|
当サイトは、基本計画の要件について何度も提案しています。
それらの提案を踏まえて今年度は「中心市街地活性化基本計画の診断」という新しいサービスを提供します。基本計画その他資料を送付していただき、診断評価して改善点を指摘する、不足分については追補する手段を講じる、などで実用・実効性のある計画への仕立て直しを支援しようというものです。
多くの都市で基本計画、TMO構想が作成され事業がスタートしているわけですが、その結果、事業以前の趨勢から活性化実現の方向へ中心市街地の様相が大きく展開した、あるいはその確実な兆しが見えてきた、というような事例は、私どもが見聞する限り、きわめて少ないようです。
あるいは、計画委は出来たがTMOが発足できないという事例や、TMOは発足したが肝心の商店街の取り組みがどうも・・、という事例も仄聞されます。
よほどの環境変化がない限り、中心商店街活性化のために残された時間はそう多くはありません。要する時間から考えれば文字通り一刻の猶予もなく、直ちに正しい活性化の取り組みをスタートさせることが必要です。にもかかわらず、事業が一向に進展しない。これは問題です。
原因としては関係する様々な分野でいろいろなことが考えられると思います。良く聞かれるのが商店街のリーダー不在、ということ。着実な進展を見ているまちの商店街では意欲的な指導者あるいはグループが存在し、関係組織と連携しながら全体の取り組みを引っ張っている、ということが見られます。
しかし、このような事例で言われていることは「基本計画を導きとして」ということです。行政主導のもとで基本計画を作成した経緯からあらためて中心市街地再生の可能性を確信し、実現の方向・方法も了解したから、自信を持ってリーダーとしての役割を果たしている、ということです。
一般に、長期・大規模の事業には優れた計画が必要です。実務スタート以前で計画の良し悪しということで事業の命運が相当程度決まっているといって過言でありません。
特に中心市街地活性化というような前人未踏の事業です。実際のところやってみないと分からないことがいろいろあると思いますが、いずれにせよ、関係者、とりわけ商店街のリーダーが、この計画ならやってみる値打ちがある、当面この計画に賭けることが正しい選択だ、と確信できる内容になっていることが必要だと思います。
つまり、「基本計画」は果たしてそれを実行すれば当該都市の中心市街地が本当に産業立地、商業機能としての再生を実現できる、というレベルで作られているのだろうか、ということを確認することが必要だと思います。
私どもはこれまでいくつかの都市の「基本計画」を検討する機会を得ていますが、「基本計画」再検討の必要性は、けしてこれらの体験だけに基づいて主張しているのではありません。専門紙誌などでのレポートなどを見ても事業着手の記事はあってもその結果活性化=繁盛する商店街への脱皮の展望が見えてきたという知らせはどこからも届きません。
このことは何を意味するのか?
もっとも簡単な解答は、「商店街の時代は終わっている」という判断です。証拠?先刻の商店街を一望すれば明らかだ、というわけですがこれは問題と答えを取り違えている。全国一望する限り同じ状況に陥っているとすれば、そこには共通する課題があるのではないか、ということは推測できますが、とこも同じだからどうにもならない、というのは「問題が起きたら解決策はない」といっているのと同じことです。
活性化出来ない理由はいくつも考えられると思いますが、現時点で共通する問題は、商店街の取り組みが何故スタートできないのか、ということでしょう。
その原因はいろいろとあるでしょう。このサイトでは、任務の一つとしてそれらの原因を探り、解決策を講じていく取り組みを支援することにしています。
このスレッドでは、「基本計画」は本当に中心市街地活性化を実現していう取り組みの枠組みとして適切に作られているだろうか、現在の環境条件において中心市街地を再生していく計画として必要な要件を備えているだろうか、ということをあらためて検証する作業を行います。
事業推進にあたって「計画」が果たす役割については、サイトの諸処で述べています。「中心市街地活性化基本計画」は中心市街地再生の取り組みの枠組みとして妥当であるか、取り組む人々を鼓舞する可能性を持っているのか、この時期、ほとんどの都市の取り組みが逢着している問題ではないでしょうか。
基本計画の作成にあたっては、都市計画、商店街活性化、商業経営などを専門とするコンサルタント、学識経験者などが招聘されるのが一般的です。彼らの専門的な知見に依拠しながら都市の課題や実状に即しながら計画をまとめるわけです。
