ストアコンパリゾン
<集客施設寸評>

佐世保市四ヶ町商店街
2006/04/01
 先日久しぶりで見てきました。
幾度か紹介しているとおり、この街の特徴は、
1.第一に、人通り(お店にとっては店前通行量)が多い、ということ。
2.第二に、商店街の性格としては、大変ユニークというか、次のような構成です。
@中心商店街らしい:百貨店、ファッションビル、専門店(ただしファッション系は少ない)
A利便型商店街らしい:ジャスコ、衣料品店、その他
B繁華街らしい:ドラッグ、百均、理美容ディスカウント、ゲームセンター、パチンコ
C郊外的:家電、メガネなどカテゴリーキラー
などが渾然一体集積しています。

 ということで、イメージは過去記事を参照してください。→2005/04/26の記事

目下、郊外型SCの出店問題が2カ所で浮上(すでに沈下?)しているそうです。これも以前「藻谷理論」の時に取り上げました。
http://www.quolaid.com/motani/motani.htm

 何しろ市の北部はずうっと平戸市まで四ヶ町の商圏でしょうから、その中間にSCが出てくれば確実に客足が止まります。
これは何が何でも阻止しなければならない。

 「法」の改正は、SC対策として四ヶ町−中心市街地にとって神風かも知れません。
 ただし、くどいようですが、SCを阻止したからと言って、商店街の機能がほんの少しでも改善される訳ではありませんから、業績の不振はかわりません。
個店・商店街の買い物行き先としての改革・改善努力はこれまでにも増して必要です。
「商店街のエゴでダイヤモンドシティが出てこない」とか言われたく無いですからね。

 これまでの取り組みは「市民協働によるイベント」ということで、よさこいをはじめ集客イベントに熱心に取り組まれています。
ただし、それが非・イベント開催日の人出・賑わいにつながっているのかと言えば、それは疑問です。
@まちのイベントが楽しかった
Aイベントがないときも街に行く
B買い物客が増える
ということはないでしょう。

 何も催しがないときでも四ケ町に人が集まる、集まるが買ってくれない,という状況が有るはずですが、その理由はなかなか分かりにくいと思います。


(写真はのちほどアップします)

 みていますと、家族連れ、ペット連れ、友達と、カップルで、老若男女、多様な人がまちを歩いている。
一言で言えば、文字通り「遊歩客相」です。
たくさんの人が歩き、一見賑わっていますが、売りあげ的にはどうでしょうか。

 良くても来街客≧入店客数というくらいではないでしょうか。

ということは、入店客数>買い上げ客数ですから、売り上げが通行量に見合うハズがありません。
takeo的には、昔おなじみだったショップもあり、がんばって欲しい商店街、通行量だけではなく繁昌の方も“奇跡の商店街”といわれたいですね。



「転換」の一例
2005/05/20
山口製茶園(伊万里市新天町)

@什器の間引き・A在庫の縮減・B接待スペースの確保という3点セットの改革に自力・独力で取り組んだ事例。
左:befor 右:after

商人塾に参加し、「転換3原則」に共感して自主的に取り組んだお茶屋さん。
転換構想作りから店内での力仕事まで全部自力でやり遂げました。

什器を撤去し、陳列していた商品は店内全体の在庫見直しにより縮減し、配置換えされています。
このコーナーに限らず、店舗内外全体の転換に店主以下スタッフ主体で取り組みました。
(アウトソーシングはいす、テーブルを出入りの大工さんに発注しただけ)
問屋経由で県外から同業者の視察が相次いでいるそうです。

「転換」を阻む最大の〈敵〉は、転換に取り組む=慣行を断ち切る という仕事に着手できない、というところに潜んでいます。
まず、なにが何でも転換するのだ、という決心が不可欠。ここがうやむやのため足踏みする人も多い。
足踏みする人の背中を押すのが「修了イベント」。
参加しなかった人は、その時点で足踏みを続けているわけですが、知識が増えただけで実践が伴わない、という人は参加する前より確実に能力が低下します。
その理由はあらためて。

