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S024■執行部の悩みと店主の悩み

2002/07/12(Fri)

 リーダー研修などでの発表をお聞きしていると、リーダーとしての立場でイベントの独自ノウハウや苦心談などがいろいろ出される。全国レベルで有名な事例の視察の結果や同じく大規模な研修事業での講師の訓話が披露されたりします。

 私が不思議なのは、そういうノウハウや事例話はあなたのお店の活性化に全然役に立っていないでしょうに、なんでそんなことをしゃべるわけ? と言うことですね。ホント不思議。これは行政が行う商店街アンケートでも同じです。アンケート自体が「商店街」レベルの課題を聞いている、ということによるミスマッチもあるのですが、やはり、実際の自分のお店や組合員のお店の業績がめちゃめちゃ悪くなっている、と言うところは素通りしています。つまり、基本的に組合員個店の現状と組合活動の間に連携が取られていない、と言うことです。

 商店街組織の執行部メンバーとしての悩みと街区内の一商店主としての悩みが見事に分離独立している。というか、前者=執行部としての問題意識の至らなさが後者=自店の業績急降下という悩みの大きな要因になっている、と言うことですね。ポイントカードや空き缶ノーぽい運動などに取り組んでいるうちに自店の業績はとどまることを知らない錐もみ状態。

 つまり、執行部としての自分たちの仕事の結果が自店の活性化に貢献するどころか、逆に業績低迷という状況を後押ししている、ということですね。思い当たるでしょ。まあ、自分のお店は言ってみれば自業自得ですからいいとしましょう。それでは済まされないのは、組合員のお店です。基本計画〜TMOのスキーム、つまり、商店街活性化の現在唯一の体制ですが、これへの対応は執行部が一手に受け持っているはずです。

 皆さんは仲間のお店が繁盛を再現する条件づくりの大変重要なところを担当していることになりますが、そういう自覚はほとんど無いでしょう。そういう人達がまじめな顔でイベントやポイントカードの自慢話を交わしている、という場面にたまに遭遇しますが、あきれるほかありません。もちろん発言の機会があればしっかり批判していますが。
まあ、効き目の方はほとんど無いようですけど。

 イベントなんか、1,2日、せいぜい長く1週間、人を集めてどうしょうと言うんでしょうかね。1年365日のうち残りの364日はいったい何をするつもりなんでしょう? イベントでものが売れないことは分かっているが、まず街に来てもらわなければ話にならん、やっぱイベントだ、という理屈もあるそうですが、馬鹿じゃない、魅力のない商店街、個店をご披露してどうすんのよ、と言うことですよね。

 執行部の皆さんは、もっと率直に自分の店主としての悩みと直面すべきだし、口に出すべきです。皆さんの店主としての悩みは即一般の組合員の悩みではありませんか。この悩みをそっちのけでイベントや組織運営のノウハウ話をしても仕方がないでしょう。特に行政や指導団体などとの協議の機会などにエラソーに「当商店街の活性化への取り組み」などと出来てもいないことを言わないこと。相手は現在の支援手法で成果が挙がっている、と誤解しかねない。まぁ、何を言っても街を一目見てもらえば文字通り一目瞭然ですが、実態よりも発言の方が(特に前向きの発言)記憶されやすい。

 執行部のメンバーはもっと欲を持たないとダメ、商店街活動に積極的に関わる以上は、お客さん気分の仲間よりも絶対活動の成果を受け取るぞ、という気概が必要です。参加したものがしなかったものより得する=自分のお店の繁盛に役立つ事業をどんどん企画すべきです。それぐらいの活動にしていかないと全体の成果が挙がりません。趣味やボランティアの域を脱して自店の命運と自分の活動をしっかり結びつけることが必要です。

 多くの商店街で、うちにはこういう特殊な条件があるから、活性化が難しい、という話を良く聞きます。そういうことは全然ない、間違った考え方です。商店街不振の原因は全国共通、ただ一つしかありません。
それは、活性化を実現していく・商店主達から理解され、支持されている活性化計画が無い、ということです。

 活性化を推進していくための計画がない、計画があってその中に特殊事情への対応の方法も掲げられている、ということがないために、様々な「特別の事情」が活性化できない事情としてのさばってくるのです。
さらに言えば、この行動計画は単に作ればよいとか、よその計画を真似てみるとかで作れるものではありません。
あるべき行動計画について、何回かに分けて書いてみましょう。 

商店街役員は「二重人格者」?