本来なら計画策定後一定の期間を経てあらためて彼らとともに計画を推進状況をつきあわせ、計画を見直すという作業があってしかるべきですが、通常、事業とコンサルタントとの関係はそうはなっていません。計画作成のコンサルタントは策定が終われば契約も終了、以後はまったく責任なし、というきわめて不思議な立場です。
果たして役に立つ計画なのかどうか、あらためて自分たちで再検討することが必要です。端的に言えば、計画は出来たが先に進めない、というところは計画作りのプロセスを間違えたか計画そのものがつまらないかのいずれか、あるいはその両方が原因していることが多いと思います。
あらためて、「基本計画」が備えておかなければならない要件を確認して皆さんの自己診断の参考に供します。
以前にも提供したと思いますが、あらためて全項目合格なら後は自信をもって実践するだけ、「商店街は何してるんだ」と叱咤できるレベルの見直しが出来れば、と思います。
産業立地としての再生
詳しくは省略しますが、中心市街地活性化の取り組みを取り巻く環境与件には、都市の産業を再生させる、あるいは「もの不足」という時代から「もの余り」への移行という時代背景があり、このようなマクロ環境の中で都市の産業構造を再編する、という大きく困難な課題があります。
中心市街地活性化とは、このような時代背景のなかで取り組まれる、中心市街地を産業立地として再生させる試みです。このことは「基本方針」にもその一端が述べられていますから参照してください。単にこれまでのように商店街(=郊外型商業の前に敗退したもの不足時代対応型の商業機能)を存続させるために支援をする、ということでありません。そういう意味での施策が功を奏することはない、ということは「中心市街地活性化法」が制定される前に取り組まれてきた各種の事業で証明済みのはず。
商店街活性化というコトバがこれまでと同じように旧態依然たるもの不足時代の買い物の場、という機能を維持しようとする(=街並みを整備する、建物を新調する、コミュニティ施設を増設する、駐車場・道路などアクセス条件を改善する、等々の事業で)を意味するのなら、活性化の試みは必ず・全部・失敗します。このことに誤解の余地はありません。
一体それらの事業をやることで郊外のショッピングセンターと太刀打ちできる、彼らを凌駕する競争手段を手に入れることが出来るだろうか?と考えてみれば答は簡単でしょう。一目瞭然というところですね。
脱線してしまいましたが、中心市街地は産業立地として再生させる。多くの都市に共通する中心市街地に立地する産業とは小売業ですから、中心市街地活性化=小売業、その集積としての商店街の活性化が中心的な課題になることは当然です。このことはそれそれの都市で再確認することが必要だと思います。
私はこのことが確認されない、「都市型買い物の場」という機能を確立する前提条件が無い都市は、「活性化法」の枠組みでの中心市街地の活性化を断念すべきだと思います。もちろんこれは中心市街地の再活用を断念することではありません。そのような中心市街地の再生には「活性化法」の枠組みは適していない、ということです。
商店街を産業立地として活用するといっても、これはよほどの条件に恵まれない限り、更地にして別の用途を考える、というわけには行きません。ここは現存するインフラ、人材を活用して新産業を起こす、ということになります。
先回りして結論を言っておきますと、新産業とは私どもが提唱している商店街からショッピングモールへの転換、ということです。モールへの転換とは、中心商店街という立地、送致、人材を活かしてこれまでの商店とは根本的に性格が異なる商業機能に転換する、そのことで旧商店街を新産業立地として再生させる、ということです。
産業立地として再生させる=既存のインフラ、人材を活用して、ということが基本計画の目的にきちんと唱われているか・いないか、チェックしてみましょう。
商店街の皆さんにとって「基本計画」は、それぞれの家業がこれからどうなるか、ということを直接左右するきわめて重要な計画です。今回の取り組みが挫折すれば二度とトライするチャンスは無い、あなた達だけではなくあなた達の子供や孫にもその機会は二度と来ないのだと言うことをキモに銘じてしっかり考え・行動することが必要です。行政があーだ、TMOがこーだ、と言っている場合では無いはずです。
果たして皆さんの「基本計画」にはその実現に向けて、自分の家業の将来・自分の人生を賭けて全力を投入できる目標とそれを実現していくシナリオが提案されているのか、チェックはこのような気概をもってやらなければならない。
