日経地域情報(374号)に都市再生関連で中心市街地活性化が取り上げられている。http://www.nikkei.co.jp/rim/tiiki/tki1new.htm
この中から活性化方策として挙げられていることを考えてみたい。
同記事によれば、全国の市町村が策定している「中心市街地活性化基本計画」に盛り込まれている施策は、空き店舗対策(59%)、買い物バス運行(47%)駅周辺整備(45%)、街並み景観整備(23%)、イベント支援(22%)などが上位に挙げられている。15〜10%の自治体が取り組身を計画しているものとして、住宅整備、TMO事業の支援、公共施設整備、区画整理、空き地の活用などが続いている。
「中心市街地基本計画」の目的は、中心市街地を新たな産業立地として再生させることであり、その眼目は既存商業集積の活性化であることは、これまで何回となく主張してきたところである。これは、なにも私どもが取り立てて特殊な自論を述べているわけではない。法の目的や施策の体系などを一読すれば誰でもすぐ分かる事業の王道なのである。
もちろん、当サイトの常連の皆さんにとっては分かり切ったことあるが。
ところが、日経地域情報に掲げられた事業集計を見る限り、中心市街地に立地する商業機能の活性化という事業に取り組む目標、「ショッピングモールと見立てた整備」への体系的な取り組みを考えている市町村はほとんどない。これは、中心市街地活性化への取り組みを最終的に無に帰してしまうおそれのある由々しいことである。
空き店舗の活用や街並み景観整備など、ショッピングモールとしての集積を実現するための整備の一環となりうる事業は計画されているが、問題はそれらの事業が「活性化事業」のメインディッシュとなってしまっている。
「中心市街地に集積する商業機能のショッピングモールと見立てた整備」という目的を考えれば、絶対に実現しなければならないテナントミックス整備(=既存店舗の転換・活性化が中心課題)というもっとも重要な課題が置き去りにされている。
私どもが繰り返し理論的に明らかにしているように、中心市街地を活性化するためには、そこに立地する商業機能の全体としての「モールへの転換」を目指すという基本方針が打ち出され、その全体計画(基本計画)の中にそれぞれ個別の実施計画が位置づけれたうえで、緊急性が高い、実現の可能性が高い、活性化実現への効果が大きいなどの基準で選択した事業を着実に積み重ねていくことでモールを実現していく、という取り組みが必要である。その中核となる事業は、既存個店群のモールのテナントショップへの転換である。個店群の経営の実態は、現状のままで放置しておいて、空き店舗を充填すれば何とかなる、というような水準では絶対にない。早急に対策を講じないと中心市街地ぐるみで後継者難に陥っていくという事態である。空き店舗については既存個店群が活性化してくれば出店者が出現してくるものである。
このように中心市街地活性化の成否を左右する個店の活性化=ショッピングモールへの転換であるが、日経の調査では個店の転換を支援するという事業への取り組みがほとんど見当たらない。そもそもこのような事業メニューへの取り組みで、何が・どうなる・結果、中心市街地が活性化するというのか、そもそも街が活性化するとはそこにどんな状況が生まれることなのか、という視点がないからこういうことになってしまうのである。
かねてから、中心市街地の活性化はそこに立地する商店街が、「ショッピングモール」へと自己改革を遂げていく取り組みが中心になるべきであることを主張してきた私どもにはとうてい考えられない取り組みが今日も各地で続いている、ということである。この調査は、単に中心市街地活性化を推進する事業メニューの集計というだけではない。このメニューは、関係者がどのような問題意識をもって事業に取り組もうとしているか、ということも指し示しているのだ。都市の街づくりについての能力がここに象徴的に現れているといってもよい。
調査に集計されている事業メニューを見る限り、多くの都市の取り組みは所期の目的を達成することが難しいとしか言いようのない水準の計画になっているようである。横並び大好きの日本人であるが、都市中心部の陥没という都市経営上の悪夢のような成り行きまで同一歩調をとってはならない。他都市はどうあれ、わがまちの中心市街地だけは活性化させる、という意気込みがほしい。都市間競争の中心はまさに中心市街地の活性化をめぐるものであり、その意味でこれからはさらに「中心市街地は都市の顔」、成功しても失敗してもその土地に住む人々のありとあらゆる面を満天下にさらけ出すのである。
いずれのまちも是非早い時期に一度、活性化の目的・目標を基準に事業内容を再検討すべきであると痛感する。『基本計画』は上記の事業メニューのレベルを超え、「ショッピングモールへの転換」を目標に事業を構成する、という体系的な内容になっているだろうか?
余談であるが、後半に述べられている日経の街づくりの動きに対するコメントには、同社の担当者達の「レベル」がはっきり現れているから、このあたりを分析すれば中心市街地活性化をめぐる混迷が単に地域の関係者レベルだけの問題ではなく、計画策定などを支援する関係機関等も含んでいるものであるの一端を理解することができるだろう。
読者の皆さんの地元ではどのような事業が計画されているのか、この機会に是非もう一度確認されることをお薦めしたい。
中心市街地活性化に取り組むための時間はほんとうに少なくなっている。
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