ケーススタディ
 青森市中心市街地活性化基本計画を読む





はじめに

当コーナーではこのスレッドの直前で「基本計画を作り直す」を論じました。
当社独自の視点による、これまでの計画の概観と新計画が具備すべき要件について考えています。今回のケーススタディではこれを踏まえ、「『基本計画を作り直す』の視点からの『認定基本計画』の研究」にチャレンジするものです。

取り組むねらいは三つ。
第一に、『基本計画を作り直す』というテーマで行った提案の『有効性』を検証すること
第二に、これから検討におつきあいいただく皆さんの業務にいささかなりと貢献すること
第三に、批評の対象とする『基本計画』の改善あるいは下位計画・実施段階に寄与すること。


1.対 象
  このケーススタディは、『青森市中心市街地活性化基本計画(以下「計画」という)』 を主たる対象とし、必要により富山市の計画を参照する、という方法で行います。
※参照 青森市中心市街地活性化基本計画



2.批評の基準と範囲

(1)批評の基準:もちろん新「法」のスキームです。
  「法」及び基本方針などを援用しつつ、
@「法」のスキームに合致した計画になっているか?
A設定されている「目的」「目標」を達成するための計画として妥当であるか?
B改善すべき点があればその指摘とオルタネティブの提案
の3つの作業を行います。


(2)作業の対象範囲:
  主として「商業の活性化」についての計画を対象とします。

  計画の目次中、
1.中心市街地の活性化の基本的な方針
3.中心市街地の活性化の目標
7.中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業その他の商業の活性化のための事業及び措置に関する事業
が検討の対象です。
なお、必要により・必要な限りで他の項目も検討します。


※参 照
当社サイト【都市経営入門編コーナー】にある次の各スレッドは、この作業の前提となるものです。
『基本方針を読む(1)』

(1)〜(7)と(まとめ)まで、長大スレッドです。
なお、本スレッドと平行して新しく『基本方針を読む(実務編)』を立ち上げます。
当スレッドの理解に必要な一般論をこちらでアップしますので、併読してください。

『中心市街地活性法を読む』

未完ですが、それなりに参考になると思います。


                    第1章 計画の構成

計画は次のように構成されています。

      − 目 次 −

1.中心市街地の活性化に関する基本的な方針 P.1
2.中心市街地の位置及び区域 P.19
3.中心市街地の活性化の目標 P.30
4.土地区画整理事業、市街地再開発事業、道路、公園、駐車場等の公共の用に供する施設の整備
  その他の市街地の整備改善のための事業に関する事項 P.48
5.都市福利施設を整備する事業に関する事項 P.51
6.公営住宅等を整備する事業、中心市街地共同住宅供給事業その他の住宅の供給のための事業
  及び当該事業と一体として行う居住環境の向上のための事業等に関する事項 P.57
7.中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業その他の商業の活性化のための事業
  及び措置に関する事項 P.62
8.4から7までに掲げる事業及び措置と一体的に推進する事業に関する事項 P.71
  ◇4から8までに掲げる事業及び措置の実施箇所 P.77
9.4から8までに掲げる事業及び措置の総合的かつ一体的推進に関する事項 P.78
10.中心市街地における都市機能の集積の促進を図るための措置に関する事項 P.83
11.その他中心市街地の活性化のために必要な事項 P.87
12.認定基準に適合していることの説明 P.91

 構成は 『基本方針』に示されている枠組み通りですね。
では、目的に該当する項目を中心に読んでいきましょう。

1.中心市街地の活性化に関する基本的な方針

 次のように構成されています。

T.青森市のまちづくり 〜コンパクトシティの形成

U.これまでの中心市街地活性化の取組み

V.中心市街地の現状と活性化に向けた課題

W.中心市街地活性化の方針等の設定

それぞれ簡単に見ていきます。


T.青森市のまちづくり
 〜コンパクトシティの形成〜

 (1)青森市の概況
 (2)青森市の気象と都市づくりの方向性
 (3)中心市街地の空洞化の状況 と、状況が述べられ、上位計画である
 (4)青森都市計画マスタープラン で「目指すべき青森市の方向性」として(引用)
  “20年後の都市像として、雪に強い都市、高齢・福祉社会に対応した都市、環境調和型の都市、災害に強い都市、効率的で快適な都市を掲げ、   コンパクトシティを形成する都市構造の基本的考え方としては、以下の3区分とし、それぞれのエリアの特性に応じた土地利用の配置方針を定   めた。

〔エリア別整備の方針〕
@インナー(Inner-City) : 概ね昭和45年頃からの既成市街地、街なみの老朽化が進む密集市街地や中心市街地を含む。
                     都市整備を重点的に行い市街地の再構築などを進めるエリア。
Aミッド(Mid-City)     : インナーとアウターの間のエリアで、多くが低層の住宅地となっている。
                     高度経済成長期に民間開発された住宅地や商業地、密集市街地地区となっていることから、整備の方針は、雪
                     に強く、生活環境が良好な面整備が図られる土地区画整理事業による。
Bアウター(Outer-City) : 外環状線(一般国道7 号青森環状道路)から外側のエリアで、都市化を抑制し、自然環境、営農環境の保全に努                     め、開発は原則として認めないエリア。

 このように「無秩序な市街地の拡大抑制」と「街なかの再生(中心市街地の活性化)」という2つの視点に立ち、これまで外側に向けて注いできた開発エネルギーを内側に向けることによって、中心市街地の活性化と郊外開発の抑制を推進してきたところである。


U.これまでの中心市街地活性化の取組み
 〜コンパクトシティの形成〜
 (1)旧法に基づく青森市中心市街地再活性化基本計画(平成10 年11月策定)
   @ 中心市街地の位置及び区域の設定
     商業・業務・都心居住・交流といった都市機能の集積状況 (「ウォーターフロントゾーン」 「ショッピング・カルチャー・サービスゾーン」 「官公     庁ゾーン」 「ニューライフゾーン」というゾーニングの状況)等から設定した。 (面積116.7ha)

   A 中心市街地活性化の必要性
     中心市街地活性化の必要性を、少子化、高齢化、経済のグローバル化に対応できる都市のあり方である「コンパクトなまちづくりの必要性」     によって説明、明確化した。

   B 中心市街地活性化の方針と目標の設定
     本市中心市街地の現状を、      
1)夜間人口の推移
2)小売業の販売額シェアの推移
3)空き店舗の状況
の3 つの指標により把握、整理した。
課題を「住む人を増やすこと」「起業環境を整備すること」「訪れる人を増やすこと」と整理し、「街ぐらし」「街の楽しみづくり」「交流街づくり」を活性化の方針とし、「ウォーカブルタウン(遊歩街)の創造」を目標として設定した。

C 中心市街地の整備改善に関する事業及び構想
中心市街地を特徴付ける四つのゾーンには、その機能を牽引する核が7つ存在する。
   それぞれ
   「駅前ゲート交流核」
   「生鮮系ショッピング核」
   「ファッション系ショッピング核」
   「散策型ショッピング核」
   「海洋交流核」
   「ランドマーク核」
   「海洋レジャー核」であり、
  核の機能強化に資する市街地整備事業を15事業位置づけるとともに、熟度の高まり等を見据えそれぞれの核に「今後の構想」を位置づけた。

D 商業等の活性化に関する事業及び構想
すべての人にやさしい商店街づくりを目指し、新しい商界隈を形成するため、
1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム
7)テナントミックス事業
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策
を位置づけた。