商店街の再生の可能性
重ねて強調しておきますが、今回の取り組みは、行政以下、都市の総力を挙げて取り組む中心市街地に立地する小売業の再生を始め、当該地区の産業立地としての再生の事業です。
特に小売業=個店=商店街は自分たちの既存の業種業態にとっての「立地環境の改善」ではなくて、将来にわたって自分たちの商売を繁盛させる条件を作りあげることこそが立地としての再生である、という認識が必要です。
立地が良ければ商売は繁盛するという考え方から、ここで成り立つ商売を考えだし、繁盛されば立地が再生する、というように考え方を大転換させなければならない。
これまでの商店街活性化の事業といえば全て「シャッターの外側」の仕事、極端にいえば商売を変えないためにシャッターの外側を変える、という虫のいいものでした。
このような考え方で何とかなったのは、都市とその周辺、消費者の購買行動圏内に強い競合集積が無かった時代のことです。商業機能として充実している=消費者から見て自分の生活を充実させるために適切な商品が、商店街よりも良い条件で手に入れられる、という集積が出現したとたん、シャッターの外側の施策ではまったく太刀打ちできなくなりました。
このあたり、都市によっては経験していない、実感できないところもあるかも知れません。しかし、前車の覆るは後車の戒め、よそのまちの失敗事例をわざわざ追体験しないと痛さが分からないようでは商売人としての資格がないと告白しているに等しい。「賢者は他人の失敗に学び、愚者はそれを繰り返す」とも言います。実践はなかなか難しい戒めですが・・・。
中心商店街がこれから登場が望まれている新しい商業機能の立地としての条件を備えていることは、これまでたびたび論じてきました。まとめては「Web商人塾」のテキストを参照してください。
中心商店街は「ショッピングモール」への転換を目指すことで、必ず再生が可能です。これはすでに成功への道を歩み始めた事例があります。
http://www.matsubara-mall.jp
繰り返しますが商店街は商業立地として必ず再生可能です。(このことは「活性化法」も暗黙の前提としているところです)ただし、それはこれまでと同じような事業に同じような気持ちで取り組むのではとても実現できません。
立地としての再生は、既存商店街の自然発生的な小売機能の「集合」を計画的な「集積」へと転換することで始めて実現されます。もちろん、取り組みのスタートは意欲があり、実顕への挑戦を厭わぬ少数の先発隊の実験的実践です。
商店街には店の数だけ個別事情があり、これらが衆議一決、新しい方向に転換するということは、百年河清を待つようなもの、まず不可能でしょう。このような不毛の「合意形成」に時間を費やす余裕はありません。
まずは、総論で転換を決定し、少数有志仁よる先行的・実験的取り組みのスタートを決定する。後は彼らが方向の正しさ=やれば儲かる店になる、ということを実証していくことで追随者をふやしていく、空き店舗に新しいテナントが参入する、と言うように商店街の中にモールが徐々に生まれ次第に成長し商店街に取って代わる、というシナリオです。
商店街活性化、いろいろな手法があれば、自分たちがもっとも楽に取り組める方法を選べるのですが、生憎、モールへの転換以外に良い方法はなさそうです。
ここはモールへの道を苦労して切り開くのか、座して消滅を待つのか、従来通りの発想で事業に取り組んで立地の寿命を縮めるか、それぞれの都市が自由に選ぶことが出来ます。
どの道を選ぶにせよ、これからも現在の立地で商売を続けたい、続けなければならない、という人たちにとっては、問題は街のことより自店のことだという気持ちになることは、これまでの商店街の事業と個店の関係から当然の事でしょう。
個店の業績アップが優先することはいうまでもありませんし、個店の活性化は比較的簡単に実現することが出来ます。
個店の転換の連鎖によるモールへの転換、という手法は、事業に積極的に参加する個店に対してそのような機会を仲間との切磋琢磨という得難い機会付で提供するわけですから。
中心市街地活性化の目標
中心市街地活性化の目的は産業立地としての再生だということがおわかりになったことと思います。
さらに、多くの都市に共通する中心市街地に立地する産業とは小売業であり、商店街が新しい商業集積に生まれ変わっていくことが新しい小売業立地としての再生を実現する方法である、ということも上の枝で理解されたことと思います。
それでは、この産業立地としての再生という目的を実現していくためにどのような目標を立て、達成していくことが必要でしょうか?
