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S039■問題の核心を避け回りをうろうろする

2002/12/06(Fri)

 結局のところ、商店街活性化事業は、「お客から見て買い物目的を達成できる場所」へと変わっていく、そのためには何をやらなければいけないか、ということを突き詰めて行く以外に方法はありません。お客は商店街に何のために来るのか、ということをほんのちょっそ考えればこんなことは誰にでも分かります。この誰にも分かること、−もちろん商店街関係者にも分かっていることだと思いますが−、がどうして活性化に取り組む場合の共通認識、共通目的にならないのか、これはしっかり検討してみる価値があることですね。

 まず、考えられることは、施設整備やポイントシステムなどこれまで取り組んできた事業に効果が薄くなっていること。もはや組合の事業には何の期待もしていない(どこの組合の状況も似たりよったりだし)、今さら波風たてても仕方がない、自分お商売は自分で何とかする以外にない・これまでもそうだったことだし、組合の事業については執行部の言うとおりにしておこう、と組合員の大半が諦めている。
 執行部はといえば、執行部を預かっている以上何か事業をやることが仕事である、色々やってきたけど成果が挙がらない、新しい事例はないか、お、有った、有った、という感じ。

 このような取り組みはこれから業績不振がひどくなるにつれて立ちゆかなくなります。効果のない事業ばかり続けている組合ですと場合によっては脱退者が続出することになりかねません。そういう意味では次回の組合総会は要注意です。脱退届が出ていることが報告されるとそれが引き金になって連鎖反応が起こりかねません。

 次に考えられることは、どんな事業でも「やらないよりはやった方がよい」という恐るべき迷信がはびこっていること。これは無意識のうちについ口に出てしまう、絶対に疑えない真理ででも有るかのように心の中にしっかり根を下ろしている価値観です。事業のメリット、デメリットなどいろいろ話しあった跡、結論を出すときに必ずといって良いほど使われる「いいわけ」ですね。デメリットの方が圧倒的に多い、あるいは中途半端な取り組みしかできないことが明か、というような事業でも最終的に「やらないよりやった方がよい」という論理で全てを黙らせてしまいます。
もちろんこれは会議参加者に共有されている価値ですから、皆さんがこういう発言に「そうだ、その通り」と心から賛同してしまう訳です。

 これは本当に「迷信」ですからね。山で道に迷ったとき、「歩き回ってはいけない」というのがサバイバルの鉄則です。「何にせよ、やらないよりやった方がマシ」ということで動き回りうと大変です。とにかく歩いていればどこかにたどり着くだろうと、いつも住んでいるまち・平地のつもりで歩き回っていると、いつの間にか同じところをグルグル回っていたりして体力を消耗してしまう、あるいは救助隊の思いも及ばないところまで移動してしまったりして救助が間に合わなくなる、ということもあるそうです。なんだか商店街の事業に似ていると思いませんか。

 商店街にお客が来るのは、具体的に「商店街のあの店で買い物をしよう」という具体的な買い物とその行き先がある場合です。他の理由で通行する人はお客ではありませんからね。今どき衝動購買などを期待できるのはよほどしっかりした品ぞろえを仕上げている店に限られます。
 商店街が取り組まなければならない事業とは、組合員のお店が「お客に買い物行き先として認めてもらえる店」に再生することが唯一活性化の方向であること、実現するためには街ぐるみの取り組みが大切なこと、を共通の認識にすることです。「何によらず、やらないよりやった方がよい」ではありません。今現在やらなければいけないのは、環境を理解し、活性化の方向を決める、ということです。

 この仕事以外の事業は、期待している効果が挙げられないと同時に、今一番取り組まなければいけない仕事への取り組みを遅らせることになります。その間も組合員店舗の「体力」はどんどん消耗しています。
どんな事業でも「やらないよよりやった方が良い」のではなく、事業は事業内容や取り組みかた次第ではやらない方がよいときもある、この時期、何をやるべきか、しっかり検討してからでないと事業には取り組めない、というのが正しい態度だと思います。

 情勢の厳しさ、責任の重大さから執行部の皆さんは、いてもたてもおられずに事業の取り見たくなる気持ちは重々お察ししますが、結果が苫なわない事業は「逆効果」を生むということを考えて、じっくり構えていただきたい。店前通行量の増加その他の施策が効果があったとして、その成果を活用できる店づくりが出来ているかどうか、ということを素直に振り返ってみることが必要です。

