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 『コンサルタントの眼』                      No.35 2002/10/14 (Mon)
   
      # コンセプチュアライザーtakeoが様々な事象を批評 #
   
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          ◆ 経済は改革から革新へ ◆

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 日本経済全体の沈降はいよいよ深まり、政府唯一の施策は「不良債権処理」だが、
果たしてこの施策は我々に何をもたらすのか改めて考えてみたい。

 まず、「不良債権」についての疑問。

1.不良債権を銀行内で処理すれば、不良債権が発生したメカニズムは改善または
消滅するのか?  不動産投資の破綻により不良債権が発生したバブル崩壊直後と
は打って変わり、現在発生している「不良債権」は本業の不振によるものが多い。

2.商店街をエンドとするチャネルに所属する中小企業では、小売レベルの不振
、廃業などによる売上げの激減が諸悪の根元であり、業容の縮小がとどまることを
知らない勢いで進んでいる。資金需要はほとんどが運転資金の手当である。
不良債権の処理が終われば銀行はこの手の融資が出来るのか?

3.業容を縮小しながらの後ろ向き資金をどうして融資対象に出来るだろうか?
このような状況は、銀行にとって事業機会としては最悪と同情せざるを得ない。
財務事情にこだわらず再生の可能性のある企業には融資するといっても、そんな
企業は文字通り数えるほどしかないのである。 

4.政府は不良債権の処理をもって銀行の資産内容を改善することで、貸し出し
ドライブを喚起しようとしているが、前述のように銀行の事業機会はきわめて少
なくなっている。これは銀行にとって不良債権以上の危機の種ではないだろうか?
一方でこれまでの得意先を締め上げながら新しい事業機会の展望はない、というの
が銀行の現座〜未来である。
銀行のモラルの低下は、窓口の対応にさえはっきり現れている。

5.不良債権の処理は、債務企業の息の根を止めることになる。
多くの場合、企業所有の不動産は処分されることになるわけだが、買い手が付く
はずがない。そうするとその物件周辺の地価が低落する。
周辺地区では担保力が弱まり・・・、という悪循環が起こり、新しく不良債権が
次々に生まれることになる。

 このような「不良債権スパイラル」を生み出しており、「不良債権処理」で
さらにこのスパイラルを押し進めようというのが現在の日本経済運営である。

 株式の長期低落傾向の原因は、はっきりしている。「もの余り時代」とは、
経済ゼロサム時代、全体としての成長が期待できない時代である。
一方、株式市場は「経済が成長する」ことを前提に成り立っている市場である。

 貸借対照表を思い浮かべてみよう。
借り方には商品と不動産がある。株式投資とは端的に言うとこの商品と不動産
を対象に行われるわけだが、貸し方と同額の簿価になっている商品と不動産が
どうして投資の対象になるかといえば、それらを商品にした「営利の可能性」、
つまり、B/Sの借り方のさらに左側に膨大な「潜在市場」があったから。
 「作れば売れる」、「もっと安く作ればもっと売れる」というのが資本主義
のバックグラウンドだったのである。

 「もの余り」時代とは、この「潜在市場」がどんどん縮小していく時代である
ことはいうまでもない。これから生まれる新しいニーズは、私が提唱している
「時間堪能」ニーズだが、これは従来の生産−流通システム、もっと言えば資本
主義的事業活動によってどれほど対応出来るのか、たぶんその多くは市場活動の
対象としてはこれまでの常識を大きく破る構造になることだけは間違いない。

 このような傾向がかいま見えるようになったというのが現在只今という時期。
投資は、商品と不動産という企業の成長可能性に対してではなく、マネーフロー
とりあえずこれまでいくら儲けているか、ということを基準に行われるようにな
りつつある。米国ウオール街で優良企業ともてはやされていた企業群の末路は、
このことを証明していると見るべきだ。

 これが「経済再生」だ

 さて、簡単に見てきたとおり、従来路線の経済の先行きは真っ暗だが、唯一、
ラグジュアリィ・ニーズに進路を定める小売業、商社、メーカー、チャネル、
国だけが現在の危機をプラスに転じて新しい成長を実現することができる。
日本全体がこの方向に大きく進路を転換することで、今後日本に追随して同じよ
うな「もの余り時代」を迎える世界中をマーケットにするチャンスを確保できる。