いうまでもなく、目標とは上位目的を実現するために達成しなければならない下位目的であり、総合的な目的を具体的な構成要素や時期などで区分して取り組む、それぞれが達成されることで目的実現に近づく、というのが長期・大規模の事業の一般的な手法であることはいうまでもありません。
問題は目標の立て方です。目標は上位目的を実現するために立てられるわけですから、上位目的が明確に理解されていることが必要です。また、目的は通常いくつかの目標に区分されますが、それぞれの目標はあくまでも上位目的の実現という枠に縛られていますから、お互いに目的を共有することになります。
目的実現のために複数の目標を区分並立しているときはそれぞれの目標の内容が目的を達成出来る「質」を備えておくことが必要です。
一体的推進の目標
中心市街地を産業立地として再生する、とりわけそこに立地する小売業を何とか活性化することで商業立地として再生させる、ということが目的ですね。(法に定められている「中心市街地の3要件」を考えればこのことは一目瞭然です)
「活性化法」には活性化のための事業分野として、@市街地としての基盤を整備する、という事業分野と、Aそこに立地する商業等を活性化するための事業分野の二つを区分しています。「活性化法」の枠組みでは、これら2大事業分野について様々な事業を展開することによって達成を目指す、2事業分野の仕事を一体的に推進することで実現を目指す、「一体的推進の目標」を設定することが定められています。この目標(群)を達成するために、基本計画記載の全ての事業が取り組まれる導きになるとともに、それぞれの事業の成果を判断する基準ともなる大切な目標です。
この「一体的推進の目標」をどう考えるか、何を目標に定めるか、ということが基本計画の運命、ひいては中心市街地活性化の成り行きを根本的に左右します。このことが良く理解されていないようです。
様々な事業を活用して「中心市街地活性化」という目的を実現して行くわけですが、その時、実現を目指す具体的な達成目標は何か、ということです。
多くの都市の基本計画ではこの目標が実に曖昧模糊としているようです。
「歴史と文化を活かした街づくり」とか「交流人口の増大」とか言ったレベルのきれいごとを並べていたのでは活性化は実現できません。いったいそのような目標が達成されたとして、それに何を期待しているのか?
それで中心市街地を新しい産業立地として再生させる、という目的は実現するのか、ということです。歴史を活かした観光ポイントを作る、文化的な活動に資するコミュニティ機能を設置する、というのでは基本線から逸脱しています。
産業立地として再生する、というテーマがあるとき、本当に中心市街地全体を新しい産業立地として活用できる条件を生み出すような歴史と文化、集客要因が有るのか、現在の商店街をそちらに切り替えることで新しい産業が生まれるのか、切り替えはスムースに実現できるのか、上記のような「目標」を掲げたところはたちまちこのような問題に直面するわけですが、おそらくそういう問題意識はありますまい。
交流人口?ふざけちゃいけませんよ。何でお宅のまちと誰が交流するわけ?で、その結果、商店街はどうなるの? ということですね。
商店街=ものが売り買いされる場所=産業立地ですからね。「交流人口」が産業とりわけ商店街・小売業の活性化に結びつくと思ったら大間違いです。
商店街の皆さんはもっとエゴに徹しないとダメ、中途半端すぎます。補助金などに目がくらんで、商店街・個店の活性化と直接結びつかない、そういう意味では些末な事業に取り組んでいるうちにお店の内容はどんどん劣化するでしょ。 もっとどん欲に自店の繁盛を実現する、ということを前面に題し、執拗に主張しないとダメですよ。皆さんが思いつきのレベルでやると言ったとたん、行政はきちんと繁盛実現までのシナリオをつくったうえでやろうとしている、と判断して採択しますからね。まさか、補助制度の事業メニューからやりやすいものを選んだだけ、とは夢にも思わないでしょう。
老婆心ながら。「やれる事業から始める」というのも安易な事業に取りかかるときの合い言葉ですが、ほとんど間違い。「やれるところからやる」というのは、最終目的から導き出された「一体的推進の目標」が確立されている、達成のための事業やその先後関係なども理解されている、という条件があってはじめて言えることです。
事業メニューはけして「内容不問、とにかくメニューを全部やれば商店街活性化はOK」ということで提起されているのではありませんからね。
なかには「ジュース缶集め」のような恐るべき事業があったりもする。
さて、話を元に戻して、」「一体的推進の目標」です。
皆さんのまちの基本計画、市街地の整備と商業等の活性化のための事業、両者を上手く組みあわせて実現すべき具体的な目標が掲げられていますか?
