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FLASH NOTE 2001.08 保存版


F021■テナントミックス   Date: 2001-08-11 (Sat)


   商店街活性化関連で最近よく聞くようになった言葉、テナント構成と言ったりもする。空き店舗対策などが施策メニューに入ってくるつれてあちこちで見かけるようになった。現場では空き店舗を利用して我が街に欠けている業種・業態を填補したり、集客力のある商業その他の企業を誘致する、という意味で用いられていることが多い。これははっきりいって間違いである。商店街に限らずショッピングセンターのデベロッパーやキーテナントなどの担当者もテナントミックス=出店者の頭数揃えという認識である。そもそも業態シーラカンスGMSを核店舗とするショッピングセンターがテナントミックスを云々するなどちゃんちゃらおかしいのである。このあたりはいずれ詳しく論じることがあろうから今日はこれ以上触れない。

   ともかく、テナントミックスについては小売業界中で大きな誤解があるといって過言ではない。この誤解は、場合によっては集積全体の命運に関わる失策につながりかねないので、この際きちんと理解していただきたい。特に不振にあえぐGMS関係者はけして他人事だとか思わないように。
 スーパーマーケットから出発して「売れるものならなんでも売る」という日本型GMSを「核」とするショッピングセンターがSCの集客力依存型小売業の集合体となっており、その結果、どの客相からも見放されて急速に業績を落としつつある根本要因が理解されよう。
GMS関係者の皆さん、貴社の業態の病根は深い!   

   テナントミックスが問題になるのはもちろんショッピングセンターにおいてである。通常、それぞれの店舗がそれぞれ独自の計画で出店してきた自生的な商店街などで問題に出来ることではない。このことも誤解されている。
 ショッピングセンターとは、ターゲットにする顧客相を決め、客相の生活や購買行動を基準として、商品構成、販売方法、サービス等々を計画的・体系的に作り上げた商業施設のことである。「郊外にでかい図体の商業施設建設を計画」したらショッピングセンターになるかといったらとんでもない。当サイトご愛顧の方は既にご承知のとおり、SC類型は、顧客の生活・購買ニーズの特徴からコンビニエンスニーズ対応型、コストコンシャスニーズ対応型、アップスケールニーズ対応型という3つに区分することがされる。それぞれの類型は
それぞれ異なった顧客ニーズに対応することを目指しており、従ってその店づくりは3者3様、まったく異なった内容となる。特にテナントミックスなどは類型をだぶって出店するなどということはあり得ない話である。

   さて、計画の中でもっとも大切なのは、SCのコンセプトを体現する品揃えの実現ということ。このSC全体の品揃えを客相の来店目的として過不足なく実現するのが「テナントミックス」である。例えば、中心商店街の進むべき方向として私どもが提唱しているショッピングモール(アップスケールニーズ対応型SC)について考えてみよう。アップスケールニーズとは簡単にいえば贅沢に対する欲求である。この場合、贅沢とは不必要品という意味ではなく
「必需品に自分の好みが付加されたものという意味である。自分らしい生活を作り上げるために必要な材料=アップスケールということであり、利便性や価格ではなく自分自身の「こだわり」で買いたいものを選択するのがアップスケールニーズ、これに対応するショッピングセンターがショッピングモールだ、ということになる。

   したがって、ショッピングモールの計画はまず、そのコンセプトをどのような品揃えで具現化するのか、ということからスタートする。次は実際の品揃えを具体的にだれに任せるのか、ということを決める。このコンセプトに基づいて商品構成を決める、決まった商品構成について具体的に企業を選定し、張り付けていくことがテナントミックスなのである。このようなコンセプトに合致する個店が現実に存在するかとうとこれがなかなか難しい。よしんば適合する企業があったとしてもそれこそ引く手あまたであり、貴方の誘致に応じてくれる可能性はきわめて低い。われわれは自力でテナントミックスを作り上げなければならないのである!

   活性化を目指す商店街が取り組むべきテナントミックスの実現とは、空き店舗の活用などという次元のことではなく、ショッピングモールを目指す、という基本方針のもとで、既存の個々のお店がモールのテナントたるにふさわしい業容に転換していくことなのだ。このことを指摘しているのは多分私どもだけだと思うが、考えても見るがよい、活性化とは街に繁盛店が続出することであり、実現の方向は街ぐるみで「一個のショッピングモールとみなして充実させていく」ところにある。とするならば、既存の各店舗はモールのテナントとしての業容を実現することで、集積全体としての来街訴求力=来街目的の強化を実現し、かつ、来街客を自店へと吸引しなければならない。集積全体が一体となってショッピングモールとしての機能を実現する以外に街に買い物客を溢れさせ既存各店を繁盛させる、という目的を実現する方法があるか?

   このようにテナントミックスの成否は、大きくは集積の命運を左右し、小さくは個店の業績を左右する。「欠業種の填補」とか「核店舗の誘致」などというレベルのお話とはまったく次元が異なるのだということを関係者はキモに銘じておかなければならない。
 そうなると、次はTMOである。TMOは高度化事業構想をまとめて行政に提出すれば、会議所でも三セクでもOKという仕組みになっていることは周知の通り。だが、TMOの任務の一つは「テナントミックスのマネジメント」である。すなわち、ここで問題にしている「既存個店のショッピングモールのテナントへの転換」を計画し、実践を統制し、結果を評価する、というサイクルをずうっと続けていくことがTMOの主要な役割なのである。TMOは誰がになってもよい、ただし、その主要任務を理解し遂行する能力を有しているものに限る、ということになる。このあたりはいずれまた。

   テナントミックス、これまで考えていたよりずっと奥の深い理論だったということがご理解いただけたことと思う。中には商売はそんな理屈ではない、と反撥される読者もあるかも知れない。だが、考えてみていただきたい、この間、何十年もの間消費者は身銭を切って自分の生活を作り・楽しむ技術を身につけてきた。高度成長期までの間、「もの不足」という大前提のもと、お店は立地の集客力に頼り、問屋デリバリー力に頼り、売れ筋商品に頼りながら、これを小売業経営と思いこんできた。もの余り時代を迎えた現在、このような熟練した顧客を相手に新しい繁盛を作って行くにあたって、理屈以外のなにに頼ることが出来るというのか? もはや自店が内側から変わていく以外に
繁盛を実現する方法は無いのである。思えばこれまでの商店街活性施策とは、何とか個店のシャッターから内側を変えずに繁盛を作り出そうという、虫のいい話のオンパレードであった。このような路線が街を個店をどこへ導いていくかということは既に幾多の事例でハッキリしたはずである。

   私どもが中心市街地活性化法の制定とともに中心市街地・中心商店街活性化のラストチャンスが到来したと判断し、その推進への貢献を事業機会として選択するにあたってはこのような理論的な背景を作り上げていたのである。
今日、私ども以外に活性化の可能性についてシナリオを提出しているところはないはずである。

 私どもの主張についてさらに体系的に把握してみたいと考える人は、お盆過ぎから勉強会がスタートするのでご参加いただきたい。さっそくテキストをダウンロードして準備を始めておいていただきたい。

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