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『コンサルタントの眼』 No.38 2003/4/4 (Fri)
# コンセプチュアライザーtakeoが様々な事象を批評 #
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長らくご無沙汰致しました。もう桜舞い散る4月ですね。
新しい環境に移った方もそうでない方も、厳しいご時世ですが
共に経済・社会のことを考え、進むべき方向を模索していきましょう。
◆ モラージュ佐賀 ◆批評と提言(旧FLASH NOTE)4/3記事より(長文です!)
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◆ モラージュ佐賀 ◆ ウオルマート初見参と話題のSC
ウオルマート国内初お目見えということで全国規模の話題になっている佐賀市の
ショッピングセンター、モラージュを見てきました。
まずは話題の中心、ウオルマートについてごく簡単に。
ご存じの通り、小売業界売上げ世界ランキング第2位(1位はゼネラルモーター
ス)というモンスター企業ですね。
業態は4種類あります。
1.ウオルマート・・・ディスカウントストア・ルーラル立地
2.スーパーセンター・・・価格訴求の量販百貨店
3.ハイパーマート・・・・同上、大都市郊外・広域型
4.サムズ・・・ホールセラークラブ
ウオルマートはディスカウントストア、単独またはパワーセンターに立地して、
コンビニエンスニーズにEDLP(同じ商品なら、宣伝しなくても商圏でいつも一
番安い)を掲げてKマートなどに勝ち抜きました。
スーパーセンターは、ワンフロア・2,000坪クラスの店舗で日常必需品(非ラグ
ジュアリィ)を低価格で提供する、当社が言う「コストコンシャス」型業態です。
ハイパーマートは大都市郊外に出店していた超弩級店舗で8,000〜10,000坪?、
業態は業務提携していたダイエーが展開していたハイパーマートと同型です。
サム’ズは創業者の名前をとって命名された会員制ディスカウントです。
ちなみにダイエーの会員制ホールセールクラブ・コウ’ズはこの業態を導入した
中内功さんの名前から命名されたものだったことは知る人ぞ知るところ。
ウオルマートの4業態のうち、日本で展開するのはスーパーセンターでしょうか。
今回の出店ではグロサリーを中心に小手調べ、特に世界に冠たる日本のスーパーマ
ーケット技術について修得することを目的にしているとも言われています。
ウオルマートの卓越していると言われる経営技術の話など、機会があればまた取
り上げるとしまして、今回はSCモラージュについて。
さる21日、佐賀市中心部から車で5分という立地にオープンしたモラージュ、売
場面積12,000坪と県下最大規模の「郊外型ショッピングセンター」です。いわゆる
「2核ワンモール」タイプで、核はセイユーとMrMax。2層の核の間を「モー
ル」でつなぎ約80店の「専門店をが配置しています。
セイユーはこのところ生彩を欠いていますがご存じの通り量販百貨店。MrMax
はディスカウントストアです。(ディスカウントストアとは、量販百貨店の雑貨・グ
ローサリー部門をカテゴリーキリング、価格訴求で提供する業態です。)
この二つの業態店が核になり、回遊を実現する機能を分担しています。
量販百貨店・セイユーの商品構成は、食品と衣料・身の回り品に特化、日用雑貨、
家電、家具はMrMaxが担当しています。ちょっと前なら量販店(つまりセイユー)
が一店でまかなっていた購買局面を二つに分割、モールの両端に配置した、というこ
とです。
ウオルマートで言えば、ハイパーマート業態の商品構成を二つに分割して、モールの
両端に配置、間を「専門店」でつないでいる、という構造です。
商業集積を見る場合、集積全体がどのようなデスティネーションに対応しようとし
ているのか、ということをまず捉えなければならないということは常々申しあげてい
るところです。
特に「核」は「集積全体のデスティネーションを一店で体現する」だけの力を持っ
た店舗です。SCを観察する場合は、まず、「核」がどのような購買局面に対応して
いるか、そのお客の生活や購買行動から見た充実度はどうか、しっかり見極めること
が必要です。
まず、セイユー。
1階は食品、2階は衣料・身の回り品という量販百貨店ならぬ量販「二貨」店です。
1階の面積は2,000坪内外はありそうです。これをスパーマーケットの店舗理論に基
づいてレイアウトしています。
しかし、面積、品ぞろえ、陳列方式などとてもEDLP=エブリデイの献立材料調
達先として使い勝手のいいものではありません。総菜を重視した店奥の生鮮部門は毎
日来店、手前に大量陳列したグロサリーはまとめ買い、というちぐはぐな訴求になっ
ています。
2階の衣料はウオルマート風、「コモデディ=必需」ということばがぴったりでし
ょうね。メンズの場合、コモデティの最たるものはビジネス局面でしょうか、スーツ、
カッター、ネクタイなどが量陳されていますが、選択の幅が極端に狭い。
アウターについては「とりあえず今風のものを着れればいい」という客相狙いでし
ょうが、一方通路を隔てたアンダーウエアはパンツ1,800円とアンバランス。普通、
8,000円のスーツを買うお客が1,800円のパンツを買いますか? 中にはそういう人も
いるでしょうが、「量販」の論理からは大きくずれていませんか?
