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C113■ファサード事業を活用した中心市街地のモールへの転換
『統一したイメージに基づくファサード整備事業』を活用して
ショッピングモールへの転換=街区内の個店群の「街ぐるみ一斉転換」を実現する


当社が実施した成功事例→松原ショッピングモール(佐賀県武雄市)

はじめに・本論の目的
 小論は、自然成長的な商店街・商業集積の「ショッピングモールへの転換」について、その意味、中心市街地活性化全体の取り組みにおける位置づけ、転換実 践における課題等を明らかにするとともに、「既存個店の街ぐるみ一斉転換」という至難とも見える作業を『ファサード整備事業』をタイムキーパーとすること で実現していく手法を説明する。          
 さらにファサード整備事業に対する自治体等の支援制度の考え方についても2、3提案する。


1.中心市街地活性化と中心商店街の活性化

(1)中心市街地活性化の基本的な方向
@中心市街地活性化とは、現在から将来にわたる環境条件のなかで、中心市街地 を事業立地として再生させることである。 言い換えれば様変わりした環境条件においてかってのような繁栄を再構築することを意味する。

A中心市街地全体の「面」を事業立地として活用するためには、当該地区を事業立地として成立する事業・企業群を想定し彼らの立地条件を整備充足する、というアプローチを採ることが妥当である。

B一般的な環境条件のもとでは、域外からわざわざ当該都市の中心市街地へ移転してくる事業・企業群があるとは期待できない。候補はまず域内所在の産業・企業群に求めることになる。

C他方、中心市街地には経営環境の変化への対応が遅れ空洞化が進展する商店街が多く存在しており、その活性化は中心市街地活性化の主要な課題である。

D以上から中心市街地の活性化にあたっては、そこに存在する商店街が街ぐるみで活性化出来る方途を案出し、商店街の活性化を中心に事業を構想し展開していくことがもっとも現実的な方向である。

E問題は中心商店街の活性化の方向であるが、これは以下に見るとおり「ショッピングモールへの転換」を指向することで実現できる可能性が高い。

(2)中心商店街のショッピングモールへの転換

@ショッピングモールとは「ある生活分野を自分の好みに基づいて作り上げ、堪能したい」という生活ニーズに対応する商品・情報・サービスを提供することを来街目的として計画的に作られるショッピングセンターのことである。

A「中心商店街をショッピングモールを見なして整備する」ということは、中心商店街を「ショッピングモール」という特化した商業機能を担う商業集積へと計画的に転換させることを意味する。
  商業機能の転換と併せて物販以外のサービス機能等の充実 、街区環境の整備なども重要な課題となる。

B転換にあたっては、街区に既存する各個店の業容の転換(品揃え、提供方法、サービスなどの総合的な転換、以下、「店づくりの転換」という)、空き店舗等を活用したテナント構成の拡充など既存機能の転換・活用が課題となる。

C特に重要な課題は、業績低迷に陥っている既存個店の活性化である。一国一城の主を自認する店主たちが自主的に経営する個店群を一定の期間内に一斉にショッピングモールのテナントへと転換させる(=店づくりの転換)、というきわめて困難な事業を成功させることが「モールへの転換」の要諦である。


   
(3)個店の活性化
@ 商店街既存の各個店をショッピングモールの機能(顧客から見た来街目的) を分担するサブ・テナント的な店づくりへと転換させる事業には相当の困難が伴うことは言うまでもない。困難であるが個店の店づくりの転換を実現しないかぎり、商店街の活 性化ひいては中心市街地の活性化という大目的の達成は絶対に不可能。
覚悟した取り組みが必要である。

A既存個店の業績を抜本的に改善することは商店街活性化の基本課題である。
  個店の活性化とは、各個店が中心となる「客相」を想定した店舗コンセプトを設定し、これを具体化する方向で品揃え、サービスメニュー、店舗・ ディスプレイなどを構築することにより、それぞれの店舗が必要な売り上げを達成し、現在直面しているさまざまな問題を解決するために必要な基本条 件を構築することを意味する。

B「ショッピングモールへの転換」を目指す商店街ぐるみの取り組みと連携して取り組まれるばあい、ショップコンセプトは、ショッピングモールのコンセプトを上位コンセプトとして、その一部を分担する。

