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2-[4] ショッピングセンター関連用語の整理(2001.8.2)
(SC、SM、UM、UDMの区別と連関)
 当社の理論には「カタカナ」が多用されています。私は日本語が大変好きで、もちろん自分でものごとを考えるときは日本語を使っています。ところが仕事の関係になりますとどうしても英語=カタカナ語を多用することになります。どうしてかと言いますと二つの理由からです。
 第一に、商業、小売業の発達ということでは米国が世界最先端です。その理由は色々あり、興味深いのですが本論ではありませんから割愛します。消費者が現 在直面している生活及びショッピングジョの不安は何か、ということを考え新しい解答=新しいマーケティングの仕組みを考えるということでは米国がナンバー ワン、新しい考え方、業態、技術などは英語で登場することが多いわけです。
 第二に、新しく外国で開発された考え方や技術、もちろん、日本語に訳すことは簡単です。その方が理解を進める上でも好都合なのですが、問題があります。
 翻訳すると、翻訳に選ばれた日本語がもともと持っている意味に引きずられてしまい、本来の意味がよく伝わらない、ということです。例えばラグジュアリィ という言葉、辞書を引くと「贅沢」となっています。ところが言語には「実用品にその人の好みが加わったもの」という意味があり、このサイトではもっぱらそ の意味で用いています。
このラグジュアリィを贅沢と書いたのではどうも具合が悪い・・・。

 ということで、やむを得ず、カタカナ語を使用していますのでご了解ください。
 カタカナは嫌いだ、という人も、ブレーキ、アクセル、テレビ、レンジ、その他モロモロ、いっぱい使ってますね。要は意味をきちんと知って自分でも使ってみることだと思います。言葉の意味をきちんと理解することが技術習得のスタートだと思います。

 念のために言っておきますと、私は言葉には本来ただ一つ正しい定義があり、その定義は万人に共通しなければならないということはあり得ない、と考えてい ます。ある人が使った言葉の意味を理解するには、その言葉の単語としての意味だけではなく、どのような場面でどのような文脈で使われたのか、ということを 理解することが大切です。

 例えば、同じショッピングセンターという言葉によって、ある人はスーパーマーケットを指し、ある人は郊外の量販店を指し、ある人は教科書に定義されている様な使い方をしたり、とさまざまな状況が考えられます。
 このように、人それぞれの解釈で使われる言葉をなにがなんでも自分が納得している定義で理解する、その他の使い方を間違いとして退ける、というようなことがないようにすることが大切です。

  これはそう難しいことではなく、日常生活の中ではだれでも自然に行っていることですが、理屈めいた話になると往々にして定義違いについての論議などですったもんだして話が先に進まなかったりします。
 大事なことは定義にこだわらない、ということ、用語の意味が分からないで話が通じないときはその旨をはっきり表明して相手に説明してもらうことです。聞くはいっときの恥・・・、天の下に新しいこと無し、先人は実によい教訓を残してくれています。

 とはいうものの、商店街活性化のようにいろいろな要素が複雑に絡み合っている仕事に取り組む場合は、関係者の間で言葉の意味をある程度共通させておいた方がよいことは言うまでもありません。
 そうしておかないと仕事の効率が悪くなったり、時と場合によってはとんでもない誤解が生じたり、いわゆる「総論賛成・各論反対」というようなことが起こったりします。このあたりが原因で物事がうまく進まないということは商店街では意外に多いようです。
 あるいはそれらの用語を用いて新しい方向を探っていくときなどには、始めにすりあわせておかないと、ボタンの掛け違いのように最後にとんでもない立場の違いが発見されたりすることもありそうです。

 前置きが大変長くなりましたが、以上のようなことを念頭に、あらためて標題の4つの言葉の意味を考えてみたいと思います。
 
1.ショッピングセンター
 (1)「お客の特定の目的の買い物が一度の来店(ワンビジット)で達成されることを目指して計画的に作られた商業施設」のことです。大事なことは、@購 買行動の目的に対応すること、Aワンビジットで全ての用事が済まされること、B施設、テナントミックス、サービスなどが計画的に作られている、ということ です。
 例えば、必要なものを、必要な時に、必要なだけ買いたい、という購買目的(コンビニエンス=利便性ニーズ)と、あまり時間やお金を使わずに済ませたい買 い物(コストコンシャスニーズ)と、自分らしく表現するために買う買い物(ラグジュアリィニーズ)など買い物の目的が異なれば、買い物行き先を選択する基 準も大きく異なります。買い物目的はどこに買い物にいくか、という行き先を決定するときのもっとも大切な要因です。