これがないと、市街地整備事業も商業等の活性化の事業もぜんぜん企画できない、ということになるのですが・・・。
多くのまちの基本計画、目標は具体的に定められていないが、事業はいろいろ盛りだくさんに計画されている、という何ともちぐはぐなものです。
これでTMOが立ち上がる、商店街の皆さんが自店の改革を含む活性化に取り組む、中心市街地の商業機能が再生する、というような結果を望んでいるとしたら、それはすでにおわかりのとおり、とんでもない間違いです。
余談ですが。見もしていない基本計画についてどうしてこのようなことが断言できるのか? えらそーに、とお考えの読者もあるいはおいでかも知れません。理由は簡単、計画策定に動員されたであろう知識・技術・経験を前提に推測すれば、ということですね。
ショッピングモールに見立てた整備・運営
平成(Web)商人塾の新講義第一講で引用しているとおり、最近、国は中心市街地活性化の目標を「中心市街地に立地する商業を一体的にショッピングモールと見立てた整備」とし、これを推進する組織をTMO、支援するスキーム「が活性化法に基づく支援体系」である、ということをハッキリと示しています。
残念ながら「ショッピングモール」という商業集積はどのような商業機能をになうのか、ショッピングセンターの棲み分けという視点よりも郊外型ショッピングセンターとの正面からの競合という考え方に立っているようにも見受けられ、もしそうであればこれはきわめて難しい路線です。このあたりの話は塾の講義室で詳しく展開しますので、そちらへどうぞ。
問題は皆さんの基本計画。「一体的推進の目標」がショッピングモールと明記されているか、あるいはそれを含んださらに広い収益事業立地としてのコンセプトが提起されているか・・・。
いずれにせよ、「金を稼げる場」としての中心市街地作りの「一体的推進の目標」をキッチリ掲げることが大切だということは、国の立法の趣旨と一致していることを確認しておいてくださいね。
中心商店街がモールに生まれ変わる、新しい収益機会が生まれる、これをものにするために既存個店が業容を転換していく、次第にモールが出来上がっていく、というのが活性化法に基づくまちづくりの基本シナリオです。
ちなみに武雄市では「武雄市中心市街地河清か基本計画」が提唱するショッピングモールへの転換に文字通り自店の命運を賭けて取り組んでいる商業者が現時点で輩出、個店の転換を通したモールの実現に取り組んでいるわけです。
まちづくりの計画に自分の事業の命運を賭ける、賭けるだけの確信の持てる計画が出来上がっている、ということですね。
中心市街地の問題状況
基本計画の策定にあたり国が示しているガイドラインには、法の対象となる中心市街が持つべき条件として3つの要件が挙げられています。ご承知のこととは思いますが、@集積要件=相当の小売業の集積が見られること、A趨勢要件=機能の維持に支障を生じ、または生じる可能性があること、B波及要因=活性化を推進することが当該市町村および周辺の発展に有効かつ適切であること、の3つです。
このような要件を備えた地域を中心市街地と定め、その活性化を推進することがこの計画の任務ですが、さて、このような要件のもとで事業に取り組む「主体」の力量は一体どうなっているのか?
