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中心市街地活性化シリーズ その1 
C121■中心市街地活性化の
       「一体的推進の目標」とは何か
 (01.6.26)


中心市街地活性化の目的及び目標

 多くの都市が中心市街地活性化を実現する仕事を体系的に繰り広げていくための「中心市街地活性化基本計画」を作っています。この計画でもっとも大切なことは,第一に、「活性化への取り組みは何のためにやるのか」という「活性化の目的を明確に打ち出していること、第二に,目的を達成するために必要な都市基盤の整備という事業と中心市街地が分担する都市機能を実現するという事業、これらの事業を一体的に推進することで中心市街地に実現すべき目標=「一体的推進の目標」をはっきりと設定していることです。
(「一体的推進の目標」については、『活性化法』第6条第3項を参照してください)

 いま、都市全体を経営するという視点で行政の課題を、@市民が所得を得る機会を維持し、また新しく確保する、ということと、A市民の生活環境を出来るだけ充実させる、という二つに分けるとすれば、「中心市街地活性化」の主な役割は,市民が所得を得る機会を維持する・新しく確保する、市民の事業機会を維持する・確保するということになります。

 自分たちのまちの中心市街地の活性化という大事業に関わる巡り合わせとなったみなさんは,まず,「自分たちの都市の中心市街地には事業機会・事業立地としてどのような可能性があるか」ということを調査研究することが必要です。

 さて、中心市街地活性化の取り組みは、競争の全くない真空市場を対象に新規開業するものではありません。当然のことです。したがって、計画を立てるにあたっては、その前に「事業環境の分析及び将来の予測」をきちんと行うことが必要です。私たちは多くの都市の計画では、この選定となる作業に対する取り組みが大変不足したように感じられてなりません。ご承知のとおり、我が国の小売商業の経営環境は激変の最中にあり、この変化を的確に把握することができないということは、自分たちの活性化の方向も出すことが出来ないというレベルにあることを意味しています。

 私どもの考える小売商業全体の現在〜将来の見取り図については、こちらを参照してください。特に小売商業を襲っている環境変化の3点セットについては十分理解しておかないと、中心市街地の活性化は愚か、自店の将来にも大きなクエスチョンマークがつくことになります。

 特に商業活性化の方向については,一部の都市で考えられているような「GMSなど郊外型SCの核店舗になっている業態を核として誘致する」などということでは、はっきりいってダメ(承諾する企業があったとして)です。これら郊外型ショッピングセンターの核店舗には既に中心市街地の面的な活性化をリードする核店舗としての力はありません。したがって、地元商業者の力を中心とした取り組みを覚悟することが必要なのですが、なぜそうなのか、ということはある程度理論的な積み重ねを経てはじめて理解できることです。

 奇妙なことですが、「活性化」とはその対象となる地域や企業にどのような状態が起こることを意味しているのか,ということはこれまであまり問題にされて来ませんでした。「中心市街地活性化」という場合も,活性化されるとは中心市街地がどうなることか,そこにどのような状況が生まれることを「活性化」されたというのか,明らかにしておくことが必要です。これが事業の「目的」になります。

 そして,この目的を達成するため,当面,さまざまな事業に取り組んで実現を目指すのが「市街地活性化の目標」ということです。これまでに見てきたように、『中心市街地活性化法』ではこの目標を「一体的推進の目標」としています。市街地の交通や環境の整備=基盤整備と商業など立地している産業の機能の充実=商業等の活性化というハード・ソフトの両方の取り組みを一体的に推進することで中心市街地に実現しようと目指すもの、それが「事業の一体的推進の目標」ということになります。

 つまり「一体的推進の目標」は、さまざまな事業に取り組み繰り広げることで実現を目指す、具体的な「中心市街地のあるべき姿」ということになります。

(私も仕事上、いくつかの都市の基本計画を検討したことがありますが、多くの計画に共通している目的・目標は、「中心性の回復」とか「歴史と文化の香る街」とか,「商業ゾ−ンの形成」などが多く挙げられています。このような抽象的な目的・目標では、そこに立地している各商店やその他の事業所はいったい何をすればよいのか、いっこうに見えてきません。まさかなにもしなくても街が変われば自然にお店が繁盛する、というような時代ではありません。)

 まちの活性化の目標は,中心市街地をどのような事業(ビジネス)活動の場として生き返らせるのか、対象とする事業を明らかにする、そして,その事業が成功するために備えなければならない条件を作りあげていくそのための「指針」であることが必要です。この指針を決めるにあたっては,街を取り巻く時代背景・環境から次の条件については無条件でクリアしなければならないことがはっきりしています。

