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 『コンサルタントの眼』                     No.50 2003/7/11 (Fri)

      # コンセプチュアライザーtakeoが様々な事象を批評 #
   
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        ◆ 三セク・中心市街地・商業ビル  ◆
        
        
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 ご存じの通り、上記「三点セット」の典型である北九州市の「コムシティ」が閉
鎖に追い込まれました。開設・運営は第三セクター(以下、「三セク」)、立地は
八幡区黒崎駅前、用途は商業ビルという見事な?「3点セット」です。
 「3点セット」の破綻ないし業績が憂慮されている事例、多いですね。近場の例
を思いつくままにあげてみると、福岡市のリバレイン、佐賀市のエスプラッツ、久
留米市は名前を失念しましたが岩田屋の前のファッションビル、その他にもたくさ
ありますね。

 全国的に見れば、いつ破綻してもおかしくない、という物件が目白押しのはず、
どれくらいあるかと言えば、たぶん、「基本計画」の数の5掛けくらいはありそう
です。中には「鮮やかだった」と評されているらしい「エスプラッツ」の処理ノウ
ハウをそっくり使えたら、と羨ましがっている行政の担当者もあるそうな・・・。
 一方、『中心市街地活性化法』のスキームで現在開設中のところもあると思いま
す。そういうところにとって他都市の事例は身の毛がよだつようなことばかり、と
いうのが掛け値なしのところですね。

 とうことで今日は「三点セット」について考えてみたいと思います。
 初めに結論を言っておきますが、これはけして「三セク」が悪いわけでも「立地
」が悪い訳でも「商業」という事業機会が悪かったわけでもありません。もちろん
それらの条件が集まった「三点セット」という仕組みが悪いわけでもありません。
 このことは声を大にして言っておかないと、「羮に懲りてなますを吹く」、三セ
クなんか絶対使わない、となりますとこれからの都市間競争、都市経営力競争に遅
れをとってしまいます。そうならないためにも「三点セット」の分析評価は欠かせ
ません。

 どうしてこんなに判で押したように「三点セット」はうまく行かないのでしょう
か?それはズバリ、企画がなっていないからです。以下、そのことを論証します。
関係者はだまされないように眉につばを付けて読むように(W

 まず、三点セットをバラバラにして考えてみましょう。

第一に、三セクとはなにか?
 まず、三セクという事業方式のコンセプトをしっかり確認しておくことが必要で
す。

三セクとは、
1.将来にわたる都市経営上、戦略的な位置を占める事業として位置づけられるが、
2.環境その他の条件から直ちに収益があがらないため、民間営利企業では着手しに
くい事業について、3.行政が信用、人材等を提供、民間と協力して事業を立ち上げ
る。
というものです。
 三セク方式、簡単に言えば、1.将来の見込みは十分だが、2.軌道に乗るまで
には厳しい局面が予測される、という事業機会にチャレンジする手法ですね。この
手法はこれからの都市経営において駆使することが必要ですからね、中心市街地関
連で経験を積んでおくことが能力確保のもってこいの機会です。
 つまり、地域活性化のために必要なある事業について三セクで行く、ということ
は、自動的に「軌道に乗せることが難しい事業である」と言うことを潜在的に含ん
でいる訳です。企画に当たってはこのことを十分確認しておくべき、「ビジネスと
して取り組まれる事業よりも困難かつ重要な事業」という認識を持ち、困難を予想
し対応策を考えておくことが必要です。
 さらに中心市街地の商業の将来に渡る可能性について理解しているソフト&ハー
ドの専門家は皆無に等しい状況ですから、このあたりをどうするかということも大
きな課題ですね。

 もう一つは、「将来の見込みは十分である」ということ。つまり将来の採算性の
見通しですが、意外と忘れられていることが多い。というか、でたらめな予測に基
づく企画が多いと言うことです。「困難な事業」でかつ「将来性がない事業」なら
やらない方がまし、というか、絶対やってはいけない事業ですよね?
 このあたりについてシビアに考えないままに取り組まれる事業は、実施主体が三
セクであろうとなかろうと失敗するのが当たり前です。従って、このような事業が
失敗するのは事業企画がメロメロだったことに原因があり、けして三セクという事
業方式が駄目なわけではありません。

 とりあえず「三セク」については以上のとおり、三セクだったから、と言う理由
で失敗した事業はただの一つもありませんね。きっと。

第二に、立地。
 中心市街地という立地の特徴は、今や「わざわざ出かける、はっきりした理由が
無い限り出かけることがない」場所だということです。地方都市の中心市街地は軒
並み、『「中心市街地活性化法』における「中心市街地の三要件」に象徴される状
況にあるわけで、もとはと言えば
 1.中心市街地を活性化しなければならない
 2.強力なデスティネーション(来訪目的)を現出せしめ、
 3.これの集客力をもって中心市街地の活性化を牽引させようと思うが、
 4.その気になってくれる営利企業がいない、という中で取り組まれる、都市経
営上の文字通り戦略的なプロジェクトです。