E 推進体制及び推進方法
推進組織としてTMOを位置づけ、プロジェクトの立案、管理を担うプロデュース部門と、各プロジェクトごとに調整、進捗を図るディレクション部門を擁し、自立的に活性化を推進する組織として機能することを意図した。
推進方法(推進戦略)としては、「リーディングプロジェクトと熟度の高いプロジェクトを先行させること」とし、まず実績を積み重ねることを重視した。


■《検 討》

 検討は、まず計画に沿って
@目標は何であったか
A目標を実現するための事業企画は妥当だったか
B成果は挙がったか
を検討します。

○中心市街地活性化の課題
@「住む人を増やすこと」
A「起業環境を整備すること」
B「訪れる人を増やすこと」

○活性化の方針
 「街ぐらし」「街の楽しみづくり」「交流街づくり」

○活性化の目標
 「ウォーカブルタウン(遊歩街)の創造」

とされています。
  「一体的推進の目標」は「ウォーカブルタウン(遊歩街)の創造」ですね。
  これを実現するために計画された事業群について、 ここでは「商業の活性化」に絞って検討します。

 D 商業等の活性化に関する事業及び構想
すべての人にやさしい商店街づくりを目指し、新しい商界隈を形成する ため
1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム
7)テナントミックス事業
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策
> を位置づけた。

これらが旧計画のメインとなる事業群です。
「ウオーカブルタウン(遊歩街)」はこれらの事業に取り組むことによって実現(創造)されるわけです。
ここでは「ウオーカブルタウン」というコンセプトが説明されていないために、コンセプト〜下位事業群の整合性の検討が出来ませんが、「ウオーカブルタウン」は、「商業等の活性化」という課題と「遊歩」という方向から、楽しくショッピング出来る街 といったニュアンスをもつ目標のように思われます。

実現するための事業は、
○環境整備
1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備
○商業機能の高度化
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
7)テナントミックス事業
○アクセスの整備
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム
○総合施策
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策
というように区分することが出来ます。

 特に取りあげたいのはtakeoが「商業機能の高度化」に分類した事業について。

E 推進体制及び推進方法
推進組織としてTMOを位置づけ、プロジェクトの立案、管理を担うプロデュース部門と、各プロジェクトごとに調整、進捗を図るディレクション部門を擁し、自立的に活性化を推進する組織として機能することを意図した。

TMO=ウオーカブルタウン構想を実現するための取り組み、上記@〜Gの事業群を推進する組織という位置づけです。テナントミックス事業など、既存商業者の自助努力と密接に連動する事業については、商業者、商店街組織との協働が不可欠ですが、どう取り組まれたのか。さらに、もちろん、われわれとしては、
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
について、計画〜実施〜評価が詳しく知りたいところです。

“推進方法(推進戦略)としては、「リーディングプロジェクトと熟度の高いプロジェクトを先行させること」とし、まず実績を積み重ねることを重視した。”

ウオーカブルタウンを実現していく方法としては、
@リーディングプロジェクトと
A熟度の高いプロジェクトを先行させる
Bまず実績を積み重ねる
とされています。

※気になること
その1 これらの事業群に取り組み、具体化していくことで「ウオーカブルタウン」が実現され、商業の活性化が達成される、というシナリオは描かれていたでしょうか?
リーディングプロジェクト、熟度の高いプロジェクトに言及されているところから、シナリオがあったことが推測されますが、ここではその内容は分かりません。

その2 「テナントミックス」についてはどう理解されていたのか?
また、「商業者の意識高揚を図るための研修事業」はどう展開されてきたのか、ということも大いに気になります。
テナントミックスの実現が、既存個店、商店街組織の課題として認識されていたら、「研修事業」は「意識高揚」に限らず「知識・技術の修得」までカバーすることが必要ではないか、と思われます。

このあたりについて、これまでの取り組みをどう評価しているか、ということが新計画の内容を左右するということもあり得ます。


「ウオーカブルタウン」という目標

 『青森市中心市街地活性化基本計画(旧バージョン)』における[市街地の整備改善事業」と「商業等の活性化のための事業」を一体的に推進して実現を目指す「中心市街地のあるべき姿・目標」は『ウオーカブルタウン』です。
 『ウオーカブルタウン』は、“これを実現すれば中心市街地は活性化される”という目標ですが、旧バージョンにおいて「中心市街地の機能」は商業機能がメインであることから、『ウオーカブルタウン』は“中心市街地の商業機能(そのメインは広域型商店街)が実現を目指すあるべき姿”ということになります。

 中心市街地は『ウオーカブルタウン』を実現することで広域の住民が「わざわざショッピング目的で来訪する街区」として再構築されるか?
言い換えれば、@〜Gの事業に取り組むことで中心市街地は「ショッピング行き先」としてのポジションを獲得することが出来るか?
ということです。

そうすると、8個の事業群は、
@来街目的を作り上げる事業
○商業機能の高度化
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
7)テナントミックス事業
A街区環境を「らしく」整備する事業
○環境整備
1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備
Bアクセスの改善
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム
   とジャンル化することが出来ます。

「サービス」を充実させる事業も欲しいところであり、これは、
○総合施策
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策
に含まれる、と理解しておきましょう。


(2)これまでの取り組みの評価

■旧基本計画に基づく中心市街地活性化の取り組みの評価

つぎのような事業が取り組まれました。

@主な市街地整備に関する事業
 ○アウガ ( 交流、賑わいの拠点として貢献)
 ○パサージュ広場 (交流、賑わい、起業家育成に貢献)
 ○冬期バリアフリー計画
 ○はままち団地など街なか居住の推進
 ○新中央埠頭の整備 
 ○ぱるるプラザの整備

A主な商業活性化に関する事業
 ○商業ベンチャー支援事業 
 ○しんまちふれあい広場事業 
 ○タウンモビリティ事業 
 ○一店逸品事業 
 ○縄文スタンプ事業 
 ○共通無料駐車券事業 
 ○宅配サービス事業 
 ○パラソルショップ事業 
 ○中心市街地活動拠点施設設置事業
 ○まちなかレンタサイクルシステム事業 
 ○光のプロムナード事業 
 ○つどいの広場事業 
 ○まちなかサポーターズ事業 
 ○AOMORI 春フェスティバル事業 

これらの事業の内容および成果については、『基本計画pdf』を参照してください。

■評価の方法

ここでは「市街地の整備改善」と「商業等の活性化」というスキームの事業区分に沿って事業が区分されていますが、評価は計画にもとづいて行うことが適切だと思われるので、『計画』を基準に組み替えてみましょう。

1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム>
7)テナントミックス事業
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策

というように区分されていました。これを「ウオーカブルタウン」実現という目標に合わせて分類しなおすと、(以下は当社の作業)

1.来街目的を作り上げる事業
○商業機能の高度化
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
7)テナントミックス事業

2.街区環境を「らしく」整備する事業
○環境整備
1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備

3.アクセスの改善
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム
「サービス」を充実させる事業も欲しいところであり、
○総合施策
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策
となります。

この区分に@主な市街地整備に関する事業とA主な商業活性化に関する事業のそれぞれを振り分けてみましょう。


■再分類
 □分類替え
 この区分に
   @主な市街地整備に関する事業と
   A主な商業活性化に関する事業
  のそれぞれを振り分けてみましょう

1.来街目的を作り上げる事業:商業機能の高度化に分類できる

※計画段階の事業項目
3)空き店舗を活用した商業拠点整備
4)商業者の意識高揚を図るための研修事業の推進
7)テナントミックス事業

※実際に取り組まれた事業
○アウガ
○パサージュ広場
○ぱるるプラザ
○商業ベンチャー支援事業 
○しんまちふれあい広場事業 
○中心市街地活動拠点施設設置事業
○つどいの広場事業 

