ホーム資料庫メールマガジン保存版


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 
 『コンサルタントの眼』                   No.63  2004/03/25 (Thu)
 
       # コンセプチュアライザーtakeoが様々な事象を批評 #
    
     http://www.quolaid.com     mailto:info@quolaid.com
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 
  
   ◆ 書評 『情念の政治経済学』アルバート.O.ハーシュマン ◆
         (法政大学出版局 叢書ウニベルシタス 1997 )  
         
         
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 経済学の歴史を勉強された人には常識かも、ですが、経済学は当初、政治経済学
としてスタートしたのだそうです。さらにさかのぼれば、統治の技術、統治者を統
制する技術についての「学」であり、このあたりになりますと洋の東西を問いませ
ん。

 社会経営の術としての政治経済学、ここから「経済学」を分離独立させたのが
「経済学の始祖」、アダム・スミスでありまして、以来、今日に至るまで経済学は
無明・不毛の荒野を徘徊しているわけです。

 さて、資本主義・市場経済社会においては、「利益」の追求は誰はばかることの
ない「価値」ですが、もちろん、これは資本主義社会のスタートあたりで認められ
たことでありまして、それ以前は、「名誉」「権力欲」などが幅を利かしておりま
した。

 利益追求=金銭欲が陽の目を見るに至った経緯の解明については、マックス・ヴ
ェーバーの仕事が有名ですが、斜め読み/なんだ・んなもの、というのが私のきわ
めて浅薄な感想です。

 で、本書ですが。
 資本主義が天下を取る過程、「利益」概念がだんだん、価値の頂点へと上り詰め
ていくプロセスで、当時の思想家の間でどのような応酬が交わされたか、というこ
とをたどっています。 

 権力者の「権力欲」という情念よりも商業者の相対取引による「利益」のほうが
「穏健」であり、かつ、権力者の恣意的な振る舞いを制御する機能も発揮すること
と期待する、というのがモンテスキューなどの問題意識だったそうで、さらに、私
益と公益の間にどう折り合いをつけるか、ということを巡る議論という側面もあり
ました。

 最終的にというか、アダム・スミス「神の見えざる手」、私益を追求することが
すなわち公益の実現に至る、というはなはだ手前勝手な理屈が天下を取ったわけで
すが、本書によれば、必ずしも「市場万能論」の正しさ・論理ないし倫理的な優越
性が他を圧倒したという訳でも無いようです。
 つまりは私益追求という「情念」が他を圧倒した、ということですね。

 「市場活動を縛るような構造は改革すべし」、「不況は市場活動を規制している
から起こる、市場活動を自由にすれば経済は活性化する」などというたぐいの主張
はことごとく、アダム・スミスのご託宣を真に受けているわけで、ちなみに我が国
の大学講壇で講ぜられている経済学はほとんどが「古典派」系、市場万能論ですね。

 余談ですが、the classical school が日本語になるとどうして「古典派」なので
しょうか。主流派、保守本流ということではないかと無免許者は思うのですが。

 市場万能論は、経済万能論、経済のグローバル化大賛成ということでありますが、
資本主義経済というのは言うまでもなく、当時の経済システムに<派生>した、
「利益を追求する仕組み」でありまして、特に、社会>経済、人間を大事にしなく
ては、というような考えが入り込む余地はありません。その弊害は今後さらに増大
しそうな雲行きですね。

 「権力欲」よりは、商業など「金銭欲」追求の方が社会的な害が少なかろう、と
着想し、「利益」の公認を推進した思想家もあったのですが、こういう人たちが現
在の資本主義の体たらくを見通すことが出来たとしたら、はたして「神の手」=「
利益追求」を積極的に推奨しただろうか、などと考えてみますとなかなか興味深い
ものがあります。

 ハーシュマンさんは、開発経済の専門家だそうです。
 ポスト資本主義ということが何かと話題になる今日、ハーシュマンさんのお仕事、
資本主義揺籃期の「利益」と「情念」を巡る思索の状況は、まさしく目から鱗、も
っと話題になってしかるべきと思いますが、管見、私が知らなかっただけかも、で
すね。 
 
-----------------------------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------------------

◆quolaid.com情報◆ 

  ・都市経営フォーラム http://www.quolaid.com/cgi/tkf/wforum.cgi
  
  ・経営フォーラム    http://quolaid.com/cgi/kforum/wforum.cgi

  ・商店街活性化フォーラムhttp://www.quolaid.com/cgi/j-forum/wforum2.cgi 

  ・各地の状況     http://www.quolaid.com/cgi2/kakuchi/index.html

◆次号:NO.64 3/29(mon)予定・・・
  
  掲示板へもお気軽にお越し下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ご意見・ご感想をメールまたはHPのBBSへどうぞ。
バックナンバー→ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000073321 
HPにもあります。http://www.quolaid.com/library/megbn.htm 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『まぐまぐ』http://www.mag2.com/ (マガジンID:0000073321) 
 →このメルマガ解除はこちらで http://www.quolaid.com/magazine.htm
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
<発行> nobuo takeo (有限会社 クオールエイド) <担当>チワタ
佐賀県武雄市武雄町大字武雄5598 TEL 0954-20-1170 
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

次へ


Copyright (C) 2004 (有)クオールエイド  All Rights Reserved