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はじめに
中心市街地=中心商店街の活性化を考えるうえでの隘路と考えられやすいのが、今や中心市街地活性化を課題とする位の都市にはほとんど全て存在している郊外型SCとの競合についての誤った認識である。
一時期,郊外型SCと中心商店街の間には競合関係が生じ,おしなべて中心商店街が敗退したことは事実である。しかしながら,そのような売り場面積の大小が即競争力となる時代はすでに過去のものとなっている。中心商店街には新しい事業機会が生まれているのである。
このようなチャンスを迎えているときに「郊外型ショッピングセンター全盛時代だというのに補助金で中心市街地を整備してもお客が帰ってくるはずがない」という訳知り顔の関係者がおり,特に肝心の商店街のなかにおいて声高く発言されるようだと活性化を実現するための意欲・知恵が出てこない。
現在,郊外型SCは全盛時代にあるのかそれともその時代は終わろうとしているのか,SC関係者なら周知のところであろうが,今回は、敵
(?)を知る、という意味で郊外型SCについて考えてみたい。
1.郊外型SCとは
ここでいう郊外型SCとは、1.いわゆる日本型GMSが核となり、2.地域内外から集めた専門店等をテナントに加えて作られている 3.大型商業施設 というあふやな定義
(?)の商業施設を指しています。従って、4.郊外立地に限らない、5.都心の再開発ビルも含んだもの と理解されたい。
(1)さて、まず、SCの核店舗について。
商業集積の「核」とは、「その集積が対応しようとする買い物の性格を体現している店舗」のことであり、サブテナントの構成がどのように変わってもSCにこの店舗が存在する限り、SC全体の性格は変わらない(核=アンカーストア)というのが核店舗の核たる所以である。
すなわち,SCの顧客・来店動機を見るためには核店舗を見ればよい。核店舗に日本型GMSを配置しているSCの場合はさらにGMSの核売り場である「スーパーマーケット」部門がSC全体の来店目的を左右することになる。
ご承知のとおり、多くの郊外型SCには核店舗として量販百貨店(=GMSあるいはビッグストア)が配置されている。その特徴は、SM部門を核売場とする、ということにある。
量販百貨店は、どのような大型店舗でもSM部門を必ず配置しており,彼らはSM(あるいはSM仕様の食品売場)をその店舗構成から切り離すことが出来ない。
(2)量販百貨店の特徴
量販百貨店の業態としての特徴は、@スーパーマーケット部門を核売場とし、A日常生活に必要な雑貨、B衣料 C家電・家具 など、日常生活に必要な部門について「中ぐらいの品質の商品を中ぐらいの価格で販売する」というところにある。
そもそも我が国の量販百貨店企業が同じ時期に同じ様な経緯で生まれ、それらが全てスーパーマーケット部門を核としている経緯については、『日本型スーパーマーケット原論』(安土敏1990 ぱるす出版)を参照のこと。(ちなみに同書は、日本の商業に関わる人にとって必須文献である。)
業態としての量販百貨店の各企業、各店舗の内容は地域の買い物客から見てほとんど同一といってよい程度の差違しかない(看板をはずせばみな一緒、という評する人さえあるくらい。)。
また、「中ぐらいの品質の商品を中ぐらいの価格で」買いたいという購買行動をとる消費者も激減している。郊外型SCの核店舗(ほとんどの場合デヴェロッパーも兼ねている)である量販百貨店はお客の生活・購買行動とのギャップを日々深めている業態である。
2.郊外型SCの競争戦略
(1)競争戦略
SC乱立時代を迎えて同質微差の量販百貨店間相互の競争は、それぞれが核店舗であるSCのテナント構成の優劣をめぐる競争=テナントの質・量でライバルと差別化しようとする方向で展開されている。
量販百貨店は、自ら開発したSCの投資コストの多くをサブテナントに負担させながら、サブテナントの数量で他SCと差別化して自社の業績を確保しようという戦略を採っている。
