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■基本計画のレベル
2003/02/17(Mon)

当社は仕事がら、各地の基本計画を見せていただく機会が多いわけですが、特に最近作られたものはさすがにいい出来映えになっています。
といっても、初期に作られたものと比較して、ということです。
実践的、すなわち、この計画を転がしていけば中心市街地とりわけ中心商店街が活性化されるのか、ということで評価すれば残念ながら及第点はなかなか付けられません。

 いろいろ工夫されている計画の中には、あと一言、「ショッピングモールへの転換を目指す」という文言が入れば全ての施策が活きてくるのに、
というものもあります。
 しかし、「モールへの転換を目指す」という文言が入っていない、ということには皆さんがお考えになる以上に深刻な問題が潜んでいます。

第一に、本当に我が国の商業の現状〜将来を展望した計画なのか、ということ。もちろんそうであると答えるためには、消費生活の趨勢、消費購買行動の変化、対応する小売業側の対応とその予測される結果などについてそれなりに理解したうえで体系的に事業が組み立てられていることが必要です。

第二に、業績悪化にのたうち回っている既存個店の自助努力を軸にモールへの転換を調達可能な「人、もの、金」を上手く組みあわせて実現可能にする、という実践における一見ウルトラ級の離れ業を可能にするための仕掛けが必要です。

 この二つがきちんと見通せないと中心商店街の活性化は難しい。これらの課題を解決する方向として、ショッピングモールという目標が提起されていないと、どんなに良さげな計画でも活性化にはつながりません。

 「ショッピングモールへの転換」をテーマにしたとたん、既存個店の転換という課題が現れます。そうすると、例えば「商人塾」など個店の転換のための知識・技術の修得・開発のための事業を講じることが必要になります。これは「商業等の活性化のための事業」のなかで最重要・最優先の課題になります。

 ショッピングモールを「ショッピングセンターの一類型、「ラグジュアリィモールとして定義しないまま、何となく「ショッピングモール」という概念を用いている、計画書のそこかしこ、特に景観整備などの項に現れている、というレベルでは活性化は実現できません。
 
 皆さんの街の基本計画、全ての事業がスケジュールどおりに進んだとして、全ての計画が完了したとき、街はどうなっているでしょうか、活性化されているのかいないのか、見当が付きますか?
その時、まちなかの個店、特に自分のお店は計画通りに事業が進展した結果、どのような状況が生まれているのか、想像してみることが必要です。

 中心市街地活性化基本計画、果たして中心市街地に立地する個々の店舗の経営者に希望を与え、計画への取り組みに意欲を喚起する内容になっているでしょうか。 

チェック項目

>  中心市街地活性化基本計画、果たして中心市街地に立地する個々の店舗の経営者に希望を与え、計画への取り組みに意欲を喚起する内容になっているでしょうか。 

 「商業等の活性化の事業」項目のなかに「既存個店の転換(活性化・繁盛など)」、「既存商業者の能力の転換(育成・向上)」、「商業者組織の新編」などが盛り込まれているか? 盛り込まれているとして、そのメニューは効果が期待できるものになっているか? 地元主体で運営推進できるのか? などなどが最重要チェック事項です。

 これらの事業が体系的に構想されている基本計画はほとんど無いと思います。なぜか? それは、基本計画を作る時点での問題の把握を間違えていた、ということに他なりません。バブル期までと同様商店街の活性化は、街区の環境整備と共同販促、撤退した大型店の後始末で事足りる、という時代遅れの認識が間違いの原因でした。誰が間違えたか? 関係者全員が誤解したまま計画つくりを推進した、ということです。

 とりわけ、このプロセスの指導のために外部から招聘された「専門家」の責任は大変重い、ということになります。

ミスマッチな認識とは

> これらの事業が体系的に構想されている基本計画はほとんど無いと思います。なぜか? それは、基本計画を作る時点での問題の把握を間違えていた、ということに他なりません。バブル期までと同様商店街の活性化は、街区の環境整備と共同販促、撤退した大型店の後始末で事足りる、という時代にミスマッチの認識(つまり「パラダイム」)が間違いの原因でした。

 店あまり時代の小売業は立地している商圏の特性ばかりではなく、存在している時代背景の特性も十分理解して店づくり〜運営をすることが必須条件です。ある時期・ある立地に創業したお店は、環境の変化(特にお客の生活・購買行動)に応じてその業容を変化させることではじめて営業を永続させることが出来ます。時代環境の変化に対応出来なくなったお店は、お客の支持を失い・消滅していきます。

 今日空洞化に悩んでいる多くの商店街が生まれた時代は、もの不足、店不足という時代、ものを調達して販売する、というのが商店街の役割でした。当時は、如何に商品を調達するか、ということ、つまり、ライバル店よりも強い、すぐれた仕入先を見つけることが課題でした。

 その後、役割は、新製品の普及、差別化などに変わっていきましたが、経営の課題は常に優れた仕入先を見つけること、でした。この時期、中心商店街は競争相手といえば隠したばかり、文字通り、我が世の春、という繁盛ぶりでした。

 バブル期の前あたりから小売業の環境は大きく変わりました。日本全国に商品が溢れ、店が溢れ、人々は何を買うにも買う場所を選び、買う商品を選ぶ、ということをいやでもしなければならなくなりました。
 このプロセスでお客の生活・ショッピングについて吟味する能力が大きく成長しました。一人のお客が、購買目的に合わせて同じ商品のの購入でも複数の店を使い分けるようになっています。

 こうなると、もの不足時代にスタートしたお店、商店街は大変です。
従来の経営ノウハウでは仕入先を選別することは出来ても、変化したお客のニーズに合わせて店舗のありかたを変化させていく、ということはなかなか出来ません。このことは店舗規模、企業規模に関係なく共通しています。今、もの不足=店不足時代に生まれた多くの店舗が業績不振に陥っている最大の要因は、もの余り=店あまり時代のお客のニーズをつかみ、売場づくりや接客に実現する、といいうことが出来ていない、というところにあります。

 新しい時代に中心商店街を活性化させるためには、古い時代背景をもとに作りあげられているお店・店舗運営技術を転換することが必要です。もの不足時代の店舗、品ぞろえの考え方、接客のありかたでは、もの余り時代の成熟した顧客ニーズを満足させることが出来ませんから。

 この店づくり〜運営の技術を転換することが活性化のスタートですが、この仕事を個々の商店に任せて置くわけにはいきません。その方法が分からないし、分かったとしても独力で取り組むのは難しい大仕事だからです。

 『中心市街地活性化基本計画』のもっとも大切な役割は、中心市街地に立地する商業集積をショピングモールに転換していくことですが、この仕事は、商業に携わる人たちの時代認識、知識・技術の転換を実現することがスタートです。彼らの技術が変わらない限り、中心商店街が活性化する=都市の住民から再び「買い物の場」と認知され、支持されることはありませんから。

 「ミスマッチな認識・パラダイム」に基づいて作られた計画には、「商業者の能力・技術の転換の必要性」という課題がすっぽり抜け落ちています。商店街を「買い物の場」として再建していく取り組みにおける「個店の転換」の重要性を見落としたことがもたらした結果です。
基本計画の「中心市街地の状況」には、既存商業者の知識・技術の消費者ニーズとのミスマッチ、ということが特筆されるべきでした。


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