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S060■商店街のものの見方・考え方
2003/03/25(Tue)

商店街が活性化を実現するためには、モールへの転換を目指して、個店の転換を中心に事業に取り組むことが必要です。かねて申しあげているとおり。
ところが組合では、高いレベルの目標達成に向けてさまざまの事業を組み合わせて、期間を通して相乗的に取り組む、という取り組み方がほとんどありません。このことを考えてみたいと思います。

 商店街という永続する組織の活動において、個別の事業はより高いレベルの目標(最終的には商店街の活性化・繁盛する個店の続出)を実現する手段として「手段の体系」に位置付けられて取り組まれることが必要ですが、実際にはそういう全体的な位置づけなど考慮されることなく、あたかもそれぞれの事業が単発で活性化を実現できると期待して取り組まれる場合が多いようです。
 ところが、個別事業というのは「この事業は前提として○○を実現しておかないと活性化実現に結びつかない」という条件付きのものが多い。
この事業に成功すれば商店街が一発で蘇る、などという事業はありません。

 例えば、来街訴求のイベントなどもそうですね。
落ち込んでいる商店街では「とにかく人に来てもらわないと話にならない」ということで集客イベントを企画するわけですが、このとき大事なことは、「イベントで集めたお客にこれからずうっと商店街のフアンになってもらう」ということです。そのためにはもちろん、商店街が買い物の場として充実していることが必要ですし、魅力のある個店がいくつも存在していることが必要です。

 このように、イベントを究極の目的実現に向けて成功させるためには、イベントに先だってイベントには関係のないレベルでの取り組みがある程度進んでいることが必要です。そうしないと「とにかく人に来てもらう」「○○をしてギネスブックに載せてもらう」などという楽しいイベントを企画し、企画どおりにイベントが成功したとしても翌日からはまた閑古鳥の鳴く通りに逆戻りです。これは考えてみればすぐ分かります。イベント以外に来街する目的は提供されていないのですから。結局、イベント単発では活性化は実現できない、むしろその間はかない期待を持ってイベントに参加、その間店内の改善には手が付けられない、ということで「単発イベントはやらない方がまし」ということが結論です。

 街によって・時期によって・イベント企画は変わっても、単発イベントと街の活性化との関係は全く変わりません。イベントに求める効果は当日の集客ではなく、イベント翌日からの買い物客の増加のはずですが、こちらの方には全く効果がない、イベントは街の活性化とは全く関係なく「何となくやってみた」というだけのことで終わります。
こういう取り組みを何年もやってきているわけですが、いつまで経っても抜本的な見直しが出来ません。空店舗が増える、組合脱退者が出る、という状況の中で相変わらず「人寄せイベント」あるいはそれに類した単発事業が組合の仕事だと信じて疑わない組織は急速に衰退していくことになります。

 どうしてそういえるのか?
それは、イベントと商店街活性化(個店の繁盛)と組織的な取り組みの関係をその程度にしか考えられない、組織のものの見方・考え方そのもにあります。同じことを何年も何年も繰り返し、いやというほどその「翌日の結果」を味わいながら、すぐにまたイベントを企画する。
商店街の活動と自分のお店の繁盛が完全に遊離してしまっている。

 お客に楽しんでもらう、というのも結構なことですが、お店はどうなりますか?お店は「商品を買って持ち帰ってもらう」ために存在します。
商店街はそういうお店が軒を並べてより満足してもらえる買い物の場を作っているところでした。そういう条件をすっぱり忘れ去って「とにかく人が来ないことには・・・」などという単純極まりない発想でイベントに走る、ものの見方・考え方が大きく間違っています。

 そもそも、昔、お店の前を人がたくさん通っていたのは、商店街が買い物の場として昨日していたからであり、イベントをしていたからではなかったし、ギネスブックやエコステーション、ポイントカードなどは全く無くてもお客はどんどん買い物に来ていました。それは、通りに買いたい商品、見ると欲しくなる商品が揃っていたからです。
商店街が活性化する、かっての賑わいを再現するためには大きく変化した環境の中で「こうすれば繁盛できる」という方向・方法を見つけて、脇目を振らずにその道を進む以外にありません。

 単発事業で活性化が実現できるということはありません。
そういう取り組みに終始している組織は、「組織的なものの見方・考え方」を改めることが必要です。

「考える」を省略する

事業に取り組むにあたっては、その前に「考える」という作業が不可欠です。事業というのは何かしらの目的があって、その目的を達成する・実現するために取り組まれるわけであり、目的と事業の関係は、「この事業をやれば目的が達成される」、「目的を達成するためにはこの事業をやることが必要だ」ということです。目的あっての事業だということです。