商人塾、参加してまじめに取り組めばこうなりますよ、という一見本です。
beforからafterへの転換、くどいようですが外部から、あ〜しなさい・こ〜しなさいと指図を受けた訳ではありませんからね。自分たちの「能力の転換」で見事実現しました。

商人塾を受講した人のお店では日々、「転換」へのチャレンジが続いています。
また紹介します。




かちかち山自衛消防団
2005/05/03
全体の取り組み
http://www.40010tmo.com/index.php

商人塾
http://www.40010tmo.com/index.php?href=top/akindojuku/kiji.php

同 掲示板
http://www.cciweb.or.jp/cgi-bin/bbs/wforum.cgi

自衛消防団
http://www.cciweb.or.jp/cgi-bin/bbs/wforum.cgi

以上の流れを受けてここで紹介している写真は藤近文具の和風書斎コーナーです。

http://www.40010tmo.com/index.php?href=top/akindojuku/first/kiji.php&oshirase=top/akindojuku/first/fujichika
「文房四宝」というコンセプトに基づいて展開されています。
  
半年前までどこの商店街にもあるような文具店でしたが、商人塾を受講して、
1.商店街はラグジュアリィニーズをねらう
2.量や質から時間堪能へ
3.文房具を売るのではなく文房の演出を提案しよう
という方向と、
1.お金を掛けない
2.コンセプトを基準に出来るところから漸進的に
3.うまくなかったらやり直す
という方法に共鳴して着手、6ヶ月の状況です。

この記事の写真について。
約30坪の売り場の最奥3坪位でコーナーを提案しています。
向かって右側は店頭方向から見たコーナーの全景です。
正面は筆、墨、すずり。右に万年筆ショーケース
左は和風の封筒、便せん、色紙など
中央には椅子とテーブル、お茶が配置されています。

向かって左の写真は、右の写真の左側壁面を正面から写したものです。

全てお店の人たちの自主・自発・手作りで進められています。かかった経費は一万円に満たなかったとか。

商人塾の良いところは、仕入れをのぞいてほとんど新規投資が無いこと、取り組めば取り組むほど自分自身に力が付いてくること。
藤近さんのお店、半年前の状況は遠い昔のことになりました。これからもどんどん進化することでしょう。
魅力ある個店づくり・当社が提唱している「3点セットの転換」の実際を知りたい人は、藤近さんのお話を是非どうぞ。

自衛消防団、今回のイベントでさらに転換が進むとともに、相互の連携が強化されました。
かちかち山商店街、勝ち勝ち商店街と改称する日は遠くない。

イオン スーパーセンター 佐賀店
2005/05/01
イオン スーパーセンター

佐賀市の郊外、佐賀空港へのアクセス沿いにオープンです。
この業態に限らず、我が国の小売業における革新的な業態は、ほとんどすべて米国由来というかその日本的翻訳でありまして、それもかってはCVSストアをのぞいてすべてイの一番に着手したのはダイエーというおきまりのパターンがありました。
我が国における小売業の業態革新は(米国と異なり)すべて大手主導による米国追随という形で進んできました。

さて、スーパーセンターは、世界最大小売業・ウオルマートが開発した業態。
当初、コミュニティ(米国においては、都市圏から離れた日常生活圏として自立した地域のこと)において「人並み=実用局面」向け消費財を「EDLP」をスローガンに提供するディスカウントストアを展開しており、ハイパーマートの実験を経て登場したのがこの業態です。
ちなみにウオルマートがコミュニティに何をもたらしているかについての一見解は先に紹介しました。