現下の環境において中心市街地の活性化を実現するために必要な取り組み主体の力量については、まったく触れられていません。このままではなんだか主体の力量・識見には何ら問題はない、彼らの力量を発揮するための条件さえ整えれば、後は主体(すなわち商店街で商業を営む皆さん)が遺憾なく実力を発揮して、周辺地区に効果が及ぶような活性化を実現できるかのようです。
果たしてそうでしょうか。
問題は、中心市街地の商業が「活性化」しなければならない羽目に陥ったのは一体何故か?ということがきちんと分析されていない、ということです。モータリゼーションの進展や郊外型集積への敗北というような一般的な総括をすれば、もはやその時点で万事終わりです。モータリゼーション対応なら郊外型SCには逆立ちしても勝てないことは明かでしょう。
モータリゼーションの進展や郊外型商業集積の発展にも関わらず、「こうすれば中心市街地の商業は活性化できる」ということを示すには、中心市街地の商業の現状をもたらしているのが、言われているような、モータリゼーションや郊外型集積のせいばかりではなく別の大きな要因がある、あるいは、それらが要因であったとしてもそれらを克服して活性化を実現する方向がある、もちろん、それは購買行動の変化やモータリゼーションの進展を踏まえた上で明確に提示されるべきだし、これを実現していくために必要な努力の方向も示さなければならない。
ところが、どこの基本計画を見てもガイドラインに示された3要件については分析されているが、肝心のどうして我がまちの中心市街地、とりわけ商店街はこのようなていたらくに陥ったのか、ということについてまったく直視していない。あたかも日本全国の商店街が一斉に不可抗力であるモータリゼーションや郊外型商業集積のために活性化が必要な状態に陥ってしまった、この事態に商業者乗り器量云々は問題外、この状態から脱却するには外部からの注力が必要だ、不可抗力には他力本願で、ということらしい。
このような他力本願の事業は、この10年とことん繰り返されてきたことのまんまでありこの度始まったことではない、ご存じのとおり。
最近、他力本願のメニューに窮した一部の商店街ではジュースの空き缶を集めることが活性化策らしい。なぁにやってんのよ、分業社会、商業者の機能は物販だろーが。物販機能の再構築という本旨から逃げたところで空き缶なんか集めてどうすんだ、ったく。
基本計画を策定する段階で、我が商店街はどうして寂れたのか、この10年間どのような努力をしてきたのか、にもかかわらず、何故、あらためて活性化への新しいスタートが必要になっているのか、ということがもう少し見据えられるべきでした。
検討の結果、中心商店街の衰退には儲けるためにそこに立地している商業者自身にも責任がある、ということが関係者に自覚されていれば、活性化の実現には事業主体である商店街の皆さん、TMO要員その他関係者の能力が「これまでのまんまでOK、活性化できる」ということにはならなかったはず、関係者の能力の転換ということが基本計画が取り上げなければならない重要な課題として浮かびあがってきたはずです。
重要な施策として「関係者の能力の転換」というメニューを挙げていない基本計画は、どのような美辞麗句を連ねていようとも中心市街地とりわけそこに立地する商店街の活性化を目指す計画としては失格です。こういう計画を作っているところは、まずはこの部分をしっかり書き加えるべきでしょう。
そういう計画で活性化が実現できるはずがない、ということが一つ、さらにもっと重要なことは、この重要課題に計画策定に関わった全員(指導を委託したコンサルタントも)気がつかなかった、ということ。
ということで憂慮すべき問題のひとつは、果たして関係者が活性化の実現に必要な能力を持っているだろうかということであり、基本計画ではそのあたりをどのように判断しているか?、能力の転換が不可欠と思われるがどのような手段でもってそれを実現しようとしているか、というあたりがチェックされるべきでしょう。
これはつらいですね・・・。
真の問題が直視できない基本計画
国が示すガイドライン「基本方針」には、「活性化の主体になるべき関係者達が問題の解決に必要な能力を持っているか?」という問題意識が伺われません。これは基本方針だけではなく、これまでの商店街施策のほとんどに共通しています。シャッターの内側については、施策の埒外、というのが一貫したスタンスです。