 商店街の事業ではこの「目的と事業の関係」が忘れられていることが多いようです。これにはいろいろ理由がありまして、指導者と称する人たちが成功事例などと称して、「お客に空き缶を集めさせて街を活性化させた」などといいう「事例」をきいて飛びつく、というのが一番ありがち。
話を聞いたとたん、我が街の活性化=エコステーションと直結してしまう。

別に空き缶集めに限ったことではありません。「よそで成功した」=「うちでも成功するだろう」=「やってみようか」という議論の流れで取り組むと結果は明か、必ず失敗します。
次に出てきそうなのは「昭和の商店街」作りですね。商店街を観光名所に作り替えるというアイデアですが、成功することはありません。

 ここには組織の目的・目標に照らして事業企画を「自分の頭で考える」というプロセスがほとんどありません。
よそが取り組んだ事例、成功したと聞いた事例を自分たちの街の活性化を実現できる方法だと思いこむ、事例が「成功」したといわれる内容、成功した条件などについての検討はほとんど行わないまま、「早速やってみよう」、「やらないよりやった方がまし」ということでどんどん進んでしまいます。

こういう成り行きで取り組まれる事業は、3つの理由でマイナスです。
第一に事業が失敗して目的が達成できない
第二に失敗体験が組合員の心に蓄積される
第三に使った時間とお金は取り戻せない
もちろん、こうしている間もお客の街離れはどんどん進みます。

有り余っているわけではない時間とお金をかけて取り組む事業ですからもっと欲張らないといけません。「この事業に取り組んだら本当に街が活性化するのか」、「自分の店は繁盛するようになるのか」と考えて見なければならない。ぶっちゃけた話、商店街活性化とは「あなたのお店のレジの開閉頻度が考えられないくらいアップする」ということですからね。極端に言えば、店内にレジの音がひっきりなしに鳴り響いている、という状況を作り出すことが商店街活性化の取り組みの目標です。

もちろん、この事業をやればたちまちレジが鳴り出す・鳴りやまなくなる、という魔法のような事業はありません。いろいろな事業に取り組み、それらの積み重ねがあってはじめて実現することですが、さしあたり、事業に取り組むにあたっては、この事業をやることとうちの店のレジが開閉することとの間にどういう関係があるか?と考えてみることが大切です。
「欲張る」ということは、「事業の元を取る」ということです。どうも商店街の皆さんは「元が取る」という商売の原理・原則をお忘れになっているみたいですねぇ。元の取れない事業にはまりこむ・自店の損得に関わる事業に損得抜きで取り組んでいる、というところに根本的な問題があるのかも知れません。

ともかく、個々のお店の経営者がもっと商売人らしく、「この事業をやると本当に得するか」、「この事業で得するためには、他にどういうことをしなければいけないか」ということを自分の頭で考えないといけない。全く、こういうごくごく当たり前の頭の働きが出来なくなる、というのが商店街組織の現状です。一人で考えればごく当たり前に「おかしい」と分かることがなぜか商店街という全体で「考える」と分からなくなる、ついついやってしまうのはなぜでしょうか?

「みんなで考える」ことの弊害

商店街に限らず、まちづくり、地域起こしなどで良く聞かれるのが、「さ〜みんなで考えよ〜」という決まり文句です。結論から言えば、これは全くだめ、全然役に立たない手法です。もし、こういうことを平気で口にするコンサルタントがいたら、それはこれまで、生まれてこの方ずうっと、企画という仕事をしたことがない人か、何でもいいから予算だけ消化させてもらおう、と考えている人か,どっちかでしょうね、多分。さっさとお引き取り願うべきだと思いますね。コンサルタントに限らず、「みんなで考える」路線を出す人は駄目。

 と、またまた例のとおり、同業者批判になってしまうのですが・・・。

 どうして「みんなで考える」路線は駄目かと言いますと、企画について「みんなで考える」といいながら実は「誰も考えない」からです。企画の会議などを聞いていると、なんだかどっかで聞いたような意見がぱらぱらと飛び交って、そのうち、「そいじゃ、何もやらんよりはやった方が良いと思うので」というこれまた決めセリフが出まして、どこかの商店街が取り組んだらしい事業におらが街も取り組むことになっていく。