 中心商店街で商品が売れると言うことは、商店街をエンドとするチャネル全体
がラグジュアリィニーズへの対応が出来る、ということを意味する。この動きが
どんどん波及すれば、商店街をエンドとするチャネル全体が活性化する。地価は
下げ止まり、担保力は増加、新しい前向き投資案件も生まれる、ということで
日本経済は大きくプラスに転じることが可能になる。
 このように、現在、「保護」対象にされている商店街は実は日本経済再建の鍵
を握るポジションを占めているのである。

「ラグジュアリィは日本を救う。」

 私は、最近、当社サイトで「ラグジュアリィ・ニーズが全てを癒す」という立
場で中心商店街の「ショッピングモール=ラグジュアリィ・モールへの転換」を
実現するための「商店街の行動計画」作りを提唱している。
ラグジュアリィ・モールとは、前号でも述べているように、全体が「ラグジュア
リィ・ニーズ=生活を自分の好みで作りあげたい」というニーズに対応して
品(店)ぞろえ、接客、サービスを作りあげている商業集積であり、我が国では
未だ存在したことがない。
 従来の品質と価格を基準にした買い物の場の提案から、このような新しいライ
フスタイル提案・充実型の商業〜消費財産業へと転換することが唯一、我が国経
済の新しいテイクオフに必要な戦略方向である。

 企業がこのような新しい方向を切開していく試みに参加するためには、従来の
常識や手法のとらわれない「革新」への取り組みが不可欠である。
企業の現状、誰が見ても問題だ、と言うところを直すのは改良、「ここまでなら
何とかいける」という取り組みが改革だが、どちらもやるだけ無駄だと達観しな
ければならない。

 革新というのはいうは安く実行は難しい。
 革新は、現在〜将来の企業あるべき姿を自社が対応しようとする顧客の生活の
側から決める。企業のあるべき姿を現状からスタートしてわき目もふらずに実現
していくことが「革新」の名に値する取り組みであり、これを志向する小売業、
商社、メーカー、チャネル、集積、国だけが新しい繁栄を、関係する人々の生活
の安定、幸せな生活の基盤を創造し、維持することが出来る。「革新」は「ラグ
ジュアリィ」とならんでこれからの企業行動のキーワード、今後たびたび考察し
ていきたい。

 ラグジュアリィ・ニーズに針路を取れ、これが我が国経済の現下唯一のあるべ
き方針だが、残念ながらこういうことを主張するのは、ごまめの歯ぎしり、国中
で私一人である、という実状が我が国経済の「本当の問題」である。
 
 「クオールエイド自画自賛(W」

 クオールエイド社は、中心商店街活性化の方向を「ラグジュアリィモールへの
転換」と位置付けることで、これまで保護対象でしかなかった中心市街地=中心
商店街が実は日本経済の再生を牽引する位置にあることを発見し、その活性化へ
の取り組みをさらに強化することを提唱している。
 中心商店街のモールへの転換を実現すること、チャネル、消費産業全体がこの
方向にシフトすることこそ、中国を初めとする「世界の工場群」と共存して経済
大国としての地位を維持する唯一の戦略である。
サイトではこの「ラグジュアリィニーズ」と中心商店街活性化の関係について、
理論的実践的に様々の視点から提言している。さらに、郊外型ショッピングセン
ターをはじめ、既存小売業の趨勢なども詳述しており、小売業に興味のある人に
は一見の価値があるものと思う。お暇なおりにはサイトも吟味していただきたい。 

 いつも申しあげているように、中心商店街の業績が低迷するということは、単に
商店街一個の問題にとどまることではない。ここに立地する専門店を取引先とする
問屋、メーカーの業績も自ずと長期低落傾向にある。彼ら消費財メーカー、商社、
問屋が立地してい都市中心市街地においてもまた空洞化・地価下落が続いているの
である。

◆quolaid.com情報◆
 
 クオールエイド社掲示板「経営フォーラム」では既報のとおり『失敗学のすすめ』
をテキストに「輪講」を試行している。初めての試みでもあり、なかなか盛り上がる
にはいたっていないが、一人で読む異常の収穫は保証する。興味のある方はどうぞ。

 http://quolaid.com/cgi/kforum/wforum.cgi

◆次号:NO.36 02年10月18日(Fri)