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TMOの役割は、「中心市街地の商業集積を一個のショッピングモールと見立てて、整備運営していく」というものです。
商店街組織、行政、商工会議所(商工会)など関係機関・団体と協働しながら任務を遂行するわけですが、このTMOをどのように組織するか、ということが実践的な中心市街地活性化の成否を分かつところです。もちろん、それ以前の問題として「計画の中身」があることはいうまでもありませんが、すでに何度も論じていましたのでここでは触れません。
TMOは、三セクによる新設または会議所内に設置というのが一般的ですね。会議所TMOの問題点はすでに述べていますのでこれもここでは触れません。
先述したようにTMOは既存の関係団体と協働しながら任務を遂行するわけですが、協働相手である関係機関がタウンマネジメントという業務についてしっかり関心を持ち、必要な知識・技術を装備していく、というスタンスを保持させるのは並大抵のことではありません。優秀な人材ほどキャリアを積ませるための異動がある、ということも多いでしょう。
場合によっては発足間もなく「一人たび」という可能性もありそうです。
日常的な協働の相手は商店街組織ということになりますが、この組織が本当に機能してくれるのかというとこれが大いに疑問です。
特に会議所TMOの場合、商店街組織には負担を掛けないという趣旨もあったことでしょうから、立ち上げ前に役割分担についての話し合いも行わなかったところが多いと思われます。
つまり、高度化事業の窓口として会議所TMOを立ち上げた、総論賛成、商店街組織も事業案件を提出した、ということでこの時点ではTMOはあくまでも高度化事業及び補助金の窓口という位置づけでした。従来の高度化事業に窓口業務担当としてTMOが常設される、という位置づけならこれでOKのはずでした。
ところが基本計画策定の時点ではよく分からなかった「ショッピングモール」が商業集積としての類型を意味するものであり、「モールと見立てたテナントミックスの構成」とは既存集積を中心に街ぐるみで新しい商業機能を整備していく、街ぐるみでショッピングモールに転換していくことが課題である、ということが理解され始めてきました。
この文脈で、個店の活性化という課題も中心市街地活性化のスキームのなかでも個店の転換=モールのテナントへの転換として取り上げられることになります。
これは施策の大転換を意味しています。
これまでは、あれこれの施策で店前通行量を増大させることで事業機会を向上させてあげる、という対象であった個店が、自らの努力でモールのテナントに転換することが自店の活性化と街の活性化を同時に実現していく唯一の方法だということが理解されて来たわけですね。
いまやTMOの大問題は、高度化事業の窓口のつもりで作ったのに、本当にタウンマネジメントをやらなければならない、商店街組織ともあらためてモールへの転換ということで合意を形成する、組織のありかたも改革するという協働課題が出てきます。
個店の転換も一部始終を商店街組織に任せる訳にはいきません。これまでの商店街組織の力量を考えるならばむしろTMO自体が中心となって推進していかなければならない。
全員加盟・一人一票制の組合組織ではスタート時点で足並みの揃うはずもない「個店の転換」を協力に指導支援していくことは難しい。第一、活動資源がほとんど装備されていません。
タウンマネジメントの任に当たるTMOは、認定を受けて活動を始めようとしたとたん、結成時点ではたぶん想定していなかった、「ショッピングモール」というメインテーマに思い至り、これをどう推進していくのか、とりわけ「個店の転換」にどう取り組んでいくのか、という課題に直面するわけですね。
ここから、TMOを中核にしたタウンマネジメント連合?とでもいうべき連携組織の必要性が出てきます。
連携組織
事態をしっかり直視してみましょう。
高度化事業の窓口を想定して立ち上げたTMOと高度化事業の実施主体=受益者になるつもりだった商店街組織が幕が上がったとたん、まったく別の役割・ショッピングモールへの転換の主役を演じなければならなくなった、というのが私たちが直面している状況です。♪稽古不足を・・・♪という訳で何が何でも主役を演じきらなければならない。
さて、どんないでたちで舞台を務めるか?
