投稿時間:2001/10/26(Fri) 09:00
投稿者名:takeo
タイトル:郊外型SCの教訓
今回は趣向を変えて以前私がニフティの「都市計画フォーラム」に投稿した記事を紹介しましょう。「4」に郊外型SCの実態批判ということで当時オープンしたばかりの「トリアス久山」を批評しています。
(誤って「業態」についてのツリーを削除してしまいましたので)
『街づくりセミナーに参加して 発言日時:
99/05/16 12:18』
1.先日,自治体主催の「まちづくりセミナー」に参加する機会がありましたので,まずその感想から。
(1)中心市街地活性化というとき,「活性化」とは街がどうなることをいうのか,明らかにしておくことが必要であるという問題意識は,当日の後援者にほとんどありませんでした。2,3年で担当者が交替していく行政はいざ知らず,永続的に商店街等の支援・指導に専従しているはずの関係機関においても同様です。
(2)このことはたまたま当日の講演担当者が言及しなかった,ということで済むことではありません。「これまで私が再三述べているように,商店街活性化の取り組みにおいて活性化」ということで何を実現しようとするのか,目的を明らかにすることが如何に大切か・この時期,最も力説しなければならないテーマだと思うのですがいったいどういうわけでしょうか。該方面の経験のない私には理解できないところ,どなたかご教示いただければ仕事を進める上で助かります。
(3)私の理解では,一般に大仕事は@まず「活性化」という仕事の目的をあきらかにして,A所与の条件を踏まえながら目的達成に必要な下位目標を設定する,B目標達成のシナリオを描く,という段取りが必要であり,当然,「基本計画」の内容もそうあるべきと思います。
(4)いうも愚かながら,「目的」は,所与の環境における目的達成のための目標を導き出し,目標は計画の枠組みを規定します。計画は作業を統制し,かくて複雑な要素から成り立つ全体の動きが目的達成にむかって方向付けられるわけですね。
目的を明確にすることは,仕事の節目,節目で全体としての作業が目的を達成する方向へ進んでいるかどうかということを判断する基準を持つている,ということです。目的がないと,個別の仕事をやり遂げた,という現場での満足感はあっても「活性化」は実現できない,ということが起きかねません。すでに全国至る所で起きていることすが。
(5)という状況で私が本会議室で提起してきた「活性化の目的ないし定義を明確にすることが必要ではないか」,ということは残念ながらまだまだ一般的な問題意識とはなっていないようでした。一方では相当の都市が『基本計画』,作り終えていますよね・・・。まあ,「ごまめの歯ぎしり」というところでしょうかねえ。
(6)本会議室にご参加のみなさんはけしてそんなことはありませんよね。
2.「ショッピングモール」について
(1)通産省は,中心市街地の商業地区を1個のショッピングモールと見立ててタウンマネジメントする,という方向を打ち出しています。
私も繰り返し強調してきたように,中心市街地の賦活には一般に中心商店街の活性化が最も緊要な課題であると考え,その方向を「アップスケールモール」としてそのコンセプトの素描を提起しています。従来の商店街が具現している商業機能のままでは活性化は不可能だと考えるからです。行政においても中心商店街の活性化を実現するには「モールと見立てる」ことの必要性があるということでしょう。
(2)とするならば,ショッピングモールとは一体何であるか,ということを明らかにすることが必要です。ショッピングモールの内容理解を前提としてはじめてそれが活性化の切り札である,とか,そうでもない,とか判断することが可能になりますし、モール実現へのシナリオを考えるためにも不可欠です。(もちろん,「活性化」の定義が優先しますけど)
(3)ところが,管見の限り,ショッピングモールとはいったいどのような商業集積なのか,商業機能の1類型なのか,商業施設の1形態なのか,ということが明確になっていない。これは大変重要なことです。マネジメントする集積の性格が定まらない以上,テナントリーシングの計画も,もっと基本的にはその開発・運営にあたるタウンマネージャーに要求すべき資質も判然としないはず。
(4)昨日までの商業理論では,SCは来店頻度を基準にRSC(広域型),CSC(地域型),NSC(近隣型)というように分類されていました。(これらの分類は現実の商業の発展を十分説明できず,新しい概念,理論体系が必要であり,takeoはその1案を先に提示した。)
「ショッピングモール」は,どのような商業機能を担うのか,郊外の各類型のSCとの関係はどう考えられるのか,ショッピングモールの核店舗にはどのような業種・業態が適切か,空き店舗を利用してテナントリーシングを構築する場合も,業種・業容選定の基準は商業集積としてのコンセプトが先行しないと,本当に「集積」としての機能を実現していくことは不可能です。(もっとも「4」で見るようにおしなべてわがSC業界は全体としてこのレベルにあるのですが)
(5)このように,中心商店街活性化のひいては中心市街地賦活の鍵を握るショッピングモールという概念は,例えば「スーパーマーケット」というような概念同様,関係者にとってすでに共有されている概念であると前提されているのでしょうか。実態はけしてそうではないはず,商店街関係者はもとよりコンサルタントでも説明出来るだけの理論的な蓄積をもっているところはきわめて少ないと思います(ショッピングモール=買い物公園では目的との関連が出てこない)。
「活性化」,「ショッピングモール」とという目的と戦略というレベルの概念規定を放置したままで仕事が出来るわけがないので,各都市で活性化に取り組まれるみなさんは,自力でこれらの理論的な作業に取り組むことが必要ですね。まあ,その方がやりがいがある,と考えたほうがよいのかも知れませんけど。
