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No.11 2001/9/28(Fri) ===================================== ◆ 『コンサルタントの眼』 ★毎週金曜日発行★ ◆□◆ ◆□■□◆コンセプチュアライザー・タケオノブオが ◆□◆ 経済・社会問題に関する様々な事象を批評。 ◆ ===================================== ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ◆コンサルタントの眼◆ 「戦略」とは何か ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 同時多発テロをめぐるその後の展開は、基本的に私がNO9(9月14日) で予測した方向に進んでいる。新しい動きを踏まえた今後の予測も試みたい が、今日は予告通り、「戦略」について考えてみよう。 「戦略」という言葉は周知のとおり、戦争・軍事用語から国家の運営、企 業経営、個人の人生設計などなど、計画の必要なありとあらゆる分野で使わ れている。そして「コンセプト」がそうであったように、「戦略」もまた使 う人の数だけ定義がある、というような状況である。いつも言っているよう に私はコトバの定義を一定させようと言っているわけではない。「戦略」と いう言葉はそれぞれ用いる人の発言の文脈の中で、前後の関係で理解するよ うにしなければならない。ある人が「5年間の人材育成戦略を策定する」と 発言したとすれば、この人は戦略=長期計画という意味で使っているな、と 理解して話を続ければよいだけの話である。「コンセプト」の時とまったく 同様です。 コンセプトもそうだったが「戦略」という言葉もなかなか他のコトバでは 代替しにくい固有の意味を持っており、この意味を理解してこのコトバを活 用することは、それを知らず。活用しない場合に比べて格段の差が出てくる。 実は「戦略」という言葉の定義は、軍事用語としてもなかなかはっきりし ていない。こちらでも軍事学者の数だけ戦略の定義がある、といってもさし 使えないような状況である。ひとつひとつ吟味していくと大変だし、当メー ルマガジンの読者の皆さんが期待しておられるところでも無いので、いきな り私が考える定義をご披露して先に進むことにする。 「戦略」とは、「現在の問題状況において問題が解決された状態を「目的」 として設定し、現に持っている資源及び期間内に調達可能な資源を活用して 目的達成に至るシナリオ」のことである。簡単に言えば、「目的達成のシナ リオ」のことと覚えておけばよい。以下、説明するが、今日は少し複雑な話 なのでプリントアウトして読まれた方が良いかも知れない。 戦略に先立って「目的」が確立しておかなければならない。 戦争の目的は何か、戦争の目的は「新しい、自国に望ましい平和」である。 この戦争目的を実現するための最大の目標として、敵国の継戦能力(戦争を 続ける能力)をうち砕くことが挙げられる。ある戦争の目的は、具体的な敵 国の有形無形の継戦能力をうち砕き、自国にとって望ましい条件での平和を 実現することである。従って、戦争にはどのような条件の平和を実現するか、 という目的・目標がまず必要である。 目的を達成するための目標群を確立する。戦争の場合、敵の継戦能力を無 傷の状態から能力を衰えさせ最後には降伏に追い込んでいく、節目節目の目 標を設定する。次にそれぞれの節目で目標を達成していくのが「作戦」の役 割である。戦略は、自国と敵国のそれぞれの総合的な戦力を対比・評価して、 決定的な目標達成の時点で確実に自国が目標を達成できるように仕組まれた シナリオのことなのである。 以上から導かれる「良い戦略を得る」ためのノウハウを考えてみよう。 1.コンセプトの重要性 良い戦略を立てる前に、妥当な目的を設定するということが大切である。 自分が何をしたいのか、はっきり誤解の余地がないように定義しておく。 先週述べた「コンセプト」として確立することが必要である。 2.目的を目標群にブレイクダウンする。最終目的はいくつかの下位目的に 区分けすることが出来る。この区分けを適切に行うことが大切。さらにそ れぞれの目的達成に至る経過で通過あるいは達成しなければならない地点 ・目標がある。これの設定も適切に行うことが必要である。 3.以上で大まかに描かれる目的に至る筋書きを活用可能な材料を駆使して 着実に実現していくシナリオが戦略だということであるから、最後に資源 を適切に見積もることが必要だ。