第一,ブルドーザー押しまくり型はダメ。街の全体を一挙に変化させるのではなく漸進的な方法で実現可能な方向を発見すること。
第二,外部からの誘致は不可能。都市の顕在・潜在の能力・資源の活用により達成することが出来る目標を発見すること。
第三,全体を一挙に活性化することは無理。戦略的な目標を立てて,これを達成することで市街地全体の活性化に波及させるというシナリオを描くこと。
第四,一過性の施策目的は達成されない。環境与件の変化を前提としながら永続的な繁栄を実現することを目指すこと。

 如何ですか。中心市街地の活性化を目指す,といったとたん,上の各項目は当然前もって考えておかなければならないことです。とにかく,大がかりな用途の変更を伴うような方向、事業内容は採用出来ない,ということです。

 ここから出発して,私どもがよく使う言葉で言えば、目標=ソリューションを作りあげることが「基本計画」策定における最も大切な仕事だということになります。

 さて、もう一度、「一体的推進の目標」を考えてみましょう。
 『活性化法』から見れば目的は,「都市機能の整備と経済活力の向上」です。
 「都市機能の整備」は、中心市街地がどのような役割を担うことになるのか、ということでその内容が変わります。また、「経済活力の向上」のための施策(例えば交通対策)を講じれば、それが自ずと都市機能の整備を意味することも多いと思われます。したがって、ここでは実際の目的としては「経済活力の向上」であると考えて進めることにします。

 また,中心市街地の基盤整備は,「商業等の活性化のための施策」に体系的に取り組んでいくなかで当然実施しなければならないことです。基盤整備の目標は一般的な都市基盤の整備ではなく、「商業等の活性化」=商業等のあるべき姿を実現するという目的にそった基盤整備であることが必要です。
 すなわち基盤整備は,一義的には中心市街地に立地する商業等のあるべき姿を実現するための事業と考えるのが正しいと思います。分かりやすくいえば、基盤整備とは「商業等の立地条件の整備」とでいうことです。
 以上から,「一体的整備の目標」とは「商業等の活性化」であるということが明らかになったと思います。商業施策が主であり、それを効果的にするための基盤整備と考えて良いでしょう。

 ということで,中心市街地活性化=中心商店街活性化という目標の具体化は真面目に中心市街地の活性化を考えれば避けて通ることの出来ない,ここから出発して都市全体の活性化を実現する「戦略的な課題」であると位置づけられます。

 『中心市街地活性化法』制定の前後の時期,中心商店街の活性化はこれまで点(再開発ビル)や線(商店街単位)でやってきたため効果が薄かったから今度は「面」でやるんだということもありました。また,施策メニューを一覧すれば,活性化法の目標は明らかです。

 以上から,中心市街地の既存商業すなわち商店街(群)を面的に活性化することが『中心市街地活性化基本計画』の主な任務であることがはっきりしたと思います。
 そして、「一体的な推進」の目標である中心市街地に立地する商業の活性化の方向としては、はっきりとどのような性格の商業集積へと転換していくのか、ということを明示することが必要です。そして、その転換の方向は言うまでもなく、小売商業全体の動向を見定めながら、「この方向を目指せば将来に渡って繁栄できる」と確信の持てるJほうこうで有ることが必要で有ることは言うまでも有りません。

 当社は、この方向として「ショッピングモールへの転換」がもっとも実現性の高い道であることを既に提案しています。

 今回は,基本計画の策定にあたっては、「一体的推進の目標」を適切にたてることがきわめて重要であること,一般に中心市街地の活性化を実現するためには商業を活性化することが戦略的な課題であること、の二つをあらためて論じてみました。

 既に『基本計画』を策定している都市の担当者の方やそこに立地する商店街の皆さんは、もう一度自分のまちの『基本計画』では基盤整備と商業等の活性化という2大事業を一体的に推進する目標としてどのようなものが掲げられているのか、確認してみてください。

 繰り返してきたように、その目標は、この方向で頑張ればみんなの店が活性化する=繁盛するという方向について、商業集積全体〜個店レベルでの努力目標を含むものとして立てられていないと実際の役には立たず、活性化は達成できません。
 もし皆さんの都市の計画の「一体的な推進の目標」がこのような内容、レベルで立ってられていないとしたら、もう一度「一体的な推進」の目標を作り直すことを検討してみられることも必要ではないかと思います。

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