つまり、核店舗同士では似たり寄ったり、購買力の争奪が出来ないので、サブテナントである専門店群の魅力によってライバルSCと差別化,集客しようということである。つまり郊外型SCのデヴェロッパー兼キーテナントの基本戦略は「他力依存」ということである。
(2)サブテナントの特徴
次に量販百貨店が文字通り杖とも柱とも頼むテナントについてみてみよう。前述のとおり,SCとしての競争力は、テナントとして参加する専門店の力量にかかっている。
一般にSCへのテナント出店を戦略とする専門店の側から見たSCの評価はその集客する客相と自店が標的とする客相の一致ということが基準になる。量販百貨店が核店舗(核売場はSM部門)であるSCの主要な購買客相は、「SMあるいはSMを核とする店舗で食品以外の購買をすることに抵抗が無い客相」、ということになるから、「わざわざ来店」型の専門店にとっては場違いな立地ということになる。
特にアップスケールニーズ対応の専門店にとっては危なくてとても出店できない立地だということになる。
(3)テナント構成
現実のSCにはそれなりの数のテナントが出店しているが、これらの店は一部を除いて、「大型SCの集客力」をあてに出店してきたものがほとんど、自店単独で集客する力は持たない,集客力の根幹である専門店として不可欠の商品構成を店舗段階で決定する能力を持っていない店舗がほとんどといってよい。
もともとかれらは大店法で保証された地域一番店=地域唯一のSCの集客力をあてに出店してきたのであり,その意味では「店前通行量」をあてにしていた商店街在住の頃とほとんど変わっていないということが出来る。
つまり、核店舗をはじめ自店以外の店舗の集客力を頼みに出店した、というのが郊外型SCの多くのテナントの実態なのである。
3.戦郊外型SCの帰結
以上から帰結するところは、郊外型SCは、テナントの力で集客したい量販百貨店と量販百貨店の集客をあてに出店したテナント群で構成されている「他力集客依存型店舗」の「寄せ集め」だということである。
すなわち、郊外型SCは,そのテナント構成によって集積としてのコンセプト=お客から見た全体としての存在価値=来店目的を実現しているわけではない。核店舗をはじめそれぞれのテナントはそれなりのコンセプトを持っていてもそれが一体となってSCとしてのコンセプトを作りあげているというわけではない。
集積間競争が激化するなかでSCの生命線は、SC全体のコンセプトをそれぞれのテナントが過不足なく分担するテナント構成を実現することだが、それが計画段階から全く考慮されていないのが郊外型SCの現実なのだ。
先に展開した進化した商業の3類型を思い出していただきたい。
現在の郊外型SCは、コンビニエンスニーズ対応でもコストコンシャス対応でもアップスケール対応でもないことは明らかである。
商業の進化は、購買行動の変化とパラレルであり,既存郊外型SCの社会的な役割はほぼ終わろうとしていると間違いはない。
既にコンビニエンスニーズは、SMを核とするコンビニエンス型SCに、コストコンシャスニーズはパワーセンター、アウトレットモールにそれぞれ代替が進んでいる。
アップスケールニーズはもともとからの弱点、テナント構成による補強も失敗、というのが郊外型SCのテナント充実戦略の現状であり、きちんとした店づくりをしている中心市街地に立地する専門店にとってなんら脅威となり得ない、というのが郊外型SCの正体である。
いまや,かって量販百貨店が対応していた「人並みの消費」という購買行動が消滅に瀕しているとき,郊外型SCの命運もほとんど尽きようとしている。もの余り・オーバーストア時代には「あってもなくても良い店,SC」は次第に淘汰されていく。それも代替店が出てこなくても衰退していかざるを得ない,というのがもの余り・オーバーストア時代の「はずれ店舗」の宿命であり,既存の郊外型SCのほとんどが「はずれSC」として衰退の道をたどらざるを得ない宿命にある。
量販百貨店に自己改革の可能性がない以上,郊外型SCも改革・再生の道はほとんどない。
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