過大な見積もり・過小な見積もりはどち らも戦略を誤らせることになる。大切なことは、「目的を達成するうえで 必要な能力」を基準に資源を見積もること。「目的」を抜きに戦力や資源 を云々しても仕方がない。 ※一般に資源は「人、もの、金」と表現される。 最近はこれに情報を付け加えたりするが、情報は必ず人を介してしか機 能しないし、そもそも戦略に関わることで人でなければどうしても動かな いところは情報に関する仕事である。情報は人に含んで考えたい。 4.コンサルタントなどは、経営分析において強み・弱みの分析などを試み ることになっているようだが、以上を踏まえれば、実現すべき目的・コン セプトが明確になり、これを基準とした場合にはじめて自分の強み・弱み は明らかになる。例えば、現時点で見たとき、抜本的な転換の必要性に迫 られている量販百貨店にとって、これまで数十年に渡って社員に施してい きた教育、彼らを成長させてきた教育・技術=強みは、転換を迫られてい る現在、転換を阻む抵抗要因、弱みとなっている、というように。 5.商店街を商業立地として評価する場合でも同様である。静態的な立地理 論で人が集まる・集まりやすい場所=小売業の好立地というような理解で 商店街=不適立地と考えていたのでは新しい事業機会を見逃してしまう。 ライフ スタイルの変化、消費購買行動の変化を把握して新しい商業集積 のコンセプトを創出する、新しいコンセプトを基準に評価すれば中心市街 地の商店街は絶好の新しい商業立地と評価される。 6.戦略は目的に従い・計画は戦略に従う、というのが一般的な考え方であ るが、これはややもすると無謀・悲惨な結果をもたらしかねない。目的は 考え出せる戦略に左右されるし、戦略は自分が利用できる資源(=人・も の・金の能力)という制約の中でしか創造・選択できない。 従って、取りうる戦略で達成できる目的を設定する、利用できる資源の 範囲で戦略を考える、という謙虚さが成功の秘訣ということになる。 7.ただし、石橋を叩いて念のために方向転換、というのは謙虚さではない。 平凡な資源を導いて非凡な目的を達成させるのは優れた戦略の効用である。 平凡な資源を前にこれで達成できる目的は、と考えればそこから出てくる のはとおり一遍のハウツウだけである。つまりは「改善」しか導き出すこ とができない。 8.今、われわれに必要なのは新しい成長であり、新しい成長を可能にする 目的の設定であるとしよう。そのためにまずやらなければならないことは、 問題状況を的確に捉える、ということである。問題状況を的確に捉え、状 況の中で自分が望むことを達成していくため必要なポジションをさだめる。 持てる力を総動員し、上手に活用して「ここからそこに至る」ためのシナ リオを書き上げる。期間や部門毎にシナリオを計画に移して実行する、と いうことになる。 問題状況からあるべき姿・進むべき方向を導き出す、動員可能な資源を勘 案しながらあるべき姿を描き出す、現状からあるべき姿に至るシナリオを描 き、計画的に実行していく、という一連の仕事の中で戦略の果たす役割、必 要な条件などがご理解いただけただろうか。 戦争という国家の運命を左右する・人間のこれまでの営為の全てが凝縮さ れている局面で目的達成を目指して立案される戦略、「ここからあそこへ至 るためのシナリオ」あるいは「ここをあそこへつなぐための道筋」である。 優れた戦略を立てるにはまずは「戦略とは何か、何故必要か」ということ をしっかり理解することが必要である。そういうことで今回は戦略について 考えてみたが、実はコンセプトや戦略などの概念は、能力開発、特に「問題 解決能力開発」というわれわれが是非とも取り組まなければならない課題へ の必須アイテムなのである。 このメールマガジンでは折に触れて問題解決能力を充実強化していくため に必要な情報も提供していくのでお楽しみに。 なお、この記事に関連する「改善か改革か」という論議をホームページの Web商人塾中、講義室にアップしたので参照されたい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆quolaid.com情報◆ ※中心市街地活性化 ◎小売吸引力理論批判 http://www.quolaid.com/city/city125.htm ※商人塾 ◎第3講 個店の活性化 その3 店づくりの「改善」と「転換」 http://www.quolaid.com/city/web-sem.htm ◆次号:NO.12 10月5日(fri) |