国の「基本方針」では、一〜5〜(1)において、基本計画を運営推進していく体制として、市町村(行政)内部の組織及び市町村と関係組織の連携を円滑にする協議会の設置が例示されていることはご承知のとおりです。「活性化推進協議会」ですね。
上記の「主役」になる組織はこの協議会とは異なる、いわばモール作り推進の実働組織です。既存商店街組織の連合体が(TMOと密接に連携して)この役割を果たせれば良いのですが、前回のスレッドで触れたように、地縁組織である既存の商店街組織あるいはその連合体を「ショッピングモールへの転換」を目指す「盟約組織」に見なすことは、コトバの上では簡単ですが現実には大変難しい。
ちなみに私どもは現在ここをどう突破していくか、ということで苦労しているところですが、活性化法制定の前からモールへの転換を目指しており、かつ、基本計画にそのことを明示し、連携組織についても計画している、という事例においてもなかなか盟約組織への転換は困難です。
もっとも、全国のどこかの都市で転換に成功すれば、これが事例となって案外スムースに行くところもあるかも知れません。しかし、現時点では大変厳しい、多分、取り組んでも得るところの少ない試みでしょう。
それでは、TMOと連携して、文字通り転換の実践に当たる組織をどう作るのか、真剣に中心市街地活性化を目指す会議所TMOが直面している問題はまさにこのことですね。あるいは、ここのところが描ききれずにTMOの立ち上げに二の足を踏んでいる例も有ることでしょう。
地縁組織と盟約組織
先に進む前に商店街組織について考えておきたいと思います。
現在、中心市街地所在の商業の組織のほとんどは、小売業・サービス業という事業者のうち、特定の商店街という地域に所在することを所属要件とする「地縁組織」です。振興組合の場合、この性格はいっそう顕著です。
中心市街地の商業者組織がこのような地縁組織として成立しているのは、商業者の組織活動が自然発生的な「商業集積」を単位として取り組む活動に限定されていたからです。
商店街全盛期、商業者組織の役割は、共同販促の実施や共同施設の設置など、個々の店舗の自立的な営業を補完する事業に取り組むことでした。特に、共同施設の場合、商店街という集積に立地してその恩恵を被っている以上、参加は義務的なものでした。
共同販促についても効果に疑問を持つようになっても、つい最近まで「おつきあい」として参加する人が多かった。おつきあい=近所づきあい=地縁組織です。
今日の商店街で必要な共同事業は「ショッピングモールへの転換」です。
事業の目的がこれまでの地縁組織の仕事とは根本的に異なります。
これを地縁組織で推進していくことはまず不可能です。
計画では商店街ぐるみでモール化を推進していくことになっており、実際にそのことが目標であることは間違いありません。しかし、だからといってスタート時点から組合員全員が納得して個店の転換に取り組んでいく、ということは、紙の上では立派な計画が出来ますが、実践は伴いません。
地縁組織である組合(連合組織)とは別にモール化を目指して個店の転換
に取り組む志を共有する組織を立ち上げること、それもいし決定機関である組合(連合組織)の決定により立ち上げていくことが必要です。
盟約組織
組合がモール化を推進していく実働部隊として不適なのは、地縁組織の性格として様々な事情の組合員を抱え込んでいる、ということが挙げられます。
事情のうちもっとも大切なのは、「繁盛再現」に対する意欲の有無です。
もちろん意欲は願望とは違って自分自身の努力で勝ち取っていく、という行動に対する旺盛な意志です。
単純に見ても「個店の転換」を目指して精進する人と「高値売り抜け」を期待している人と「住宅」化している人が組織内に同等の権利を持って所属している、というのが組合ですから、動きが取れません。また、これは組合本来の組織特性から出ていることですから、「改革」出来ることもありません。組合の活性化などは考えないことが大切です。
実際に商店街のモールへの転換という仕事を担うのは、意欲的な人が新に組織する盟約集団です。この集団は組合の決議によって生み出される・しかし組合を越えていく、やがては街ぐるみのモール化を実現することを目指す集団です。
というとなにやら難しそうですが、実際は簡単なことです。
「個店の転換」に取り組む意欲的な組合員が「モデル事業」として先発する、ということを組合で決議する。モデル事業への参加は自由、事業で開発したノウハウなどは組合に公開する。ということで如何でしょうか。
松原商店街の「ナイトバザール」の方式がそうですね。
事例
「中心市街地活性化法」のスキームで商店街活性化に取り組む場合の最大の問題点は、既存組織のしがらみから脱却した実戦部隊を立ち上げる、ということですね。
これまでの組合単位・補助金ありきの事業とはちがって、至るところで意識のズレ、思惑の違いが出てくる、事業が進めば進むほどそれがあらわになっていく、というのが事業の特徴です。だって、繁盛店を目指すグループと現状のまま過ごしたいグループが生まれ、やろうと思えば両者を2極に商店街の全ての組合員がきれいにポジショニングされますからね。
まずは基本計画作りの段階でワーキングに参加して、基本計画に基づいてショッピングモールへの転換を目指す人たちのグループ。彼らはさっそく自分の店で実践をスタートします。「個店の転換」ですね。
次のグループはワ−キングにはまじめに参加したが事情で実践には参加できないという人たち、これにはやむを得ない事情がいろいろあります。
最後尾には、廃業間近な人、商売に気がは入らない人たち。いやいやながら今日までやってきたが、これ以上は頑張りたくない、子供にも事業を継いでもらいたくないという人・・・。
それぞれ聞いてみるともっともな理由をもっている人ばかりです。
それぞれ様々な理由をもってその立場を作っている人たちの間で合意を形成してみんなでモールを目指そう、などというのはまじめに考えれば絶対に出てこない方針ですね。
それぞれの人が自分の信じるところにしたがって動いていく、それなのに「モールへの転換」は着々と進んでいく、というシナリオを作ることが必要です。
みんなでやろう、といったとたん出来ることも出来なくなります。やりたい者が自分たちだけで先行する、というのがやがてもっと多くの人、ほとんどのお店が参加してくるまちづくりのスタートです。
このことに確信が持てないと先に進むことは出来ません。
連携組織
マネジメントをスムースに行うために、行政・会議所・実働部隊・TMOという4者による「4者協議会」を常設している、という事例があります。
基本計画・TMO計画を実現・実施していくためにやらなければならない事業・取り組みについて企画、調整を行う組織です。中心市街地活性化を実際に推進していく「最高司令部」ですね。
この組織のありかたについては、当社がノウハウを提供していますが、これまで基本計画がらみで構想されている組織とはまったく違う性格の組織です。この組織についてはいずれ機会があれば説明します。
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