宅配事業

 小規模都市・商工会地区で取り組まれていると聞くことがある事業です。
過疎化と高齢化により買い物に不便を来している家庭のために宅配事業グループを作る。ファックスで受注し、メンバーが交代で宅配する、というシステム?らしい。

 問題がいくつも見えます。
第一に、活性化策=業績不振を抜本的に改革しようという取り組みのはずです。宅配というのは、@メンバー店の品ぞろえは問題ない、A売れないのはお客の来店能力に不備があるから、ということが前提になっています。これがそもそもの誤解ですね。

 お店が売れない理由は、いつも申しあげているとおり次の3つです。
@お客がいない
Aお店が知られていない
Bもっと上手なライバルがいる
それぞれの不振の理由が違うと打つ手も違ってきます。
さて、宅配事業が「解決策」となるメンバーのお店の「不振の理由」は上の3つのうちどれにあたると思いますか?

 どれが原因だとしても宅配事業は解決策になりません。
宅配事業は、売れているお店がさらに売上げを高めようとするときだけ有効な戦術です。ただし、売上げは上がりますがコスト対効果ということでは大いに?が附く方法です。

 売れないで困っているお店、それは潜在顧客から見放されたお店です。本当は来て欲しいお客達が来てくれない、それでは彼らは買い物はどうしているのか? チャンと別に行き先があって別に不自由はしていない、ということですね。そういうお客が「うちで買ってくれたら宅配します」といわれたからと言って買い物の場を変えることはありません。
買い物は目的ではなく、「自分に必要なものを手に入れる手段」です。手段が多少便利になるからと言って肝心の「必要なもの」という目的が中途半端になっては意味がありません。

 お客から見て「買いたい商品」が揃えられていない(だからお客が寄りつかない)お店が宅配その他便利さをアピールしてもお客が集まってくることはありません。フアックス宅配事業、成功している事例があるとしたら地域一番のスーパーマーケットが取り組んだ場合でしょうね。ただし地域一番店はそういう過剰サービスはしなくてもきちんと売れる店づくりをしています。

 第二に、本当に商店街の宅配事業で「買い物の手間が省ける」のだろうか?ということです。買い物に出かけなくて済む、ということは今日必要な買い物が全部宅配で手に入れられる、ということですが、果たして商店街でそういう条件を作ることが出来るでしょうか?まず無理ですね。
なんだか、いろいろ必要な買い物のうち、商店街で買えるものはフアックスで注文して・他はスーパー、SCに出かけて買いましょう、ということのようにも感じられます。これはあまりにもムシがよい上に街まで出かけてもらえば生まれるかも知れない「衝動購買」の機会を自ら放棄していることにもなります。

 これまで来店していなかった人たちは、他店で買い物をしているわけですが、そこでは宅配サービスをしているでしょうか?していませんね。
宅配サービスはお客の買い物行き先を変えさせる力があるでしょうか?
これは「買い物」の目的を考えればすぐに分かること、このサービスで買い物先が代わることはありません。

 お店の繁盛は「来店目的」を作ることから生まれます。自分のお店で買い物をしてもらうには買い物の目的を達成できる状況をお店の中に作ること、買いたい商品が揃っていること、これ以外にありません。

 品ぞろえ、店舗、提供方法は店づくりの三大要素ですが、このうちダントツに大切なのは品ぞろえです(お客は商品を持ち帰るために来店する)。品ぞろえが評価されていないお店にはお客は来ません。そういうお店が宅配をアピールしても無駄、もともと、「私の行きたい店ではない」と評価されていたお店が宅配くらいでお客を引き付けられるはずがありません。

 もしいくらかあったとしてもとてもコスト的に引き合う話ではありません。商店街が取り組んでいる事業、こういうレベルのものが少なくありません。どうしてこうなるのか、ちょっと考えてみることにしましょう。 

大きな勘違い

 どうして自分のお店は業績が落ち込んでいるのか、3つの不振原因のうちどれに該当するのだろうか、ということ問題意識が商店街組織の活動と結びつかない、というところに大きな問題があるわけです。なかには自店の不振の原因がシャッターの内部にもあるのだ、ということを考えてみようとしない人もいるかも知れません。
 皆さんの集まり、活性化への取り組みをめぐる話し合いで、自分たちの店の改革にどう取り組むか、というテーマが出ることはほとんど有りませんね。不思議なことですが、これが実態のはずです。
そもそも組合事業の前提が、「個店の努力では出来ないことをやるのが組合の事業」ということであり、事業の前提として個店はやるべきことをやっている、ということがあるわけです。ところが実際鋸店の状況は「何をやったらよいか分からない」というレベルですから、外部でどんな事業に取り組んでも店内で売上げが上がるということはありません。
このことが分かっているのに事業は事業は相変わらずの発想で続けられている。このことに疑問の声さえ上がらない。これはまさしく危機です。

