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FLASH NOTE 2003 保存版


F100■自民党総裁選が露呈していること2003-09-09 (Tue)

 4候補が出そろい、経済の「小泉路線」の是非を巡って戦われています。
では、権力争奪の軸となっている「小泉路線」とはいったいどのような路線でしょうか? 不思議なことに(省思考列島では不思議でも何でもないことかも知れませんが)「小泉路線」というのは各論有って総論なし、いったい我が国をどこに向かって導こうとしているのか、まったく正体が分かりません。おまけに「アンチ小泉」の3候補もたしかにそれぞれ各論的には「反・小泉」ですが、それでは目標は何か、ということになるとどうもはっきりしません。

 小泉さんのスローガンは、「構造改革」です。改革というからには、現在の構造には改革すべき点が多数ある、ということを意味しています。いうまでもありません。
「改革」には何をもって「改革」というのか、その基準がはっきりさせておくことが大切です。たとえば、町内に三カ所あるゴミ収集場を二カ所にすることは、ある視点からすると「改革」でしょうが、これを「改悪」と判断する立場もあり得ます。
 もちろん「どっちだっていいや」という人もいるはずです。この相違はもちろんゴミ捨て場はいかにあるべきか、という考え方の違いに基づいています。根本の考え方が異なればある人にとっては「改革」になることが、別の視点からは改悪になったりする。

 政治家が「改革」を唱える以上、現状改革はなぜ必要か、提起している政策を遂行すればなぜ改革につながるか、ということを十分説明することが必要です。

 この場合、「改革の必要性」については比較的たやすく主張できます。現実に様々な弊害が起きているからこその「改革」の提唱ですからね。

 ところが、「改革とは現状をどのように変化させることか」ということになると諸説出てきます。「変化させる」とは特定の方向に移動するよう働きかけることですから、特定の方向への移動が「改革」であることを証明しなければならない。「改革」とは単に変化ではなく、望ましい方向への変化ですからね。「何が望ましいか」ということがはっきり提示されないと改革の可能性も賛否も論じられません。

 小柳さんの「構造改革」は、肝心のなぜ改革が必要か、小泉流の改革を断行した先では何が実現するのか、ということが説明されていません。とにかく現状を突破する、というだけでどこに向かうのかということがない、就任以来2年半、小泉さんはこのことをはっきり説明しなければならないと思います。

 残念ながら、一番の争点になっているといわれる経済についてみる限り、小泉さんの掲げる政策がどうして・どこに向けた・「構造改革」なのか、まったく見えてきません。短期的に見ても、金融再生がどのようなシナリオのもとで経済再生につながっていくのか、まったく明らかになっていません。
 いわれているような「郵政民営化」、「高速道路民営化」などは枝葉末節とまではいいませんが、少なくともメインイシューでは無いことは確実です。大きな時代の転換期、今現在の取り組み次第でこの国の将来のありかたが大きく変わる、工業社会からポスト工業社会への移行という時期に他に優先して取り組まなければならない課題とは思えません。

 総裁選の有り様は、未曾有の転換期だというのに転換を仕切っていく理念が無い、というよりもむしろ我が国の政治家にはそういうレベルの転換期だという認識がない、ということをまざまざと露呈しているように思われます。

 「理念無き小泉流構造改革」に対して「理念」をぶつける候補者が出てはじめて時代的に意義のある総裁選になると思います。「理念」はいうまでもなく、「ポスト工業社会」への対応としてどのような方向を目指すことが新しい世紀の日本のあり方なのか、ということを論じてもらいたい。この時期の国家の行く末を左右する総裁選、他のイシューでは道を誤る可能性が高いと思います。

 向こう3年間の国政のあり方は、将来の我が国の進路についてきわめて重大な影響を与えるものであることは言うまでもありません。この時期の自民党総裁選がどのようなテーマのもとで戦われるのか、何はともあれ、しっかり見届けたいと思います。

 これから10日間の論議を是非期待したいものです。

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