2.街区環境を「らしく」整備する事業に分類できる
※計画段階の事業項目
1)商店街整備支援の強化
2)高齢者等が長時間買い物しやすい環境整備

※実際に取り組まれた事業
○タウンモビリティ事業
○冬期バリアフリー計画
○光のプロムナード事業

3.アクセスの改善に分類される
※計画段階の事業項目: 
5)巡回バスシステム
6)シャトルバスシステム

※実際に取り組まれた事業
○共通無料駐車券事業
○まちなかレンタサイクルシステム事業

○総合施策 として分類する
※計画段階の事業項目
8)安らぎ空間の形成を図る中心市街地に特化した商業振興施策

※実際に取り組まれた事業
○縄文スタンプ事業 
○一店逸品事業
○宅配サービス事業 
○パラソルショップ事業 
○中心市街地活動拠点施設設置事業
○つどいの広場事業 

※補完事業として
○はままち団地など街なか居住の推進
○新中央埠頭の整備 

あらためて分類しなおしてみますと、「ウオーカブルタウンの」創造」という目標を実現するために構想された事業と実際に実施された事業の「整合性」を検討してみることが必要のようです。
実際に実施された事業群で「ウオーカブルタウンの創造」にどれだけ近づけたか、ということです。


一点だけ指摘しておきます。

「ウオーカブルタウン」を創造するために必要な事業は、
1.来街目的を作り上げる事業:商業機能の高度化
2.街区環境を「らしく」整備する事業  
3.アクセスの改善 
4.その他の事業
に区分することが出来ます。


実務的には「トップダウン」で必要な事業群を構想します。

なかでも重要な事業は、「1.来街目的を作り上げる事業:商業機能の高度化」であることは言うまでもありません。
  「1」すなわち、標的とする来街客相からみて「来街目的」となる機能が充実していなければ、来街意欲は喚起されません。「買い物行き先」としての機能が充実していること、言い換えれば商店街・商業集積としての「テナントミックス」が充実していること。
  「2」及び「3」は十分条件・不満要因です。
整備されていないと不満を観じますが、整備されたからといって「来街目的」レベルの不備を代替することはありません。
「ウオーカビルタウンの創造」とは、中心市街地の商業街区を「買い物行き先」として再構築する仕事、中でも重要な取り組みが、

7)テナントミックス事業
であり、これは、
@既存個店の「繁昌再興のための自助努力」と
A空地空店舗を利用した新規出店の促進
という二つの事業を並進させることで達成していきます。

計画されていた「テナントミックス事業」はそういう位置づけ・内容をもっていたのかどうか?

もし持っていたとするなら、テナントミックスを充実させるための「事業ミックス」の展開が計画されているべきであり、「研修事業」では「意識の高揚」だけではなく「テナントミックスの充実に必要な理論・技術の修得」なども計画されるべきだったはずですが・・。


■評価という問題発見の機会

 計画を基準に成果を評価し、その結果を新しい取り組みに反映させる。
評価をするということは、評価を通して新しい課題を発見することでもあります。評価は、もちろん、「目標は達成されたか」ということを基準に行われますが、検討はいくつかのレベルで行います。

スタート:
所期の成果が達成されたかどうか
達成されなかった場合:
計画した通りに取り組みが進んだか
@進んでいなかったら・・・取り組み方に問題があった
A進んでいたら・・・・・・計画に問題があった
ということでしょう。さらに、
B計画と実践がうまく噛み合っていなかった 
という場合は「事業主体のスキル」に課題があるということになります。

もちろん、目標達成が出来なかった理由が違うと、新しい取り組みにおける課題も違ってきます。
一般的にいって中心市街地活性化というプロジェクトにおいて「数値目標が立てられていなかった」ことが目標未達の理由になるのは特別な場合をのぞいてあり得ないと思います。

いずれにせよ、これまでの取り組みをどう総括するかということは新しい取り組みの成否を左右しかねない、重要な課題です。
これから取り組まれるところは、気をつけてください。


V.中心市街地活性化に向けた課題

(1)中心市街地の現状分析
@歩行者通行量の推移
A空き地・空き店舗の推移
B観光施設入込数の推移
C夜間人口の推移
D中心市街地小売商品販売額及びシェアの推移
について、分析が行われ総じて減少・低下の趨勢が示されています。

(2)第三者による評価:本市の長所(強み ○)と短所(弱み ■)
@旧基本計画に関する事項
○都市計画関連との整合性:「コンパクトシティの形成」を基本に「市街地の整備改善」と「商業の活性化」施策が一体的に推進されている。
   ○旧基本計画策定の段階から、関係者を巻き込み、地域としてのコンセンサスを形成している。
 a 基本指標及び目標値の設定がなく、事業に対する効果を検証し、改善する仕組みを内包していなかった。
b 環境の変化に対応した事業のスクラップアンドビルドが行われず、 計画の変更などの機動的な対応がとられなかった

A推進体制に関する事項
○「アウガ」「パサージュ広場」といった取組みを着実に拡大することにより、「ひとつの成功」を周辺への波及へ結び付けている。
○事業の実施にあたり、商店街などの関係者以外に、NPOや市民団体など関係者を巻き込み「動機付け」を行い、協力体制を拡大させている。
a 専門人材の育成・確保不足により、「事業の検証⇒ノウハウの蓄積⇒今後の改善」の体制が不十分だった。
b 対象地域全体の環境変化を把握する調査、個別事業の迅速な実行及び調整を一元的に行う統括機能が未整備だった。

(3)市民の受けとめ方
 アンケート結果から、市民のニーズは次のように集約される。
@アーケードや融雪装置による冬期間の快適な歩行者空間が求められている。
A誇りや愛着のもてる街、つまり現在の中心市街地が本市の「顔」であることが求められている。
Bおしゃれな店舗やストリートによる「非日常的」で「来街動機」を喚起する機能が求められている。
C公共交通の充実によるアクセシビリティ(来街環境)の向上が求められている。

これらを「課題」として新しい『基本計画』が作られているわけです。

問題は、「課題」の把握が「U」を踏まえて行われているかどうか、ということです。
このあたりについては、計画内容の課題ばかりではなく、計画の作成・推進・評価のスキルにも関わって来ることですから、これから新計画の作成に取り組まれる皆さんは、特にシビアな検討が必要なところです。


■留意点

言うまでもありませんが、ここの「V.中心市街地の現状と活性化に向けた課題」は、これまでの取り組みの総括を踏まえつつ、提起されなければならない。

(1)中心市街地の現状分析
@歩行者通行量の推移
A空き地・空き店舗の推移
B観光施設入込数の推移
C夜間人口の推移
D中心市街地小売商品販売額及びシェアの推移
について、分析が行われ総じて減少・低下の趨勢が示されています。

こういう項目の趨勢について、旧基本計画における取り組み、事業展開の結果、何がどうなったか、その理由はどこにあるのかということが検討されなければ、「旧計画の教訓を踏まえた新計画」は作られません。これまでの経験が活かされないことになる。
 ここでは、旧計画の総括はカッコに入れた課題設定が行われています。

(2)第三者による評価:本市の長所(強み ○)と短所(弱み ■)
@旧基本計画に関する事項
 ○都市計画関連との整合性:「コンパクトシティの形成」を基本に「市街地の整備改善」と「商業の活性化」施策が一体的に推進されている。

一体的に推進された結果、何がどうなったのか?
結果として「ウオーカブルタウン」に接近し得たのかどうか?