 スーパーセンターのねらいはウオルマートよりも広範な商圏の実用消費を根こそぎ集約しようということで、米国ルーラルの複数のコミュニティを対象に出店しているそうです。
何しろコミュニティの消費需要のほとんどを独占、ウオルマート一店でコミュニティの生活のほとんどをまかなうことが出来るとか。
元祖スーパーセンターの成功は、米国のコミュニティという地域特性を前提に考えないと間違うことになります。

 さて、イオンスーパーセンターについて。
レイアウト図をもらって、米国版を思い出しました。大きく違うのは3点。

その1 食品売り場、向こうはブロック主体でこちらはスーパーマーケット
その2 カー用品売り場が向こうにあってこっちにはないこと
その3 コンコース、向こうはしっかり確保されていましたが、こちらはぼやけ気味
その意義は後ほど。

では店づくり3点セットをば。

1.品揃え
 大別するとハウスインプルーブメント=住宅改善ニーズ、ファッション=人並み実現ニーズ、SM=家庭用食材のワンストップ提供という業態のミックス。
文字通り、衣・食・住をセルフ・低価格、ワンルーフ・ワンフロアで提供しています。

住は既存のホームセンターのインテリア部門を中心に「ハウスセンター」といった品揃えです。
食品部門はスーパーマーケット。品揃えはSMに引けを取りません。価格はマルキョウと同等くらい?

衣料部門は、ターゲット不明ですね。

このミックスでどういうデスティネーションが提供されているのか、といえば、「ふだんの生活で、コスト重視・できばえは人並みでかまわない」という生活にワンストップで対応する、ということでしょう。
 
かっての「GMS」を今風に編集した、というところでしょうか。
GMSが「量販」という冠付きとはいえ百貨店に上昇したため空いているかってのGMS客層をねらったものと考えれば、コストコンシャスショッピングセンターということです。が、そうだとすれば、ワンルーフにこだわることはないでのではないか?
こういうばかでかい(しかも来店目的以外の売り場はほとんど興味が湧かない)売り場を「回遊」して「衝動買い」を期待するのは無理も無理、と思うのですが、果たしてどうでしょうね。

日本型GMS、今という時代・佐賀市郊外という立地ではたして成り立つ業態なのか?
大変興味があります。

はたまた、やがて到来するであろう年収100万円時代を見越し・推進するイオンの深謀遠慮なのか?

という辺りはこの後ぼつぼつ書き足していきたいと思いますが、

一ついえることは、営業時間が24時までということの意味について。
物あまりニッポンの買い物客がどうして真夜中に郊外のスーパーセンターまで用足しにいかなければならないのか?
買い物に夜中まで右往左往するお客、それに奉仕する我が社の社員、その家族・・・、この連鎖をイオンは「善」と信じて推進しているのでしょうか?

植樹プロジェクト(私的には下妻ジャスコの協賛とか)などの地域貢献は評価されるところでしょうが、この辺りのことやら、一抜けが拍車をかけた中心商店街の状況など、これまでは経営課題として認識しなくても済んでいた分野が経営上の課題になってくるかもしれません。
おっと、これはストアコンパリゾンとは直接関係のないことでした。


佐世保市中心商店街
2005/04/26
 「日本一元気な商店街」としていまや全国的に有名になった佐世保市の中心商店街。
中心商店街を活性化するには人出を増やすことが一番、居住を増やし・目的は不問、来街者を増やせば街は活性化する、疑うものは佐世保を見よ、という説まである。ご承知のとおり。

ま、何を言おうと勝手といえば勝手でありまして、同時に何を信じようがこれまた自己責任でどうぞご自由に、ということですが、そうとばかりは行かないところがある。

このような謬説が活性化への本道だと理解され、それらしい施策がメインで取り組まれますと、まともに取り組めば本当に繁盛店が作れるのに、違う方向に行ったりしますからね。この街がそうだというわけではありませんが。

