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S008■「三位一体」の取り組み

2002/03/11(Mon)

 中心市街地活性化の実践の枠組みは、言うまでもなく行政−TMO−商店街組織ですね。
皆さんのところではこれまでこのような枠組みの事業に取り組んだ経験がありますか?
 TMOはもちろん初出ですからこれを商工会議所(商工会)に置き換えても良い。三者が一つの目的のために提携して長期にわたって協働した経験があるかどうかということは、この事業のすすめ方を大きく左右します。
私の見聞の限りではこのような事業の蓄積がある都市はほとんど無いと思います。

 三者が提携してこれまで都市に存在しなかった新しい商業機能を創出しよう、というのが中心商店街(市街地)活性化の目標です。もちろんこの種の事業は全国の都市が初めて取り組むものですが、一方、取り組む側の三者も実は長期にわたる計画的な協働事業は今度がはじめて、というところが圧倒的に多いはずです。

 年中行事的・単発的などでは協力しているわけですが、同一目標の達成に向かって一つの計画に基づいて三者がそれぞれ独自の役割を果たしながら協働していくことが事業の必須条件である、という性格の仕事は今回が初めてです。そうすると協働体制のあり方なども一から考えなくてはならない。

 ところが実際は「活性化法」の枠組みを字面で追っかけてTMOを立ち上げたところ、あるいは立ち上げようとしているところがほとんどです。
その結果についてはすでに多くの都市で皆さんが身をもって体験しておられるとおり。このような性格の協働の立ち上げには「共通の土俵」が必要であり、それが「活性化基本計画」のはずでしたが、これまで考察してきたとおり、その機能を備えていない。「基本計画」の作成にあたって、理論的な基盤が無かった、ということが原因です。

 中心市街地活性化、「一体的推進の目標」をショッピングモールへの転換と定め、実現に必要なソフトハードの事業ミックスを計画、事業実施の組織体制を作って実践にあたる、もちろん事業の性格上「理論武装」は不可欠です。
活性化の実現には、理論・計画・組織の三位一体が必要ですが、現実は、理論の共有無し、計画に目的無し、組織に経験無しの三無主義が横行しています。組織については行政・TMO・商店街組織の三者が「別個に進んでともに撃つ」という戦略的な関係にあるべきにも関わらず、現実はその必要性にさえ到達されていない。
一番の問題は、このような憂慮すべき状況にある、ということの意味が関係者に自覚されていない、ということだと思われます。

 中心市街地活性化は正しい道を歩むところだけ成功してその他は没落、というわけには行きません。多くの商店街が短期間で活性化されないと中小問屋、メーカーが崩れていきます。ことの成否がわが日本経済に及ぼす影響を考えれば、中心商店街活性化の正しい取り組みが同時多発的に再スタートすることが必要です。

 中小小売業に見切りをつけた有力(規模ではない)メーカー、問屋は、生き残るために小売業にどんどんんおりてきています。本業をリストラし、コンパクトにして専門店業態を開発、展開していくという戦略です。
生き残るためにはやむを得ない、だって商店街の皆さんがぜんぜん売ってくれないんですからね。
 郊外のショッピングセンターがじり貧になって行くにつれてこの動きはさらに早まることでしょう。

 彼らの出店立地はとりあえず政令指定都市規模の中心市街地になります。出店ペース、効率から考えてそうなるはずです。それ以下の都市は「線路脇の石ころのごとく」見捨てられることになります。人口30〜50万という位の都市が一番大変そう。これから空き店舗が出るとまったく後がふさがらなくなってきますから加速度的に空き店舗率が高まってくる。そうすると小売業=立地商売と思い込んでいるメーカー・問屋・全国チェーンは見向きもしません。
地元の創業者向けに貸したい?店舗面積が広すぎて使えません!
 かくして商店街は寂れる一方です。

 小売業への垂直多角化を目指す能力のないメーカー、問屋は相変わらず商店街頼みで生き残ろうとしますが、これは無理、彼らは小売店を支援する能力がありませんから、自力で取引先の活性化を支援するなどということはまったく不可能ですから、商店街と運命をともにする以外ありません。

 こうして国内の中小メーカー、卸売り業は次から次へと消滅していきます。環境に対応する方向をやっと見つけだした小売業は繁盛店を作りあげて喜んだのもつかの間、商品を供給してくれる川上部門が消滅すると文字通り水の泡ですね。