3.一体的推進の目標について
(1)『基本計画』,多くの先行事例では「歴史と文化を活かす」ということが目標として掲げられているようです。拝見すると,「活かす」としながら内容は,あれをこうしてこれをこうする,という具体的な整備の計画になっています。
(2)中心市街地に所在する歴史・資源を「活かす」には「どう使ったら活きるか」,
「どういう目的に活かすのか」,「活性化とどう関連するか」ということがハッキリしていないとなかなか難しいのではないでしょうか。「見学にきてついでに商店街で買い物していって」というレベルのお手軽発想ではとてもとても,ということは既に十分お分かりいただいていると思います。
(3)まあ,街づくりで「文化・歴史を活かす」といっておけば誰も反対する人はいないでしょうから(takeoは反対ですが),前後の脈絡抜きで走っちゃうんですね。どこでもやってるし,メディアも評価するし・・・。
先行事例では,歴史的な遺産などを利用して中心市街地にとにかく・何でもいいからきてもらう=「店前通行量」増大を目論んでいるものが多い。「歴史・文化を大切にする,活かす」と大見得を切りながら,やってることは遺産を見せ物に小銭を稼ぐという情けない発想が見え隠れしています。自分たちの子孫がこのていたらくでは,往時,進取の気概をもって「遺産」ではなく「現実」を作りあげた郷土の先人たちは,草葉の陰で涙をこぼしていることでしょう。
(4)漫然と遺産を観光資源にしたり,中心市街地の客寄せパンダ化するとどのような結果が生じるか,これは改めてどこかで展開したいと思います。
(3)を考えれば「成功事例」と評されているものもけして手放しで評価したり,安直に追随出来る手法ではないことは容易に察しがつくことと思います。
(5)活性化の目的,中心商店街活性化の目標特に分担する商業集積としての性格の決定ということを「抜き」に活性化を実現することは出来ない,ということは,この段階でいくら強調しても強調しすぎることはない,と思われます。
4.その他
(1)前評判の多かった「トリアス久山」。
@私も商業コンサルタントの端くれ,新しい商業施設はすかさず視察してその命運を予測する,ということを趣味を兼ねてやっています。同業者などが「オープン景気の時点では先行きの評価は出来ない」といっている時期にいち早く成否を評価するのはそれなりに楽しいことですので。
Aこれはもう,一言でいって,さすがダイエー流というか日本型SC流というか,教科書記載のSC3類型あるいは例えばtakeoバージョンの3類型,その他何でもよろしい,一体ここはどんな類型の商業施設なのか,考えてみると面白い。「アウトレットモール」なのか「パワーセンター」なのか,はたまたRSCなのか・・・。
B別に「類型」に合致しないことが問題ではなく,顧客の購買行動,来店目的別に商業機能を分類する,というアプローチをとったとき,トリアスはどのように位置づけられるか,ということですね。
Cテナント各店を見ると驚くほど整合性が取れていない。先行きは厳しいですね。
特に「トリアスモール」,テナント各店が「アウトレット・モール」を勝手に自己流で解釈して出店,店づくりしているとしか思えない。まあ,テナントリーシングの紆余曲折は仄聞していますけど,それにしても,ということです。
D「計画された商業集積」というときの「計画」は集積としての機能とそれを実現するためのテナント構成のことであり,敷地や建物の計画ではないはずです。お客は自分の来店目的と異なる店の数で行き先を決めたりはしないでしょう。寿司を食べに行くときに寿司屋の周りにラーメン屋が何軒あるかなんて誰も気にしませんからね。
E「雀百まで何とやら」と絶句せざるを得ない。
もとはといえば,「小売業の見本は米国にあり」,「戦略は時流追随」という米国事例の「見た目の物まね」に終始してきたツケがGMS業界に一挙に回っているということでしょう。
Fテナントもテナント,なんと全国チェーンの著名ファッション企業でここと博多リバレインの両方に同一内容で出店しているという例もあったりして。
(2)商店街の活路
@とういいうことで,最新の郊外型SC及びそのテナントを構成する企業がどのような水準にあるか,ということを実際に判断するにはよい材料だと思います。郊外型商業集積のレベルが分かればあらためて中心市街地の商業立地としての可能性が再確認することができることでしょう。
A商業集積を計画するにあたって如何にコンセプトが重要であるか,ということをもう一度確認したいと思います。「ショッピングモール」もコンセプト,テナント構成が最優先で計画されないと,郊外型の二の舞です
投稿時間:2001/11/04(Sun) 16:33
投稿者名:takeo
タイトル:Re: 郊外型SCの教訓
来週、熊本県荒尾市のアウトレットモール、セキヤヒルズ、八代市郊外のダイヤモンドシティ南熊本、鏡町のスパーマーケット、アーバンをクリニックします。これは私どもが提唱している「商業集績の3類型」を実際に1日で見て実感してもらうという企画です。
参加者にはセキヤヒルズ、ダイヤモンドシティが果たして3類型のコストコンシャスニーズ対応型、「アップスケール(ラグジュアリィ)ニーズ対応型にそれぞれ合致するかどうか、よく観察していただきます。
クリニックの結果についてはサイトのどこかにアップしましょう。
投稿時間:2001/11/13(Tue) 07:23
投稿者名:takeo
タイトル:Re^2: 郊外型SCの教訓
セキヤヒルズとダイヤモンドシティ、ついでに壽屋の宇土店、見てきました。これらのSCの状況については、今週中にFLASHNOTE欄にアップしたいと思います。
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