 この時期、商店街の自発的な取り組みとして「個店の改革に取り組もう」ということは出てきて当然、たぶん部外者なら、え?今までやってなかったの? 10人が10人びっくりすることでしょうが、たぶん、議題になることは無いはずです。個店の実態に触れることはタブーというのが全国ほとんどの商店街に共通したありかたでしょう。外部からみれば、活性化事業というのはシャッターの内側を改革しなければならないのに外側の事業で済ませようとしている、済むと思ったいる、としか見えません。本当はけしてそういうことはないのでしょうが。

 宅配事業、誰がどこではじめたことか分かりませんが、関係方面には業界紙をはじめ、さまざまな媒体で情報が流布されます。不思議なことにニュースは取り組みが始まった、というものばかり、取り組んだ結果についてはほとんど伝わってきません。受け取る側には、始まった=成功した、あるいは今の時期はこれが正しい活性化の取り組みだ(らしい)、ということだけがインプットされる。

 かくて、今年は何の事業をやろうか、という話し合いのとき、誰かがいつか流通新聞で読んだ宅配事業のことを思い出すわけであります。最新の事業であり、シャッターの外側のことで、お金の手出しもありませんから気軽なもの、フアックスで注文受けたら当番が各店を集荷、配達に行ったらまた注文がもらえるかも知れない、などと話が膨らみます。

 そいじゃ、今年はそれをやってみようか、ということで先進事例などを視察して事業に取り組むことになるわけですね。もちろん、視察先でも事業は始まったばかり、スタートの仕方についてはいろいろ教えてもらえますが、結果についてはどうも質問するのがはばかられる雰囲気がある。
あえて尋ねると「それは今後の課題です」などとかわされてしまう。
間違っても「効果がないからしない方がよい」という答えはありません。
 こうして事業が始まります。

 結局、なんの成果も挙がらないまま、補助事業の終了と同時に宅配システムはお終い。これまでの事業と全く同様です。困ったことに「反省」ということがありませんから、来年度も違うメニューで表面新しく中身はこれまで通り、なんのやくにも立たない事業をやることになります。

 こうして訳も分からないまま事業に取り組んで(?)いるうちに自店も街もさらにいっそう業績が悪くなっていく・・・。
ということが年々歳々、全国あちらこちらでくり返されており、さらに悪いことには、「商店街の事業とはこんなものだ」という風潮が蔓延しており、何かしらの事業を毎年手がける組合が「良くやっている」と評価されたりする。

 活性化事業に取り組む商店街の大きな勘違いは、事業をやれば個店の内部にはメスを入れなくても活性=繁盛店への転換が出来る、と信じていることです。なかには信じている振りをしている人もいるのかも知れませんが。いずれにせよ、こうしたいきさつで成果の挙がらない取り組みを続けているうちに、組合と組合員との間に何となく違和感が生まれ、そのうち組合事業といっても取り組んでいるのは役員だけ、という状況が生まれてきます。

 このまま効果の上がらない事業をだらだら続けることは組合存続の危機を招く、という状況になっています。一日も早くこのことに気付いて、陳腐な言い方ですが、「出直し的改革」に大きく舵を切らないといけません。リーダー以下の思考&行動パターンが代わることが必要です。

エコステーション

 商店街が再利用できるいわゆる「資源ゴミ」の回収に努力することは意義のあることだと思います。しかし、これを単純に集客=売上げ増をめざす取り組みとして検討するとその効果に疑問を感じることになります。
資源・環境問題の重要性はひとまず措いて、ここでは商店街の販促手段として見たエコステーションについて考えてみましょう。

 この事業に限らず、販売促進策として取り組まれる事業は、商品本来の価値(来店・来街・購買目的)にプラスアルファを付加することで、数ある選択肢のなかから当方を選んでもらおう、という戦術です。
 常々申しあげているように、買い物の目的は、プラスアルファではなく、買い物時点の満足でもありません。ある商品を手に入れ、その商品に実際の生活のなかである役割を果たさせることが買い物の目的です。きちんと役割を果たせない商品をプラスアルファに引っ張られて購入してしまう、ということはほとんど期待できません。

