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FLASH NOTE  2001 保存版   


F001■ヴァーチャルモールはシャッター通り (H13.5.20)     

 シャッター通りとは空洞化が進み、シャッターを閉めたままの店舗が軒を連ねるようになった商店街の店主たちの自分たちの街への自嘲を込めた呼び方。
 商店街の空洞化は、郊外型ショッピングセンターとの競合に敗退した結果であることはご承知のとおりであるが、この敗退は、「自然成長」的な商業集積である商店街が、「計画的」に設置されたショッピングセンターと比較したとき、お客から見た「来店目的」の充実ぶりで劣っていることが原因であると言われている。言うまでもなく人は店舗に商品を求めて赴くわけで、自分の行動範囲の中でもっとも期待がかなえられそうな店舗に足が向くのはあたりまえ、立地の集客力を当てに出店した店舗の集団と田圃の真ん中に来店目的をきちんと作りあげたショッピングセンターとでは勝負にならなかった、というわけである。本当はもう少し複雑な要因が絡み合っており、また郊外のショッピングセンターも今となっては大変な状況に陥っているのだが、今回はリアルの話ではないのでこれ以上踏み込まない。興味のある人はこちらをどうぞ。
 商店街の現状は、不採算店や店主の高齢化と後継者不在などで次第に廃業するところが多くなっている。ひとたび空き店舗になれば環境条件も悪くなっているところからなかなか借り手もつかない。自然とシャッターを閉めたままの店舗が多くなりやがては軒を連ねるようになる。この有様を称してシャッター通りと呼んでいる。
 
 さて、今日の話はバーチャルモール。いわゆるBtoCとやらのネットショップを集めた巨大リンクがリアルでの消費不況を吹き飛ばす救世主のような期待を背負って雨後の竹の子のように出現した。いよいよ総決算しなければならない時が来たようである。
 そもそも、バーチャルモールが急速に伸びたのは、第一に先進国である米国においてBtoCこそECの本命といわれ、一世(とまでは行かなかったが)を風靡したネットリテイラーの不採算が発展途上の一過性の現象であると誤解されたことと、第二に我が国のリアルのショップのマーケティングが総崩壊する時期と全く重なっており、業績不振の打開策として飛びつかれたこと、第三に無店舗販売ということで初期投資が僅少でビジネスがスタートできるというお手軽さ、この三つがモールの繁殖を大きく助けた要因である。
 バーチャルモールはリアルでの売り上げ不振を一挙に取り戻す、起死回生の手段として飛びつかれた。実態は果たしてどうだったか?
 
 第一に最寄りのモールに行ってみればすぐに分かることだが、ほとんどのモールがそもそもモールというほどの集積度(店舗数にあらず)を実現出来ていない。というよりもそのような集積としての充実を目指さなければならないということさえ理解していない、店舗数だけが売りの業種別ディレクトリとウェブ進出ということに何の戦略的な必然性も無いモルタルショップのHPの羅列というのが大方のモールの水準である。したがってモールとしてのデスティネーションが実現できず・提供できない、もちろん「回遊性」も期待できないというレベルにとどまっており、参加しているショップは開店休業状態、まさにシャッター通りの景観を呈している。笑いが止まらないのはモールの主催者だけという、なにやらリアルの郊外型SCそっくりの実態も伝えられている。
 第二にこれはモールに所属しているか否かを問わず、いわゆるネットショップの多くに共通していることだが、「デスティネーション」が確立されていない、ということである。このことはリアルにおいてはビジネスとしての成否を左右する戦略課題であるが、Webではそれほど重視されていない(その理由は明白なのだがここでは触れない)。適当に商品の写真を並べ、検索システムに登録し、たまに懸賞でも企画すればお客が押し寄せてくる、という訳の分からない錯覚がEC志向の皆さんを虜にしているらしい。
 考えてみるがよい。ダイエー以下、数十年にわたってマーケティングを展開してきたリアルの企業が、成熟した顧客ニーズに対応できないで沈没寸前まで来ている時代にWeb方面に転進したからといって新しいお客がいるわけではない。Webでの新規顧客とはダイエー以下のリアルの小売業・ストア、ショップに飽き飽きしている連中である。彼らをわざわざ自分のショップにアクセスさせるには何が必要か、ということが検討された形跡はほとんど無い。その結果、業績不振のショップがあふれ、大手は撤退、コストの掛からない零細は開店休業状態というショップが多い。
 