 ○旧基本計画策定の段階から、関係者を巻き込み、地域としてのコンセンサスを形成している。

たとえば、街ぐるみでウオーカブルタウンの「テナントミックス」実現に取り組む、といった根本的な課題に対する合意が成立しており、実際に取り組まれたかどうか。その結果についてももちろん。

●基本指標及び目標値の設定がなく事業に対する効果を検証し、改善する仕組みを内包していなかった。

「ウオーカブルタウン」という「あるべき姿」からブレイクダウンされる“下位機能のあるべき姿”が仮説〜試行錯誤的に取り組める具体性を備えて設定されていなかった。この設定が無いと「数値目標」は出せないはず。

●環境の変化に対応した事業のスクラップアンドビルドが行われず、計画の変更などの機動的な対応がとられなかった

具体的にはどういうことだったのか分かりませんが、対応すれば「ウオーカブルタウン」への接近が飛躍的に進む、という質・規模の下位計画があったのだろうか?

A推進体制に関する事項
 ○「アウガ」「パサージュ広場」といった取組みを着実に拡大することにより「ひとつの成功」を周辺への波及へ結び付けている。

周辺に何がどう波及したのか、その結果「ウオーカブルタウン」がどれくらい現実化したのか?

 ○事業の実施にあたり、商店街などの関係者以外に、NPOや市民団体など関係者を巻き込み「動機付け」を行い、協力体制を拡大させている。

商業者の動機付け:必要条件である「テナントミックス」についてはどうだったか?

 ●専門人材の育成・確保不足により、「事業の検証⇒ノウハウの蓄積⇒今後の改善」の体制が不十分だった。

新計画への反映はきちんと行われているか?

 ●対象地域全体の環境変化を把握する調査、個別事業の迅速な実行及び調整を一元的に行う統括機能が未整備だった。

 同 上

(3)市民の受けとめ方
アンケート結果から、市民のニーズは次のように集約される。
@アーケードや融雪装置による冬期間の快適な歩行者空間が求められている。
A誇りや愛着のもてる街、つまり現在の中心市街地が本市の「顔」であることが求められている。
Bおしゃれな店舗やストリートによる「非日常的」で「来街動機」を喚起する機能が求められている。
C公共交通の充実によるアクセシビリティ(来街環境)の向上が求められている。

ニーズについては、必要〜十分、満足〜不満足という区分で考えてみると、
 「Bおしゃれな店舗やストリートによる「非日常的」で「来街動機」を喚起する機能が求められている。」というニーズへの対応がウオーカブルタウンの基本であることは明白である。
対応するためには「テナントミックス」をはじめ多様な事業を計画、展開しなければならない。あらためて
●専門人材の育成・確保不足により、「事業の検証⇒ノウハウの蓄積⇒今後の改善」の体制が不十分だった。
についてしっかり踏まえておきましょう→これから作成に取り組む皆さんへ。

このあたりは、計画内容の課題ばかりではなく、計画の作成・推進・評価のスキルにも関わって来ることですから、これから新計画の作成に取り組まれる皆さんは、特にシビアな検討が必要なところです。

W.中心市街地活性化の方針等の設定

まず、『基本計画』の該当個所を引用しておきます。

  “中心市街地の現状分析から導かれた課題及び市民ニーズの分析から、活性化に必要なものは、まちの魅力向上や、公共交通の充実などによる来街容易性・交流の促進、そして街に住む人の涵養であると言える。これらは、旧計画に位置付けられた活性化の方針と一致するものであることから、中心市街地の活性化の基本的な方針等は旧基本計画を踏襲するものとし、次のとおり設定する。
なお、第三者による評価において、短所として指摘された体制・検証の仕組み等は、本計画で新たに位置づけるものである。”

(1)活性化により目指す中心市街地の姿
“中心市街地地区は、四つのゾーン(ウォーターフロントゾーン、ショッ ピング・カルチャー・サービスゾーン、官公庁ゾーン、ニューライフゾーン)に区分され、その中には七つの核が存在する。
この地区の活性化を図るため、これらが担っている機能を充実させ、快適な街歩きを楽しむことのできる新しい歩行者空間や回遊動線の整備、交流機能の強化、そして公共交通の利便性の向上や定住人口の増加を図ることにより、「歩いて暮らすことのできる質の高い生活空間」として中心市街地の再構築(=「ウォーカブルタウン(遊歩街)の創造」)を目指す。

(2)活性化の方針
“目指すべき中心市街地の姿である「ウォーカブルタウン(遊歩街)」を創造するため、活性化の方針を次のように設定する。”

@街の楽しみづくり
中心商店街ワークショップにおける商業者ニーズ
○「文化交流機能強化による都心的魅力付け」
○「多様な年齢層を迎えるホスピタリティ施設」
○「イベント、お祭りによる盛り上げ」
○「街の美化、イメージアップ」
○「ギャラリー、憩いの場」などが多く求められた。

特に東西に細長い幹線沿い商店街と、その周辺商店街で構成された本市のような中心商店街の構造は、街の魅力・楽しさという点で課題があり、回遊動線、選択動線の形成や街の魅力向上、景観デザイン充実などを目指すとともに、起業環境整備や商業ベンチャー支援、イベントなどを実施し、多くの人々が訪れたくなる、そして街歩きをする人が多くなる賑わいや利便性が高く魅力ある街を創る。”

A交流街づくり
“中心商店街ワークショップでは、高齢者・障害者が訪れやすい街づくりの必要性も多くあげられ、中心市街地の商店街の取り組みとしては、福祉対応型商店街形成を掲げて電動スクーターや宅配サービス、まちなかサポーター事業などソフト事業や、歩道と店舗で入り口の段差解消などのハードの取組みが様々進められている。
バスや鉄路でのアクセス性の容易さや、都市機能の高度な集積により、老若男女問わない多様な市民の来訪はもちろんのこと、ビジネス・観光など市外からの来訪者との交流の場としての中心市街地形成を図るとともに、来訪・回遊を直接促す当該地区での文化・観光施設の充実を図る。また、バス交通、鉄道交通の利便性向上や、東北新幹線新青森駅との連携強化といった交通結節点機能の強化を図る。”

B街ぐらし
“中心市街地の人口減少は、商業などの停滞や良好なコミュニティの維持・形成に大きな影響を与える。定住(夜間)人口が増加することは、中心市街地での回遊者の増加、購買者の増加となり活性化に直接寄与する。特に、本市の重要な環境負荷である雪への対応の心配がなく、商業、文化、福祉、交通等の都市機能の利便を享受できる街なか居住の需要は高く、街なか居住を進めることで多様な人々を迎え入れ新たな交流、コミュニティを育む。”

図式化しておきましょう。

活性化の目標:遊歩街(ウオーカブルタウン)の創造
活性化の方針:@街の楽しみづくり
       A交流まちづくり
       B街暮らし 
の3領域に区分される事業群に取り組むことにより、目標を達成する。


 ■目標と下位目標

「方針」とされている3つは、「ウオーカブルタウン」を実現するための「下位目標」だとも考えられます。 目標と下位目標、方針はそれぞれ異なった概念であり、「方針」とは目標を達成するための取り組みのあり方のことであり、取り組みの種類・領域である:@街の楽しみづくり A交流まちづくり B街暮らし は「方針」ではないと思いますが如何でしょうか。 

「ウオーカブルタウン」の実現を目指して、取り組む3つの方針(下位目標?)について検討してみましょう。

@街の楽しみづくり
  ワークショップにおいて表明された商業者の要望
○「文化交流機能強化による都心的魅力付け」
○「多様な年齢層を迎えるホスピタリティ施設」
○「イベント、お祭りによる盛り上げ」
○「街の美化、イメージアップ」
○「ギャラリー、憩いの場」などが多く求められた。
特に東西に細長い幹線沿い商店街と、その周辺商店街で構成された本市のような中心商店街の構造は、街の魅力・楽しさという点で課題があり、回遊動線、選択動線の形成や街の魅力向上、景観デザイン充実などを目指すとともに、起業環境整備や商業ベンチャー支援、イベントなどを実施し、多くの人々が訪れたくなる、そして街歩きをする人が多くなる賑わいや利便性が高く魅力ある街を創る。”

※多様な機能が挙げられていますが、「商業機能」については直接の言及がありません。あるいは「街の魅力」という表現がそれでしょうか。「方針」にせよ「下位目標」にせよ、いずれにしても言及がないことは問題だと思います。要注意です。
※列記されている事項は、商業者の要望とされていますが、商業者の要望と「街の楽しみづくり」を実現するために必要な施策は、一致していたのでしょうか?

 A交流街づくり
“中心商店街ワークショップでは、高齢者・障害者が訪れやすい街づくりの必要性も多くあげられ、中心市街地の商店街の取り組みとしては、福祉対応型商店街形成を掲げて電動スクーターや宅配サービス、まちなかサポーター事業などソフト事業や、歩道と店舗で入り口の段差解消などのハードの取組みが様々進められている。

バスや鉄路でのアクセス性の容易さや、都市機能の高度な集積により、老若男女問わない多様な市民の来訪はもちろんのこと、ビジネス・観光など市外からの来訪者との交流の場としての中心市街地形成を図るとともに、来訪・回遊を直接促す当該地区での文化・観光施設の充実を図る。また、バス交通、鉄道交通の利便性向上や、東北新幹線新青森駅との連携強化といった交通結節点機能の強化を図る。”

ここでは中心市街地における住む人・来る人の交流を促進する施策が計画されています。
○アクセスの整備 (バス交通、鉄道交通の利便性向上や、東北新幹線新青森駅との連携強化といった交通結節点機能の強化)
○都市機能の高度な集積
 (来訪・回遊を直接促す当該地区での文化・観光施設の充実)

※ここでも「商業機能」についての言及はありません。
「商業機能の活性化」は中心市街地活性化への取り組みの下位目標の一つにはならないのでしょうか?

B街ぐらし
 “中心市街地の人口減少は、商業などの停滞や良好なコミュニティの維持・形成に大きな影響を与える。定住(夜間)人口が増加することは、中心市街地での回遊者の増加、購買者の増加となり活性化に直接寄与する。特に、本市の重要な環境負荷である雪への対応の心配がなく、商業、文化、福祉、交通等の都市機能の利便を享受できる街なか居住の需要は高く、街なか居住を進めることで多様な人々を迎え入れ新たな交流、コミュニティを育む。”

ここでは「まちなか居住」「定住人口」の増加を目指します。人口の増加は、「回遊者の増加、購買者の増加となり活性化に直接寄与する」とされ、「商業、文化、福祉、交通等の都市機能の利便を享受できる街なか居住」に対する需要は高く、「街なか居住を進めることで多様な人々を迎え入れ新たな交流、コミュニティを育む」とされ、中心市街地活性化を実現していく上できわめて重要な施策とされています。

※はじめて「商業機能」という言葉がでてきましたが、中心市街地で享受できる都市機能の一つ」としての列挙であり、これを活性化することが「中心市街地活性化」の重要な下位目標である、という認識は示されておりません。
このことはきわめて重要な欠落ではないかと思われますが、結論を出すのは「商業活性化のための事業」の計画を検討してからにしましょう。
ここでは、目標である「ウオーカブルタウン」と「商業の活性化」の関係が明らかにされていない、という事実を確認しておいてください。

※以上、ここででてきた疑問点については、この後「3,中心市街地活性化の目標」で明らかになります。


2.中心市街地の位置
(省 略)

3.中心市街地活性化の目標

T.中心市街地活性化の目標設定の考え方

(1)中心市街地活性化の目標

 中心市街地活性化の目標は、目指すべき中心市街地の姿である「ウォーカブルタウン(遊歩街)」を創造するため、活性化の方針を踏まえ、
@多くの市民が賑わう中心市街地(街の楽しみづくり)
A多くの観光客を集客する中心市街地(交流街づくり)
B歩いて暮らしやすい中心市街地(街ぐらし)
とするとともに、活力ある地域経済社会を確立するため、
C中心市街地の商業の活性化
を加え、四つの目標を設定する。
・・・・・引用終わり・・・・・


『青森市中心市街地活性化基本計画』の目標体系

                            ┏━━@街の楽しみづくり
                            ┃
               ┏都市機能の増進━╋━━A交流街づくり 
               ┃            ┃
               ┃            ┗━━B街ぐらし
 中心市街地活性化━┫
               ┃    
               ┃
               ┗経済活力の向上━━━━C商業の活性化


 図示すると目標〜下位目標と整然と体系化されているように見えまずが、実際はそうではありません。
まず、それぞれの目標が設定された理由とそれらの“達成状況を表す指標”を見てみましょう。

 目 標1  街の楽しみづくり(多くの市民が賑わう中心市街地)
  賑わいがあり利便性が高く、魅力ある歩行者空間としての中心市街地を創るため、都市機能の増進と経済活力の向上に資する事業を実施するものであり、その効果は、中心市街地を歩行する人の増加に表れることから、中心市街地の歩行者通行量を指標とする。
  ○達成状況を表す指標:中心市街地の歩行者通行量

 目 標2  交流街づくり(多くの観光客を集客する中心市街地)
  本市を訪れる人々や市民との交流が想定されるが、東北新幹線新青森駅開業による交流人口の増加による経済効果を最大限に享受するためには、中心市街地での観光客の受け入れ態勢の充実が重要であり、観光客の入込数を指標とする。
  ○達成状況を表す指標:中心市街地の年間観光施設入込客数

 目 標3  街ぐらし(歩いて暮らしやすい中心市街地)
  生活と居住機能を中心として機能統合を目指すコンパクトシティにおいて、街なか居住の推進を測定するため、夜間人口(定住人口)を指標とする。
  ○達成状況を表す指標:中心市街地夜間人口

 目 標4  中心市街地の商業の活性化
  中心商店街での商業活動を把握するにあたっては、中心市街地の空洞化を端的かつ象徴的に現す現象である「空き地・空き店舗率」と商業統計による「中心市街地小売業年間商品販売額」を指標とする。
  ○活性化事業の効果測定手法
   1)空き地・空き店舗率
   2)中心市街地小売業年間商品販売額

 以下、各目標の内容と相互関係について検討していきます。

■目 標@ 街の楽しみづくり

 まず、それぞれの目標が設定された理由とそれらの“達成状況を表す指標”を見てみましょう。

  目 標1 街の楽しみづくり(多くの市民が賑わう中心市街地)

   賑わいがあり利便性が高く、魅力ある歩行者空間としての中心市街地を創るため、都市機能の増進と経済活力の向上に資する事業を実施するものであり、その効果は、中心市街地を歩行する人の増加に表れることから、中心市街地の歩行者通行量を指標とする。

   ○達成状況を表す指標:中心市街地の歩行者通行量

 ここはよく読んでください。
「目 標@」
  ○目  的:にぎわいがあり利便性が高く、魅力ある歩行者空間としての中心市街地を創る
  ○手  段:都市機能の増進と経済活力の向上に資する事業の実施
  ○数値目標:歩行者通行量

  目 標@は、図においては「中心市街地活性化」の下位目標ですが、その説明では「中心市街地活性化」そのものの目標になっていますね。

図は修正が必要であり、説明どおりに図示すれば次のとおり。

                           ┏━━交流まちづくり 
              ┏都市機能の増進━┫ 
              ┃            ┗━━街ぐらし
中心市街地活性化━┫
(街の楽しみづくり)   ┃    
              ┗経済活力の向上━━━━商業の活性化

「街の楽しみづくり」こそが中心市街地活性化の取組が目指す「あるべき中心市街地」であり、その達成状況は「歩行者通行量」で測定することが出来る。

すなわち、中心市街地活性化の達成状況は、究極、「歩行者通行量」によって評価されるわけです。

 問題は、数値目標として「歩行者通行量」を設定する根拠として「(活性化事業を)実施するものであり、その効果は、中心市街地を歩行する人の増加に表れる」ということだけしか述べられていないこと。
すべての施策の効果を「歩行者通行量」として集約、評価することがなぜ出来るのか、その根拠は示されていません。

 たとえば、「都市機能の増進」で「図書館を拡充する」という事業に取り組むとします。さまざまな下位事業を組み合わせて取り組んだ結果は「利用者数の増加」や「貸出冊数の増加」として客観的に測定することが出来る。
他の事業に付いても同様にそれぞれの事業特性に応じた「効果測定」の方法があると思います。

それらの効果を一つの指標に総括するのは結構なことかも知れませんが、果たして出来るでしょうか?

この計画がどのような理論的立場を前提にして作成されているのか分かりませんが、私の知る限り、「中心市街地の活性化の度合いは歩行通行量の変化で判定することが出来る」ことは論証されていません。

※目標@は中心市街地活性化の取組全体の目標である、という理解が適切であることは、後ほど「歩行者通行量」の積み上げを見るところで証明されます。

■施策の体系
ここでは、「街の楽しみづくり」という下位目標を達成するための施策として列挙されている事業群を検討することで、この目標が中心市街地活性化を実現するための下位目標ではなく、中心市街地活性化の達成そのものの指標であることを明らかにしてみたいと思います。
“生活・居住を中心とした機能集約を目指す当該地区で、文化観光交流施設、総合交通ターミナル整備、芸術文化・交流拠点となる(仮称)市民ホール、パサージュ広場やその周辺整備などを進めるとともに、平成18年度から開催されたAOMORI 春フェスティバル等のイベントを展開し、平成22年度の東北新幹線開業による多くの来青者を確保するため市民と観光客が楽しんで歩ける街を創り、その効果を中心市街地の歩行者通行量で把握する。”

@文化観光交流施設整備事業
A市民ホール整備事業
Bパサージュ周辺地区活性化事業
C青森駅周辺整備事業
D街なか居住推進事業等による増加分
Eその他ソフト事業及びこれまでの継続事業による増加
・レンタサイクル
・まちまちプラザ利用者((中心商店街共同事業活動拠点)
・つどいの広場「さんぽぽ」
・アウガ&公的施設の有効な空間活用を図る事業 など
等々の事業に総合的に取り組み、それぞれの取り組みが効果を挙げる結果「中心市街地の歩行者通行量」が「見込み数量分」増加する、という考え方です。

※※以下は一般論をご参考まで
「中心市街地活性化」と「通行量の増加」を県連づけるアプローチには二通りあります。 一つは、この計画が採用している、「活性化の成果は通行量の増加として現れる」と考える方法。
つまり、通行量を増加させれば活性化が実現する、ということではなく、さまざまの取り組みの結果は、通行量の増加として現れる、ということです。
問題は、「歩行通行量」よりももっと具体的なもっと重要な目標が立てられるべきであり、それらが達成されれば 「その結果として」通行量の増加は達成されるでしょうが、実現した通行量は活性化の達成度合いをきっちり反映するものではない、ということ。

 たとえば:図書館なら 利用者数とか、貸出冊数とか。
商店街なら 業容革新による繁盛(高頻度)店づくり 繁盛店の連袂による回遊性の構築とか。

もう一つのアプローチは「通行量が増えれば街は活性化する」だから“すべの努力を通行量増大策に集中せよ”という極論。藻谷さんの「商業は街の花・論」などが典型ですね。
イベントやまちなか案内システム、景観整備などを多様に展開し「歩いて楽しいとおり」の実現を目指す。
結果的に「商業機能の充実」などは“後からついてくる”とみなされ、すべての努力が「人集め」に収斂します。
が、「活性化=都市機能の増進&経済活力の向上」が実現することはありません。
これは実際に一部のTMOさんが現在直下陥っている袋小路、要注意です。


□商業のチカラ

中心市街地の歩行通行量と商業の吸引力との関係について。
これまでのところ、あまり論及されていませんが、買い物目的の来街者のカウントによる通行量は、他のどの誘因と比較しても負けません。
買い回り型ショッピングの場合:中心商店街にやって来て、まちなかを回遊する。回遊・滞留が長く、まちのにぎわいの「原動力」となる居住者の最寄り型ショッピング:来街頻度が高く、かつ、買い回るので、こちらも「賑わい」に不可欠。
総じて中心市街地のにぎわいは、ショッピング客が中心となって作られます。
他の要因による来街者の場合、回遊や滞留という行動はあまり期待できません。
参照:http://www.quolaid.com/library/kyakusou.gif
このうち、「遊歩客相」がショッピング目的の来街者です。
他の目的で来街した人が「遊歩」行動をとる=街を回遊するには、相応の回遊促進機能が必要です。
最大・最強の回遊促進機能とは商業集積。商業街区を一個のショッピングモールと見立てることで、従来の商店街では
考えられない集積としての充実を作っていくことが必要です。
このあたり、「商業の活性化」への取り組みの検討の際にさらに詳しく検討します。


目 標A 交流街づくり とその目標数値
交流街づくりの達成状況を表す指標:中心市街地の年間観光施設入込客数

 本市を訪れる人々や市民との交流が想定されるが、東北新幹線新青森駅開業による交流人口の増加による経済効果を最大限に享受するためには、中心市街地での観光客の受け入れ態勢の充実が重要であり、観光客の入込数を指標とする。
  中心市街地で通年型の観光ができるように、ねぶた祭や港町青森の歴史、文化が
感じられる「ふるさとミュージアムゾーン」の形成に向けて、文化観光交流施設の整備や港湾文化交流施設「八甲田丸」の再整備を進めるとともに、ゴールデンウィークのAOMORI 春フェスティバルを企画するなど、当該地区への来訪を促し、新たな交流の場の提供及びその魅力づくりを進めている。
その効果を把握する手段として、市民及び来青者がどれだけ訪れ、交流の場となっているかを当該地区の主要観光施設のアスパム、八甲田丸、文化観光交流施設の利用者数を評価指標とし、以下の積算により目標値を設定する。

数値及びその算定方法は省略します。
興味のある人は本文の該当個所に直接当ってください。

産出された目標:入り込み観光客数が最終的に「街の楽しみづくり」の成果指標としての「歩行通行量」に反映されます。
反映方法は後ほどあらためて。


目 標B 街ぐらしとその目標
 「中心市街地の活性化は、当該地区に居住する人口を増加させることが最も有効な手段の一つであると考える。
当該地区を歩いて暮らせる快適な環境とするため、本市ではこれまでに「アウガ」に代表される公益施設の整備、融雪施設等の整備により快適な歩行空間を確保する冬期バリアフリー計画の推進、更には街なか居住を誘導する「借上げ市営住宅」、「ミッドライフタワー」の整備等を行い、当該地区内の居住人口増に一定の効果を挙げてきたところである。
今後も持続可能な中心市街地の活性化を推進していくため、当該地区内へ都市機能の集積を図り、民間マンション建設の誘導や郊外から当該地区への住み替えを支援することによって、中心市街地の夜間人口増に努めていくこととする。」

「中心市街地の活性化は、当該地区に居住する人口を増加させることが最も有効な手段の一つであると考える。」といわれていますが、その根拠は示されていません。
いずれにせよ、目標数値は「歩行通行量」に反映されることになります。

目 標C 商業の活性化
中心商店街での商業活動を把握するにあたっては、中心市街地の空洞化を端的かつ象徴的に現す現象である「空き地・空き店舗率」と商業統計による「中心市街地小売業年間商品販売額」を指標とする。
この目標については、これまでとは異なり次のような構成〜内容で検討されています。
―以下引用―

【中心市街地の商業の現状】
@中心市街地の商業機能は、「新町通り」を中心とした7つの商店街(商店街振興組合4・商店会3)が担っており、服飾等の買回り品や生鮮市場による食料品を中心とした業種構成となっている。
A昭和63 年当時は青函連絡船、広域商圏(1市・6町村)の消費吸引等により、販売額シェアで約31%を占めていた。
B平成12 年に1万uを超える郊外型大型店が相次いで開店したことや、モータリゼーションの進展などにより、求心力が失われ、商業機能が低下しはじめた。
B近年では、量販店の価格破壊による小売販売額単価の減少、人口減少社会の到来による消費人口の減少、インターネット販売や通信販売など無店舗型の小売業態の急速な普及など、中心市街地をとりまく商業環境は非常に厳しい状況にある。

【これまでの活性化事業の成果と課題】
@本市では、旧基本計画に位置づけ、「街の楽しみづくり」のリーディングプロジェクトとして「アウガ」「パサージュ広場」の整備を行い、商業的な新しい魅力の向上にも取り組み、周辺の歩行者通行量が増加するなど一定の成果は得られたものの、平成14年度には、小売業年間商品販売額シェアで約19%まで落ち込んでいることから、十分とはいえない状況にある。
A平成10年度において駅前地区を中心に約10%程度であった中心商店街の空き地・空き店舗率が、アウガ等の整備により平成14度には6.8%まで改善した。
B平成15年に松木屋の閉店により、中・下新町地区に空き地・空き店舗等が増加しはじめ、平成17年度には、10.7%となった。

【今後の商業の動向】
@平成22年度の東北新幹線新青森駅開業により多数の観光客等の来青が予測される。
A「ねぶた」を核とした文化観光交流施設の整備や、「AOMORI春フェスティバル」の開催により、これまでの商圏プラス域外客による消費を見込める。
Bパサージュ広場周辺地区活性化事業による新しい滞留空間の創出やレンタサイクル事業・まちなか散策コース整備事業等により中心市街地内の回遊性の向上に伴う中心商店街全体への波及効果も見込まれる。

【本基本計画における活性化事業の効果測定手法】
 中心商店街での商業活動を把握するにあたっては、中心市街地の空洞化を端的かつ象徴的に現す現象である「空き地・空き店舗率」と商業統計による「中心市街地小売業年間商品販売額」を指標とする。
 
―引用終わり―

商業活性化については、中心市街地の「都市機能の増進」と「経済活力の向上」、二つの目標達成の重要なかぎです。


■【中心市街地の商業の現状】
【これまでの活性化事業の取り組みと課題】も合わせて検討します。

@中心市街地の商業機能は、「新町通り」を中心とした7つの商店街(商店街振興組合4・商店会3)が担っており、服飾等の買回り品や生鮮市場による食料品を中心とした業種構成となっている。
※各商店街の位置関係、それぞれの集積としての特徴などはどうなのでしょう。
かって、「広域診断」などではそれぞれの商店街の集積としての特徴が必ず言及されていましたが、『整備改善活性化法』以降、個々の商店街についての現状分析はほとんど姿を消しています。

おかしな話でありまして、中心市街地所在の商店街群をまとめて活性化しよう とするなら、各商店街の特徴(買い回り・生鮮など)を把握したうえで分担する商業機能をあらためて決定する、その機能を適切に発揮するために必要な所要の施策を講じる、というのが考えられる「活性化策」ですが、個別商店街の取り組みについては、前述のとおり、ほとんど計画されていません。
実は、このあたりにこそ、中心市街地活性化の取り組みが効果を挙げられなかった原因があるのではないかと思われるのですが、当スレッドの目的を外れますのでここまで。

B近年では、量販店の価格破壊による小売販売額単価の減少、人口減少社会の到来による消費人口の減少、インターネット販売や通信販売など無店舗型の小売業態の急速な普及など、中心市街地をとりまく商業環境は非常に厳しい状況にある。
※商店街が直面している厳しい状況の原因は、商店街あるいは個店にあるの ではなく、少なくともここで見る限りでは、専ら、街、個店の外にあると理解されています。 したがって、商店街、個店の「自助努力」についての把握、評価、対応策などについては全く言及されていません。


■ 【これまでの活性化事業の成果と課題】

@本市では、旧基本計画に位置づけ、「街の楽しみづくり」のリーディングプロジェクトとして「アウガ」「パサージュ広場」の整備を行い、商業的な新しい魅力の向上にも取り組み、周辺の歩行者通行量が増加するなど一定の成果は得られたものの、平成14年度には、小売業年間商品販売額シェアで約19%まで落ち込んでいることから、十分とはいえない状況にある。

※通行量は増加したが、販売額シェアは低下した、と読めますが、そうだとすると重大です。活性化の総合的な指標としては先に見たとおり、「通行量」が掲げられていますが、「これまでの取り組みの成果」として、“通行量は 増加したが販売額のシェアは低下した”という結果なら、活性化の指標として通行量を設定するのはおかしいのではないでしょうか?

A平成10年度において駅前地区を中心に約10%程度であった中心商店街の空き地・空き店舗率が、アウガ等の整備により平成14度には6.8%まで改善した。
B平成15年に松木屋の閉店により、中・下新町地区に空き地・空き店舗等が増加しはじめ、平成17年度には、10.7%となった。

※空き店舗率の増減は、大規模施設の開廃に起因するとされているが、本当にそれでよいのでしょうか。 「松木屋」はなぜ閉店したのか? その理由は松木屋周辺立地の店舗にも共通する問ではなかったか、ということは分析されたでしょうか。

※各商店街を形成している個々の店舗の業容(品揃え・サービス・内外環境の総体)は、郊外型SC全盛時代という現時点における「買い物の場」としての魅力を備えている、と評価されているのか、あるいは「課題がある」と評価されているのか・・・?
もし「課題がある」と判断されるなら「課題に取り組む」ことが必要であり、施策が計画されなければならない。
しかし、本計画には、商店街・個店レベルの業容革新を促進する施策は講じられておりません。

※結局、これまでの取り組みでは一部集客力の強化は実現したものの、空洞化の進展という趨勢を反転させるには至っていない、ということです。
事業に取り組んで来たにもかかわらず、状況は好転していない。その原因はどこにあるのか、追求し明らかにすることは、新しく取り組む計画を実効あるものとするため不可欠の作業ですが、どう取り組まれたのでしょうか?

ここで見る限り、作業の有無は不明であり、また、計画にこれまでの取り組みの総括を踏まえていると思われる内容も、ちょっとどこがそうなのか、分かりません。
このことが意味するところは何でしょうか? 考えてみてください。


□『商店街振興組合の現状と課題』
数年前、佐賀県商店街振興組合連合会と当社が協働で取り組んだ調査のレポートです。
http://www.quolaid.com/library/wj-bn3/wj003.htm

多くの中心商店街に共通する状況と課題だと思います。
もし、青森市の中心市街地所在の商店街群がこのような「現状と課題」に直面しているとするならば、それは「歩行通行量の増加」で解決されることはありません。
それこそ「所業の現状」に書かれているとおり“通行量は増加したが販売シェアは好転しない”という結果に終わることが目に見えているではありませんか。
※ということで、あつきあいいただいている読者の皆さんは、『中心市街地活性化基本計画』の作成、特に「商業の活性化」施策の立案に当たっては、『個店・商店街組織の現状と課題』について、上記アドレスの資料にあるような状況が一般的であることを踏まえ、「現状」を出発点として「課題」を解決していく方向と方法を定め、所要の事業を企画していかなければならないのだ、ということにあらためて思いを致してください。


■ 【今後の商業の動向】
@平成22年度の東北新幹線新青森駅開業により多数の観光客等の来青が予測される。
     A「ねぶた」を核とした文化観光交流施設の整備や、「AOMORI春フェスティバル」の開催により、これまでの商圏プラス域外客による消費を見込める。
Bパサージュ広場周辺地区活性化事業による新しい滞留空間の創出やレンタサイクル事業・まちなか散策コース整備事業等により中心市街地内の回遊性の向上に伴う中心商店街全体への波及効果も見込まれる。

※「波及効果が見込まれる」と評価されている変化の予測が3つ挙げられています。
※これらの変化を「プラス」にしていくためには、個店・商店街とも、相当の自助努力が必要ではないでしょうか? それとも、経営能力には全く問題がない、通行量さえ増えれば、個店の業績は自助努力の転換無しで好転する、という考えなのでしょうか。
先に検討した「現状」では“通行量は増加したが販売シェアは低下した”と総括されていましたが・・・・?
このことは、通行量が増加しても、業績は低減しているということであり、業績を好転させるには、通行量の増加以外の手だてが必要だ、ということを証左しているようにも思われるのですが。


■ 【効果の測定】
 中心商店街での商業活動を把握するにあたっては、中心市街地の空洞化を端的かつ象徴的に現す現象である「空き地・空き店舗率」と商業統計による「中心市街地小売業年間商品販売額」を指標とする。

空き地空き店舗が減少する=新規出店が増える、ということなら確かに「活性化の効果測定」の尺度になると思います。
しかし、非物販施設としての利用、たとえばコミュニティ施設として転用したが、利用者がきわめて少ない、といった場合でも「空き店舗率」は低下しますが、それでもOKでしょうか?

「販売額」は判定指標として客観性もあり、優れていると思いますが、先述のとおり、人出の増加が予測される、ということを根拠に「販売シェアの増大」を見込んだ目標を掲げることが出来るでしょうか?

もちろん、最終判断は計画されている「活性化事業」群を詳細に検討して行わなければなりませんが、さしあたり、「目標数値」の設定手続きを検討した段階でも以上のような感想を抱かざるを得ません。


数 値 目 標
掲げられている数値目標の目標たる根拠の分析と積算手法の批評には、
「商業の活性化」及び「推進体制」の検討が終わってから取り組みます。


ま と め

全体像が見えてからアップします。


コンパクトシティの中心市街地

 これから計画を作ろうとする皆さんへの参考として、“プロならこうアプローチする”
という「一案」を書いてみます。
(タイトルの頭に※印が付いている記事は、このスタンスです)

青森市の中心市街地は、従来から
@青森県の県都(県庁所在地)である。
A県心都市(県民の来訪目的となる施設・機能が集積)である
B都心(都市中心・市民の来訪目的となる施設・機能が集積)である
という性格をもっているわけですが、コンパクトシティという都市像を掲げたからには、新しく、
Cコンパクトシティの都心(として果たすべき役割)
という目標が立てられていることと思います。
コンパクトシティ・青森の「あるべき中心市街地像(以下、「ビジョン」という)」ですね。
ただし、「ビジョン」は、この計画では明示されていません。

・・・・・引用スタート・・・・・
(1)中心市街地活性化の目標
 中心市街地活性化の目標は、目指すべき中心市街地の姿である「ウォーカブルタウン(遊歩街)」を創造するため、活性化の方針を踏まえ、
  @多くの市民が賑わう中心市街地(街の楽しみづくり)
  A多くの観光客を集客する中心市街地(交流街づくり)
  B歩いて暮らしやすい中心市街地(街ぐらし)
 とするとともに、活力ある地域経済社会を確立するため、
  C中心市街地の商業の活性化
 を加え、四つの目標を設定する。
・・・・・引用終わり・・・・・

  「ウオーカブルタウン」は、あくまでも上記@〜Cという青森市の特性を踏まえたビジョンとして掲げられ、各種の施策は上位目的であるビジョンの実現に接近するための「手段」という性格を持っていること、施策の実施にあたっては「ビジョン」を基準に計画を立てることになります。


> 『青森市中心市街地活性化基本計画』の目標体系
>
>                           ┏━━@街の楽しみづくり
>                           ┃
>               ┏都市機能の増進━╋━━A交流街づくり 
>               ┃            ┃
>               ┃            ┗━━B街ぐらし
> 中心市街地活性化━┫
>               ┃    
>               ┃
>               ┗経済活力の向上━━━━C商業の活性化

この施策体系の上位目的に「コンパクトシティ・青森のあるべき中心市街地像」
すなわちビジョンが位置していなければならない。

中心市街地の活性化は、

               ┏━既存施設・機能の活用 ┓  
                ┃                 ┃  ┏都市機能の増進
   ビジョンへの漸進━╋━既存施設・機能の革新  ┣━┫
                ┃                 ┃  ┗経済活力の向上
                ┗━新たな施設・機能の整備┛

こういうポジションをしめるビジョンが示されると、所与の条件を活用した県心都市・青森市の「あるべき中心市街地」への漸進的接近=活性化への道、が描きやすくなります。

 ビジョンを基準に、都市の「強み・弱み」を分析し、
  ○強みを伸ばし
  ○弱みを補完・補強する
という施策が立てられやすい。

コンパクトシティの中心市街地・商業街区が広域的に担う都市機能は如何にあるべきか、特に商業街区が広域的に担うべき「商業機能」を明らかにし、商業機能の現状から「あるべき商業街区」への接近を計画することが必要であり、これが「商業の活性化」の基本方針とされるべきではないでしょうか。

そうしないと、商業者・商店街の自助努力は、てんでんばらばら、集積としての「来街目的」を効果的に構築することが出来ません。
『基本計画』の「商業の活性化」の目標が、商業者・TMO・その他活性化協議会のメンバー組織が並進・協働して実現を目指す目標にするためには、「ビジョン」の先行は不可欠だと思います。

コンパクトシティとショッピング機能
以前、検討したことがありました。(2005年7月)
http://www.quolaid.com/cgi/tkf/wforum.cgi?mode=allread&pastlog=0001&no=332&page=40&act=past#33

なかで青森市の事例(当時の計画)を紹介しています。
青森市の場合、コンパクトシティの上位概念として、「県都・県心都市」があります。
県心都市というポジションを都市経営にどう位置づけるのか。
中心市街地が県心都市において果たすべき役割はなにか。
といったことを踏まえつつ、中心市街地の商業機能の役割を再定義する。
活性化策を立案するには、この作業を踏まえておくことが不可欠だと思います。

余談ですが、コンパクトシティ・青森市の中心市街地のあるべき姿は、この『基本計画』に定められている内容でOKなのでしょうか?
都市経営の方向としての「コンパクトシティ」と「中心市街地活性化法」のスキームとの整合性についてはきちんと検証しておくことが必要でしょう。
私は、コンパクトシティ>中心市街地>「法」のスキームと判断しています。
つまり、コンパクトシティの中心市街地全体の整備について、「法」のスキームで取り組むのはミスマッチだということです。 その根拠についてはあらためて説明します。


7.商業等の活性化のための事業
『7.中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業その他の商業の活性化のための事業及び措置に関する事項』

 ページを更新します。
『青森市中心市街地活性化基本計画 2』をどうぞ。

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