中心市街地活性化の方向と方法として「人口・人出増大策」以外を選択している都市・人たちにとって、人出万歳的主張が主流を占めるような状況はけして良いことではありません。
こういう話が広がると、商店街の繁盛再現は「自助努力」抜きではあり得ないのだということを認めたくない?人たちが「やっぱりそうか・そうに違いない・目から鱗が落ちた」などと尻馬に乗り、やがて大勢を占めることにもなりかねません。そうしますとおそろしや多勢に無勢、王様って裸じゃん、と言い出せなくなってきます。
口をつぐんだまま、全国の中心市街地があらぬ方向に押し流されていく、というのはヤですよね。

商店街に限らず、似たようなパターンは時とところを問わずこれまでよくあった話です。
サイレント・マジョリティって怖いですよね〜、黙っていると声の大きい方に算えられてしまうんですから。

佐世保市中心商店街をテーマにあらためて考えてみたいと久しぶりに行って参りました。ちなみに商店街というのは「定点観測」ということが大切でありまして、定期的に観測する地点を類型別にどれくらい持っているか、それはどことどこなのか、そこを選んだ理由は、といったことをよどみなく説明できるか否かということが専門家の第一歩ではないでしょうか。

では佐世保市四ヶ町。
とりあえず、にぎわいぶりを紹介します。(写真・右)
歩いている人の服装・表情・グループなどもチェックしてください。
そこが何であるかは、「何があるか」よりも「何が起きているか」で判断する、というのが当社のおすすめウオッチングです。
日曜日の午後3時、老若男女、いろいろな人が歩いています。

「核」店舗は百貨店の玉屋とGMS・ジャスコ、それにファッション専門店・西沢。
特記しなければならないのは、デスティネーションストア(この店があるからこの街に来る)として、他都市では郊外に立地していることが多いディスカウント訴求のカテゴリーキラーが多種多様に立地していること。
これらの店舗はそれぞれねらっている客相にとって「来店目的」をそれなりに作っていることでしょう。
(写真・中)

商店街の特徴を一言で言えば「価格訴求」ということでしょう。端的に言って、ここは「価格訴求」に「自然成長的に」特化している商業集積だと総括することが出来ます。もちろんぴかぴかの専門店も立地していますが、文字通り「散在」という状態で、目立ちません。通りはおおむね価格訴求一色です。

ここに立地している専門店は「集積効果」つまり「他店のお客が自店のお客になってくれる」と言うことがほとんど期待できません。それぞれのお店が自店の顧客からみて「あの店があるから四ヶ町にショッピングに行く」という関係を作り上げているわけですが、同類型のショップからの「回遊」が期待しにくい。
標的客相との間に「得意⇔行きつけ」という関係を作り得たお店だけが専門店として存続しており、そういう店づくりに至らなかったところは店頭・価格訴求型に変貌していった、ということではないでしょうか。

では、専門店としてがんばっているところが順風満帆かと言えば、残念ながらそうとはいえません。

雑踏型立地は吟味−堪能型ショッピング向けショップの立地としては余りOKとは言い難いのです。

このあたり、四ヶ町が今後名実ともに佐世保市の中心商店街、ショッピングモールとして再生を目指すとするならばヒントになることがたくさんあると思います。
ショッピングモールを目指すとした場合、四ヶ町の優れた利点は、「人出だけでは商売にならない」ということを街ぐるみで経験している、ということです。
いざ転換に取り組むと決断すれば話は早いのではないでしょうか。

目下、専門店グループは多勢に無勢という状態でしょう。
2階立地のブティックが赤札付き商品満載のハンガーラックを路面入り口に並べていたりします。
明らかに露店商売に転換しているわけです。

いずれにしろ、中心商店街でこれだけ価格訴求に特化しているところは珍しいと思います。確かに人通りは大変多く、ちょっと見には元気がありそうですが、実際のところ、その現在〜将来の業績は後ほど述べるように、きわめて厳しいと思います。