 リアルでのショップマーケティングの破産を総括することなく、次はWebだ、バーチャルモールだ、というトレンド追っかけとWebエンジニアでモールが作れるほどマ−ケティングは簡単ではない、ということだ。
 
 さて、モールの話。代表的なモールを見てみよう。業種別ディレクトリをたどって行くと所属店舗が50音順にリンクされている。つまり、あらかじめ店名とその営業内容を理解していないと、とんでもないショップの迷路をさまようことになりかねない。ショッピングが楽しいのは、お目当ての商品として選択可能性のある商品をいくつか目の前にして最適品を選び出す過程にあるのだから、何を売っているか分からないショップをいちいち見て回るのは難行という他はない。とりあえず今日明日の生活には何一つ不自由していない、という現代の顧客にそれを強要することは不可能である。 ということで、ネットショップが連なり、お客が押し寄せ回遊し、売り上げがどんどん上がるはずのモールに閑古鳥が鳴いている。来街客もいないのにお店が連なっている不振商店街、シャッター通りそっくりだ。
 シャッター通りはまだしも社会的役割を終え、新しい機能への転換を準備しているところが多いようだが我がバーチャルモールは果たしてどうか? 出店しているショップにとって、自店が想定する客相がクリックインしてくれる可能性などほんとに「どーして期待できるわけ?」というレベルなのに良くまあ出店するものである。リアルの街なら来街客の動向が一目でわかり、「これはヤバイ」と誰の目にもはっきりしており、評価がすぐ出るので思いとどまることもできるが、Webだと隣のショップの様子など何一つ分からない。全く暗闇にひとりぼっちでそろそろ心細くなった頃、検索マシーンに引っかかる方法などを提案されて、何のことはない自分がまた引っかかる。あのね、検索なんかを経由でクリックインしてもらおうなんて闇夜にてっぽうの諺通り、これで商売が成立するなら奇跡に近い。
 ということで、Webショップは、検索経由での来店などを期待して出店するくらいなら初めからやめておいた方がよい。Webショップは「バイネームアクセス」といって、検索に直接ショップ名を打ち込ませそこからダイレクトにクリックインさせる、ということが必須である。そのためにはリアル&バーチャルにおいて、見込み客相にたいしてきちんと計画的に「売名」することが絶対条件である。ところがWebショップの多くは、誰に何をなぜネット経由で提供するのか、ということを突き詰めて考えていないところが圧倒的であり、「売名」に値するだけのショップの内容か否か、というあたりがおろそかになっている。このあたりはWeb業界でもまだまだ未経験の分野であり、これから試行錯誤しながらの開拓が始まるという段階である。
 
 Webショップはどのように展開すべきか、業界を見渡してもまだまだきちんとした方向は見えていない。ネットショップに手を出している皆さん一人一人がもう一度リアルのリテイルマーケティングに立ち帰り、マスプロ&マスセールというバブル以前のビジネスビヘイビア崩壊後のリティルビジネスの進むべき道を考え、そのひとつのあり方としてネットショップを再構想する、という難しい課題に挑戦しなければならない。
 当社は現在、「Webを活用した小売店支援システム」の開発というプロジェクトに参加しており、Webの小売業における活用についていろいろ考察する機会が増えている。Webショップ、モールについては、今後とも精力的に考察を続けていきたい。
この記事自体も折に触れて更新・改善してくつもりなので、頻度高くご来訪いただきたい。
 
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