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中心市街地活性化シリーズ番外編
2-[3] 「商店街活性化」の七不思議
(2001.7.10)

 『中心市街地活性化法』が制定されてあっという間に3年が経ちました。多くの都市で中心市街地活性化基本計画が作られ、TMOも発足して中心市街地の活性化への最後の取り組みが始まっていることはご承知のとおりです。こちら

 さて、この間、中心市街地活性化の文字通り立て役者である「中心市街地に集積する商業機能=商店街」はどう行動し、その結果はどうなっているのでしょうか?
 スタートが早く地元の合意形成がスムースに行われたところでは、計画に基づいた事業が整斉と実施されているようです。しかし、それらの事業に取り組んだ結果、商店街にかっての活気がよみがえった、よみがえりつつある、という話はほとんど聞こえてきません。これはいったいどうしたことでしょうか?
 今回は、中心市街地活性化番外編としてこのことを取り上げてみたいと思います。

 ご承知のとおり、『中心市街地活性化法』に基づいて国や地方自治体は、中心市街地とりわけ商店街の活性化に向けて多様な支援メニューを体系的に用意しています。しかし、これらのメニューを全て完璧に実施しても、それだけでは商店街の活性化は不可能です。このことをしっかりとご理解いただきたいと思います。

 どうしてでしょうか? 答えは簡単です。補助・支援の施策は文字通り、商店街の自助努力を支援・補助するものであって、「個店では対応できないレベルについて補助事業の対象とする」ということが前提になっています。対象となる事業そのものが、個店の自助努力を前提としており、個店の努力を補完するという位置づけになっていすのです。
 言い換えれば個店の努力がきちんと行われていない商店街だと支援・補助の成果は期待できない、ということです。つまり、補助事業のメニューに対応する事業計画を立ててこれを昇華するだけでは商店街の活性化は実現できません。

 皆さんの街の個店レベルの実態はどうなっているでしょうか。

 私どもが日頃商店街を見聞した限りで疑問に思っていることを「七不思議」としてまとめてみました。実際に見聞した限りではありますが、あくまでもプロとしての見聞のまとめであり、それなりに一般化することも出来ます。商店街の皆さんは、ひとつでも思い当たることがあればさっそく改善してください。なお、ご批判をいただければ幸です。メールで直接または「商店街なんでも掲示板」あてにどうぞ。

七不思議その一
「商店街活性化」とは街や個々の店舗がどうなることか、誰も定義していない。
 まさかとそんなことが、と思う人もあるでしょうが本当です。指導者でも活性化とは街やそこに立地する個店がどうなることを意味するのか、理解し、説明出来る人はきわめて少ないと思います。あるいはそんなことは周知のこと、わざわざと口にする必要はない、いうことかもしれません。
 しかし、複雑かつ時間のかかる仕事はきちんと目的を立て、これに到達するための目標を設定して計画的に取り組むことが必要です。第一個々の事業が本当に活性化に役に立つかどうかということを判断するためには、活性化とは街や個店がどうなることか、ということが定義されていることが必要です。(私どもの定義はこちら)
 定義が行われていない結果、定義をしていれば絶対に起きなかったであろうと思われる失敗が多くの街で繰り返されています。
 商店街の活性化とは、街が買い物の場としてのにぎわいを取り戻すことである、ということに異論は無いでしょう。その買い物は全て個々の店舗のなかで行われます。つまり、街が買い物の場としてよみがえるためには、そこに立地する個々の店舗がわざわざ買い物に出かけたくなる店へと生まれ変わることが必要なのです。
 事業に取り組む前に、補助事業・支援事業はあくまで「補助」、「支援」であり、その前後左右に自分たち自身でやるべき仕事が山ほどある、と力説しなければならなかったはずですし、そうすれば、現状のように事業に取り組んでも活性化を達成できない、という状況に陥ることは無かったはずです。
 結果として、街と個店にどのような事態が生まれることを目指すのか、明らかにしないまま、「補助事業」を「主要事業」ととらえて事業に取り組んできた、というのが多くの商店街の実態ではないでしょうか。従って、
七不思議その二
 活性化に取り組んだ街の話はよく聞くが、成功した、という話はほとんど無い