C転換に際しては理論の修得、転換計画の作成、新規取引先の開発などさまざまの作業が必要であり、これらを個々の店主のペースに任せていてはモールへの転換などは夢物語でしかない。

D多様な条件のもとにある各店舗がそれそれの事情をひとまずかっこのなかに入れて店づくりの転換に取り組み、街区内のほとんどの店舗が一定の期間内に品えの転換をはじめ、情報・サービスの転換、店内環境の改善を実現することが中心商店街 活性化の基本課題である。

(4)個店の活性化を実現するための条件
  街区内の各個店の業容を一定の期間内に一斉に転換させるためには次のような 条件が必要である。

  @転換の必要性についての認識の共有(『基本計画』等に掲載※)
  A転換の方向の共有(『基本計画』等に掲載)
  B転換のために必要な理論・技術の修得(『商人塾』等による計画的・体系的な修得)
  C転換作業をコントロールするタイムキーパーとなる事業の設定
 ※「転換」について、『基本計画』等において計画されていない場合は、『タウンマネジメント計画』などを作成、活性化の方向及び方法として決定する措置が必要になることがある。

2.中心商店街活性化とファサード整備事業

(1)ファサード整備事業について
@定 義:ファサード整備事業とは、当該都市の中心市街地に立地する「ショッピングモール」にふさわしい街並み景観を実現するために、景観イメージに基づいて街区内に立地する店舗のファサード(※)を一斉に改修する事業である。

Aファサード整備は単独で行うのではなく、街並み景観全体の改善を目指す計画を作成し、これを導きとして、店舗ファサードの景観要素について総合的に改善することが必要である。

B整備の目的を達成するためには、なるべく多くの店舗の参加を得ることが課題であり、そのためには各種の補助制度を活用するなど各個店の負担を軽減する工夫が必要である。

(2)「モールへの転換」におけるファサード整備事業の役割
@ 街並み景観の主要要素である個店のファサードを整備し、モールの環境整備を 実現するとともに「モールへの転換」の中心となる「個店の店づくりの一斉転換」を時間的にコントロールする「タイムキーパー」機能を受け持つ重要な事業として位置づけ、組合の総力を挙げて取り組むことが不可欠で ある。

Aファサード事業の計画〜実施期間を通してこれと平行して「店づくりの転換」を計画・実行することで「一定の期間内における各個店の店づくりの一斉転換」を実現する。「モールへの転換」という上位目的を達成するための事業体系の一環としての位  置づけが必要である。

B「モールへの転換」を目標とする中心商店街の活性化の推進におけるファサード事業の役割はきわめて大きく、これまでに「モールへの転換」をめざして活性化に成功した事例ではファサード事業をタイムキーパーとする取り組みが功を奏している 。

(3)実施にあたっての留意事項
@ 街並み景観の整備の一環として取り組まれるファサード整備事業には街の活性化という上位目的を達成することは出来ない。竣工時こそ「新しい買い物 の場」に対する期待から来街者が増加するが、個店内部の転換が実現されていなければ来街 ・来店目的は達成されず、来街者も次第に減少する結果となる 。

Aファサード整備事業が成果を挙げるためには、事業が「モールへの転換」という上位目標に的確に位置づけられていることが必要である。

B「個店の転換」という商店主の多くがこれまで経験したことのない挑戦の一環であり、成功させるためには相当 の事前準備 が必要である。特に事業に先立ち関係者に商業経営に関する 適切な理論・技術を修得させることは事業成功への不可欠の条件である。

C「個店の転換」にはファサード整備に係わる設備投資のみならず、店内改装、品揃えの転換に伴う運転資金の増加など、多方面で資金需要が発生する。中心商店街という立地環境の現状に鑑み、資金確保についても特段の配慮が必要になるもの と考えられる。


(4)事業実施のスケジュール  
   事業は、合意形成・計画策定から事業実施まで2年、上位事業であるモールの事業展開まで合わせれば3年間の取り組みを必要とする。これまで年度内完結型 の単発事業ばかり取り組んできた人たちには長いと感じられるかも知れないが、そもそも商店街活性化という困難な事業を上位計画無しの単発事業の積み重ねで 実現できると考える方が間違っている。最短3年間で確実に実現される商店街活性化は、どのような選択肢よりも短く適切な期間であると考えてよい。