 プラスアルファに効果が期待できるのは、どこで買っても価値が変わらない商品を買うときだけです。「価格」が相であるように、価格でライバルと差を付けられないお店は、集客手段としてプラスアルファに頼らざる得ないのです。

 はじめに述べたように資源再利用・環境保護という社会の大変重要な快打への貢献という趣旨は一応かっこにいれて、販促手段としてとらえたときのエコステーション事業の魅力を考えてみましょう。
 システムはご承知のとおり、簡単に言えば、来街客が空き缶などを持ってくればポイントと交換、集めたポイントに応じて商店街からサービスが受けられる、ということです。この仕組みがどれくらい新規来街−買物客を作り出せるか、ということが問題です。

 くどくなりますが、もういちど「お店(商店街)が売れない3つの理由」を考えてみましょう。
@お店(商店街)の現状を支持しているお客がいない(=ミスマッチ)
Aお店(商店街)は充実しているのにお客に知られていない(=宣伝不足)
Bとても戦えない優れたライバルがいる(=打つ手無し)
如何ですか、どんなに駄目なお店でも「他に選択肢が無い」という立地にあるなら問題はありません。店あまりという時代に発生する業績不振の原因は、上の3つに限られます。さらに、不振の原因がどれかによって打つべき手が全く変わります。

 常識的な販売促進に効果を期待できるのは、お客から見た内容が同一水準の店舗間の競争の手段としてだけです。商品の価値や買い物便利さがほとんど同じならプラスアルファが勝負になります。一方、商品などライバルに差を付けられている=業績不振に陥っているお店がプラスアルファを工夫してもほとんど効果はありまsん。プラスアルファで買い物目的への対応の不十分さをごまかすことはできません。

 活性化策が必要な商店街が取り組むエコステーションは、反場促進来街目的に、プラスアルファを付加する方法として位置付けられているわけですから、上の検討がそっくり当てはまるのではないでしょうか?
 個店の側から見れば、この事業で集客するということは、店前通行量の増大を目指していることになります。店前通行量が多くなれば入店するお客が増え、売上げが増えるという図式は成立しません。買い物目的が果たせないお店は店前通行量に関係なく買い物行き先に選ばれることはありませんね。

 不振に陥ったお店がまず最初に取り組まなければならないことは、不振の原因を分析・理解することです。そしてこの原因を取り除くための処方をつくり実践することです。この作業に必要な道具は新しい理論であることはいうまでもありません。通行量などを調査して、不振の原因は通行量の減少などと考えるのは本末転倒です。商店街の通行量減少は、来街目的弱体化した、来街目的になるようなお店が無くなったためです。お店がダメだから通行量が減っているのに、通行量が減ったからお店がダメになった、と考えるのは、小売業が非物販施設の集客力に頼って立地を決めていた時代、今ではとっくに通用しなくなっている大昔の常識を信じているからです。

 このような安易な発想の販売促進策は成果を上がることが出来ないばかりか、徐々に街全体の活力・体力を消耗させ、店主の事業意欲を損なっていきます。なによりも「時間が無為に私語される」ということがたまりません。個店にも商店街にも活性化に取り組むために残された時間はわずかしか有りません。
 今がぎりぎり最後のチャンスだと思いますが、チャンスをものにするためには、手当たり次第・やみくもに事業をやればいいというものではありません。

 エコステーションは他の手段(特に買い物=来街目的の充実)で集客できる商店街が取り組んでこそ販促手段(相手にプラスを増やすことを通じて自分のプラスを得ていく)意義のある事業だと思います。残念ながら多くの商店街が本来の来街目的をしっかり充実させ、補完的・付加的なサービスを提供することが活性化策だ、というレベルにあるとは考えられません。
 さいわい資源回収は、地域ぐるみでの取り組みが増えてきました。エコステーションは次第に自治会活動にその役割を移しているようにも見受けられます。(私なども自治会ではそういう役割を受け持っているところです。)商店街のもっとも大切な役割は、地域の生活に必要な、地域の生活を豊かにするための材料や情報を提供することです。本来の仕事を軽視して一般的な課題への取り組みを演出することが商店街が本来地域において果たすべき本当の役割・貢献では無いはずです。