このような基本方針を受ける形で作成された「基本計画」に事業推進の主体である地元の関係者の能力についての見極めが行われていない、というのでは、基本計画は中心市街地活性化という問題の切実さ、困難さが十分認識されないままで作られているのではないか、という懸念が起こります。
立地がどこであれ、買い物は個々のお店・売場で個々の商品を対象に行われます。買い物とは自分の生活に必要な材料(商品)を選択し・買い上げ・自宅へもって帰る、という行動です。買い物場所は、提供されている買い物対象が適切かどうか、ということで一義的に決定されます。利便性や価格などが問題になるのは同じ商品構成を提供しているお店が複数ある場合の話です。
商店街に立地する個々のお店の業績が低迷しているのは、それらのお店がターゲットにしているお客からみて買い物行き先としての魅力がない(絶対的or相対的に)、という場合が多いことはいうまでもありません。買い物行き先として魅力がない=買いに行く商品が無い、買いたくなる商品に巡り会う楽しみが期待できない、という根元的な欠陥は、シャッターの外側の施策をどう取り繕ってもカバーすることの出来ない、死に至る病です。
画期的な施策を展開した結果、たとえ店前通行量が商店街全盛期の姿に戻ったとしても旧態依然の店づくりのままのお店にお客が入店することは有りません。シャッターの内側の改革に着手しない限り個店の再生はありませんから個店の連袂そのものである商店街が活性化されることも無いのです。
この、買い物する側から見ればごくごく当たり前の理屈が忘れられているのではないか? このことが理解されていれば、個々のお店の「店づくりの転換」ということが基本計画の大きなテーマとなり、さらに関係者の能力の転換=商業に関する理論・技術の転換にどう取り組んでいくか、ということも施策の大きな柱として計画されたはずです。残念ながら、ほとんどの基本計画がこの最大の課題にまったく触れていないはずです。まるでそういう問題ははなから存在ていないかのような取り扱いですね。
基本計画の運営にあたる行政、商工会議所、TMOの関係者は、街の活性化実現の主役を張るべき商業者の現有能力を見極め、能力の転換に向けた施策を一日も早く打ち出さないと、たとえ基本計画記載の全事業を完成しても活性化を実現することは出来ません。
商店街のリーダーは、何はともあれ、うちの商店街でこれからも繁盛できる、中心市街地は小売業の立地としてこれから先もOKだ、やれば出来る、ということを自分のお店の転換で実証しなければならない。いわば転換モデル店舗として実証していくことが必要です。
TMOなどの関係者はこのことに早く気付いて「転換モデル事業」などを作り先行して「一体的推進の目標」を実践する方向で繁盛を創り出すグループを作るべきです。このような「自店の活性化を実現して全体のモデルとなる」というグループを組織し、彼らの実践で成果を挙げる、ということが緊急の課題です。「やれば出来る」ということを実証することが求められています。
現在の段階で商店街内部の合意形成は、総論=「モデル事業への有志の取り組み」以上のことは不可能です。
本当に足並みが揃うのは、事業に取り組んで成果が挙がってきた人たちだけ、全体の足並みはいつまで経っても揃わないし、それは自然成長的・地縁組織としての商店街の当たり前のこととして達観しなければならない。
これからの取り組み、いままでの取り組みと大きく違うのは、リーダーが有言実行であること、転換に取り組み実績をあげられないリーダーは必ず運動から脱落していきます。リーダーの位置にある人、期待されている人は、「自店の転換なくして権威無し」、ということを覚悟しておくべきです。
ということで、少々きつい話かも知れませんが、別に誇張しているわけではありません。ごくごくあたり前のことであり、問題は、モデルグループの立ち上げにいつから取り組むのか、どういう方法で彼らをモデルに仕立てていくか、ということです。
これらは、基本計画を作る時点では理解していなかったところでも、現時点では痛感されていることだと思います。基本計画の修正か実施計画段階での新設か、いずれにせよ問題を直視して実効ある取り組みを計画することが必要です。
→続き
|