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No.14 2001/10/19(Fri) ===================================== ◆ 『コンサルタントの眼』 ★毎週金曜日発行★ ◆□◆ ◆□■□◆コンセプチュアライザー・タケオノブオが ◆□◆ 経済・社会問題に関する様々な事象を批評。 ◆ http://www.quolaid.com mailto:info@quolaid.com ===================================== ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ◆コンサルタントの眼◆ 業態について ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 業態、小売業関係者にとっては常識となっている用語だが、その意味する ところとなると、どうも定説は面白くない。面白くないというよりこれを鵜 呑みにしておくと当該業態を展開しえいる企業もそれと競合関係にある企業 にも取り返しのつかない誤った判断をしてしまうことになりそうだ。今日は 「業態」について考えてみたい。 業態とは、川上の事情によって品揃えが決定されてきた業種店と異なり、 顧客の買い物行動に対応した品揃えをしている店舗である、とされている。 そしてその顧客の買い物行動への対応は、顧客の購買行動への対応であり、 具体的には購買頻度である、というのが主流の業態論である。つまり、業態 とは購買頻度が同程度の商品群をアソートメントして提供する小売店舗のこ とであり、従ってその分類の基準は購買頻度別品揃えの内容である、という ことになる。 しかしながら、業態とされている各種の店舗について、本当に購買頻度を 基準にそれぞれの品揃えを決定しているか、業態の基準は購買頻度であると いう通説は実際の店舗でどう実現しているか、実際の店舗をみるとこれがま ったく現実とかけ離れた空理空論であることに否応なく気付かされる。業態 店舗の品揃えの基準は、購買頻度ではないのだ。 具体的にみてみよう。 例えば、平均的なコンビニエンスストアにはミールリプレイスメント(家 庭内食事の代替商品、日替わり購買)とともに、祝儀袋などが置いてある。 夕食用の弁当と祝儀袋の購買頻度が同等か? スーパーマーケットには生鮮食品とともに調理用具や清掃用具などが品揃 えされている。これらの購買頻度は「同じ」と見なされる範疇に収まるか? もしキャベツとフライパンの購買頻度が同種というならば、品揃えは「何で もあり」、もはや業態の基準はデタラメということ、業態の基準は業態の品 揃えの指針にはならない、ということになる。つまり、業態などという用語 はあってもなくても業態店の経営や運営にはなんの役割も果たせない、とい うことになる。 事実、業態店のオペレーションで業態=購買頻度というような使い方で自 店の品揃えを決定している企業は皆無のはずである。 「業態」は「業種」に対比して用いられる。業種店とは前述したように、 伝統的な精肉店、酒販店、靴店、婦人服店というような小売店のことである。 これら業種店の品揃えの基準はいうまでもなく、「川上=メーカーや問屋」 の事情に合わせて組織されたretaileそのものである。売り手市場というよ りも作り手市場といったほうがいっそう適切な時代環境の小売業のあり方で ある(もちろん今日の専門店はもはやそのようなレベルに無いことはいうま でもない)。 これに対比される「業態店舗」とは、このような業種店のあり方を否定し て登場した、というのはその通りである。しかし、業態の品揃えの基準の捉 え方が大きく間違ってしまっている。 最初に登場した業態店舗はスーパーマーケットである。周知のようにアメ リカで生まれたスーパーマーケットは、肉、野菜、乾物などそれぞれ専門店 を買い回って調達していた「献立材料」を一個の店舗で、「ワンストップシ ョッピング」で済むように改革した業態店舗である。このときの品揃えの基 準は、「献立材料」であるが、それは「家庭内食事の支度」という主婦の仕 事=生活局面を軽減する、というコンセプトにつながるものである。 スーパーマーケットは、(1)主婦(その役割をする人)が、(2)「家庭での 食事」という生活局面を作り上げるために必要な材料・サービスを軸に、 (3)そのとき同時に済ませた方がお客の生活から見て合理的な商品・サービ スを揃えて提供する。という業態なのである。このとき、購買頻度などは関 係ない。主婦が主婦として購買する「生活材料の調達」がスパーマーケット の品揃えのテーマである。 例えばコンビニエンスストアなら、「今すぐ使いたい・今すぐ欲しい商品 を今すぐ手に入れたい」という生活局面を想定し、この生活局面に対応した 品揃えを行っている。生活局面のニーズは同じでも、そこで具体的に選定さ れる商品は個人や地域によって差がある。だから業態コンセプトを忠実に品 揃えとして具現化すると、1店1店の品目レベルの品揃えは異なってくる。 同一品揃えのセブンが1店も無い、というのはそういうことである。 例えば、ホームセンターという業態は、住宅の整備改善に自分で取り組む、 という生活局面・ニーズに対応した品揃え、サービス揃えをしているのであ って、購買頻度で品揃えしているわけではない。 このような業態論の間違いは、ショッピングセンター論でもみられること。 例えばネバフッド型、リージョナル型などという分類は一見対象にする商圏 規模がちがう、というように理解されがちであるが、実は対応している生活 局面が違っているのである。ここでも基準は生活局面であって、購買頻度や 来店頻度ではないのだ。 我が国のスーパーマーケット導入期における業態論の誤りは、今日まで延 々と引き継がれており、例えば日本型GMSといわれる量販百貨店は、スーパ ーマーケットを始めたのに、業態論を理解していなかったために「たくさん 売れるものなら何でも売る」というとんでもない「業態」に変貌してしまっ た。その結果としての今日の今日の苦境なのである。 誰も経験したことのない環境激変の最中であるが、人間の行動が激変して いるわけではない。むしろこれまでの常識として疑われなかったことの「お かしさ」が、誰の目にもハッキリするようになったが故の不振という側面が あるのかも知れない。 「業態」について考えてみると、われわれはこれえで業界の常識として全く 怪しまなかった諸々の知識、ノウハウなどが本当は何を意味しているのか、 自分のお客の生活課題を基準に自分自身の頭で考え直してみる、という仕事 が必要ではないだろうか。 コトバの説明に飽き飽きしておいでの読者も多そうである。 次回からはしばらく時事的なテーマについて考えてみたい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |