ケーススタディ『青森市中心市街地活性化基本計画』 その2
商業の活性化のための事業
「7.中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業その他の商業の活性化のための事業及び措置に関する事項」について検討します。
検討の意義は、前述のとおり、
第一に、『基本計画を作り直す』というテーマで当社が行っている提案の『有効性』を検証すること
第二に、これから検討におつきあいいただく皆さんの業務にいささかなりと貢献すること
第三に、検討の対象である『基本計画』の改善あるいは下位計画・実施段階に寄与すること、です。
1.商業の活性化のための事業
(1)商業の活性化の意義
「中心市街地活性化法」では、中心市街地活性化について、中心市街地における
@都市機能の増進と
A経済活力の向上
であると、定義されています。
@について。
中心市街地には、
1)都市が広域的に果たしている役割
2)中心市街地が都市及び周辺で果たしている役割
3)中心市街地が街区内の居住者に提供している機能
などが集積されており、それぞれ異なった役割を果たしつつ、「相乗効果」を発揮 しています。
当社ではこの相乗効果を発揮するありかたを「中心市街地コンプレックス」と名付けていることは既に御承知のとおりです。中でも商業機能は、中心市街地所在の重要な都市機能であると同時に、「経済活動の向上」を直接実現するところから、商業(活動)の活性化は、中心市街地活性化にとってきわめて重要な位置にあることをあらためて確認しておきましょう。
中心市街地の商業が活性化されると、
@中心市街地の都市及びその周辺地域における求心性が向上する
A都市及び周辺地域の住民のライフスタイルが豊かになる
B中心市街地住民の日常生活の利便が向上する
C繁昌する個店が増加し、空き店舗などの需要が高まる
D土地の流動性が高まる、土地の価格がアップし財政的なプラスが 生まれる
といった効果が期待されます。
付け加えておきますと。
ご承知のとおり、「法」は「整備改善活性化法」すなわち、「中心市街地における・・・商業等の活性化」を目的とするスキームの後継として、「改正」されたものであり、「商業の活性化」という課題への問題意識は、新スキームの隅々まで行き渡っています。
中心市街地において営まれている多様なビジネスのうち、「商業」について特別に扱われている由縁、このことも確認しておいてください。
中心市街地活性化の重要な・戦略的テーマとしての商業の活性化は、以上のような意義・達成すべき目標を持って取り組まなければならない。
言い換えれば、計画されている「商業の活性化のための事業」を展開すれば、 @〜Dのような結果がもたらされるかどうか。
基本計画のうち、商業の活性化については以上のような問題意識を計画するわけです。
言うまでもなく、商業の活性化は基本計画のカナメですから、その立案に当たっては、他とは比べものならない周到な取り組みが必要です。
(2)『青森市中心市街地活性化基本計画』における「商業の活性化」事業の検討
青森市の基本計画において、商業の活性化はどのように立案されているか?
検討するに当たっては次のようにアプローチします。
@ まず、上記 (1)の議論はカッコに入れておき、『基本計画』の「目標の体系〜商業活性化の位置づけ〜目標を確認する
A 目標を達成するための事業を検討し、これらの事業に取り組むことで、
果たして@の目標が達成されるか否かを検討する。
問題点があれば指摘する。 という作業をまず行い、その後、
B @が、中心市街地活性化の全体的な目標=「ウオーカブルタウン作り」において商業がになうべき役割を的確に設定しているかどうか
C 計画は「ウオーカブルタウン」つくりの計画として妥当か
を検討する
さらに、この段階まで来ると「ウオーカブルタウン」における商業のあるべき姿が明確になってくるはずですから、それを実現していくためのシナリオ、計画などについても若干提案してみたいと思います。
最初に行う「計画の検討」は、よけいな斟酌などをせず、真摯に取り組みますので、あらかじめ御承知いただきたく。
2.「商業の活性化」の定義と「数値目標」
本計画において、「商業の活性化」とは、青森市中心市街地に立地する商業がどうなることを
意味するのか?
という基本的なことが定義されていません。
これはおそらくおおくの都市の取り組みにも共通していると思いますが、大きな問題です。
通常、大規模なプロジェクトの場合、
1.目的を定義する
2.達成するために必要な下位目標を設定する
3.下位目標の達成度合いで全体の目的達成を測定する
ということになると思います。 「中心市街地の商業を活性化する」というプロジェクトの場合、
@商業の活性化とは商業がどうなることか
Aそれはどのような下位目標を達成することで実現されるか
ということが明らかになっていることが必要です。
「数値目標」は、「2.下位目標」の達成状況を測る尺度として設定されるものでしょうから「数値の選定」に当たっては、活性化の定義」〜「下位目標」から、選定する数値が活性化のバロメーターとして適切だという根拠を明らかにしておくことが必要です。
つまり、「数値目標」を設定するに当たっては、まず、
@「商業の活性化」とは商業がどうなることか という定義を下す
A「商業の活性化」に到達するための「下位目標」を選択する
B下位目標のうち、「数値化」出来るものについては、適切な数値を目標として設定するという段階を経て行われなければならない。
目標である以上、単に増減分を加除するだけでは不十分です。
@活性化を達成するに必要な数値を産出し、
A目標数値を達成する施策を構想・計画する
という作業が必要であり、算定〜達成計画がセットになっていてはじめて
「目標実現のために達成を目指す数値」ということができます。
重ねていっておきますが、たとえば通行量を目標数値とする場合、
×あれこれの施策で増えるであろう通行量を積算して「目標」とする
のではなくて、
○商業の活性化を達成するために
@必要な「通行量」を算定する
A必要量−現在の通行量=増やすべき通行量
が目標数値になります。そうでしょ?
このように考えると、通行量を「目標数値」とする場合、
@「商業の活性化と通行量の関係」が明らかになっていることが前提になる、そうすると
A「商業の活性化」をきちんと提議しなければならない。
ことになります。
「活性化とは何か」、分からなければ活性化と通行量の関係が分かりませんし、
「適正通行量」=目標数値としての通行量など出てくるはずがないのです。
このあたりについて、市ではどのように考えておいでなのか・・・。
もちろん、これは先にも書いたように、青森市に限らず全国多くの都市の基本計画の問題点でもあるわけで、あえて指摘しておく由縁です。
こうして考えてみますと、活性化の取り組みを経営的に推進するため、数値目標を設定するというアプローチはあってもいいと思いますが、その数値が「通行量」というのは果たして適切でしょうか。
もう一度確認してみることが必要かも知れません。
2.事業の体系
(1)中心市街地活性化全体の事業の構成
┌─ @街の楽しみづくり
┌都市機能の増進─┼─ A交流街づくり
│ └─ B街ぐらし
中心市街地活性 ─┤
│
└経済活力の向上──── 商業の活性化
(2)「商業の活性化」事業の構成
┌ 大規模小売店舗立地法特例区域の設定
│
├ 中小小売商業高度化事業
商業の活性化──┤
├ 特定商業施設等整備事業
│
└ その他商業の活性化のための事業高度化事業
これらの事業を展開することで何を実現しようとするのか?
事業の内容は、「商業の活性化の目標」によって規定されます。
「活性化の目標」は、現状と課題」をもとに定義されます。
まずはこのあたりをもう一度詳しく検討します。
(再掲)中心市街地の商業の現状
1 中心市街地の商業機能は、「新町通り」を中心とした7つの商店街(商店街振興組合4・商店会3)が担っており、服飾等の買回り品や生鮮 市場による食料品を中心とした業種構成となっている。
※各商店街の位置関係、それぞれの集積としての特徴などはどうなのでしょう。
かって、「広域診断」などではそれぞれの商店街の集積としての特徴と水準などが必ず分析されていましたが、『整備改善活性化法』以降 個々の商店街についての
現状分析はほとんど姿を消しています。
おかしな話でありまして、中心市街地所在の商店街群をまとめて活性化しようとするなら、各商店街の特徴(買い回り・生鮮など)を把握した うえで分担する商業機能をあらためて決定する、その機能を適切に発揮するために必要な施策を講じる、というのが考えられる「活性化策」で すが、個別商店街の取り組みについては、前述のとおり、ほとんど計画されていません。
実は、このあたりにこそ、中心市街地活性化の取り組みが効果を挙げられない原因があるのではないかと思われるのですが、この点について はあらためて考えます。
2 昭和63 年当時は青函連絡船、広域商圏(1市・6町村)の消費吸引等により、 売額シェアで約31%を占めていた。
3 平成12年に1万uを超える郊外型大型店が相次いで開店したことや、モータリゼーションの進展などにより、求心力が失われ、商業機能が 低下しはじめた。
4 近年では、量販店の価格破壊による小売販売額単価の減少、人口減少社会の到来による消費人口の減少、インターネット販売や通信販売など無店舗型の小売業態の急速な普及など、中心市街地をとりまく商業環境は非常に厳しい状況にある。
※商店街が直面している厳しい状況の原因は、商店街あるいは個店にあるのではなく、少なくともここで見る限りでは、専ら、街、個店の外にあると理解されています。したがって、商店街、個店の「自助努力」についての把握、評価、対応策などは全く言及されていません。
(2)商業の現状について
これは多くの都市の計画に共有されている問題点。
商店街の空洞化の趨勢は、
@全盛期:広域の買い回り型諸費購買ニーズの独占的受け皿 から
A曲り角:郊外型商業の進出・競合
B現 状:競合への敗北
と進んできたわけですが、この間、商店街の環境変化への対応努力はどのように取り組まれてきたのか、空洞化が進展したということは、対応努力の成果が上がらなかった、ということですがその理由は何か? といったことがきちんと分析されていないと、活性化策がほんの小手先に終わってしまいます。ズバリ、商店街組合・個店の自助努力はどのように展開されたのか、それは環境変化への対応として十分ではなかったわけだが、その欠陥はどこにあったのか、ということが指摘され、かつ、新しい対応策が講じられないと
「今度は活性化出来る」とは言えないと思います。
このことは、旧スキーム当時の「中心市街地活性化」の取り組みについても言えることです。 「数値目標を競ってしていなかったから」とか「商業振興施策に偏っていたから」という総括で本当に大丈夫でしょうか?
今度は数値目標を立てたから、商業以外の施策も講じたから、商業は間違いなく活性化する、とホントに言えますか?
(3)単位商店街の活性化計画
一般論です。
中心市街地には複数の商店街が立地しており、多くの都市では
@街区外の広域から集客する「買い回り型」商店街
A主として中心市街地及びその周辺の居住世帯向けの「最寄り型」商店街
B両者の中間的・混在型商店街
がそれぞれ立地しています。
これらを一緒くたにしつつ、“「居住人口」及び「来街人口」を増やし、「通行量」を増やすことで活性化する”というのは疑問です。各商店街ごとにその特性を踏まえつつ、将来にわたって「中心市街地の商業機能」を再構築していくうえで“分担・充実させるる機能”を決定してその構築を目指す方向で活性化する、『単位商店街活性化計画』は要りませんか?
『基本計画』を踏まえて各商店街はどのような取り組みをしていくのか?
個店・商店街の自助努力と基本計画の関係が見えていない現状では、実際問題としてどう商店街の賑わい=繁昌する商店街を実現していくのか、そのシナリオが無いのではないかとさえ感じてしまいますが・・・。
いずれにしろ、単位商店街ごと、あるいは街区ごとの空間特性・商業機能としての特性を明らかにしたうえで、活性化の方向と取り組みを計画する=行動計画を作ることが今後の課題になっていると思われます。
※再掲・成果と課題
@本市では、旧基本計画に位置づけ、「街の楽しみづくり」のリーディングプロジェクトとして「アウガ」「パサージュ広場」の整備を行い、商業的な新しい魅力の向上にも取り組み、周辺の歩行者通行量が増加するなど一定の成果は得られたものの、平成14年度には、小売業年間商品販売額シェアで約19%まで落ち込んでいることから、十分とはいえない状況にある。
※通行量は増加したが、販売額シェアは低下した、と読めますが、そうだとすると重大です。活性化の総合的な指標としては先に見たとおり、「通行量」が掲げられていますが、「これまでの取り組みの成果」として、“通行量は増加したが 販売額のシェアは低下した”という結果なら、活性化の指標として通行量を設定するのはおかしいのではないでしょうか?
A平成10年度において駅前地区を中心に約10%程度であった中心商店街の空き地・空き店舗率が、アウガ等の整備により平成14度には6.8%まで改善した。
B平成15年に松木屋の閉店により、中・下新町地区に空き地・空き店舗等が増加しはじめ、平成17年度には、10.7%となった。
※空き店舗率の増減は、大規模施設の開廃に起因するとされているが、本当にそれでよいのでしょうか。 「松木屋」はなぜ閉店したのか? その理由は松木屋周辺立地の店舗にも共通する問題があったのではなかったか、ということは分析されたのでしょうか。
※各商店街を形成している個々の店舗の業容(品揃え・サービス・内外環境の総体)は、郊外型SC全盛時代という現時点における「買い物の場」としての魅力を備えている、と評価されているのか、あるいは「課題がある」と評価されているのか・・・?
もし「課題がある」と判断されるなら「課題に取り組む」ことが必要であり、施策が計画されなければならない。 しかし、本計画には、商店街・個店レベルの業容革新を促進する施策は講じられておりません。
※結局、これまでの取り組みでは一部集客力の強化は実現したものの、空洞化の進展という趨勢を反転させるには至っていない、ということです。事業に取り組んで来たにもかかわらず、状況は好転していない。その原因はどこにあるのか、追求し明らかにすることは、新しく取り組む計画を実効あるものとするため不可欠の作業ですが、どう取り組まれたのでしょうか?
ここで見る限り、作業の有無は不明であり、また、計画にこれまでの取り組みの総括を踏まえていると書かれている内容も、どこがそうなのか、よく分かりません。
(4)今後の動向
これも再掲です。
@平成22年度の東北新幹線新青森駅開業により、多数の観光客等の来青が予測される。
A「ねぶた」を核とした文化観光交流施設の整備や、「AOMORI春フェスティバル」の開催により、これまでの商圏プラス域外客による消費を見込める。
Bパサージュ広場周辺地区活性化事業による新しい滞留空間の創出やレンタサイクル事業・まちなか散策コース整備事業等により中心市街地内の回遊性の向上に伴う中心商店街全体への波及効果も見込まれる。
※「波及効果が見込まれる」と評価されている変化の予測が3つ挙げられています。
※これらの変化を「プラス」にしていくためには、個店・商店街とも、相当の自助努力が必要ではないでしょうか?
それとも、経営能力には全く問題がない、通行量さえ増えれば、個店の業績は自助努力の転換無しで好転する、という考えなのでしょうか。
先に検討した「現状」では“通行量は増加したが販売シェアは低下した”と総括されていましたが・・・・?
このことは、通行量が増加しても、業績は低減しているということであり、業績を好転させるには、通行量の増加以外の手だてが必要だ、ということを証左しているようにも思われるのですが。
(4)個別事業の取り組み
再掲しますと・・・、
@中心市街地の状況
Aこれまでの取り組みの成果と課題
B今後の動向・・(変化要因)
を踏まえて、
商業活性化の目標:
目 標4 中心市街地の商業の活性化
中心商店街での商業活動を把握するにあたっては、中心市街地の空洞化を端的 かつ象徴的に現す現象である「空き地・空き店舗率」と商業統計による「中心市街地小売業年間商品販売額」を指標とする。
つまり、空洞化の象徴である「空き地空き店舗を減らし、販売額を増加させることが「商業活性化の目標」とされています。したがって達成を目指す数値目標として、
○活性化事業の効果測定手法
1)空き地・空き店舗率
2)中心市街地小売業年間商品販売額 が掲げられ、目標を達成する方向で
“商業の活性化に向けた事業の展開が必要であり、
@地域全体に新たな賑わいを広げる起点を作るとともに
A空き店舗解消や魅力ある商業施設整備の誘導、
B老朽化した市場の再編、更には
C集客力のあるイベントの開催 など、
賑わいのある中心市街地に向けた商業の活性化のための事業が必要である。”
商業の活性化事業の体系
┌ 大規模小売店舗立地法特例区域の設定
│
├ 中小小売商業高度化事業
商業の活性化───┤
├ 特定商業施設等整備事業
│
└ その他商業の活性化のための事業高度化事業
それぞれについては、
“中心市街地における商業の活性化のためには、当該地区への来街動機を喚起することが第一歩であり、商業的な吸引力をもつ「新たな賑わいの起点」を創出する必要がある。また、周辺地区全体への波及効果をもたらすため、起点を結ぶ動線を確立することが重要であり、その障害となる空き店舗等の解消対策とともに、集客イベント等のソフト事業により商業目的以外の来街者の増加と、商店街内の回遊性を向上させる事業を同時に実施する必要がある。
成果と課題で整理したとおり、松木屋閉店影響エリア、空間・景観有効活用期待エリア等での課題として、集客力のある施設整備や活性化のためのソフト施策の展開が求められており、商業の活性化に資する事業の実施が求められる”
ということで、それぞれの事業領域において取り組まれる個別事業の内容が決定される、ということになります。
@大店立地法特例区域の設定
中心市街地における大規模小売店舗は、新たな賑わいの起点であり、消費者の来街動機を喚起するともに、小売業年間商品販売額の向上に貢献するものであること、更には、大型空き店舗の発生による中心商店街の魅力の低下を、代替企業の速やかな誘致により未然に防止することができることから、積極的に誘導することが必要であるため特例区域の設定を要請する。
―引用終わり―
「要請する」とされていますが、この段階では区域が特定されていないようですね・・・。
ということは、何を意味しているのでしょうか?
○中心市街地の商業集積
都市規模からして青森市の中心市街地には、
1 都心(買い回り)型商店街
2 最寄り型商店街
3 @・A混在型
といった特性を持った商店街が存立しています。自生的に緩やかなゾーニングがが成立しているはずです。
商店街ごとに対応する購買行動が異なれば、活性化に向けた取り組みの内容も異なります。特定地域の設定は、
1 中心市街地の商業機能を充実させるために必要な大規模店舗の業態
2 立地させる街区
から決まります。
青森市の基本計画、このことに限らず、高度化事業や特定商業施設の計画など、合意形成に時間が掛かりそうな課題の多くが「後回し」にされているような気がします。もちろん、緊急を要し、かつ、大きな効果が期待される事業が決定している場合は、そういう発進も有りでしょうが、当市の場合、そういう事業は計画されていません。
ちなみに、中心市街地所在の多様な商業集積は「ショッピングモール」や「ショッピングセンター」に見立てるには複雑すぎます。 最近当社が提唱している「ショッピングコンプレックス」という概念を思い出していただきたい。
A中小小売商業高度化事業
中小小売商業者の高度化については、商店街自らが「一店逸品運動事業」により個店の魅力の向上に取り組んでいる段階であり、その延長線上で集団化・共同化等の取り組みになるものであることから、今後、中心市街地活性化協議会において、事業化等の検討を行うものとする。
―引用終わり―
高度化事業の位置としては、
@現在商店街が「一店逸品運動」により個店の魅力の向上に取り組んでいる段階である
Aその延長線上で集団化・共同化当の取り組みになる と言うシナリオであり、具体的な取り組みは、
「今後、中心市街地活性化協議会において、事業化等の検討を行うものとする。」ということです。
そうしますと、「中心市街地における商業の活性化のための事業」の全体像が姿を現すのはもっと先のことになります。
青森市では、「商業の活性化」に関する限り、高度化事業などの「戦略的事業」が決定されていない段階で基本計画を作り、達成すべき数値目標を決定する、という取り組みになっています。 理由は分かりませんが、商業以外の事業分野の事情が優先したのでしょうか。
いずれにしろ、商業の活性化については、これからしっかり計画していく、というのが青森市のスタンスだと思います。
これからの作業にこの「検討」がいささかなりと貢献できれば良いのですが。
○一店逸品運動〜高度化
中小小売商業者の高度化については、商店街自らが「一店逸品運動事業」により個店の魅力の向上に取り組んでいる段階であり、その延長線上で集団化・共同化等の取り組みになるものであることから、今後、中心市街地活性化協議会において、事業化等の検討を行うものとする。
> ―引用終わり―
ここでは、高度化事業への取り組みについては、 現在は「一店逸品運動事業による個店の魅力向上」に取り組んでいるこの延長上で集団化・共同化に取り組む という構想ですが、 果たして、実現のめどがたてられているのでしょうか?
一店逸品運動の延長で集団化・共同化がなぜ実現できるのでしょうか?
この構想と基本計画の期間との関係はどう考えられているのでしょうか?
といったことは計画には記述されていません。
そもそも。
商店街が取り組んでいる「一店逸品運動事業」の計画はなぜ『基本計画』に載せられていないのでしょう?
この取り組みの展開が「高度化事業」の成否を左右するわけですから、事業の概要、事業主体、スケジュールを載せる、事業の達成を担保しておかないとせっかく目標に設定された「通行量の増大」を事業機会として享受することが出来ないおそれがあります。
今現在における「一店逸品運動事業」の状況なども知りたいですね。
http://www.syoutengai.or.jp/print/h16/h16_aomori.pdf
新町商店街の一店一品運動
http://www.syoutengai.or.jp/print/h16/h16_aomori.pdf#search='%E4%B8%80%E5%BA%97%E9%80%B8%E5%93%81'
ここでの論議と直接関係しませんが、一店一品運動については、【目指せ繁盛店】コーナーで検討を始めます。
よろしかったらどうぞ。
B特定商業施設等整備事業
中心市街地における特定商業施設は、「新たな賑わいの起点」という視点で商業の活性化に貢献するものであり、積極的な誘導が必要であるが、事業主体の積極的な関与が必要であることから、今後、中心市街地活性化協議会において事業主体の発掘や事業内容等の検討を行うものとする。
―引用終わり―
この事業の企画も先延ばしになっています。
アウガに接して計画されているホテル併設の施設などが対象になるのかとも思われますが、「今後、中心市街地活性化協議会において、事業主体の発掘や事業内容等の検討を行うものとする。」とされています。 文面を見る限り、事業主体の発掘や事業内容の検討」はこれから活性化協議会で取り組むことになりました。「合意形成」の土台はこの「基本計画」になるのでしょうが、果たしてよくその任に当たることが出来るでしょうか。 協議会の使命は大きく重いものがあります。
Cその他商業活性化のための事業
1 中心市街地における商業の活性化のためには、当該地区への来街動機を喚起することが第一歩であり、商業的な吸引力をもつ「新たな賑わいの起点」を創出する必要がある。
2 また、周辺地区全体への波及効果をもたらすため、起点を結ぶ動線を確立することが重要であり、その障害となる空き店舗等の解消対策とともに、集客イベント等のソフト事業により商業目的以外の来街者の増加と、商店街内の回遊性を向上させる事業を同時に実施する必要がある。
3 成果と課題で整理したとおり、松木屋閉店影響エリア、空間・景観有効活用期待エリア等での課題として、集客力のある施設整備や活性化のためのソフト施策の展開が求められており、商業の活性化に資する事業の実施が求められる。
―引用終わり―
ここでは、「その他の事業」ばかりではなく、「商業の活性化」を実現するためのシナリオが述べられています。引用部分を整理すると、
中心市街地における商業の活性化のためには、
@「来街動機」の喚起が必要だ
A商業的な吸引力をもつ「新たな賑わいの起点」を創出する必要がある
B周辺地区全体への波及効果をもたらすため、起点を結ぶ動線を確立することが重要だ
C障害となる空き店舗等の解消対策とともに
D集客イベント等のソフト事業により商業目的以外の来街者の増加と
E商店街内の回遊性を向上させる事業を同時に実施する必要がある。
という「シナリオ」=「戦略」が述べられています。
事業計画は、このシナリオを実現するために立てるわけですが、検討は、
その1.このシナリオは活性化を実現できる内容になっているか?
その2.計画されている事業群はこのシナリオを具体化していく計画内容として適切か? について行います。
○シナリオの検討
「その1」については、この計画の基礎となっている「理論」の検討ですから、後ほどあらためて行うことにして、ここでは「その2」について、検討してみましょう。
シナリオをもう少し、単純化します。
@「来街動機」の喚起が必要だ
A商業的な吸引力をもつ「新たな賑わいの起点」を創出する必要がある
B来街目的となる「新たなにぎわいの起点」を創出する
C障害となる空き店舗等の解消対策とともに
E商店街内の回遊性を向上させる事業を同時に実施する必要がある。
E回遊性を向上させるために、空き店舗を解消と回遊性を向上させる事業を実施する
F集客イベント等のソフト事業により商業目的以外の来街者の増加と
G買い物目的外の来街客の増加を狙って集客イベント等のソフト事業を展開する。
ということでよろしいですね。一部、順序を変えましたが、文旨は変わっていないはずです。
このシナリオを実現するための事業として「具体的事業の内容」にまとめた事業群が計画されています。
シナリオと事業との整合性の検討、すなわち、計画された事業を成功させれば状況はシナリオどおりに進むのか、後ほど行います。
D個別領域の計画内容
商業の活性化事業の体系
┌ 大規模小売店舗立地法特例区域の設定
│
├ 中小小売商業高度化事業
商業の活性化─┤
├ 特定商業施設等整備事業
│
└ その他商業の活性化のための事業高度化事業
については、今後、中心市街地活性化協議会における検討〜計画を待つこととされ、『基本計画』において具体的に計画される事業は、“中心市街地における商業の活性化のためには、当該地区への来街動機を喚起することが第一歩であり、 商業的な吸引力をもつ「新たな賑わいの起点」を創出する必要がある。
また、周辺地区全体への波及効果をもたらすため、起点を結ぶ動線を確立することが重要であり、 その障害となる空き店舗等の解消対策とともに、集客イベント等のソフト事業により商業目的以外 の来街者の増加と、商店街内の回遊性を向上させる事業を同時に実施する必要がある。
成果と課題で整理したとおり、松木屋閉店影響エリア、空間・景観有効活用期待エリア等での 課題として、集客力のある施設整備や活性化のためのソフト施策の展開が求められており、商業の活性化に資する事業の実施が求められる”
― 引用終わり ―
という問題意識に沿って、それぞれの事業領域において取り組まれる個別事業の内容が決定されることになります。
ちょっと変則ですね。現段階では、
1 :区域は未設定であり
2 :具体的な立案は活性化協議会に付託
3 : 同上
ということです。
その他の商業の活性化のための事業
4 については「具体的な事業」として計画されています。
2.具体的事業の内容
(1)事業の内容
@事業の位置づけ
既に見たように、この基本計画では、商業の活性化のための事業として示されている、1〜4の事業のうち、「その他の商業の活性化のための事業」のみが計画されています。
商業の活性化に向けた事業の展開が必要であり、
@地域全体に新たな賑わいを広げる起点を作るとともに
A空き店舗解消や魅力ある商業施設整備の誘導、
B老朽化した市場の再編、更には
C集客力のあるイベントの開催 など、
賑わいのある中心市街地に向けた商業の活性化のための事業が必要である。 ということで、それぞれの課題に取り組んでいく事業が計画されています。
順次、見ていきましょう。
(2)大規模小売店舗立地法特例区域の設定
本市における中心市街地の商業機能は、郊外型のワンストップショッピングの消費形態とは異なり、複数の店舗の回遊による散策型のショッピング形態となっている。このようなショッピング形態の中で、商業的に大きな吸引力を有する大規模小売店舗は、購買動向の基幹となるものであると同時に、中心市街地において多数の来街者が訪れる「賑わい」の起点ともなる施設である。
中心市街地における商業機能を充実させるためには、大規模小売店舗と中小小売業等の商店街とが相互に連携し、商業的な吸引力を向上させる必要があるが、「大規模小売店舗立地第一種特例区域」の設定は、魅力ある商業施設整備を誘導し、来街動機の喚起と商業機能の一層の充実を図るために重要な措置であると同時に、既存の大規模小売店舗の閉店・撤退等による大型空き店舗の発生時には、他の事業実施者の速やかな誘致等を促進するためのセーフティネットの役割も果たすことが期待できる。
―引用終わり―
先に見たように、設定の必要性は述べられていますが、具体的な区域は決定されていません。
設定して大型商業施設を誘導することなどの重要性は述べられていますが、具体的な措置には至っていない、ということです。
(3).認定と連携した特例措置
@ 認定と連携した支援措置のうち、認定と連携した特例措置に関連する事業
○事 業 名 パサージュ周辺地区活性化事業
●事業内容 パサージュ構想の推進に向けた民間事業とパサージュ広場との一体的開発
中心市街地における商業は、複数の店舗の回遊による散策型ショッピング形態であることから、大規模小売店舗等の商業的な拠点の回遊を促すことが必要である。この拠点と拠点を結ぶ動線を構築するため、表通りの複数の専門店で構成される商店街に対し、裏道を活用した車がなく人が安心して「まちあるき」が楽しめる新しい商業界隈を創出するパサージュ(小径)を形成することにより、回遊性の向上を図ろうとするものが「パサージュ構想」であり、これを推進するため、旧基本計画に基づき、パサージュ形成を先導的・モデル的に示すパサージュ広場を平成12年9月に市が整備したところである。
この広場では商業ベンチャー支援事業(事業主体:青森市、運営主体:(有)PMO)が実施され、起業家育成の取り組みとイベント等の賑わいが活性化に寄与しており、これを面的に拡げることが課題であった。
そこで市は、平成18年度に実施する広場のリニューアル(店舗改装や広場全面融雪による無雪化)の機会を捉え、隣接地で構想されていた民間開発を、パサージュ広場との一体空間形成に資するものとなるよう働きかけ、潟iサコーポレーションによる協調開発が行われることとなった。
この事業者により整備される施設は、パサージュ広場と一体となった滞留空間を形成し、賑わい創造の拠点とするために、低層階では、カフェ・飲食店・書店といった商業施設を配置するとともに、集客拠点としての機能を向上させるため、サテライトスタジオを配置し、上層階は、天候等に左右されずコンスタントに集客できる低廉型ホテルである。広場とこの施設とで一体的空間を形成し、市民、観光客、商業者などの間の交流促進の核とするため、広場にオープンカフェを張り出したり、サテライトスタジオの見学溜まりを設置するなど一体で演出・運営・協働しようとするものである。
また、ソフト面では、パサージュ構想を推進するため、パサージュ形成への商業者等の主体的取り組みなどのシンポジウム等を開催し、意識啓発を図る。
○事 業 名 AOMORI 春フェスティバル事業
●事業内容 「ねぶた」と「よさこい」がコラボレートした集客イベント
本市では、その気候からゴールデンウィーク期間と桜の開花時期が重なるため、多数の市民が郊外部や近隣他都市に流出し、中心市街地の来街者数や商店街の売上等が減少する状況にある。
そのため、中心市街地におけるゴールデンウィーク期間中のにぎわい創出を図り、交流人口の増加を図ることが必要であることから、市民のみならず、観光客等をも視野に入れ、本市の観光資源である「ねぶた」と「よさこい」を融合した集客イベントを実施する。
○事 業 名 冬季観光イベント開催事業(仮称)
●事業内容 冬期間の誘客促進及び中心市街地への来街動機の喚起を図ることを目的に、中心市街地内の駅前公園を活用し、青森の「冬の食」をPRする。
中心市街地は、多様な都市機能が集積していることから、商業目的以外での来街者も多数存在する。商業の活性化のためには、これら目的外での来街者を消費行動に結び付けることが、必要である。特に、商圏以外の来街者(観光客)の消費を促進させることが、有効な手段であるが、本市の観光形態は、「ねぶた祭り」が実施される夏季に集中する状況にあることから、冬季に新たな観光イベントを実施することで、来街動機の喚起と観光形態の通年化による来街者数の平準化を図る。
○事 業 名 中心市街地にぎわいプラス資金融資
●事業内容 中心市街地地区内で行われる店舗の新増設等への融資、利子及び保証料補給
全国的には「いざなぎ景気」を超える景気回復基調にあるが、本市においては、地域の経済を牽引するような大企業等がなく、民間企業の設備投資意欲が低い状況にある。
しかしながら、経済活力の向上のためには、民間の主体的な取組が必要であることから、中心市街地における商業機能の充実に向けた民間投資を誘導するため中小企業者を対象とした融資制度を創設し、賑わいのある新たな魅力づくりを行うことにより、街の楽しみづくりと空き地・空き店舗の解消に寄与する。
A 認定と連携した支援措置のうち、認定と連携した重点的な支援措置に関連
●事 業 名 中心市街地商業活性化助言事業
●事業内容
中心市街地活性化協議会が街区の再編等による新たな魅力づくりを検討している地域の「まちづくり勉強会」へ専門家を派遣する。
A独立行政法人中小企業基盤整備機構から、中心市街地活性化協議会へ中心市街地の活性化にする専門家を派遣してもらい、地域課題に対するアドバイスを受ける。
中心市街地における経済活力の向上のため、商業的視点のみならず、商業施設整備等に係る技術的な視点からもアドバイス等を行うことで、各種事業の活性化効
果を高める。
● 支援措置名 戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助金
● 中心市街地商業活性化アドバイザー派遣事業
○具体的事業の全体像
結局、この計画において「商業の活性化のための事業」の主要項目は、ここにまとめられています。
活性化のために必要とされていた事業のシナリオ:
1 地域全体に新たな賑わいを広げる起点を作るとともに
2 空き店舗解消や魅力ある商業施設整備の誘導、
3 老朽化した市場の再編、更には
4 集客力のあるイベントの開催 などが必要である。 ということから、
○事 業 名 パサージュ周辺地区活性化事業
●事業内容 パサージュ構想の推進に向けた民間事業とパサージュ広場との一体的開発
つまり、「地域全体に新たな賑わいを広げる起点をつくる」に該当しますが、これだけでは不十分(高度化事業など)であり、全体的な構想は今後「活性化協議会」で検討することになっています。
○事 業 名: AOMORI 春フェスティバル事業
●事業内容 :「ねぶた」と「よさこい」がコラボレートした集客イベント
○事 業 名: 冬季観光イベント開催事業(仮称)
●事業内容 :冬期間の誘客促進及び中心市街地への来街動機の喚起を図ることを目的に、中心市街地内の駅前公園を活用し、青森の「冬の食」をPRする。
これらは「集客力のあるイベントの開催」でしょう。
C事 業 名:中心市街地にぎわいプラス資金融資
●事業内容 :中心市街地地区内で行われる店舗の新増設等への融資、利子及び保証料補給
「空き店舗解消や魅力ある商業施設整備の誘導」、「老朽化した市場の再編」が狙いだと思います。
A 認定と連携した支援措置のうち、認定と連携した重点的な支援措置に関連
●事 業 名 中心市街地商業活性化助言事業
●事業内容 中心市街地商業活性化アドバイザー派遣事業
この事業は、中心市街地活性化協議会が街区の再編等による新たな魅力づくりを検討している地域の「まちづくり勉強会」へ専門家を派遣する、ということです。 つまり、高度化事業その他これからスタートする本格的な計画つくりへの対応です。
※現段階で計画が済んでいる青森市における「中心市街地の商業の活性化のための事業」は、上記のとおり、本格的な計画はこれから「活性化協議会」が中心となって作っていくことになっています。
数値目標などは、高度化事業その他の事業計画が揃った時点で決定すべきもの、事業が出そろわなかったこともあってか、数値目標は低く設定されているようです。
シナリオとしての出来映え、熟度についてあらためて全体を見ていきましょう。
(3)その他の支援措置に関する事業
該当なし
(4)国の支援がないその他の事業
@事 業 名:まちなかレンタサイクル事業
●事業内容:4月〜10月までの間、1回200円で自転車を貸し出し
中心市街地での買物動向は、複数の店舗の回遊による散策型ショッピング形態であることから、回遊性の向上を図ることが必要である。本市の地形特性で中心市街地は平坦な構造となっており、移動しやすいことから、夏季においては、自転車による来街者も多い状況にある。
そのため、市民のみならず、観光客等をターゲットにした自転車の貸出により、中心市街地内の回遊性の更なる向上を図るものである。
A事 業 名:まちなかサポーターズ事業
●事業内容:学生による高齢者・障害者等への買い物サポート、街区清掃、挨拶、HP等を活用した中心市街地における来街者の増加を図るためには、来街者のリピーター化が必要であり、商圏人口のみならず観光客等に対し、商品の価格や質以外にサービス面でホスピタリティ(おもてなし)を向上させることも重要な動機付けとなる。
更に、本市では、中心市街地周辺に大学・短大等の高等教育機関が存在しないことから、中心市街地と教育機地域情報発信、観光案内等のサービス提供との連携が十分でなく、学生のまちづくり活動に対する理解や参画が希薄である。
そのため、来街者へホスピタリティの向上と、学生のまちづくりへの参画を促す取組が必要である。
【サポーターズ組織概要】
◇名称 「まちなかしかへらー‘S(ズ)」
◇概要 地元大学生(約20名)が毎週日曜及びイベント実施日等に活動
B事 業 名:まちなか散策コースの整備事業
●事業内容:中心市街地付近に存在する青森市の歴史や本市を代表する著名人の足跡に触れることができる多くのポイントを今以上に掘起し、誘導や定点サインなどのハード整備や既存サインの観光的リニューアルとともに、観光客が中心市街地を還流する散策コースの整備を行い、また観光客への散策コースを紹介するマップ作成やITの活用を含めた情報提供機能の整備を図る。
中心市街地の回遊性を向上させるため、地区内の多様な資源を発掘すると同時に、観光客等の本市に不案内な来街者にPRする必要がある。
そのため、誘導サインの整備や回遊のモデルコースを示すことで、観光客を中心市街地に還流させ、都市観光の推進を図る。
4.検 討
(1)要 領
それではここから検討に入ります。検討は、
@当計画における「商業の活性化」のシナリオを明らかにする
A計画されている事業とシナリオとの整合性を吟味する
という方法で行います。
なお、シナリオ自体の妥当性(商業活性化に成功する可能性)の評価は、スレッドを変えて行います。
(2)シナリオ「活性化への道」
@当計画における「商業の活性化」のシナリオを明らかにする
当基本計画の柱となるべき「シナリオ」はどこにも明示されていません。
しかし、それらしいことが書かれているところがありますので、見てみましょう。
その1
“商業の活性化に向けた事業の展開が必要であり、
@地域全体に新たな賑わいを広げる起点を作るとともに
A空き店舗解消や魅力ある商業施設整備の誘導、
B老朽化した市場の再編、更には
C集客力のあるイベントの開催 など、
賑わいのある中心市街地に向けた商業の活性化のための事業が必要である。”
また次のような主張も行われています。
中心市街地における商業の活性化のためには、
@来街目的となる「新たなにぎわいの起点」を創出する
A回遊性を向上させるために、空き店舗を解消と回遊性を向上させる事業を実施する
B買い物目的外の来街客の増加を狙って集客イベント等のソフト事業を展開する。
若干相違が見られます。
これは、プランナーのシナリオについての配慮が不足しているからかも知れません。
いずれにせよ、まとめてみましょう。
問題は「その1」のA、Bと「その2」のAとの違い。
これを次のように編集します。
@来街目的となる「新たなにぎわいの起点」の創出
A空き店舗解消や魅力ある商業施設の開設
B回遊性を向上させる事業の実施
C集客力のあるイベントの開催
お手数ですが、計画のシナリオを歪曲していないことを確認してください。
このシナリオ各項に計画されている事業を割り振ってみましょう。
「活性化への道」足りうるか
基本計画が描く青森市中心市街地・商業活性化への道
@来街目的となる「新たなにぎわいの起点」の創出
A空き店舗解消や魅力ある商業施設の開設
B回遊性を向上させる事業の実施
C集客力のあるイベントの開催
課題とされているのは、
@集客力の強化
A回遊性の向上
です。
中心市街地・商店街の「集客力」は、もちろん「買い物目的の来街客を集める力」であり、「買い物の場としての魅力」が集客力の源です。
すなわち、“郊外型商業施設を横目に中心市街地まで買い物目的でわざわざ出かけてくる、出かけてこずにはおれない”魅力を作ることが「集客力の強化」です。
この計画で言われている「賑わいの起点」や「魅力ある商業施設」は、「中心市街地の商業の活性化」という課題が取り組まなければならない課題としての「賑わい」、「魅力」について適切に理解したうえで企画されているのかどうか、しっかり検討してみることが必要です。
「回遊性」について。
商店街の来街客の中心は、ショッピング目的のお客です。ショッピングとは、買い物、下見、冷やかし、暇つぶしなど「ショップすること」全体を意味します。
回遊を実現したかったら、「回遊に値する商店街か」、「ショップする」対象となるお店がどれだけ揃っているか、ということが課題になる。
たとえ空き店舗数が少ない商店街でも「ショッピング」の対象として評価されないお店が多い商店街は、買い物行き先として必らず備えていなければならない機能が「空洞化」していると考えられます。
言い換えれば、活性化への取組が必要な商店街とは、「買い物行き先としての機能」が劣化・空洞化している商店街ですから、「ショッピング機能の活性化」こそが商店街活性化の最初にして最大の課題であることは言うまでもありません。
商店街の「回遊性」は「ショッピング機能」が整備された個店の連なりで実現されます。ショッピング機能以外の要因で遡及する回遊ではショッピングを誘発することが難しく、結局、買い物の場としての商店街の活性化、個店の業績好転につなげるためには、「回遊性」実現に先立ち、「回遊目的」を作り上げることが必要です。
このことは、「集客イベント」についても言えることです。
イベントで集客したお客が商店街でショッピング客になる、というのがねらいですが、これを実現するのは大変難しい。イベント目的で来街したお客を「ショッピング客」というもともと意図していなかった行動へ誘導するわけですから、並大抵のことでは実現できません。
このことは、既に都市を代表するようなイベントと商店街の来店客の関係として、どこの都市の中心市街地でもよく見られるところです。
第一、商店街としては日常的に来街してもらわないと売り上げが作れない、という性格を
持っているのに対して、イベントは限られた時期・時間・非日常的な行事です。
企画としては、イベントで来街したお客に商店街になじんでもらい、イベント以外の日時にもショッピング客として来てもらいたい、ということですが、なかなか実現することは難しい。
端的に言ってこれは本末転倒した発想だと思います。
商店街活性化と集客イベントの関係は、
@まず、ショッピング行き先として魅力のあるお店を並べる
Aイベントでお客を集め、@を確認させる
B確認し、評価したお客が次からはショッピングを目的に来街する
という行動パターンを作ることを狙うものです。
@が実現していない商店街で華々しくイベントに取り組み、お客を集めたとしましょう。
来街客が目にするのは「ショップしてみたい」という気にはなれないレベルのお店ばかりだとすれば、あらためて「ショッピング目的で来街する」というお客の行動を期待することはできません。
「イベント主導の商店街活性化」で成功した事例はありませんからね。 イベント集客には成功しても集めたお客が「ショッピング客になる」「翌日以降、 ショッピングに来街する」ということはありません。
このあたりは、『整備改善活性化法』時代の試行錯誤でよく分かっていることなのですが、教訓として活かされていない都市が多いようです。もちろん、伝統あるイベントを効果がないから止めようということではありません。
ショッピング客を集めるために、効果的なイベントを企画しよう、という発想を批判しています。
もう一つ指摘しておきますと。
空き店舗の活用や、新商業施設の開設は掲げられていますが、肝心要の「既存個店」の活性化への取り組みについてはほとんど言及されておらず、したがってもちろん取り組みは計画されていません。
これはどうしたことでしょうか?
A 商業者・商店街の取り組み
ご承知のとおり、これは当計画に限ったことではありません。
多くの都市の基本計画が「商業者・商店街の自助努力」についてはほとんど計画されていません。計画が無いどころか、そもそも「中心市街地の現状」の記述で、「商業者・商店街の現状」が分析されている例もきわめて少ないのではないか?
ここにもまた「商業はまちの花」理論―人口・通行量が増えれば商業は活性化する、というデタラメ―の影響が見えます。
(そう言えば、「商業はまちの花」理論にも「空洞化は商業者にも責任がある」という視点はありません。)
商店街の現状分析は、新・基本計画の必須条件ですが、中身が希薄過ぎます。
都市機能の移転、人口の減少、大型店の撤退、郊外型商業の影響などが述べられているだけで、これらの外部要因の変化に商業者をはじめ関係各方面はどう対応して来たのか、どのような成果があったのか、あるいはなかったのか。
その結果、個店・商店街の実態はどうなっているのか。
活性化するためにどのような取り組みが必要か。
等々の検討はほとんど行われていない。
したがって、活性化の取り組みもそのあたりにまで立ち至っていない、というのが おおかたの基本計画の「現状」でしょう。奇妙なことに、“取り組みは既存商業者のためのものではない”といいながら、実際の
取り組みは、「消費人口を増やす」「来街人口を増やす」「通行量を増やす」といった施策を講じることで、商業者・商店街が労せずしてお客を確保できる仕組みを作ろうとしている、と言われてもやむを得ないのではないか。
「既存商業者のための事業ではない」とすれば誰のための事業でしょう?
もちろん、「劣化している個店の売り場」を改革・改善する、という自助努力を伴わない活性化施策が功を奏するはずがありませんから、「既存商業者を助けるつもりはない」といいつつ「助けよう」としていた施策でしたが、結局助けにはならず、したがってこれといった効果は挙げられないまま、今日に至っている。
中心市街地の二号要件・趨勢要件の分析では、衰退・空洞化という趨勢をもたらしている要因として、商業者・商店街の自助努力が功を奏していないこと、直面している問題と実行している「解決策」の間に大きなミスマッチがあること、をきちんと指摘しなければならない。その上で新しい活性化を実現するための取り組みの「方向と方法」を明示すること、つまり、「活性化の取り組みの基本方針」を明らかにすること。
すべての計画に先だって、まずこのことが明らかにされていることが必要です。
商業者・商店街組織の自助努力の方向と関係各方面が一体となって取り組むており、各種の取り組みがそれぞれ相乗効果を発揮出来る実施計画になっていることが、不可欠であり、そのためには「基本計画」は単位商店街の行動計画を内蔵するかあるいは別途、基本計画を受けて行動計画を作成しなければならない。
「基本計画」一本で中心市街地の活性化を実現できる、と考えたら大間違いです。
と、このあたりは「一般論」、多くの都市の計画状況に合致する指摘だと思います。
(2)実現のための事業
@計画されている事業
1 来街目的となる「新たなにぎわいの起点」の創出のための事業
事 業 名: パサージュ周辺地区活性化事業
事業内容 :パサージュ構想の推進に向けた民間事業とパサージュ広場との一体的開発
上階にビジネスホテルを併設した商業施設が計画されています。
ここが新しい「集客」核となるためには、商業機能としてどのような「コンセプト」を掲げるか、ということが課題。
パサージュとの一体性を持った商業施設ということになりますが、果たしてその中身はどのように考えられているのでしょうか。
計画には述べられていませんが、新しい「賑わい起点」つまりは「集客核」でっすから、コンセプトは明確に計画しておくべきではないでしょうか。
また、この「起点」は青森駅〜新町〜という「回遊」の起点でもありますからこのパサージュを含むここの機能と接続している商店街との機能の連関も検討することが必要です。
当然、商店街も新集積が集客しようとするお客にとって「魅力ある買い物の場」であることが課題、商店街・個店の活性化はどのような計画で取り組まれるのか?
商店街では有志が「一店逸品」に取り組んでいる段階ですが、その延長上に 「魅力ある商店街」が構想されているのならば、そのプロセスを計画に 載せておくべきではないでしょうか?
2 空き店舗解消や魅力ある商業施設の開設
事 業 名:中心市街地にぎわいプラス資金融資
事業内容 :中心市街地地区内で行われる店舗の新増設等への融資、利子及び保証料補給
空き店舗の活用についての支援措置です。
必要なことですが、その前に基本計画できめておいて欲しいことがあります。各商店街の現状などを踏まえつつ、「中心市街地において分担する商業機能」を概略決定しておかないと、空き店舗の効果的な活用=テナントミックスの促進が出来ません。
特に、松屋跡など大規模店後の活用については、街区が分担する機能との整合性を取ることが重要です。
3 回遊性を向上させる事業の実施
●事 業 名:まちなかレンタサイクル事業
事業内容:4月〜10月までの間、1回200円で自転車を貸し出し
●事 業 名:まちなかサポーターズ事業
事業内容:学生による高齢者・障害者等への買い物サポートなど
ここではソフト事業に限って分類してみましたが、もちろん、Aの取り組みも「回遊促進」にとって大変重要なことは言うまでもありません。Aの取り組みがきっちり出来てはじめてこれらのソフト事業の効果が発揮されるであって、Aをサボりながらこれらの事業で大体することは出来ないということを確認しておきたいと思います。
4 集客力のあるイベントの開催
●事 業 名: AOMORI 春フェスティバル事業
事業内容 :「ねぶた」と「よさこい」がコラボレートした集客イベント
●事 業 名: 冬季観光イベント開催事業(仮称)
事業内容 :冬期間の誘客促進及び中心市街地への来街動機の喚起を図ることを目的に、中心市街地内の駅前公園を活用し、青森の「冬の食」をPRする。
●事 業 名:まちなか散策コースの整備事業
事業内容:中心市街地付近に存在する青森市の歴史ポイントなどの整備
イベントで集めるお客はイベント目的のお客です。商店街活性化を実現するためには、来街者を増やす酒では不十分、来街客がショッピング客にならなければ、「経済活力の向上」は実現しませんからね。 商業・商店街の活性化策としてイベントを企画する場合は、イベント客がショッピング客に転化する「仕掛け」をあらかじめ作っておかなければならない。つまり、イベントで来街したお客が「ショッピングしてみたい」と思うようなお店を並べることが先決なのです。
ということで、「シナリオ」をざっと検討してみましたが、これらの事業に取り組むことで「賑わい」や「商業の活性化」が実現されるかとなると、率直にいって疑問があります。
A実現を目指す商業集積の性格
このあたりで検討していることは、青森市の基本計画特有の課題ではありません。多くの都市の計画に含まれている問題点だと思いますので、以下も一般論として読んでください。
計画されている事業群に欠けているのは、「上位目的」です。これらの事業に計画的・総合的に取り組むことによって、どのような来街目的を作り出そうとしているのか?
商業の活性化と言えば一言ですが、つねづね申しあげているように、商業機能は対応する消費購買行動が異なれば整備すべき内容が変わります。
仮にも県都の中心商店街が果たしてきた・今後果たすべき役割から導かれる整備目標と、中心市街地周辺に居住する世帯を対象とする最寄り型商店街の活性化策を一緒くたにして考えるようでは、回遊性も賑わいも実現することは不可能です。
中心商店街に整備される「集客核」は、中心商店街がになう「買い物の場」としての役割・コンセプトを分担することが必要です。中心商店街は県都のそれらしくファッションなどを中心とする買い回り型、「核」は食品を中心とする最寄り型、というのでは核が集めたお客がとおりへ回遊していく、ということはありません。
買い回り的賑わいと最寄り的賑わい、それぞれの商店街がどちらを狙うのか、大まかに決めておかないと施策のねらいが定まりません。もちろん、「何でも良いから人さえ集まればよい」というのが「人が集まれば商業は活性化する」という思いこみから来る目標ですが、それはこちらの勝手な言い分であって、お客は「何でも良いから街に来て」と言われてハイそうですか、では参りましょう、ということにはなりませんからね。
お客から見た「来街目的」をハッキリ作り上げないと、にぎわいは生まれません。
中心市街地の既存商店街等を主役に、これからどのような商業機能を構築していくのか?
『基本計画』が真っ先に示さなければならないのはこのことですが、残念ながらこの計画では明らかにされておりません。その結果心配されるのは、整備される集客核の経営活動と既存商店街群の自助努力とが相乗効果を発揮するような取り組みが構築されるだろうか、ということですね。
これはもちろん、中心市街地の商業を活性化させる、そのために総合的・戦略的な計画を立て・実施する、という状況にあっては、必ず心掛けなければならないところです。
青森市の中心市街地に位置する商業機能は、誰のどのような消費購買行動の受け皿として充実させることで活性化しようとするのか。これが明確でないと時期・場所・主体が異なるさまざまな取り組みの成果を相乗的に活用することが出来ません。
5. 商業者・商店街組織
(1)姿が見えない商業者
この計画では「商業の活性化」について、主体とならなければならないはずの組合や商店主の姿が見えません。一部を除いて空洞化が進んでいることは記述されていますが、その進展に対する商店街組織の対応、個店の取り組みぶりなどは触れられていないのです。
定例的なイベント行事を除けば、商店街組織の活動は唯一「一店逸品運動事業」 に言及されているだけ、それもきわめて簡単に「取り組んでいる」と言うことが、この時点で高度化事業等については、この事業の進展をまって計画する、と書かれているだけであり、その目的、取り組み内容、活性化実現の展望などは描かれていません。
重大な疑問が生じます。
それは、 『基本計画』の「商業等の活性化」に関わる事業計画は、イベントなどを除けば商業者以外の関係者が取り組む事業について計画したものであり、商業者及びその組織が取り組む事業については、計画されていない、のではないか?
ということです。 そうとしか考えようがありません。
もちろん、商業者の主体的な取り組み無くして「商業の活性化」が実現出来るはずがありませんから、「商業の活性化」については、別途商店街組織の行動計画などが作られていればよいのですが、おそらくそれは期待できません。
各種事業で賑わいを創出、通行量を増大すれば活性化が結果する、という基本シナリオであれば、商店街・商店主の地道な自助努力は不必要だ、と考えられているとは思えないのですが・・・。
しかし、現実に商業者による自助努力が計画に記載されていないことをどう理解したらよいのか・・・・。
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