これまでの量販百貨店の品ぞろえになれた人が満足できるほどの選択肢は揃ってい
ないと思われます。衣料については、かなりウオルマート色が出ているのでしょうか。
米国の田舎コミュニティ向けのSM及び衣料のマーチャンダイジングは日本では絶対
に通用しないと思いますが。
もっとも、もともとセイユー自体しっかりしたマーチャンダイジング力を持ってい
るのかということも疑問です。少なくとも佐賀駅前店などを見る限り。
今回の企画、なにやらウオルマート気分で価格さえ安ければ何とかなる、という思
いこみでやっている?
MrMaxは福岡出身、これまで数店しか見たことがありませんでしたが、すっか
り米国風の大量陳列=ウンザリ陳列です。米国の量陳はデリバリーなどお国の事情が
あるわけで、表層的に真似ても仕方がないと思いますけどね。
MrMaxはウオルマートで言えばハイパーマートの食品・衣料両部門以外を担当
しています。売場は倉庫そっくりの仕様ですから、お客は両側に堆く商品が積まれて
いる通路を、カートを押しながら歩いて目的の売り場に行き、目的の商品をピックア
ップ、カートに入れてレジへ運ぶ、という仕事をしています。
「もし自宅に大きな倉庫があり、必需品を大量に備蓄していたとしたら」、その倉
庫でやらなければいけない仕事を(倉庫がないために)この店でやっている、という
ことです。ショッピングの楽しみが堪能できるかといえばそれは期待できません。
ということで何のことはない、先にも書きましたが両側の核二つを合わせてハイパ
ーマート(あるいはカルフール、価格訴求の量販百貨店)一店のデスティネーション
をやっと実現している、という不思議というか、カイシャの都合丸出しというか、そ
ういうレベルに見えてしまいます。はやりのカスタマーサティスファクション(店づ
くりに工夫を凝らして顧客満足を実現して来店頻度を確保する)などについては、ど
う考えられているのでしょうかね。
お客の購買行動を考えてみますと、例えば、食品・下着・蛍光灯の3点を買おうと
思えば、37.000平米のSCの端(セイユー)から端(MrMax)まで歩かなければ
いけないということです。これが、飲料系のまとめ買いと家電などという組み合わせ
になるとさらに不便、大型カートを押しながら両核をつなぐモールを歩く、買い物が
終わったらはるばる駐車場まで、カートを押すという、顧客不在といわれても仕方の
ない全体の構成です。
お客が不便を感じればそれだけ売れ行きに影響が出ます。CSというのはきれいご
とでは無いんですけどね・・・。
「専門店」のモールはどうでしょうか。
乱暴に言えば、量販百貨店を二つにぶった切って「配置」、その間の渡り廊下約
100mに専門店を並べる、というのがモラージュの「レイアウト」です。量販百貨店
の「ワンストップ」機能が分散しているわけですから、このSCの場合、モールは量
販店客相の必需品ピックアップの仕事のための渡り廊下という役割を持っています。
カートをおして次の作業場へ急ぐ客相の通路に専門店が張り付いているわけですから、
これはちょっと辛いですね。
専門店は、郊外SC向け業態の「専門店」と地元の商店街から移住した「専門店」
で構成されています。
全般的にSC全体が大和ジャスコとの競合(お客による買い物行き先ととしての
選択)に遅れをとることが確実なうえに、SCの構造からモールというよりも量販百
貨店内に出店しているようなものですから、業績の成り行きは容易に想像できるので
はないでしょうか。
地元から参加した専門店は以上の条件に加えて、?郊外型SCの客相を理解してい
ない、?したがってSCの「専門店」の商売が分からない、というレベルでの出店で
すから、さらに大変な苦戦が予想されます。