 (2)このように購買目的が違えば自動的に購買先を選択する基準が変わり、それに応じて買い物行き先を使い分けるというのが現代のショッピングの基本です。このことを前提に考えてみると、これからのショッピングセンターのあり方としては次の3つの類型(「商業集積の3類型」)に次第に純化して行くと思われます。

@コンビニエンスニーズ対応型SC:必要なつど、必要なものを、必要なな量だけ買いたい、という生活・買い物ニーズの対象になる商品をワンビジット(1回の来店)で全てすますことが出来る、という来店目的を実現しているショッピングセンター。
 典型的なコンビニエンスニーズである毎日の献立材料をメインに品揃えしているスーパーマーケットを核にドラッグストアや日用雑貨、クリーニングなどの サービスまで、「家庭の主婦」という姿(客相といいます)の顧客を対象に立地、商品構成、サービス、提供方法などをニーズに合わせて作り上げています。
 ちなみに私は、これまで無神経に使われてきた「ワンストップ」という概念を次のように区別しています。
ワンストップ:コンビニエンスストアやスーパーマーけケットのように必要な買い物が一度レジを通過することで終わってしまう。レジ前で一度ストップすればよい=ワンストップというわけです。
ワンビジット:一度の来店で必要な買い物が全て可能なこと。テナントを回遊してのごとのショッピングあんどワンストップとは限りません。商業集積が実現しなければならない機能です。

Aコストコンシャスニーズ対応型SC
 私たちは自分や家族の生活を限られた所得と時間で出来るだけ納得出来るように作り上げようとします。そのためには大切な所得や時間を効果・効率的に使う ことが必要です。現代人は、人並みの程度で構わない、特にこだわらない、という性格の買い物にはお金や時間を徹底して節約し、自分らしく演出したい部分に 重点的に回すというようにメリハリの効いた生活を心がけておりショッピングもそういう生活を基準に行っています。
 そういうなかで、生活必需品だけど、手に入れるのに時間もお金もあまりかけたくない、という買い物に対応することを事業機会にして営業を組み立ててい る=ディスカウント型の店舗 ばかりを集合させたアウトレットモール、パワーセンターなどの商業施設がこれにあてはまります。

Bラグジュアリィ(アップスケール)ニーズ対応型SC
 ラグジュアリィモールは、自分の価値感などを基準に「自分らしく」作り上げたい、という生活ニーズに必要なショッピングに対応するショッピングセンター です。ラグジュアリィは、日本語では普通、贅沢と訳されることが多いようですが、詳しくいえば「生活に必要な材料にその人の好みが加わったもの」という意 味です。日本の「贅沢品」も「必需品」との違いを考えていくと同じような意味なのですが、ふつうは「不必要なもの」というニュアンスが多いのでこのあたり はちょっと注意が必要です。

 (3)ショッピングセンターは、商店街=一人一人の商業者の個人的な計画で出店したお店が連なってできあがっている(全体として統一された来街目的がな い)自然成長的商業集積とは大きく異なっています。この違いは単に立地や規模、施設などハード面やテナントの店舗数のちがいではなく、顧客の生活ニーズ、 購買行動の多様化への対応の仕方が根本的に違うのだ、ということをはっきり理解してください。
 上で3つに分類したSCの類型のそれぞれの性格もよく理解しておいてください。いくら大きな商業施設でも3つに区分されるニーズの全てに対応しようとす ると必ず失敗します。近年、我が国の郊外型ショッピングセンターの業績が軒並み不振に陥っている理由はまさにここにあるのだと私は考えています。


2.ショッピングモール(以下単にモールとも言う)について

 (1) アメリカでは単にモールというのが通常の呼び方のようです。
 http://www.shopyourmall.com/ (閉鎖)などを参照されると本場のモールのテナント構成などがよく分かると思います。
 中活法のスキームで、中心市街地の商業集積をショッピングモールに見立てる、という場合のショッピングモールとはラグジュアリィモールのことだと考えてください(詳しくは後述)。

 (2)米国の場合、核店舗は百貨店です。テナントにはラグジュアリィ=自分らしく、ということから顧客ニーズがはっきりしているファッション関連やインテリア、ホビー関係のショップなどが集積しています。
 日本の郊外型SCとの大きな違いは、日本では必ず核店舗の位置にある「スーパーマーケットを核売り場とする量販店」がショッピングモールの場合、絶対に!参加していない、ということです。
 先ほどのサイトでも確認できるように、モールの場合、食品(Foods)はチョコレート専門店、クッキー専門店、紅茶の店など、それぞれの分野に特に嗜好・こだわりを持つ顧客をターゲットにするものばかりです。