 商店街活性化とは、そこに立地する個店が軒並み業績が好転すること、ですからね。事業は、「こうすれば活性化が実現できる」という大きな取り組みの一環として、他の事業と連関させながら企画しないといけません。特に、この事業を成功させるために・事業と並行して個店内部で何にどう取り組むか、ということを企画することが決定的に重要です。

 こういう企画を「みんなで考える」ということは出来ませんから、誰か指名して「1人で考える」ことを委任します。これは誰でもよろしい。とにかく事業の目標(目的は街・個店の活性化への貢献に決まっています)、目標を達成するための事業の中身、並行して取り組む事業・特に個店の店内での取り組み、等々について徹頭徹尾企画させます。
出来映えはどうでもよろしい。こうして出来上りり、まな板の上に乗せられた企画をよってたかって改善する、というわけです。このときの基準も、それぞれ、自店の取り組みとの整合性などをしっかり考えながら発言する。

 最後にまた、企画を出した人が1人でまとめなおして、企画の出来上がりです。企画を担当した人は企画の始めから終わりまで、全て頭に入っていることになります。これが大切。
出来上がった企画は、もういちどみんなに検討してもらう。この段階では既に企画は「みんなで作った」ものとして認知されています。あらためて検討するのは、「みんなで作った」計画だということを再確認する、という手順でもあるわけです。

 こうして出来上がった企画は「みんなで作った」ものですが、けして「みんなで考えた」企画ではありません。

 みんなで考える、という作業は、それぞれ頭のなかにあるなにがしかの知識を引っ張り出してしゃべってみるだけ、参加者全員がそういう振る舞いに終始するのですから、結局、誰も企画の全体像を考えている人はいない、という結果に陥ります。

 「みんなで考える」という方法は、「誰も考えない」という結果を招きますからご注意あれ。


誰が企画を担当するか

叩き台にする企画は誰が担当するのか?
先にも書いたように、これは誰でもよろしい。組織内の一個人、あるいはTMO関係者、場合によっては招聘されたプロのコンサルタントなど。
ただし、いずれの場合でも組織が「叩き台作り」を正式に委託することが必要です。企画を担当する人は必ず「委託」を確認すること。
叩き台つくりは誰が担当してもいいのですが、一つ大変重要なことがあります。

 それは、「叩き台」は企画の骨格を決定する、ということです。
委任して「叩き台」を任せた以上、提出される叩き台は文字通り叩き台であり、叩き台とはそれを叩き、形を整えて成案にするものです。叩き台は荒削りの企画そのものです。叩き台をご破算にすることはなかなか出来ません。
したがって、叩き台つくりにあたっては作成を任せる相手を厳選することが必要です。叩き台つくりは誰にさせてもよいが、それなりの要件を備えた個人を選定することが大切だ、ということになります。

 それでは、叩き台の作成任せるべき個人とはどのような要件を備えた人が望ましいでしょうか?

担当者を決めるのはきわめて簡単です。

 「企画を立てるのに必要な能力をもっとも必要としない人」が企画を担当します。どういうことか、もう少し説明しておきましょう。
通常、企画を立てるにはさまざまな能力が必要です。企画するということは、企画の目的・目標を確認し、企画の前提となるさまざまの条件を設定し、企画の内容を考える、ということです。このような作業を担当するにはそれなりの能力が必要であることは言うまでもありません。つまり、企画担当者には企画能力が必要です。当たり前のことですが。

 誰が企画を担当するのが最適かといえば、関係者の中でもっとも企画能力を備えた人間ということになるわけですが、こういう時期ですから一般的に企画が出来る、ベテランだ、ということが選定の基準になるわけではありません。企画の前提になる「情報」の質が問題です。

 つまり、どのような情報をもとに企画を立てるのか? ということです。
突き詰めれば、企画担当者の選定は「どのような情報に基づいて企画するのか」ということを決定し、「必要な情報をいまから集める必要のない人」に担当させることが合理的です。
商店街にはこういう人材がいるとは限りませんから、外部から招聘する、あるいは外部の組織に委託する、ということが多く見られます。こういう場合も問題は、委託する相手が「どのような情報に基付いて行動しているか」ということを見極めることがもっとも大切なことです。

 計画はみんなで作る、というきれいな話にはウソがあります。計画は誰が作っても良い、ただし、決定するにあたっては当事者全員でよく吟味し、納得することが必要だ、というのが正しい考え方です。
 特に商店街活性化のように事業の内容が多岐・長期に渡る事業では、企画の良し悪しが即事業の成否に直結しますし、立地する個々の店舗のシャッターの内側が改革されないと目的は達成されない、という不変の条件があります。個々の商店主の計画への参画、自分たちが自分たちのために作った計画だ、という計画策定のありかたは揺るがすことはできません。