 中心市街地は商業立地として果たしてどのように評価されるのか?
 これはケースバイケース。というか、中心市街地でならば成立するという業容、
中心市街地では逆立ちしても成立が難しい業態、というものがあり、中心市街地で
成り立つ小売業集積の類型を選択すれば、郊外型の商業集積とはきれいに棲み分け
が可能です。このあたりは当サイト常連の皆さんには言うまでもないことですね。
 未見の方は当社サイトのトップページの検索で当たってください。

第三に商業ビル
 中心市街地立地の商業ビルは、1.郊外のショッピングセンターをはじめありと
あらゆる商業機能を横目で見ながら、あるいはわき目もふらず、2.アクセスの悪
い都心まで吸引することが必要です。さらに、「核」という役割を背負っています
から、中心市街地に立地する商店街など既存集積との連携も考えておくことが必要
になります。
 もちろん、これはどんな業態類型の小売業でも中心市街地で成立すると言うこと
ではありません。営利が目的と称される百貨店やファッションビルなどが相次いで
撤退する、すなわち「短期的には軌道に乗せにくい」事業環境であることは間違い
ありません。しかし、中心市街地で成立する商業の様態、そこに新設される新しい
商業ビルの役割およびそのあるべき方向などについては、当社が常々提言している
とおり、かってないチャンスが到来しています。当ホームページ常連のみなさんす
でにご承知のとおり。

 さて、このように「三点セット」を個別に検討してみると、この方式による事業
が軒並み失敗しなければならない理由がどこか個別の要素の中に隠れているわけで
はないことがおわかりのこと思います。
 それではこの三つが一つの企画に集約され、合体すると失敗が運命づけられる「
三点セット」に変身するのでしょうか?もちろん、
 考えられるとすれば、三点セットの各要素の中に他の要素と本質的に相性の悪い
ものが入っている、と言うことですが上で見たかぎり、そういう性格の要素はあり
ません。
 にもか関わらずなぜ事業は失敗するのか?

 答えは簡単。失敗するようなことをやるから失敗するわけです(W
 もちろん、誰も失敗させようと思って仕事をする人はいないのですが、それでも
失敗するのは、これは必ず失敗する以外にない、という企画を立てているからです。

 現在中心市街地で企画されている商業集積計画のほとんどは、商業立地としての
立地の性格分析をした上で、中心市街地で成り立つ小売業とはどのようなタイプの
ものか、と言うことをほとんど考えていないレベルの「企画」です。これは専門家
を利用する、ということで解決できることではありません。失敗が伝えられている
商業ビルもほとんどが有力な専門家の企画によるものですからね

 専門家の企画がどうしてことごとく失敗するのか、これはこれでまた検討に値す
ることですが、今回は割愛します。

 「三点セット」方式で作られる商業集積は、1.郊外型SCのまがい物、2.米
国流のエンターテインメント複合SCの物まね、3.20年遅れのパルコ的ファッシ
ョンビルのいずれかです。どれをとっても今どき〜これからの中心市街地で三セク
を使って軌道に乗せられる、という商業ではありません。
 つまり、失敗の原因は「三点セット」にではなく、この方式で推進した「企画」
の方にあったのだ、ということです。
 ちなみに、当社サイトでは『三点セットで中心市街地を活性化するの法』
(http://www.quolaid.com/cgi/j-forum/wforum2.cgi) を商店街活性化フォ
ーラムで展開中です。是非チェックしていただきたい。
 中心市街地、中心商店街の活性化はみなさんにとってけして人ごとではありませ
ん。
 国内産高級品チャネルのエンドは、東京銀座を筆頭に中心商店街立地の専門店で
すからね。中心市街地の商業が崩壊すると言うことはとりもなおさず、日本の消費
財流通が崩壊するということです。このことが経済全体に及ぼす影響は、我々が日
々痛感しているところですね。

 さて、冒頭に書いたとおり、「三セク」が悪い、「立地」が悪い、「中心市街地
での商業はやはり無理」などといった後知恵的な批評が聞かれますが、馬鹿も休み
休み言ってもらいたい。もし本当にそう思うのならどうして事業案が浮上した段階
でつぶさなかったのか、と言うこともありますね。スタート時点では「赤信号、み
んなで渡れば怖くない」というムードだったのでしょうか。
 冒頭に述べたような問題状況にある都市は、今からでもけして遅くない、もう一
度三点セットという事業方式の原点に立ち戻って、企画を洗い直すことが必要です。

 ところで、このような「羮に懲りてなますを吹く」的スタイルの思考で取り組ま
れる都市経営を継承しながら、広域化・地方分権が進むということは、下手をする
と国中で「三セク忌避症候群」が蔓延してやるべき事業が着手できない、関係者が
こぞって「大過なく」任期、定年を全うするうちに、都市はどんどん沈下してしま
う、という成り行きが手に取るように見えたりして。

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◆quolaid.com情報◆ 
  ■批評と提言■
    「経済」ではなく産業を直視せよ(7/5) 
    http://www.quolaid.com/cgi2/sunbbs/index.html
  ■商店街活性化フォーラム■
    http://www.quolaid.com/cgi/j-forum/wforum2.cgi

◆次号:NO.51 03年7月18日(Fri)