 (3)この類型のショッピングセンターがショッピングモールと呼ばれるのは、集積の主力がそれぞれ独特のテーマで店づくりをしている専門店の連なりで作 られている、その形(モールのもともとの意味は植裁のある散歩用の小道)から来ていますが、他の類型のSCと異なっているのは、テナントミックスの性格で す。テナントミックスの性格が要因となってモール(お店の連なり)という形態が出来上がっています。形が先ではなく機能が先にあって、形が決まっているの だということをよく理解しておいてください。

 我が国でも中心市街地活性化関係で、「中心市街地の商業集積を一個のショッピングモールと見立てて」整備を図る、ということになっていますが、この場合 のモールがSC類型という意味でのショッピングモールなのか、単に専門店が連なってきれいな街並みを作り上げている、という「見栄え」を意味しているもの なのか、ということは十分吟味することが必要です。
 もちろん、活性化の実を上げていくためには「アップスケールニーズ」に対応するテナントミックス、情報サービスの提供、街区環境の整備などを来街目的に あわせて計画的に実現していく、「ラグジュアリィ(アップスケール)モール」としての充実を目指すべきです。

 (4)繰り返しますが、中心商店街の活性化の方向として用いられる「ショッピングモール」は、ここで用いている方向で定義しておくことが大切です。景観整備のテーマぐらいに考えていたのでは、わざわざこの言葉を使う必要はありません。

3.ラグジュアリィ(アップスケール)モール

 (1)上のショッピングモールとまったく同じ意味です。アメリカでも同様の意味で使われています。ショッピングモールではなく時々こちらを使うのは、こ ちらの方がよりSCとしての性格を表しているということと、我が国でショッピングモールという場合、ややもすると外見だけの話になってしまうことが多いた めにそのように受け取られることが懸念されるからです。先ほども言いましたように、たんに「モール」と呼ぶこともあります。

 (2)少し脱線しますが、同じモールという形態をとる集積で「アウトレットモール」という集積があります。これはアウトレットショップ(メーカーなどが 何らかの理由で正規の流通から引き上げた商品などを破格値で処分するために作った店舗)を集積したもので3類型の中では、コストコンシャス型に属します。 ついでにいえば、我が国の場合、アウトレットの解釈も適当で、その結果として集積もテナントミックスなど入念に計画されているとは思えないものが多く、し たがって業績もふるわない、という例が多いようです。

4.ユニバーサルデザインモール

 (1)これは多分、当社の造語で、ショッピングモール=ラグジュアリィ(アップスケール)モールの一つの方向性を示すものです。始めて聞いた人は、 ショッピングモールといったり、アップスケールモールといったり、今度はUDモール?また変えるのか?ととまどっている人もあります。基本的な考え方につ いては、こちらにも書きましたがアップスケールモールというSC類型の中でさらに的を絞った具体的なあり方を表現しています。

 (2)ユニバーサルデザインは、一言でいえば、「自分らしさを作り出す基礎条件」という様な意味です。商品でいえばいろいろな個性や条件を持っている人 たちに出来るだけたくさん使ってもらえるような使いやすいデザイン、あるいは自分の目的や個性に合わせて加工したいとき、加工しやすい条件を備えた商品な ど、アップスケールを実現する時に商品や材料が持っていなければならない基本的な特性を意味しています。また、街区環境や施設などでいえば、誰もが自由に やってきて気の向くままに回遊し、好みのお店でショッピングが楽しめる、というような環境を意味しています。
 このようにモールの一つのあり方を思想的に押し進め、ハード・ソフトの両面にわたって具体化していくときの指針がユニバーサルデザインです。

 (3)ユニバーサルデザインはバリアフリーと言う言葉と比較されたりしていますが、これからは出来るだけ多くの人に共用される条件を備えたユニバーサル デザイン、通常の道具などの使用について障害条件を乗り越えるためのバリアフリーというような使い分けが出て来るのではないかと思います。
 ラグジュアリィニーズという生活ニーズに対応することを目指す商業集積、ラグジュアリィモールを実現していくためには、それぞれのモールが具体的な方向 性、コンセプトを確立することが必要です。私たちは街づくり=モールづくりにおけるソフト・ハードの両面を貫くテーマをユニバーサルデザインに求め、その 思想や技術を街づくり、店づくり、品揃えなど全体としての街の活性化の中で活用していくことを目指します。UDモールは、新しい時代の生活者の価値観に共 鳴し、その生活づくりに貢献することを通して街の活性化を実現していく運動の基本となるテーマなのです。
 ユニバーサルデザインについて、私たちはまだ研究を始めたばかり、本格的な勉強・実践はこれからですが街づくり・モールづくりの基本的な方向として、一つの理想的なものであると確信しています。


以上、商店街活性化に関連してショッピングセンター関係の用語を説明をしました。批判や質疑などがありましたら、掲示板でどうぞ。

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