3.スケージュールの一例
年 度 事 業 実 施 事 項
(1)第1年度 1.理論の修得 中心市街地・商店街活性化の方法と方向
    ショッピングモールへの転換について
    個店の転換について
  2.計画の策定 モールへの転換基本構想・実施計画
    ファサード事業の実施計画 
    個店の転換計画
  3.実 践 モデル個店による転換への取り組み
(2)第2年度 1.事  業 ファサード事業の実施
  2.実  践 個店の店づくりの転換・実践
  3.理論修得 ショッピングモールの運営
  4.運  営 竣工イベントを機にモールへと転換・運営
(3)第3年度 1.運  営 ショッピングモールの運営
  2.実  践 個店の転換
※第3年度の事業は、ファサード事業とは直接関係していないが、上位事業である「モールへの転換」にとっては、当年度の事業こそがメインである。事業取り組みにあたっては、3年度の事業こそがメインの事業であるということを共通の認識としておくこと。

4.事業を支援するにあたっての配慮

(1)事業特性の再確認   
@すでに見たようにファサード事業は、単なる景観整備事業として取り組んでは 所期の成果を挙げることは出来ない。「商店街ぐるみでのモールへの転換」という上位目標の達成を目指す総合的な取り組みの一環として取り組むことが必要である。

A「モールへの転換」は、既存個店のモールのコンセプトを分担する「店づくりの転換」を中心に取り組まれるが、この転換を一定の期間内に実現することが「モールへの転換」を成功する鍵となる。

Bファサード整備事業は、「個店の活性化」と連動させることで「モールへの転換」を実現していく戦略的な事業である。

(2)課 題
@ 事業主体となる各個店は、ファサード事業と平行してハードソフト両面にわたる「店づくりの転換」に取り組むことになるが、これは彼らがこれまで経験したことのないハードワークである。また、転換には相当額の設備・運転資金が必要になるところから 、事業への取り組みにあたってはまずこの点に配慮し、 資金事情などに起因する逡巡をできるだけなくす環境つくりが必要である。

A街ぐるみ一斉のファサード整備というこれまでの個店の自律的な経営と合致するとは限らない事業をはじめ、「個店の転換」という相当の創意工夫を要する困難な取り組みに街区内の出来るだけ多くの店舗を参加させるためにはこれまでにない大胆 な支援施策による誘導が必要である。

Bファーサード整備をその一環とする「モールへの転換」事業の うち、ファサード整備事業と並行して実施する「店づくりの転換」への取り組みに資金需要が発生することもあり、各種支援制度の活用により各個店の負担を出来るだけ軽減することが必 要である。               


(2)支援上の配慮  
@ 中心市街地〜中心商店街の活性化の方向として「モールへの転換」を選定し、実現へのタイムキーパーとしてファサード整備 事業に取り組むという方向は、 現時点では成功事例も少なく、 かつ、参加者が負担するリスクも大きいところから、事業実施  を目指す組合(個店)等に対しては、強く支援する姿勢をア ピールすることが必要である。各種制度を活用して組合・個店負担 を出来るだけ軽減することが必要である。

A事業の推進にあたっては、実施する組合の事業推進能力、各個店の転換に対する意欲、事業の効果を担保する条件等の熟 度を上げるための指導・支援体制の整備が必要である。

B商業全般について通暁した専門家による支援・指導が必要である。
  中心市街地・商店街の活性化に関する支援体系、ショッピングモールへの転換及び運営、さまざまな業種にわたる個店の転換の指導、組織の活性化等々、広い領域にわたる経営知識 ・商業技術と教育訓練技術を有する専門家グループの継続的 な支援を確保しないと事業を成功させることは難しい。

C本来の事業のスキームからすると、TMOがその任に当たらなければならないが、現時点においてTMO単位でこのようなスキルを確保することは難しいと思われる。タウンマネージャーなど を招聘して支援を受けながら養成を図るこになるが、この場合 、招聘する専門家に適格者を得ることが課題である。
(2005.1.27改訂)
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