 ということで、この時期、全国的に中心商店街が一斉に活性化しないと、日本経済の99%をしめる中小企業は川上から川下までぜーんぶ消滅する。日本経済は徐々に挫滅していくことになります。
 ばーんとクラッシュするのではなく、メソメソ、ダラダラと終末に向かうのでなかなか気づかない。

 というような情けないシナリオが想定されるところです。これを防ぐには組織的に動けて事業のスキームが整備されている中心商店街が活性化に向けて足並みを揃えて行くことが合理的ですが、残念ながらなかなかそうは行かない、ということは皆さんが自分の街やその他見聞の範囲を考えてみればおわかりのとおりです。

 とりあえず、先刻の中心商店街は生きるも死ぬも同じ運命にある、ということは確認しておいてください。「一人勝ち」、「生き残り」ということは有り得ないのです。

 といってもこのことがぴんとくるのは、頑張っている商店主さんだけかも知れませんね。

 個店の転換に取り組むと、否応なく品揃えの改革に挑戦することになります。まずは、既存の取引先でこれまで自店が扱っていなかった商品ラインをチェック、ここからピックアップできれば有り難い。これが出来ない、それだけでは不十分だということなら、新しい取引先を探すことになります。

 お店が新しい方向に進むためには必ずやらなければならない仕事ですが、新しい取引先を見つけだすというのは、ほんとうに大変な仕事です。
 既存の取引先をあてにしていたら倒産した、という事例を業種を問わず何件も見聞しています。新しいラインどころかこれまでの商品群についても供給先を見つけなければならない。とりあえず改革よりも商品確保、となったりします。

 新しい取引先は第一に見つけだすのが大変、第二に取引に応じてくれるかどうか。元気がいいと評判のメーカーなどを訪ねると中心商店街立地の路面店、と自己紹介したとたん、けんもほろろに玄関払い、というシビアなところもけして例外ではないようです。
 こういうメーカーは新進小規模のところが多く、業界全体の動向をきちんと把握していますからけして無理な拡大路線を取っていません。健全経営というわけで自社の方針に合わない小売とは取り引きしない、という方針を持っているところが多く、中心商店街ははなから敬遠される、ということです。
 中心商店街、これから本気で活性化していく、やり方次第でこれから好立地になっていく、というアピールが不足しています(まじめに主張しているのは当社だけかも知れませんね、ホントの話)。

 中心商店街、従来のメーカー、問屋は廃業や業態転換、新興勢力は無関心ということで、消費産業界全体におけるポジションは低下する一方、いまや全国の中心商店街に立地する当事者達が自らの立地の可能性をアピールし、実証していくことが切実な課題です。
 果たしてどれだけの人が理解しているか分かりませんが、中心商店街をターゲットにしたメーカー、問屋という業態が衰退すればいくら基盤整備にお金をかけ、テナントミックス計画を立てても無駄、骨折り損と言うことになります。

 とりあえずどこからでも良い、早く何カ所かの商店街が活性化の可能性を実証しないと、後続がひるむばかりではなく、関連業界が消滅する、という危機に陥ることになります。

というより今や危機の真っ最中なんですけどね・・・。

当サイト、これから中心商店街と協働を目指す各業種の意欲的なメーカー、卸売りの紹介なども考えていきたいと思います。

広域的な取り組み

 具体的に佐賀県を例に考えてみましょう。

 生産地から県下各都市の中心商店街に至るルートは、(東京他)〜福岡〜(鳥栖)佐賀〜武雄・伊万里・鹿島ということになっています。メーカー、問屋からみれば、これは一本の営業ルートであり、このルートを巡回して初めて所期の業績を納めることが出来る。言い換えればこのルート上の中心商店街(に立地する取引先)が全て繁盛していて初めて川上からのルートは存続出来るわけです。上下の差はなく、ルート上の全ての都市に取引相手がいないとチャネルの紐帯はだんだん細まってくる。
 例えば県内で特定の商店街だけが活性化しても、周辺都市の中心商店街が衰退するとその商店街も次第に川上との商取引が出来なくなってくる、ということです。これは最終的にその立地では小売業が成り立たない、ということを意味します。

