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No.09 2001/9/14(Fri) ===================================== ◆ 『コンサルタントの眼』 ★毎週金曜日発行★ ◆□◆ ◆□■□◆コンセプチュアライザー・タケオノブオが ◆□◆ 経済・社会問題に関する様々な事象を批評。 ◆ ===================================== ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ◆コンサルタントの眼◆ アメリカの戦略が破綻した ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 今日は日ごろの記事とはがらりとおもむきを変えてアメリカの中枢部に対 するハイジャック・テロ攻撃で明らかになった米国の世界戦略の破綻につい て考えてみたい。 アメリカは、NMD、TMDという、敵国の核ミサイル発射を直後に探知して迎 撃する、という方式で自国に対する核攻撃を抑止することを戦略としており その着手が始まっている。システムの研究の一部には我が国も協力すること が報道されている。今回のハイジャックした民間旅客機を乗客・乗務員もろ とも武器として使ったテロは、アメリカの戦略を大きく揺るがすことになっ た。「戦争の形態」が変化してしまったのである。 第一に戦争の主体が変わる。 これまでは、国家が戦争の主体であり、国家対国家間の戦争と既存国家対 新国家(を目指すグループ)間で主権をめぐって争われる「内戦」というの が「戦争」であった。このような従来型の戦争はこれからも起きることだろ うが、加えて全く新しい戦争の形態が「発明」されたのである。 新しい戦争形態とは、国家(群)対NGO(NON GOVORMENT ORGANIZAITION!) の間で戦われる戦争のことである。ここで言うNGOは自前の政府の樹立を目 指すわけではない。世界に対して自分たちの主張があり、その実現を目指す ために実現を阻んでいる(と考えられる)相手国家に対して戦いを挑む、 というわけだ。これがサイバーテロになると、なんと個人対世界の戦争と いうことになる。 第二に、戦闘形態が変わる。 新しい戦争形態は、戦争において用いることの出来る手段が変化し、戦術 が変化し、戦闘の形態が変化したことが後押しして生まれたとも言える。 例えばピンポイント攻撃である。スマート爆弾や巡航ミサイルなど、「戦闘 員同士が直接面接せず、目的地を精密に攻撃することが出来る」という特徴 を持つ攻撃手段は、湾岸戦争〜コソヴォ紛争などで「民間人を極力巻き込ま ずに敵の戦争を継続する能力を破砕する」という戦略を可能にした。 今回のテロは、このピンポイント戦術を進化させてまことに残酷な戦略へ と昇格させた。今回のテロにより、ピンポイントは、「味方の犠牲を最小限 にしながら敵に最大の犠牲を強いる」戦略に「進化」したのである。 第三に、戦争における「空間」の意味も大きく変わることになる。 空間・位置・距離、したがって時間の観念が大きく変わってしまうのだ。 これまでの戦争では、たがいに一定の空間を占拠しているもの同士の戦いで あり、その空間的な位置関係が戦略を規定していた。空間が離れていれば、 それだけ攻撃に対処するための時間的余裕が得られる。 米国が採用しようとしているミサイル防衛戦略とは、自国に対して避けが たく・耐え難い損害をもたらす攻撃(=これまでは誘導核ミサイルによる攻 撃が唯一の方法と考えられていた)を無力化することで核攻撃を断念させる、 自国が核優位性を保持することで世界の核抑止体制を作り上げる、というこ とであった。 もちろん、これは核抑止そのものが目的ではなく、「耐え難い損害を与え る攻撃」の抑止を目的とするものである事は言うまでもない。 今回のテロが証明した非誘導ミサイルによる「耐え難い損害を与える攻撃」 の可能性は、MDを中核とするアメリカの世界戦略を根こそぎ台無しにする ものである。 米国のMD戦略は、発射から攻撃までの時間的余裕を前提としている。 ところが今回のテロは、誘導核ミサイル以外にも「避けがたく・耐え難い攻 撃」が可能であることを残酷な現実として証明したのである。 MDは戦争形態には無力な戦略である。NMD・TMDは誘導兵器以外の手段で加 えられる「誘導兵器相当の攻撃」を抑止することは出来ないのである。 (その後の経過に明らかなように核拡散を促進することは出来るが) 新しい戦争形態のこれからの展望は、NGO側の戦闘手段の「ピンポイント」か ら「面」への進化ということである。スーツケースで持ち運び可能な核爆弾、 ウイルス感染者の送り込みなどいくらでも手段はありそうだ。 新しい戦争は、始めから終わりまで「人の意思」に依拠する戦争である。 これを抑止する有効な物理的手段の開発はなかなか難しそうだ。 人類はまたしても新たな課題を背負い込んだことになるが、これはきわめ て個人の意志及びその対決処理に関わる問題である。個人対世界という「究 極」の戦争までも展望した新しい対応が構築されなければならない。 その意味で米国の「報復」がどのような戦争理念に基づいて展開されるの か、そのあり方を注目したい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆関連用語◆ ※NMD(国家ミサイル防衛) アメリカ本土を防衛対象とする国家ミサイル防衛構想 ※TMD(戦域ミサイル防衛) 同盟国や海外駐留アメリカ軍を防衛対象とする戦域ミサイル防衛構想 {参考} 弾道ミサイル防衛(BMD)はアメリカ本土を防衛対象とする国家ミサ イル防衛(NMD)構想と同盟国や海外駐留アメリカ軍を防衛対象とする 戦域ミサイル防衛(TMD)構想からなる。現在抗争中のTMDは97年 のABM条約に関する合意声明(ABMとは秒速5q超・射程3500q 超のミサイルを迎撃するものとする)に従えばABM条約の規制対象外と なるが、NMDの導入にはABM条約の改正が必要とされ米ロ間の懸念と なっている。 <現代用語の基礎知識2001より> ◆quolaid.com情報◆ 【FLASH NOTE】 ※「魅力ある個店づくりを目指して」 Date: 2001-09-11 (Tue) ※中心市街地活性化のメニュー Date: 2001-09-05 (Wed) 【WEB商人塾】 ※第二講 その2:環境の変化をプラスにする Date: 2001-09-12 (Wed) |