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 『コンサルタントの眼』  No.49 2003/7/4 (Fri)

      # コンセプチュアライザーtakeoが様々な事象を批評 #

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        ◆ 理論とノウハウ  ◆
        〜前号「省思考と自力思考」の続き〜
        
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 スーパーマーケットという業態が移入された当時、移入の根拠は、1.商売繁盛
の根拠は「時流に乗ること」であり、2.今の時流は「スーパーマーケット」であ
る、問いうことでした。その根拠としては、3.人類4,000年にわたる商業進化の
到達は米国にあると(何の根拠もなく)主張されました。

スーパーマーケット業態の運営の技術は、商業技術の最高到達ということになり、
そのノウハウは疑うことを許されない「原理原則」になりました。これは、我が国
におけるスーパーマーケット業態の普及という当時の戦略課題への対応にはとても
好都合だったと思います。「なぜこうしなければならないか」「なぜならば人類
4,000年にわたる商業の精髄、原理原則だからである」疑うものは米国を見よとい
うわけで、いちいち技術の説明をする手間が省けました。先生方も本気で「原理原
則」だと思いこんでいたりして(w)
 当時の参考書を見てみますと、とにかく「考えるな・暗記せよ」一辺倒です。
「時流に乗れ」ということもさんざん言われました。今、これから何が時流か、米
国を見てくれば一目瞭然だ、ということでした。現場の人間はものを考えてはなら
ない、というすさまじさですね。といっても私は当時業界にはいませんでした。
 後になって教科書を読んでみたらそういうレベルだった、ということです。とに
かく、自分の頭よりも「おまえは自分の頭と人類4,000年の歴史、どっちを信頼す
るのか」という剣幕。「とあなたが言ってるんですよね、あなたの頭より自分の方
を信頼しますよ、もちろん」といいたいところですが、先方は米国スーパーマーケ
ットの隆盛という後光が差しており、こちらは素人ですからころりとだまされたわ
けです。
 これはもう、人材と言うより人での粗製濫造ですね。その結果どうなったか?
自分の頭で考えない、米国あるいは国内同業他社の動向ばかり気になる風見鶏的人
材が輩出されました。前回書いたように、スーパーマーケットの店頭の技術を小売
業の経営原則と勘違いしたスーパーマーケット業界およびその関連業界を席巻した
「原理原則」は、たちまちほかの業種業態、関連産業にも普及してしまいました。

 スーパーマーケットの急速な発展期に先進事例であるスーパーマーケット全盛時
代の米国の技術を直輸入したのはまあよいでしょう。問題はそのときのうたい文句、
前述のように、「人類4,000年に及ぶ商業の集大成」というのが導入の大義名分で
した。 厳しい陣取り合戦、急速出店戦略にあわせて人材も促成というか粗製濫造
というか、自分の頭で考えるな、原理原則を丸暗記せよ、頭を使うのは本部、店は
筋肉を使え、という徹底した分業システムでした。

 この方式で鍛えられた人たちが今でも各社中枢にいそうですね。某社活性化への
取り組みが話題になった頃、新経営陣が店舗を巡回、「どんどんアイデアを出すよ
うに」と叱咤しているのをテレビでみて暗澹たる思いがしましたね。
 組織の「原理原則」に照らせば、「頭を使う」ことを期待されているトップが
「丸暗記奨励」の筋肉組に知恵を出してくれと言っているわけですから。
 こりゃ駄目だ、と思ったものですが、最近はどうなっているのでしょうか。

 小売業は、お客が「自分の生活を作り上げる」という問題の解決にもっとも適し
た商品あるいはサービス(つまりソリューションですね)を提供することが事業機
会です。お客が実際に来店し商品を選定し購買を決定する、というプロセスを筋肉
で対応できる、ということは絶対にありません。
 にも関わらず、我が国では本部=頭、店舗=筋肉という考え方が支配的でした。
これは大企業に限ったことではありません。元々「指導者」が持ち込んだことです
から、これは周り回って全商業界に蔓延することとなっています。

 米国の競争は「誰がお客から見てもっとも優れたソリューションを提供できるか」
と言うことを巡って争われています。現場は筋肉でOK、ということは全くありま
せん。常に創意工夫が求められており、その工夫の基準はよりいっそうの「顧客満
足」です。
 米国で「顧客満足」を基準に工夫し、成功し、売り場の(当時の)スタンダード
となっていた技術を我が国では「人類4,000年の商業の精髄」と言うことで暗記さ
せました。この導入方法は我が国の「先進的」と言われるような企業に先を争って
取り入れられましたからその結果たるや推して知るべしです。

 私は初めて米国商業の視察研修に参加したときこのことに気づき、大きなショッ
クを受けました。本当に目から鱗が落ちるとはこのことだ、と感じたものでした。

 もの不足時代の余韻を残していた高度成長期までは筋肉路線でよかったかもしれ
ませんが、今や成熟した顧客にマッチョだけでは通用しません。ところがお店のノ
ウハウ、原理原則はその昔、「これが原理原則だ」と聞かされ、米国で成功してい
るという折り紙付きの方法ですから、受け入れやすいものでした。
 今ではいったいどうしてこういう方法でやらなければならないか、全く意味不明
の「ノウハウ」、お客や新人から見れば全く意味不明の「技術」なるものが「人類
4,000年の結晶」として売り場に居座っているはずです。

 お客はお店が気に入らなくなったらさっさと次の「買い場」を見つければよろし
い。他方、みなさんは不振を打開するためにはこれまで「原理原則」と聞かされ、
かってはそれなりに効果のあった「原理原則」、ノウハウを疑い、吟味し、必要に
より改革しなければならない。これは商店街のみならず我が国小売業の全業種・業
態が今まさに共通して直面している大問題です。

 このような、商売上、いわば自分の血となり肉となっている「原理原則」を疑い、
必要によりこれと決別して新しい技術を自ら作っていく、ということが必要になっ
ています。
 もちろん、なれ親しんでいる方法を捨てることは大変難しいことです。一朝一夕
に出来ることではありません。やり遂げるためには、「なぜやり遂げなければなら
ないのか」と言うことを爪の先ほどの疑念もなく理解しておくことが必要です。

 この「ノウハウ、原理原則の転換が必要だ」という確信を持つこと、そのために
は「なぜ転換が必要なのか」と言うことをしっかり理解することが必要であること
は言うまでもありません。かってのスーパーマーケットの技術が、お客の不便の解
消、顧客満足の提供ということを基準に、従来の常識やノウハウを否定して、自分
たちの知恵と工夫、お客の反応を頼りに作り上げられのと全く同じように、新しい
時代のライフスタイルやお客の購買行動の変化を理解し、その理解にたって仮説と
しての技術を作り、顧客の行動を基準に評価しながらさらに進化させていく、とい
う取り組みが必要になっています。


 微力ながらこのメールマガジンとクオールエイドのホームページは、古いノウハ
ウと決別して新しい繁盛連袂を目指すみなさんの「自立思考」確立の一助となるこ
とを目指しています。
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◆次号:NO.50 03年7月11日(Fri)