 活性化とは何がどうなることか、という根本的なところをカッコに入れて事業に取り組んで活性化を実現出来る・繁盛店が続出する、ということは今日の競争環境では奇跡に近いことです。商店街立地で奇跡が起きるなどということはあり得ませんから成功事例もほとんどない、ということになります。
 先程述べたように来街目的である「買い物の場」がきちんと充実されないままで、街の美観や施設の整備(お客にとって来街目的達成におけるプラスαという位置づけでしかない)ばかりに力を入れても肝心の街に来る目的が無い、ということですから。
 「成功」といわれている事例のほとんどは、再開発ビルの建設やアーケードの新築・掛け替えなど、施設建設の竣工というケースが多いようです。もちろんさまざまな利害が錯綜する街なかでプロジェクトを成功させることは並大抵のことではありません。成功にこぎつけるには相当のご苦労があったことは容易に想像出来ます。ノウハウも蓄積されているだろうしそれを学ぶことは大切です。
 しかし、整備工事の結果は一度見れば十分です。来街目的がしっかり整備されていない以上、「来街・来店・購買頻度の向上」=繁盛店の続出という正しい意味での商店街活性化にはつながりません。それもそのはず・・・、

七不思議その三
 活性化が必要な商店街の役員さんたちが事業のメニューを決めている。

 え〜つ、そんなはずは・・・、と思った役員さんは、アンケート調査を思い出して。
あなたは「商店街の問題点」に関するさまざまなアンケートに、駐車場不足、空き店舗の増大、コミュニティ施設の不足などと回答したことがあるはずです。補助事業は自分たちが希望した通りのメニューになっているわけですね。

 しかし、補助・支援事業は全て「自助努力、個店や組合の努力」を前提としたもの、アンケート調査はあくまでも「自助努力は目一杯やっている」ということが前提になっています。「自店での努力を省略して繁盛するためにはどのような施策が必要ですか」などという調査はありませんからね。
 自助努力とはもちろん、「お客の支持を獲得するために個店レベルでやるべき一切の努力」です。この自助努力が出来ていないとせっかくの「支援・補助」が支援・補助の機能を果たせないことはいうまでもないことです。
 本当は、個々の店舗が買い物行き先としてよみがえるためには何が必要か、ということを考え、個店の生まれ変わりを実現するために必要な支援・施策を要望すべきなのです。
 なぜならば、中心市街地という立地で・郊外型ショッピングセンター全盛というこの時代に・個店の活性化にはそれぞれ店主が自分で取り組む、というような申し合わせによる取り組みで繁盛店に生まれ変わることは絶対に不可能だからです。その理由はこちら

さらに、「もの余り時代」の集客対策として、   

七不思議その四
 物販以外の集客施設を誘致すれば活性化が出来る?

 もの余り・店余り時代だから物販施設での集客は難しい、だから物販以外の集客施設を誘致すれば来街者が通りにあふれ、物販業種の事業機会が増大する、という説も出てきました。他の用事で来街した人々を商店街に誘導して衝動買いを誘うというシナリオなのでしょうが、まず絶対に成功することはありません。
 店前通行量の多少ということが立地条件のバロメーターとして有効だったのは、もの不足時代、街を歩いている人はそれぞれ全員、「欲しいもの・買いたいものがある」という古き良き時代のことです。もの余り時代は物販以外の施設やイベントなどで人を集めてもその人たちが買い物客に転化するなどとことは無い、というのが常識です。
 衝動買いとは、街へくるまで、その商品を見るまでは全く買うつもりが無かったのにその商品を見たとたん、欲しくなって買ってしまう、ということですね。ということはその人にとってその商品がとても意味のある商品だ、ということに他なりません。このような衝動買いにつながるような品揃えを、よその集客力をあてにするような商店街で実現することはムリです。

 イベント集客が売上げにつながらず、そのうち集客さえ出来なくなった、という苦い経験を持っているはずの商店街の皆さんが、喉元過ぎれば・・・、あらためて物販以外の集客施設に街の活性化・個店繁盛の期待を掛けるのはいったい何故でしょう?

