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FLASH NOTE 2001.07 保存版


F012■エスプラッツ考(2001.7.14)

   報道などで知る限りだが、エスプラッツの破綻にはいろいろなことを考えさせられる。ひとり佐賀市中心市街地の将来にとどまらず、県内外、広範な影響が予測されるので、あえて若干論評したい。

   問題は二つある。
第一は、この事例をもってやはり、中心市街地の活性化などは時代錯誤、成功しないことが証明された、という認識が勢いを増しそうである。
第二は、第三セクターという事業方式について。これは報道されている各地の第三セクターの業績不振と相まって第三セクターは必ず失敗する、という巷説が強まるだろうということである。
 
   つまり、中心市街地活性化を第三セクターであるTMOを中心にして推進しようとする取り組みに対して、ただでさえ推進派ばかりではないという環境条件に二つの理由で慎重・反対論が勢いを増すことになりそうなのである。中心市街地の活性化を目指す皆さんには、エスプラッツ敗退の原因をしっかり見極め、自分たちが推進する活性化はそのような結果に陥ることはない、ということをあらためて確信し、外部に対して論証していくことが必要になってくる。

   第一の問題について。
物議をかもすかも知れないが、私はエスプラッツの開発には商業関係の専門家・プロが関わっていなかったのではないか、と考えている。それというのも商業集積の計画として見た場合、なかなか理解できないことが起きているのである。具体的なことは今さら詮無いことであり省略するが、基本的にエスプラッツは現代商業施設としてのデザインにはほど遠い建物である。具体例を一つだけあげると、正面入り口はいったいどこなのか?2階への昇降のメイン機能はどこにあるのか? 
 県都の中心市街地の核となる商業施設にしてはあまりにも機能設計がミスマッチという他はない。いうまでもなく中心市街地の商業集積の機能は、ワクワクドキドキするショッピングがメインである。その集積の核たる施設デザインにワクワクドキドキという要素がほとんど実現されていない。ほとんどバブル以前、20年くらい前の商業テナントビルというたたずまいである。
第二に、来店目的である。全店がドキドキワクワク的なショップで埋め尽くされてはじめて施設全体が表現しなければならない来店目的がアピールされることになる。残念ながらテナントミックスがおざなりであった。もちろんこれにはいろいろ事情もあっただことだろう。建物のデザインがテナント候補企業から忌避されたということもあったのかも知れない。1階にSMを配置、2階にスポーツ用品店というのも中心市街地の核店舗としてはまことにミスマッチなのである。本来なら両階とも小型のショップをたくさん配置すべきなのに、コンセプトからずれずれの大型テナントを配置したことで全体としての来店目的の統一性が大きく損なわれてしまった。さらにショップ全体も全体のコンセプトをブレイクダウンして分担する、という方向で強く指導することが必要だったと思われる。 
 
   かくて中心市街地商業の核となるべく計画されたのに、その役割を果たすことが出来なかった。核としての役割=中心市街地の商業の集客力の象徴としての機能を果たすことが出来なかったということ、そのこと自体がエスプラッツの今日の結果をもたらした最大の要因である。

   第3セクターという運営組織について。
これは中心市街地の再開発に伴う商業核の開設というプロジェクトのテーマから当然採用されるべき形態だったと思われる。そもそも第3セクター採用の根拠としては、 @地域振興に不可欠の事業であるが、A立ち上がり時点の採算性に問題がある、という場合に用いられる手法である。この手法で取り組むこと自体が既に適切な経営を行わないと破綻する可能性がある、という事業に取り組む手法なのである。このことを踏まえれば、事業の計画段階で先行事例の研究や専門家によるコンサルティングやスタッフへの専門職能の配置、計画的な能力向上施策等々事前から相当の準備が必要な事業手法だということである。エスプラッツの場合、準備に怠りはなかった、万全を期してオープンしたのであろうけれども、ことここに至ればうやはり準備段階において準備する事項に問題があったことがうかがわれる。

   前回も書いたように、中心市街地とりわけそこに立地する商業機能の活性化への取り組みは、中心市街地が当該都市において担う商業機能、郊外型ショッピングセンターと分担する商業機能をコンセプトとして設定し、建物デザイン、テナントミックス、提供する情報・サービスなど店づくりの全てがそれを具現化するということが決定的に重要である。
残念ながらエスプラッツの場合、外からではわかり得ないさまざまな事情からこのことの追求が不十分だったのではないかと思われる。

   一商業集積の顛末について世の中の好・不況と直結して判断を終わることは間違いである。全ての商業集積が同様の趨勢にあるわけもなく、失敗には外部環境に帰結できない主体内部の原因が必ずある。

   この時期にことさらエスプラッツについて批評する理由は、冒頭に述べたように、これをもって中心市街地の活性化、第三セクターなど事業とその推進手法の双方に疑義が強まることを懸念してのことである。関係各位には、意のあるところを斟酌のうえご了解を賜りたい。

   佐賀市の中心市街地の活性化、いっそう厳しい状況となったが、活性化の可能性が無くなったわけではない。何がなんでもここで頑張らざるを得ない、という若手経営者が奮起一番、街づくりの先頭に立つ決意を固め立ち上がらなければならない。もちろん、私どもの主張は、立ち上がったらすぐ机の前に座り勉強することから始めなければならない。遠回りのようだが、勉強という段階を飛び越えて活性化・繁盛店を実現できるほど買い物客は甘くはないのだ。



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