店前通行量を期待しての出店ですが、もともとSCに来るときには寄るつもりの無
かった自店にお客を呼び込む、「衝動入店」させて衝動購買させるという二重の離れ
業が必要だということが理解されていない。店前通行量依存型の陥る底知れぬ落とし
穴。
ここで専門店を成立させようと思ったら、品ぞろえ、接客、プレゼン技術とどれを
とっても商店街当時以上の能力が必要です。
もちろん、そんな能力があったら商店街で楽々商売できます。
ちなみに、ラグジュアリィ客相にとって郊外SC、特にそのモールとは「知ってる
人に出合いたくない場所」だということも知っておいた方が良いでしょう。
ディスカウントと量販店の2極構造のSCというのは、時代遅れも甚だしい。贔屓
するわけではありませんが、大和ジャスコなんか、ディスカウント(DIY)と家電
はそれぞれ別棟に配置しており、顧客は当日の来店目的に応じて、モール、ディスカ
ウント、家電間を車で移動してショッピングをするという構造になっています。
これはジャスコお得意のSCレイアウトですね。他にもSM部門の取り扱いなど、
ジャスコのSC技術は部分的にはなかなか興味深いものがあります。ただ、いかんせ
ん、郊外型SCというフォーマット自体が斜陽です。衣料・身の回り品、SM部門、
どれをとってもお客の支持を増やしていける展望はありません。
今度のラモージュ出店、ウオルマート部分は試行錯誤的に充実させていくというこ
とらしいのですが、とりあえず、世界一の水準にあると思われる日本のスーパーマー
ケット、食品売場運営のノウハウを手に入れる、ということを主眼にしているとも言
われますが、果たして目的を達成できるでしょうか。
食品売場は、スーパーマーケットというよりも、本国では展開をやめたらしいハイ
パーマートの店づくり(広域・まとめ買い対応)のようであり、それにしては生鮮売
場を重視している、というちぐはぐぶりが目立ちます。
といってもそれは売場面積の話、内容は、商圏のお客から「あたしたちをなめるん
じゃないよ」と言われてもおかしくない。
どうもウオルマートは、世界一の水準にあるSMとそれを内包する時代遅れ量販百
貨店のミスマッチという我が国の小売業界の現状を見抜けないままの登場のようです
ね。
このレベルではライバルとの競合にめちゃくちゃ苦戦することは確実です。その後
にはもちろん、ラグジュアリィ充足に向けての客離れとゲリラ的なディスカウント商
法とのとの競合も控えています。
ジャスコ、イトーヨーカドー、ウオルマートの三つどもえ戦についてはまたあらた
めて考えましょう。
帰りに大和ジャスコに寄りましたら結構お客が多かった。モラージュをみてからこ
っちに来た人も多かったことでしょう。
モラージュは当面大和ジャスコの引き立て役でしょうか。だからといってジャスコ
が順風満帆というわけではけしてない、というのが佐賀市一帯のショッピングセンタ
ー事情です。
続いて出店が計画されているのが30分立地の福岡県久留米市の同規模の「ゆめタウ
ン」と同荒木町のジャスコです。ラモージュは1年内外で大和ジャスコと荒木ジャス
コに挟み撃ちされることになります。まあ、承知の上での出店でしょうけど、それに
しては・・・、と思います。余計なことですが。
(この稿についての話題は「経営フォーラム」
http://quolaid.com/cgi/kforum/wforum.cgiにどうぞ)
ちなみに、この考察の基礎となっている「郊外型ショッピングセンター」について
の考え方については、
http://quolaid.com/library/wj-bn2/wj2-3-1.htm
を参照してください。
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