことわりするまでもなく、これは政府部内間のお話でありまして、都市の現場ではこういう総括では済まされません

まとめてみると、活性化が上手く進まないのは、
市町村の中心市街地活性化への取り組みは、『中心市街地活性化法』及び『基本方針』に基づいて作成する『中心市街地活性化基本計画』による。

勧告は
@『基本方針』の内容をより具体的に明示する
A『基本計画』の内容やその改善に状況を的確に評価して支援する
ことにより、活性化の成果を挙げることを期待しています。

勧告の期待しているところをセキララに言えば。
@活性化の目標としてしかるべき数値を掲げる
A数値を達成するための具体的な事業を計画する
B事業推進に必要な組織の編成
C以上を可能にする基本計画の見直し

ということです。

以上について、新しい制度をもって誘導せよ、というのが勧告の本旨だ、ということに異論はありませんよね?


さらに・・・
> 勧告1:基本計画の的確な作成
> 現 状:的確ではない基本計画が多い

つまり、基本方針を示し、計画を作成させてみたが的確な計画をものにした都市は少なかった、ということですね。

> 勧告2:事業の着実な実施
> 現 状:体制が不備のため事業に着手できない

基本方針が示す方向で事業を推進するからには当然、組織の整備が必要なのだが整備されていない、という総括です。

> 勧告3:基本計画の見直し
> 現 状:社会情勢の変化等に応じて見直しを行っている市町は少ない

見直しが必要であるにも関わらず、必要性を自覚しているのかどうか、見直そうとしていない、という現状がある。

> 勧告4:基本計画の的確な評価
> 現 状:適切とは言えない基本計画がまかり通っている

つまり、「基本方針」を示しただけでは適切な基本計画が作られなかった・見直しの必要性も自覚されていないようだ、という総括。

対策としては、「基本方針」に基づく指導をもっと適切に行うべきだということですが、果たして上で突っ込んでみた現場の状況、指導の適正化で改善されるものでしょうか

勧告は一々もっともな指摘です。
では、「基本方針」についての指導を適切化すれば取り組みは正しい軌道に乗るのでしょうか?

皆さんの都市では如何ですか?

難しいですね〜。

勧告、現場としてはどのように理解すべきか?

その前に次のスレッドは再確認しておきましょう。

http://www.quolaid.com/cgi/tmo/wforum.cgi?no=417&reno=no&oya=417&
mode=msgview&page=0


http://www.quolaid.com/cgi/tmo/wforum.cgi?no=489&reno=no&oya=489&
mode=msgview&page=0


当サイト版・見直しのススメです。
■再確認

その1 中心市街地活性化法が想定する問題領域は「中心市街地所在の商業集積=商店街等」の活性化である、ということ。
このことは「勧告」を一読すれば明かですね。

その2 勧告が当然のこととして言及していないこと。
それは、商店街活性化とは商店街という「商業機能」の活性化である、ということ。

人が集まればものが売れる・劣化しているように見える商業機能が見る見るうちに活性化する、つまりは中心市街地で提供される商品・サービスにどんどん買い手がつく、ということは金輪際有り得ないことです。
商業機能が働く、シャッターの内側でお金と商品・サービスが交換されるという事態は、シャッターの内側の三点セットがしっかり構築されてはじめて起こること、このことについては、ぜ〜ったいに妥協の余地はありませんから、関係各方面、しっかり肝に銘じて置くように。

その3 したがって取り組まれる事業はすべてシャッターの内側の取り組みと連動する、それを補完する、または誘導する、という仕掛けを持っていることが必要です。

以上、あったりまえのことばかりですが、何故か皆さんの基本計画はほとんどこれらを念頭に置かずに作られているはず、これでは活性化の成功事例が少ないのもムリはありません。
「見直し」にあたっては是非「再確認」事項をお忘れなく。

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