店揃えは、家電・カメラ・ドラッグ・めがね・百均などなど、類似規模の都市なら郊外に展開しているディスカウント業態が目白押し・軒を連ねている、と表現して過言ではありません。専門店的な規模の婦人、ヤングなどの衣料品その他の「商店街業種」的な店舗にも価格訴求型が目立ちます。(写真・中、右)
 ワゴン、ハンガーラックなどに低価格品を山積み、店頭・モールにはみ出して赤札で訴求しています。
情⇔景的には、店前通行人を安さでキャッチして衝動購買させる、あわよくば店内に導入してプロパーの商品を買ってもらいたい、ということで空き店舗率の高い商店街の商法と全く同じです。

もっぱら店前通行量だのみ、通行人が衝動購買客に変身することを期待する「縁日型」「露天型」の業容がほとんどであり、ショーウインドなどで入店誘導・接客型、つまりいわゆる「専門店」は本当に少ない。
これは他都市の中心商店街と大きく異なるところです。
四ヶ町の場合、少数見かける婦人服、靴店なども苦戦している模様が歴然です。

物販以外では、ファストフード、コーヒーなどの飲食とパチンコ、ゲームセンターなど、繁華街型あるいは郊外型の業種が出店しています。

 上述したように、ここに立地しているディスカウント業態は、一般には郊外に展開することが多いのですが、佐世保市の場合、郊外(中心部から西南部)にも集積している上になお、中心市街地も一大集積地となっているのです。
これにはちゃんと理由があるのですが、ここでは省略します。しっかり確認したい人は次のスレッドをどうぞ。
http://www.quolaid.com/cgi/tkf/wforum.cgi?no=195&reno=193&oya=187&mode=msgview&page=0
知る人ぞ知る、四ヶ町を全国区に押し上げた藻谷さんの言説を検討しています。

「三点セット」の本格的な検討はまたの機会として、ここでは以下、気づいたことを列挙しておきます。

◇価格訴求
 多くのアーケード型&空洞化著しい衰退過程に入っている商店街に共通して見かけられる業容、店頭に低価格品を山積み陳列して価格訴求する露天型の商売。この商店我でもよく見かけられます。
一般的な商店街と違うのはカテゴリーキラーを含めてそういうタイプの店舗が軒を連ねている、「集積」を形成しているというところです。
だからといってこれらかての専門店が転向した価格訴求型の店舗が集積効果を享受できているかと言えばそういうことはほとんどありません。

 デスカウント専門業態ならぬ商店街立地のかっての買い回り型専門店が価格訴求に転向する一般的なメカニズム。
@お客が来店しないので店頭に低価格品を並べて価格訴求する、
A興味を喚起されて足を止めたお客を店内に誘導、
Bプロパー商品を買ってもらいたい、
というどこの商店街にもよくある見え見えの仕掛けですが、もちろん足を止めるのは店頭の価格訴求に興味がある人だけ、この人たちが「どうせならもっと良い商品を」と店内に入ってくる可能性、皆無とまでは言いませんが、きわめて少ないでしょうね。

一方、きちんとショーウインドなどでアピールしていたなら、ひょっとしたら、入店してくれたかもしれないプロパー商品の潜在顧客は、店頭の情⇔景から「私のための店ではない」と判断することでしょう。
 通り全体が価格訴求に特化している印象ですが、大別すれば@郊外型カテゴリキラーの出店と A従来型専門店の変容 という違いがありましてそれはそのまま業績に反映していることでしょう。
さらに、従来型の専門店の低価格路線には自ずと限界がありまして、きちんとしたマーチャンダイジングができる訳ではありませんから、専門ディスカウント業態、SPAなどにはとうてい太刀打ちできません。前方には赤信号が見え隠れしています。
もちろん、ここに立地しているディスカウント専門業態が順風満帆というわけではありません。
が、それはまた別の話。