商店街組織の役員さん方は、二つの顔を持っています。

 組織を代表する、リーダーとしての顔と、当該商店街のなかで小売業を営む店主としての顔、の二つです。

 役員さんは立場上、あるいは制度上、二つの顔を使い分けることが必要です。商店街活性化というレベルの話の時は、商店街を代表して「活性化」、「基本計画」、「TMO」などについての論議に参加し、上位団体や行政との折衝にあたり、事業に取り組みながら組織を経営していくことが役割です。ここではあくまでも組織の代表として、組織の活動状況、商店街の状況などを踏まえながら発言するし、組織運営に参画しなければなりません。

 一方、自店に帰れば役員さんといえども一介の商店主であり、日々の業績に一喜一憂する立場であることは言うまでもありません。問題は、商店ぐるみで活性化に取り組んでいく、取り組みを指導する役員としての立場と個店経営者としての立場がきれいに(?)それぞれ分離独立している、と言うことです。

 どうしてか?
 他のツリーでも書きましたが、それは商店街の組織、活動が、一人一人の組合員=商店主は小売業のプロである、という大きな虚構の上に組み立てられているからです。組合設立の目的は、ここの店舗では実現出来ない環境整備や規模が必要な事業について街区内の商店主を結集して取り組むことで規模の利益を享受する、と言うことが唱われています。国をはじめとする支援施策もおおむね同じような方向で組み立てられています。

 ところが実際の商店主の皆さんはけして「小売業のプロ」ではありません。成り行きで経営はしているものの、小売業経営に必要な地SK委・技術の習得、環境条件の把握、経営数値の理論などプロとして必須の知識はほとんど持っていない、というのが商店主の皆さんの実状です。このことはけして商店主を責めていっているわけではありません。皆さんが創業し・繁盛店を作りあげてきた時代はそういう理屈抜きでものが売れた時代でしたから。その後今日に至るまで、「小売業経営者」としての研鑽が必要だということは薄々感じながらも適当な機会もないまま現在に至っています。また、例外的に理論を修得している人もその内容の多くは高度成長期当時のスーパーマーケット理論を換骨奪胎したものであり、もの余り時代の小売業の指針となるものではありません。

 一方、行政は商店街活性化を支援制度のメニューによって領導していくわけですが、この場合も前提になっているのは、事業の究極の対象である個店の経営者=小売業のプロという虚構です。商店街組織は、組合員=小売業のプロという虚構の上に成り立っている砂上の楼閣なのですね。

 このような虚構に基づいて成り立つ商店街組織&活動ですから、生身の・見よう見まねで小売業を経営している店主としての自分と小売業のプロの集団であるはずの商店街組織・連合組織の役員としての自分に整合性が取れるはずがありません。商店街役員としての発言は虚構に立った発言であり、事業実績なのですね。虚構の上で事業が進捗しても個店にプラスの影響が生まれることはありません。この時期の商店街にとってプラスにならないことは全てマイナスに作用すると考えるべきですから、そうしますと事業をするたびに商店街及び個店にとってマイナスの効果が現れるということになります。つまり事業に取り組みながら刻々と体力を消耗しつつある、という言うことです。

 商店街の役員さんはこのように自分が二つに引き裂かれた存在なのだ、役員としてのありかたは、自分の本来の姿である商店主としての目的・目標の実現を阻んでいる、という恐るべき実態に一日も早く気付くべきです。もちろん阻んでいるのは自店の活性化だけではありません。仲間の店全部があなた方役員の言動で活性化への正しい道を切り開いていくチャンスを得ることを阻まれているのです。これは役員の皆さんには街の浮沈について本当に大きな責任があると言って間違いはないと思います。

 この機会に、自分たちは「見よう見まね」で自店の経営をしてきた、「小売業のアマチュア」、アマチュア経営者である、と言うことを素直に認めることが必要です。自分たちをアマチュアだと認めたとたん、「何をなすべきか」という事業内容がハッキリ分かってくるのではないでしょうか?

 商店街組織の役員としての働きが自店のプラスにならないとしたら、前組合員のお店の活性化にも役に立っていないことは明かです。
 二重人格はきっぱりやめて、素直に自分の店、自分たちの店で売り上げ目標が達成できるようになる、という究極の目的達成に向けて組合の取り組みを抜本的に転換すべき時期です。あなた方が変わらないと国の施策、上位組織のありかたも実効ある方向に変わることが出来ません。素直に「この事業は自店の活性化に役立つか」と言うことを基準にあるゆる活動を見直すことが必要です。