 これは当社が活性化の取り組みを支援する中で実際に見聞したところです。町村地区になれば実態はさらに厳しく、これまでの取引では考えられない取引を要求される、断ると取引を打ち切られるという事例が続出している。
 聞いて見ると、ルートに最後に残った取引先であり、取引を続けたかったらルートを存続させるために必要な売上げを全て保証してくれ、ということらしい。
 もちろん不可能ですから、その取引先は諦めることになる。代替取引先は同じ理由で手当てできませんから、品揃えは弱体化、主力商品でそういうことが起きればやむなく廃業と言うことになる。
 こういう廃業のケース、商工会地区ではこれまでもざらにあったわけですが、いよいよ中心商店街で始まってきた、ということです。

 中心市街地活性化の取り組みの成果が都市によってばらつきがある、しかもほとんどの商店街でうまくいっていないということは、やがて国内のほとんどの商店街が川上の消滅で機能できなくなっていく、ということを意味しています。  中心商店街立地をターゲットに営業を構築している全国の中小消費財メーカーや問屋の命運が尽きる、そうすると・・・と言うことです。
 今日、マスコミでは「中小企業の力のあるところが生き残る」などと言う話がまかり通っていますが、「力のあることころ」ってどこでしょうね。そういうところだけ生き残れば日本経済、ひいては国民の生活はうまくいくとでもいうのでしょか?

 考えてみれば、日本経済をかくあらしめたのは東京の企画立案でしたよね。で、再建策の企画立案もまた東京にお願いする?
 彼らは果たして自分の頭で考えているのか?ということを自分の頭で考えてみなければならない。
 自分の頭で考えないと「反省」が出来ない、「反省」が出来ないと賢くならない、賢くならないと現下の課題には取り組めません。

 つい脱線してしまいましたが、もはや中心商店街の活性化は当該都市だけの仕事ではないことが明かです。流通ルート全域にわたって中心市街地の活性化に取り組まなければならない、そのための施策の見直し・再構築が必要になっています。

 この事態に責任を持って対応しなければならないのは、一義的には各県の商店街振興組合連合会でしょうか。それぞれの県の「商店街振興組合連合会=県振連」が、中心商店街の活性化は各都市の個別の取り組みだけではなく、平行して「ルートの活性化」に取り組まないと、個別都市の例外的な成功では最終的に成功とは言えない、ということを理解して行動しなければならない、ということです。
 また、各都市はそれぞれ自分の街の取り組み以外はほとんど情報(経験の蓄積)を持たないわけですが、県振連は所管の各組合の情報はもとより県や全振連などをはじめ情報源が豊富であり、さらには調査研究活動については有力な支援も期待できるでしょう。
 県振連レベルで域内各都市に共通する中心商店街活性化施策を立案すべきだと思いますが、如何でしょうか。中心課題はもちろん現在の中心商店街に最も不足しているリーダーの育成・確保であり、活性化を実現していくための理論の構築です。

 実際の県振連はどのような位置づけでどのように機能しているのか、我々にはまったく分かりませんが、単位組合の話で連合会が出てくることはほとんどありません。これは佐賀県に限らない。
 私は最近、各県下という広域をカバーする県振連が中心市街地活性化の取り組みを強力に支援すべきだ、支援できる体制を整備すべきだと考えています。

 前述のように、各都市の商店街、商工会議所は活性化への取り組みの主役ですが、いかんせん、自分の守備範囲でしか経験が出来ない、これでは他都市の取り組み成功・成果ゼロというような事業を真似てしまう、というこれまでのありきたりを越えることが出来ない。経験不足ということです。
 行政は県も含めて2〜3年で配転ですからせっかく事情が飲み込めたころには移動してしまうことになる。
 結局、県下の取り組みの蓄積は人間関係も含めて県振連にしか期待できない、ということです。

 まずは研究組織などを立ち上げて、県下の各都市で活動している人材を総動員して活動体制を作る。各地の商店街との経験交流や実務支援などに入る。活動の中で活性化を牽引していくリーダーを育成するというか、活性化の実現に向けた可能性と方法を修得してもらう、というのは如何でしょうか。

 人材の育成、これはなかなか都市単位では事業取り組みへの合意形成など手続き段階に手間取りそうですからぜひとも県振連で取り組んでいただきたい。
 どこに行っても関係者が集まれば商店街のリーダー不在が話題になる最近ですが、だからといって養成しようという話は出てこない。ここはどうしても県振連に集まる商業者の皆さん、とりわけリーダーである各単粗の幹部の皆さんが考えなければいけない時だと思います。