◇空き店舗
 ひと頃はほとんどゼロに近かったとのことですが、増えているようです。もちろん空き店舗は、減ればいいというものではありません。商店街既存の店舗が繁盛しだした結果、空き店舗を利用した出店が増える、結果として空き店舗が減った、ということでないとあまり意味がありません。
どうしてか?
自己都合だけで出した場合、新規出店が成功する・しないに関わらず、空き店舗が増えた背後の事情はほとんど改善されません。既存個店の経営状況・問題状況にはなんお効果もありませんから、早晩、廃業する店がこれまで同様続くことは当然です。
四ヶ町の状況もこのような趨勢を免れているわけではありません。

空き店舗が埋まればその分人通りが多くなり、既存店に好影響が出る、とお考えの皆さんにとって四ヶ町のケーススタディはおすすめです。
スタディの結果、私の分析が間違っていることが分かればそれはまた結構なこと、全国の皆さんに「モデル事例」があることになる。

◇外人客
佐世保といえば戦前は日本海軍、戦後〜現在は日米両海軍の御用達需要があります。
もともと街の起こり自体が海軍の造船基地が開設されたところからの始まりです。
カメラ店などが多いのは、特需があるから、ということも聞きますが、現在はどうなんでしょうね。
歩いている外人さんの数も少なく、特需と言うほどのことはなさそうです。

◇上位都市
長崎市まで電車で一時間半くらいでしょうか。昔から買い回り品は流出しています。都市として成熟度で一日以上の長がある。
加えて高速道路開通以降は福岡への高速バスでの流出が著しい。
もちろんこれは佐世保市に限ったことではありません。
地方都市の買い回り品は上位都市に流れる。中心商店街は郡部御用達という傾向もありますから。四ヶ町の場合、地元にとどまっている中心商店街向け購買ニーズ=買い回り〜ラグジュアリィニーズの受け皿としての機能がきわめて劣っています。
かって、市に隣接する佐賀県西部の小都市、伊万里、武雄などからの流入はもはやほとんど期待できません。

◇郊外との関係
 いまや商店街の主流を占めている低価格路線は郊外型ショッピングセンターのモールに出店しているテナントよりもロワーな価格帯です。
通常、四ケ町でショッピングをしている人たちにとって、ショッピングセンターのモールは買い物行き先としては「ハレ」かも知れません。
 郊外型ディスカウント業態が四ヶ町に集中立地している理由については、【都市経営フォーラム】に書きましたのでそちらを参照してください。
中心部から北西にかけては、郊外型商業集積は皆無であり、遠く平戸市に至るまで本来?なら郊外でストップするはずのニーズが「低価格訴求」の四ヶ町まで流入しています。この趨勢は、同方面に郊外型集積が開設されればきわめて大きな影響を受けます。四ヶ町の低価格路線がしまむらをはじめとするカテゴリーキラーと渡り合えることはありません。

◇専門店
 もちろん、買い回り〜ラグジュアリィニーズ対応の専門店も立地しています。
健闘が伺われるショップもありますが、もちろん、店頭通行量がその原因ではありません。四ヶ町の人出がふらふらっとこういう専門店に入ってきて買い上げ客になる、というのはきわめて少ないと思います。

◇イベント
 四ヶ町はイベントで有名らしい。どうして人出が多いのか誰もわからない、といわれる四ヶ町ですが、ひょっとしたらイベントのおかげかもしれない、という話を聞いたことがあります。果たしてそうでしょうか。
なにを目的にどういうイベントを催しているのか、その結果、イベント来街者が翌日買い物客として来街する、というシナリオが出来ているのかどうか?

