ホーム資料庫メールマガジン保存版


戻る  TOP  次へ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− No.12 2001/10/5(Fri)
=====================================
  ◆       『コンサルタントの眼』   ★毎週金曜日発行★ 
 ◆□◆   
◆□■□◆コンセプチュアライザー・タケオノブオが    
 ◆□◆     経済・社会問題に関する様々な事象を批評。    
  ◆   http://www.quolaid.com   mailto:info@quolaid.com
=====================================
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
◆コンサルタントの眼◆
      戦術と作戦など 
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

   前回戦略の話をしたので、「戦略と戦術」と言うようにセットにして用い
  られることが多い、戦術について考えてみたい。悪のりついでにその他の軍
  事用語も通常の「問題解決」のプロセスでの位置づけを考えてみたい。

   まず、戦術。一般には戦略の下位概念であり「戦術は戦略に従う」などと
  言われている。しかし、前回見たように、「戦略」を調達可能な経営資源に
  より目的を達成するシナリオである、とすればこの一回性の「戦略」を実際
  に遂行していくのは、それぞれの時期・場所における「作戦」のほうがふさ
  わしいと思うが如何だろうか? 作戦は、戦争のある局面で、動員可能な資
  源を組み合わせて戦略の遂行に必要な目標を達成するためのシナリオ〜計画
  と言うことになる。「戦略」という、戦争を目的達成に導いていくシナリオ
  の下位概念は、一定の時間と空間における「作戦」である、と考えた方がわ
  かりやすい。そうしないと戦略と戦術?それじゃ作戦はどこに位置づけられ
  る? ということになりかねない。

   それでは戦術とはなにか?
   私は戦術とは、「戦争遂行に関するノウハウ」と定義して用いることを提
  案したい。例えば「義経のひよどり越え」作戦は少数による奇襲攻撃の典型
  であり、奇襲攻撃の原則である敵の予測していない時間に予測していない場
  所を攻撃する、という「戦いのノウハウ=戦術」を「一ノ谷」という特定の
  時間・場所に応用し、着想したものである。

   周知のように米国は第2次大戦において「戦略爆撃」という「戦術」を考
  案し東京空襲などの作戦に用いた。「戦略爆撃」とは、「直接戦略レベルの
  目的達成を左右する作戦レベルの課題」のことである。都市に対する空襲は、
  物理的な損害を与えるとともに敵国国民の戦争を続行しようという意思の粉
  砕という直接戦争目的に関わる「戦略」レベルの効果を目指す「作戦」であ
  った。このように考えてみると、「戦術」は多く過去の成功した「作戦」の
  エキスであることが多いことが納得される。

   「戦術」とは「戦争遂行に関するノウハウ」である、ということは、戦略
  レベル、作戦レベルのどちらにも「戦術」がたくさんある、ということであ
  る。
   ここで戦略家が戦略を立案する場合を想像してみよう。彼は、彼我の状況
  を分析して、古今東西の戦史を参照してこれに類似した状況、応用できる戦
  術がどこかにないか検索する、という仕事をするだろう。応用できる事例が
  発見されるとさっそくそれを現在の状況につきあわせて必要な改善を加えて
  「戦略」として定立する。その戦略はたしかにいろいろな過去の戦術などに
  学び、影響を受けているかも知れないが、「この戦争、この戦略で行く」と
  決定したとたんその戦略は唯一無二の存在になる。よく「戦略はアートだ」
  と言われるのはそういうこと。ちなみにこの場合の「アート」は芸術より
  「手作り」に近い。

   次に戦争における野戦軍の司令官の場合を考えてみよう。彼はある作戦目
  的を与えれているわけだが、特定の時期と場所・彼我の勢力関係においてそ
  の目的を達成しなければならない。この状況でいかにして敵をうち砕くか、
  彼の脳裏にはいくつもの戦術が浮かんでは消える・・。最終的に決断し、採
  択された戦術の組み合わせはこの局面における唯一無二の作戦、アートとな
  る。これらのアートは後に評価されて「ある局面での選択肢=戦術」として
  人類共通のノウハウとなっていく・・・・。

   ついでに、戦闘や格闘なども無理矢理「問題解決」にこじつけて理解する
  ならば、「戦闘」は問題の局地的・部分的な解決であり、「格闘」は文字通
  り個々人が問題に取り組む様態と言うことになる。そして、当然の事ながら、
  そのあらゆる場面に「戦術」がある、と言うことである。過去の「成功事例
  に学ぶ」と言うことは、ある成功体験が一般化されたものを自分が直面して
  いる問題解決の作戦・戦闘・格闘の方法として採用する、と言うことである。
  そこでは当然、採用に先立って、果たしてこの戦術=成功事例はいま自分が
  直面している問題の解決策の方向・ヒントとして適切だろうか、と言うこと
  が自問されるべきである。特に、高度成長期〜バブル期の戦術は、今日の問
  題解決の選択肢としては大きな疑問符が付くものが多いのだから。さらに言
  えば、有史以来の「もの不足時代」の原理原則の大部分が「もの余り時代」
  には通用しなくなっている、と言うことも考えておいた方がよいかも知れな
  い。

   激動の時代、われわれは意識的にものの見方・考え方をチェックすること
  を怠ると知らず知らずのうちに過去に学んだ「戦術」に傾き勝ちになる。自
  分が持っている各方面の「戦術」のストックを一度棚卸しして見ることが必
  要かも知れない。このメールマガジンでは努めてそういう作業の刺激になる
  ような情報をお届けしたいと考えているが、さて、塩梅はいかがなものか、
  気が向いたら当社の掲示板にでも書き込んでいただくと有り難い。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━