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S013■活性化ノウハウの移入

2002/04/20(Sat)

 よその商店街の活性化ノウハウの自分たちの商店街へ移し入れることは果たして出来るのでしょうか。考えてみたいと思います。

 全ての事業=仕事には目的があり、その目的達成に取り組む環境与件と主体の力量という条件があります。

 事業というのは、ある特定の能力や条件を持つ主体が自分を取り巻く情況の中で目的を達成するために取り組まれるわけです。事業は目的と主体の力量と環境与件によってその内容が決定されます。目的、主体の力量、官許与件が変われば事業の内容は変わることになります。当たり前のことですね。

 このように「事業」の前提となることを考えてみると、事業に先立ってこれらの前提になることをしっかり認識しておかないと、目的を達成する事業は組み立てられない、ということが理解されます。

 第一に事業の目的です。
 このサイトではしばしば「商店街活性化が定義されていない」と主張してきました。商店街を活性化する、といいながら活性化についてきちんと定義してないということは、目的が明らかに名ていない、ということです。
 目的がはっきりしていないのに事業に取り組むわけですが、それらの事業は
どのように選択され、組み立てられたのでしょうか? 
 果たして事業に取り組んだのは「商店街を活性化する」ためだったのでしょうか? 活性化とは、という定義が無い以上、不本意ながらそういわざるを得ないと思います。

 第二に主体の力量について
 商店街に立地する個店の経営者、組合のリーダー、関係機関等の担当者など、目的達成に取り組むべき事業関係者の力量は、どのようなレベルにあるのか? これはまったくと言っていいほど顧みられることはない。本当は達成しなければならない目的との関係できちんと測っておかないと取り組む事業の段取り、順序などが決められません。

 第三に環境与件
 環境与件とは、主体の側の努力ではどうにも変えることが出来ない事業を取り巻く条件です。マクロの環境変化、地域住民のライフスタイルの変化などは主体の力で変えられる条件ではなく、むしろそれらの条件に対応して自らが変わっていくことが求められる問題です。

 事業には、目的、主体の力量、環境与件という3つのお互いに密接に関連している先行要因があります。事業主体が事業への取り組みに先立って良く認識しておかなければならないこの三つの要因が織りなしている情況を「問題情況」と呼ぶことにしましょう。
 事業はある問題情況において、目的を達成するために企画され取り組まれる問題解決のための行動である、ということが出来ます。

 事業の内容はこの問題情況によって大きな方向や枠組みが決められます。目的は同じでも主体の力量や環境与件が異なれば事業内容は変わってしまう、ということです。例えば目的と環境与件は同じでも主体の能力が異なれば事業は変わらざるを得ない、ということになります。
 よその街で成功した事業も当方にその事業に取り組み、活用する準備が出来ていなかったら、その事業は問題状況において取り組む事業としてはふさわしくない、ということになります。

 ある事業が商店街活性化を実現するために不可欠の事業であったとしても、主体にその事業をこなしていく能力が不足していたとするなら、まず始めにやるべきことは主体の能力アップのための事業、ということになります。
 また、商店街活性化というような様々の要因によって構成されている問題を解決するためには「この事業さえ成功させればよい」という事業はありません。 さまざまの分野でのいろいろな事業取り組みが相乗的に働きあって初めて活性化は実現します。ある事業の成功は、その事業に先だってあるいは平行して取り組まれている別の事業の効果を活用している、という関係は良くあることです。

 このノウハウで活性化に成功した、と紹介される事例にはこのような不要面だけ見ていたのでは分かりにくい構造があるのだということをあらためて確認しておきたいと思います。成功事例のノウハウを移入する場合は、彼我の問題情況を十分確認することが必要です。

 特に「成功」といわれる場合、その成功とはどのように定義された「活性化」を実現しているのか、ということを第一番に確認しなければならないことはいうまでもありません。例えば早稲田の商店街の活性化に成功したといわれる空き缶回収、全国で取り組み事例が出ているようですが、この事業は何を目的にした事業なのか、ということが第一に確認されること。第二にどのような商店街がいかなる条件の下で取り組んだのか、第三に、その結果街に何が起きているか、というように問題情況と取り組んだ事業と事業がはじめの問題情況に及ぼした影響について、というように段階的に分析することが大切です。

※なお、目的−能力−環境という3者で構成される「問題情況」という概念は大変重要ですから覚えておいてください。