七不思議その五
 業績が低迷している組合員に「後は個店の問題」と活性化の切り札を一任している。

 買い物来訪先としての商店街を見限ってしまったお客を景観整備などのハード事業やイベントなどでもう一度来街させる=街レベルでの集客が組合の仕事、来街したお客に買ってもらうのは個店の役割(すなわち、活性化の成否、最後の鍵は個店にある)、という考え方ですが、さて、百歩譲って思惑通りに集客に成功したとして、それらの来街客が来街目的=買い物目的を達成するお店は品揃えその他ちゃんと整備されていますか?
 低迷し活性化が必要な個店の経営者・組合員に、成熟したお客のニーズに対応した「店づくり」を一任・期待するのはあまりにも虫が良すぎるというものです。
 そもそも街区に立地しているたいていの店舗の経営技術は高度成長期・「見よう見まねで繁盛できた」時代からほとんど進歩していない、というのが実態でしょう。実態をもっと素直に求めるならば、来街客の目的達成を現状のままでの個店に任せることはとても出来ないはずです。
 開店以来今日までの間で店主の皆さんが「店余り・もの余り時代」の「お客のニーズに対応できる店づくり」についての知識や技術を身につける機会があったでしょうか?
 さらに、同業者の悪口を言わない、というのがいずこの業界にも共通するオキテだそうですが、破っちゃいましょう・・・。

七不思議その六
 指導者は本当に活性化を指導できるのだろうか?

 事態を虚心に眺めればこのような単純素朴な疑問が生じてしまうのであります。
 商店街を活性化するには、消費購買行動の変化・集積間競争の展望・専門店の店づくり(ハード&ソフト)・人材育成の方向・街づくり(建築ではない)等々を体系づけた理論と関係者をモチベートする手腕が求められます。全体としての商業をどのようなパラダイムで理解しているかということが大切なことは言うまでもありません。

 さらに、個店の「店づくりの転換」については相当突っ込んだ指導・支援が必要になるわけですが、中心市街地活性化関係の指導者にはこのようなレベルの指導の必要性についての問題意識はほとんど見受けられないと思います。(お聞きになったことがあります?) また、適任者がいたとしても実際に指導を受けるとなると通常は膨大な時間やコストが発生しますから、これを回避する手だても指導者自身が考案すべきです。

 いずれにせよ、プロの指導者たるもの、さまざまの問題を全て踏まえたうえで「こうすれば活性化できる」と大見得を切るべきではないでしょうか。まさか「誰がやっでも成功しない、だからおれがやってもいいんだ」と思っている人は絶対にいないと信じたいところであります。
 さて、商店街活性化の不思議の結論として、

七不思議その七
 「売れる個店づくり」というどこから見ても正当かつ緊急の目的達成に組合を挙げて取り組むべきだ、という声がなかなか挙がらない。

 とここに至れば、商店街内外の関係者から続出すべき疑問だと思うのですが、なぜ出ないのか、これも不思議なことです。というよりも私にはこれが一番不思議、だって街づくりはボランティアではありませんからね。もっと商売人らしくお金儲けに徹していただくことが顧客=地域社会のためであり、貴重な皆さんの寿命の一部やこれも貴重な補助金やらが活かされる唯一の道でしょう。

 中心市街地活性化、これからますます厳しくなっていく環境の中でいったいどう取り組まれて行くのでしょうか。いずれにしろ、個々の店舗の繁盛の実現無くして商店街の活性化は絶対に達成できません。このことを肝に銘じて組合を挙げて繁盛店づくりに取り組むべきです。このことをないがしろにしたままでは、これから先どんなに有利な施策が打ち出されても商店街の活性化はあり得ません。
 誰にせよ、お店を繁盛させることができるのはお客だけ、という鉄則を抜け駆けすることは不可能です。活性化とは、街や店が(特に自店が)どうなることなのか、自分の頭を使って考え抜くことからしか、新しい繁盛への道を切り開くことは出来無いと腹をくくるべきです。

 商店街活性化とは、自分の店、隣の店、仲間の店が繁盛することだ、というどこから見ても明々白々、当たり前のことを声を大にして言わなければならない、王様は裸だ、最初に言った子供は無心に見たままを口にすれば良かった。
 しかし、商店街にはいろいろと経緯やらしがらみやらがあり、いえば即刻執行部批判だ、と反対分子扱いされる可能性もあるでしょうし、その他何らかの形で不利益をこうむるかも知れません。しかし、七不思議を知った以上、これに目をふさぎ、口を閉ざして活性化が実現するということは絶対に無いということもあらためて確認できたと思います。

 「立場立場の人間の臆病が問題の解決を妨げる」、誰かが勇気を出して一歩前に出ない限り、街の活性化は夢のまた夢に終わってしまいます。夢で終わるくらいなら初めからさっさと別の道を歩くべき、方針転換か活性化の断念か、事態は厳しく店主の皆さん一人一人に二者択一を迫っているといってけして過言ではないと思います。


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