◇展 望
 【都市経営フォーラム】でも述べていることですが、相の浦、大野地区などに郊外型集積が出現すると一大事です。ただし、同地区以北の住民のニーズは高まる一方でしょうし、ジャスコvsゆめタウンの出店競争もありますから・・・。
玉屋、西沢は通行客相とは無関係の商売であり、もはや立地条件が変わってしまっており苦戦は当然かもしれません。

 以上、バカに厳しいじゃん、と感じられる人もありそうな評価になりましたが、これはあくまでも「現状」についてでありまして、将来についてしっかり手を打っていけば、現在の状況をプラスに活かしていくことができることは言うまでもありません。
ここでの問題意識は「中心市街地活性化」の実現に向けて、佐世保市中心商店街だけがなにやら訳の分からない(だって「誰も分からない」そうですから)特権的な位置にあるわけではない、ということが論じられたと思います。
人出が多ければ万々歳、と主張されるコンサルタントさんはともかく、それを真に受けて人出集めに血道を上げているみなさん、それでホントにいいんですか?ということです。

◇三ヶ町
アーケードなどの施設がリニューアルされています。
市役所よりの立地で、行きはよいよい、帰りがだんだん遠くなる、ということで駅方面からのお客には距離的に敬遠される位置関係です。
食品を中心にがんばっているお店が多い。
熊本の上通り〜下通りの関係を思い出しました。

◇参考:大須商店街
 辛口になりましたが、「奇跡の商店街」という評価への反論と言うことからあしからずご容赦賜りたく。
興味のある方は、名古屋市大須商店街と対比させて考察されるといろいろ見えてくることがあるような気がします。

ということで「日本一元気がいい」と折り紙をつけられた佐世保市の中心商店街ですが、せっかくの折り紙を喜んでいる人は地元関係者の中にただの一人もいないことは確実でしょう。
機会がある人は直接来てみられたら如何でしょうか。

四ヶ町にとって活性化への道は決まっておりまして、現在、少数派ながらがんばっている専門店(物販・飲食・サービスを問わず)を中心に「ショッピングモールへの道」を構想・実践することです。
現在デスティネーションを形成している主力カテゴリーキラーは、いつ何時連れだって郊外に出奔するか分かりませんからね。
そのときになって騒いでも遅すぎます。
まずは「なぜ人通りが多いか分からない・コンサルタントから日本一元気がいいといわれた」という情況から脱か出す、集積類型としてのショッピングモールを目指す、という意志決定に向けて動き出すことが必要ではないでしょうか。

ミレニアムアウトレット 鳥栖
2004/11/29
 ミレニアムアウトレットモール鳥栖、レポートします。
遅くなりましたことをお詫びします。

 アウトレットモールのコンセプトは、「誰もが知っているブランドを格安で」と言うところ。鳥栖の場合、想定される来街客相とその来街目的を分析して見ましょう。

まずは、オシャレにうるさい都会派客相
ご用達のブランドについては、行きつけのショップでプロパーの商品をしょっちゅうチェックしており、また、ここのショップに回ってきているのはプロパーの得意客からは拒絶されたアイテム、売れ残りといったニュアンスが強く、あまり期待出来ませんが、もしかすると行きつけのショップでは扱っていないアイテムが回ってきているかも知れない。そういうアイテムに出会えたら儲けもの。見込みは薄いのですが。

プラス、プロパー価格ではあまりそそられないブランドが多く出店しているのも一回りしてみるには面白そう。日頃それらのショップにはあまり出向かないのでそれなりにチェックしてみる価値はある。回遊できるショップ群はそれなりに充実しているし、自分のオシャレに取り入れられる格安アイテムに出会えたらラッキー。
ということで、カップルあるいはグループでドライブをかねて、というコースでしょうか。

次に広域からのショッピング客相
 ブランドを認知はしているが、プロパーで手に入れるほどはまることはない、という人たちですね。「誰もが知っているブランドのアイテムを格安で」という集積の作りは、この人たちにとって格好のショッピングプラザかも知れません。
知ってはいるが自分としてはあまりなじみのないブランドをチェック、納得できるものが手に入ればコーディネートが拡がります。
そう意味では、日頃ブランドをチェックする機会が少ない地域からの来訪は、「買う気」のお客が多いのではないでしょうか。

