今回は熊本方面への視察のメインである、共同店舗「アーバン」(鏡町)について。このSCは様々な点でユニークな性格を持っている。
1.第3セクター「かがみ街づくり梶vがデベロッパー。
町役場の移転に伴い、跡地の有効活用を目指し、鏡町が役場跡地を現物出資、商工会をはじめ町内有志とともに設置した第3セクターがデベロッパーとなっている。
同社は資本金4億7,900万円のうち2億1,400万円についを中小企業事業団の出資を受けている。
2.SCはアーバンショッピングシティ協同組合(組合員8名)が運営している。組合員の業種は、文具コーナーをのぞきコンビニエンスニーズに絞られている。
3.道路を隔ててSMチェーン「マイショク」が立地しており、さらに同一商圏に大型量販店ニコニコドーが出店するなど厳しい競争環境に直面したが、いずれも乗り切った。現在、マイショクは撤退、ニコニコドーは当SCに対して苦戦を強いられており、テナントの撤退が相次いでいるという実態である。
4.広域商圏にジャスコを核とする広域SCが進出、10%売上げダウンという影響を蒙ったが2ヶ月で回復した。
当SC好調の要因としては、当社が提唱している「商業集積の3類型」のうち、「コンビニエンスマート」すなわち、コンビニエンスニーズ対応に特化したテナントミックス、商品ミックスを実現している、という点にあることは間違いない。もちろん、個別売場のレベルも高く,特にミールソリューションコーナーの充実ぶりは群を抜いている。
このようなSCが存在することは鏡町住民にとっては生活インフラとしての充実した買い物の場が近くにある、毎日の買い物ためにわざわざ遠くまで出かける必要がない、という条件を実現している。
商業集積は地域の住民から見れば生活インフラである。このSCは、購買ニーズの変化をふまえて、あるべき商業集積としての機能をきちんと実現すれば、たとえ小規模なものであっても漫然と作られた水増し大型SCなどにはけして負けることはない、ということを実証した。ついでにライリーやハフに端を発する小売業の吸引力比較の「公式」が全くのまやかしであることをも実証しているSCである。
アーバンの現在の悩みは、鏡町の街づくり施策として設置された施設でありながら町内の最寄り店を圧迫し、街活性化実現を牽引する核店舗という位置づけであったのに、いざ開設してみるが逆に街の空洞化を促進することになった、ということである。これはSCのワンストップ性ということから言えば当然のこと、周辺の商店への買い回りなどが発生するようではSCとしての機能をはたしていないことになる。そのようなレベルの共同店舗だったならマイショク、ニコニコドーとの競合の前に敗退していたはずである。
社長及び事務長のお二人から3時間に及ぶレクチュア及び質疑をしていただいた。研修参加のみなさんも終始熱心に受講し、充実した研修となった。この結果が夜の食事後の検討会へと連なり、参加者全員から地元での共同店舗開設への決意表明が行われる、という望外のことになった。今どき、共同店舗形式によるスーパー設置など正気の沙汰ではない、という評が聞こえてきそうな気配だが、参加者と当社は本気である。町村合併までには、地域のコミュニティの核としてのコンビニエンスマートを必ず開設すべく、各般の取り組みがスタートした。
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