topへ戻る

資料庫へ戻る
flashmenuへ戻る

FLASH NOTE 2002/05 保存版


F061■個店の転換  Date: 2002-05-24 (Fri)

 このサイトの記事の多くは、当社が何らかの形で行った問題状況へのアドバイスを基礎に、多くの都市に共通すると思われる課題へのアプローチを提案している。「都市共通の課題」ということで、具体的な事例とは異なる問題になったり、状況などもどこの都市、と特定できないように工夫している。特定の相談事をヒントにさせてもらいながら、一般論を展開している、とご理解いただきたい。

 さて、TMOがスタートした都市の課題は、なんと言っても「個店の活性化」である。この問題は「活性化法」が制定された当時はあまり問題視されていなかった。基本計画・TMO構想を作り、ハタと気がつくのは、「こういう事業は全部どこかの商店街がすでにやってきたことであり、やっても成果が挙がらなかったことではないか」ということである。(これは行政も点や面の事業では成果に乏しかったと自覚しているのだが・・・)
 成果が挙がらなかったというのは、事業取り組みの究極の目的である個店の活性化=繁盛店が続出すること、というが実現できなかった、ということである。これはある意味当然であり、シャッターの内側に原因があって売上げがダウンしているものをシャッターの外側の施策で改善することは出来ない、という鉄則が貫いている、ということである。
 お客は生活に必要な材料を調達するために来街・来店する。自分の生活にとって適切な商品が手に入らないとするなら、どんなきれいな商店街でどんな心のこもったサービスを受けても買い物する気にはなれないのである。買い物の成果は、商品を家にもって帰った後にはっきりするのである。

 こういうことがだんだん分かってくるにつれて(それにしても分かるまでエライ時間が掛かったものだが)、各個店の業績向上ということが実現しないと商店街自体の活性化も有り得ない、商店街活性化の鍵は個店の活性化だ、という認識が相当のスピードで広がりつつある。結構なことであるが、手放しで喜ぶわけにはいかない。

 個店の改革なら個店単位で取り組ませる、ということでコンサルタントを用意し、診断指導希望者を募り、2,3時間ヒアリングと提言をしてもらって「個店の活性化」事業とする取り組みもあるようだ。ハッキリ申しあげて、こういう事業はやらない方がマシである。大体2時間くらい(1日でも1週間でも良いが)指導を受けると繁盛するようになる、というのなら何も活性化事業などやる必要は全くない。こういう事業はハッキリ退歩である。
 ショッピングモールへの転換と個店指導は車の両輪、一体的に推進しないと両方とも実現できない。断固として二兎を負うべきである。

 では、TMOが取り組む個店の転換はどのようにアプローチすべきか? どう考えれば個店が繁盛し、その繁盛が街全体の活性化に反映されていくのだろうか?

 街に立地する個店が、単独の努力で繁盛店へと生まれ変わっていく、という可能性はほとんど無い。これはしっかり理解しておいていただきたい。間違っても商店街活性化=立地する個店を指導して再生させる、その足し算として街が活性化する、ということは考えないこと。もちろん現場を十分知っている会議所レベルではとても出てこない発想であるが、県や市レベルの施策としては出てくる可能性が有り、予算措置がなされるとこれに省思考的に追随していく会議所、TOMも有るだろう。

 こういう類の個店指導で商店街立地の個店が繁盛店に生まれ変わる可能性はまったく無い。こんなことで何とかなるのなら、法律まで作って対応する必要はなかったのである。商店街活性化の究極の目的は商業立地としての再生=立地する個店が儲かるようになること、である。

 個店の経営相談についてはこれまで通り相談所で対応すればよい。
商店街活性化を推進していく上での個店への施策は、従来の個店の経営改善とはまったく異なるレベルで考えなければならない。

 課題をはっきりさせておこう。
商店街活性化の一環として取り組まれる個店の転換とは、その取り組みを通じて個店が活性化されるとともに、その活性化されたありかたが商店街全体のプラスになっていく、という方向で構想することが絶対条件である。このことに疑問があってはならない。
 つまり、街全体の取り組みや他店の取り組みが自店にとってプラスになり、同じように自店の活性化が街や他店の活性化に寄与していく、という方向で取り組まないと成功することはありません。(これは大切なところだから理由をしっかり納得したい人は掲示板で質問すること)

 ここで基本計画の「一体的推進の目標」を思い出していただきたい。ハード事業と商業活性化等の事業の二つを車の両輪として実現する「目標」はなにか? その目標が達成されれば事業を推進した商業者達が経営する個店が活性化する、ということが織り込まれている「一体的推進の目標」でなければ基本計画自体が目的を達成できるレベルのものになっていない、という重大な結論になるわけだが、ここではこれ以上そのことには触れない。
 いずれ、「中心市街地活性化基本計画の診断」という事業メニューを提案するのでそちらでご検討いただきたい。

 さて、ご承知のとおり私どもは「一体的推進の目標」として、「街ぐるみでのショッピングモールへの転換」ということを提唱している。以下はこの提唱に基づいて個店の転換と街の活性化を考えてみたい。

 ショッピングモールとは、ラグジュアリィニーズを対象に構築された商業集積のことである。ラグジュアリィニーズとは「必需品に選別基準として自分の好みが加えられたニーズ」のことであり、流行や商品のグレイドを基準とした買い物ではなく、個々人の好み、商品が持つ特性へのこだわり、ということが基準になって行われる買い物ニーズである。
 ショッピングモールとは、ラグジュアリィニーズに対応することを存在理由=デスティネーション=お客から見た来街目的として、「計画的に作りあげられる商業集積」のことである。

 いいですか、モールへの転換とは、@中心商店街が活性化のために A既存個店の転換を中心に取り組む B計画的な商業集積作りの手法 なんですからね。

 個店の転換・活性化の取り組みは、街全体の活性化の方向が定められており、かつ、個店の取り組みがその方向に沿ったもので有る場合に限り、先に述べたような意味での有効な取り組みになっていく。街全体の活性化を推進していく方向が決まらないうちに個店の活性化に取り組むというのは、ロードサイドのフリースタンディング店舗の活性化とまったく同じ条件である、ということを理解しておこう。集積としての効果を発揮する方向が決まっていない商店街は個店の立地としてはほとんど魅力に欠けている。

 街が新しく商業集積として実現を目指す当該都市において分担する商業機能を決定する前にTMOの活動として個店の活性化に取り組む、というのはほとんど中心市街地・商店街活性化について自分の頭で考えたことが無い、ということを告白しているようなものである。告白するのはかまわないが、その事業に参加させられる組合員は、見込みのない仕事につきあわされ、その間確実に体力を消耗していくことになる。

 私どもが提唱する方向で、すなわちモールの実現を目指す取り組みの一環として計画される個店の転換のあるべき方法、取り組み方について、「具体的にはどうするんだ」という質問を受けることが多くなっている。
 活性化に取り組む新しい商業者組織のありかたとともに、そこに集う商業者が実践しなければならない「個店の転換」について展開していくべき時が来ている。

 個店の転換と街の活性化を分断したり、先後関係として考えたりするととんでもない間違いなので注意すること。個店の転換を考えるときは、同時に街ぐるみ転換へのインパクト・効果と言うことを考えなければならないし、街ぐるみの事業を企画する場合は、事業を活かすために必要な個店の転換努力を明らかにする、転換のために平行して取り組む個店のシャッターの内側の仕事を計画する、ということが必要になる。

Copyright (C) 2003 (有)クオールエイド  All Rights Reserved