 もちろん、計画は1人で作る、という鉄則はこの場合も貫徹させることが必要です。

商店街の事業企画

事業計画は通常次のような項目について計画します。

1.事業の目的
2.事業に取り組む理由
3.事業の目標
4.方 針
5.事業内容
6.事業組織
7.予 算
8.その他

 ところが、商店街組織の事業計画でこういう事項がきちんと決められ・記載されているというケースはたいへん少ないと思います。
商工会議所など商店街組織よりも格段に整備されているところでも同じような傾向が見られることがあります。

 実は、この事業を行うにあたってきちんとした計画書を作らないまま実施に突っ込んでいく、中にはコンサルタントがついていながら計画書らしい計画書も無いまま、という例は至るところにあります。この結果、ソフト&ハード、各種の事業を何回、何十回やっても事業が上手くならない。いつも同じように実りのない消化事業の繰り返しに終わっている、というのは全国的にありふれた光景だと思います。
 本当に活性化を目指すなら、「事業計画書」をきちんと作るのはイロハのイです。商店街組織が事業に取り組む場合に作る事業計画者の必須記載事項を解説してみましょう。

※まず、目的。
事業をやるのは何のためか、ということがはっきりしていること。
「活性化」のための事業ですから、活性化を実現する上でこの事業が果たす役割ですね。これをちゃんと考えると、たいていの事業は不要不急の事業であることが明白になるのですが・・・。

※次に背景。
なぜこの時期、この事業をやらなければならないか。つまり事業の目的として掲げたことがなぜいま取り組むべき課題として取り上げられなければならないのか、ということを明らかにする。

※目 標
目的を実現するために達成しなければならない目標です。これは目的をブレイクダウン、分野ごとにいくつか立てられます。事業はこれらの目標を直接のテーマとして取り組まれるわけです。

※方 針
目標達成の方針。計画の自由度を決定します。「こういう範囲で戦略を立てよ」という制約です。これはしっかり考えて、「組織の力量で取り組める」範囲で作ります。戦略事項も含まれます。

※事業内容
方針に基づいて事業目標を達成するための取り組みです。
事業の内容は、これらの仕事に取り組めば事業の目標が達成され目的実現に確実に近づく、ということで考え・決定されていることが必要です。

以上については、計画を読めば、事業の始めから終わりまでありありと眼前に浮かぶ、というレベルで作ることが必要です。

※組 織
事業を運営していく組織。通常は委員会方式でしょう。組合員から有志を募って委員に任命する、というのが手っ取り早くかつ効果・効率がいいと思います。つまり、計画そのものが「参加した人にプラスになる」という内容であることが必要です。元来活性化ヲ実現するための事業ですから、参加した人の経営の活性化に確実に役立つことが必要です。

 自発的な参加が無いようでしたら計画に魅力がない、ということなのかも知れません。要注意。もっともそういうことの無いよう、そもそもの企画段階で掌握しておくことが当たり前。

※予 算
収入については、委員は応分の自己負担をすることが望ましい。自店のための事業という自覚があれば(くり返すがそういう企画内容にすること)負担は苦にならないはずです。
支出は、この通りにお金を使えば目標が達成される、というくらい事業内容、目標と密接に関連づけておくことが必要です。
計画したお金は計画通りに使うことが必要。残すことなどを考える甘い計画では駄目です。それだけシビアな予算を立てる、ということでもあります。

※その他 
事業の内容、組織の事情などで特に決めておかなければいけないことがら。

 如何ですか。
実はこれらは「商店街競争力強化事業」等の申請書の記載事項とほぼ同じです。つまり、補助金を使う事業の場合、上記の計画書は誰かの手によって一応作られているのですが、いつも机上のプランで終わっている、目的、目標は記入欄を埋めるために適当に文字を並べただけ、ということです。

 このようなレベルの事業にいくら取り組んでも何の成果も、失敗の教訓さえも残りません。計画無くして批判無し、批判無くして進歩無し、ですからね。取り組む事業メニューは変わっても、いつまで経っても活性化は実現せず、取り組みも成長しない。同じところを堂々巡りすることになります。

 これまで何年も事業に取り組んできた組織では計画のフォーマットが完備されていて当たり前ですが、ほとんど整備されていないと思います。
今年は「商店街組織の事業企画の作り方」についてセミナーを企画しています。佐賀市で開催されると思いますが、県外から参加希望があれば、当社宛に申し込んでください。決定次第連絡します。 


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