topへ戻る

資料庫へ戻る
flashmenuへ戻る

FLASH NOTE 2003 保存版


F094■三セク・都心・商業ビル 2003-06-29 (Sun)

 ご存じの通り、上記の典型的な例である北九州市の「コムシティ」が閉鎖に追い込まれました。開設・運営は第三セクター、立地は八幡区黒崎駅前、用途は商業ビルという「3点セット」です。破綻ないし業績が憂慮されている物件を思いつくままにあげてみると、福岡市のスーパーブランドシティことリバレイン、佐賀市のエスプラッツ、久留米市は名前を失念しましたが岩田屋の前のファッションビル、その他にもたくさありますね。
 全国的に見れば、いつ破綻してもおかしくない、という物件が目白押しのはず、中には一部で「際だって鮮やかだった」と評されているエスプラッツの処理にあやかりたいと考える行政の担当者もあるかもしれません。
 『中心市街地活性化法』のスキームで現在建築中のところもあると思います。そういうところにとって他都市の事例は身の毛がよだつようなことばかり、というのが掛け値なしのところですね。

 とうことで今日は「三点セット」について考えてみたいと思います。
 初めに結論を言っておきますが、これはけして「三セク」が悪いわけでも「立地」が悪い訳でも「商業」という事業機会が悪かったわけでもありません。もちろんそれらの条件が集まった「三点セット」という仕組みが悪いわけでもありません。
 それではどうしてこんなに判で押したように「三点セット」はうまく行かないのでしょうか? それはズバリ、企画がなっていないからです。以下、そのことを論証します。関係者はだまされないように眉につばを付けて読むように(W

ではまず、三点セットをバラバラにして考えてみましょう。

1.第三セクターとはなにか。
 まず、三セクのコンセプトをしっかり確認しておくことが必要です。三セクとは、
@将来にわたる都市経営上、戦略的な位置を占める事業として位置づけられるが、
A環境その他の条件から直ちに収益があがらないため、民間営利企業では着手しがた い事業について、
B行政が信用、人材等を提供、民間と協力して事業を立ち上げる。
というものです。
 簡単に言えば、将来の見込みは十分だが軌道に乗るまでには厳しい局面が予測される、という事業機会にチャレンジする手法ですね。この手法はこれからの都市経営において駆使することが必要ですからね、中心市街地関連で経験を積んでおくことがもってこいの能力確保の機会です。
 つまり、地域活性化のために必要なある事業について三セクで行く、ということは、自動的に「軌道に乗せることが難しい事業である、、と言うことを潜在的に含んでいる訳です。企画に当たってはこのことを十分確認しておかないといけません。「ビジネスとして取り組まれる事業よりも困難かつ重要な事業」という認識を持ち、困難を予想し対応策を考えておくことが必要です。とりわけ都心の商業核がわかっているソフト&ハードの専門家は皆無に等しい状況ですからこのあたりをどうするかと言うことが大きな課題になる。
とりあえず「三セク」については以上のとおり、三セクだったから、と言おう理由で失敗した事業はただの一つもありませんね。これが一つ。

第二に、立地。
 都心立地の特徴は、今や「わざわざ出かける以外に行かない」という場所ですね。つまり、「活性化法」の「三要件」に象徴される状況にあるわけで、「三点セット」が思い立たれるのも、もとはと言えば中心市街地に強力なデスティネーションを現出せしめ、この集客力をもって中心市街地の活性化を牽引させようと思うが、その気になってくれる営利企業がいない、という中で取り組まれる文字通り戦略的なプロジェクトです。

 中心市街地は商業立地として果たしてどのように評価されるのか?
 これはケースバイケース。というか、中心市街地でなら成立する業容、中心市街地では逆立ちしても成立が難しい業態、というものがあり、中心市街地で成り立つ小売業集積の類型を選択すれば、郊外型の商業集積とはきれいに棲み分けが可能です。このあたりは当サイト常連の皆さんには言うまでもないことですね。

第三に商業ビル
 都心立地の商業ビルは、「郊外のショッピングセンターをはじめありとあらゆる商業機能を横目で見ながら、あるいはわき目もふらず、アクセスの悪い都心まで吸引することが必要です。さらに、「核」という役割を背負っていますから、中心市街地に立地する商店街など既存集積との連携も考えておくことが必要になります。
 もちろん、これはどんな業態類型の小売業でも都心で成立すると言うことではありません。営利が目的と称される百貨店やファッションビルなどが相次いで撤退する、すなわち「短期的には軌道に燃せにくい」事業であることは間違いありません。
 こうしてみると中心市街地に新設される新しい商業ビルの役割およびそのあるべき方向について、当ホームページ常連のみなさんにはある程度察しがつかるたのではないでしょうか。

 さて、このように「三点セット」を個別に検討してみると、事業が軒並み失敗しなければならない理由がどこか個別の要素の中に隠れているわけではないことがおわかりのこと思います。
 それではこの三つが一つの企画に集約され、合体すると失敗が運命づけられる「三点セット」に変身するのでしょうか?

 怪獣映画ではありませんからそういうことは全くありません。
 ではどうして三点セットはことごとく失敗するのか?
考えられるとすれば、s三点セットの各要素の中に他の要素と本質的に相性の悪いものが入っている、と言うことですが上で見たかぎり、そういう性格の要素はありません。
 にもか関わらずなぜ事業は失敗するのか?

 答えは簡単。失敗するようなことをやるから失敗するわけですね。もちろん、誰も失敗させようと思って仕事をする人はいないわけですが、それでも失敗するのは、これは必ず失敗する以外にない、という企画を立てているからです。

 現在中心市街地で企画されている商業集積計画のほとんどは、商業立地としての都心の性格、都心で成り立つ小売業とはどのようなタイプの商業か、と言うことをほとんど考えていないレベルの「企画」です。これは企画段階でどんな高名なコンサルタントが何人参画していてもたぶん事態は変わりません。これまで失敗が伝えられている商業ビルもほとんどが専門家の企画によるものですからね。
専門家の企画がどうしてことごとく失敗するのか、これはこれでまた検討に値することですが、今回は割愛します。

 「三点セット」方式で作られる商業集積は、@郊外型SCのまがい物、A米国流のエンターテインメント複合SCの物まね、B20年遅れのパルコ的ファッションビルのいずれかです。どれをとっても今どき〜これからの都心で三セクを使って軌道に乗せられる、という商業ではありません。
 つまり、失敗の原因は「三点セット」にではなく、この方式で推進した「企画」の方にあったのだ、ということです。

 「三セク」が悪い、「立地」が悪い、「都心で商業はやはり無理」などと後知恵的な批評が聞かれますが、馬鹿も休み休み言ってもらいたい。もし本当にそう思うのならどうして事業案が浮上した段階でつぶさなかったのか、と言うことですね。スタート時点では「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というムードだったのでしょうか。
 地方分権がらみでこのようなパターンも今のうちに改革しておくべきですね。

ところで、このサイトではすでにお気づきのように、「ショッピングモール論」が十分展開されておりません。
端緒的には
 http://www.quolaid.com/library/wj-bn2/wj2.htm
にありますが、これはみなさんの反響がなかったために中途で挫折しています。これを続けていれば今回の記事は不要だったかもしれません。

 この記事は相当長くなりますから、「商店街活性化フォーラム」に移して続けたいと思います。


Copyright (C) 2003 (有)クオールエイド  All Rights Reserved