このように考えてみると、モールの戦略課題、各個店の戦略課題が浮かんできます。

モールの場合。
何といってもショップの数が大切。それもしっかり知名度を持ったショップでないと「来街訴求」に効果がありません。ここでは「あのショップを目当てに・他のお店は関係ない」という広域からの強いデスティネーションを持っているのは、ナイキくらいではないでしょうか。
 ほとんどのお店がモールの集客力に期待する、という性格のお店です。
一般的なお客の購買行動(期待)としては、まず、お目当てのショップをチェックした後、モール全体をグレイジングしながら各テナントの店内をウインドショッピング、興味を引いたショップに「衝動入店」、衝動買いというパターンになります。
したがって、モールとしてはこの行動が成立する条件を作りあげ・維持しなければならない。

 鳥栖の場合、テナントコンプレックスもそれなりに良くできており、コンセプトを理解して訪れたお客にとっては期待を裏切られることは少ないと思います。もちろん、「気にいる商品」に出会えるかどうかは「運」に左右されることは皆さん承知の上でのご来店ですからね。

また、アウトレット:ブランドが一般ディスカウントショップの価格水準で入手できる、と思いこんでやってきた人は失望することになるでしょう。たとえば、プロパー価格10,000円のシャツが30%offの7,000円で提供されていたとして、食指が動くだろうか、ということですね。

各個店の場合。
プロパーのショップで順調に売れていく商品、言い換えればそのブランドの愛顧客(フアン)に支持されているアイテムがここで入手出来ることはまず無い、ということになっています(実際はそうでもないのですが、そう言わないと都心でお買いあげの愛顧客に申し訳がない)。いずれにしても、ここの客相は都心店の客相とは異なります。そのブランドに興味がないわけではないが、プロパーで手に入れたいというほどではない、という人たち。
 この人たちにとって必要なのは、第一に自分の「好み」との相性、第二にブランドのチカラ、ということにあるでしょう。もちろん価格は重要です。
このような「見込み客」のニーズに応え続ける店づくりを実現し、維持し続けること=内容をタイミング良く変えていくことが客数・売上げを確保する基本戦略になるわけですが、これはきわめて厳しいことです。ナイキのようにブランドとしての絶対的なパワーを持っているファクトリーショップが展開する場合は教科書通りのアウトレットが可能ですが、業界を問わず第2グループに所属するブランドの場合、アウトレットで経営計画を達成し続けることはきわめて難しいでしょう。

モールの場合。
 各ショップ個々の品揃えは当然のことながら、プロパーの都心立地のショップに比べると見劣りします。もちろん、お客はそれを承知で来店しているわけですが、それは「安いから好みは二の次」ということを意味するわけではありません。価格は一時・使うのは一シーズン、と考えれば「安かったから我慢する」は通用しません。
 したがって、客相から見て「ここでダメならあそこがある」、買い回り・ひやかしの対象になるショップがどれだけ揃っているか、という「テナントミックス」が重要な「デスティネーション」になります。
一人のお客から見て「見て回りたいショップがどれだけ揃っているか」ということです。
 モールの課題は、テナントミックスを維持・改善し続けられるかどうか、ということ。業績が挙がらず撤退するショップは必ずありますが、撤退の後、more betterなテナントを誘致できるか?
 と考えてみますと先行きは大変不透明ですね。ブランドには限りがありますし第一ブランドのうち、アウトレットモールに出店すること自体ブランドイメージとしてマイナスだと判断している企業も多いはず、モールの業績次第で今後さらに増えるかもしれません。

ミレニアムモール鳥栖の場合、このようなアウトレットモールの基本的なあり方がどのように実現されているか、あるいはいないか、引き続き検討してましょう。

参 考:アウトレットモールとは
 ナショナル・メーカーなどが通常の販売ルートで売れなかったり、売れないと判断した自社商品を回収して直営店舗において低価格で販売する仕組みを「アウトレット」、店舗を「アウトレットショップ」という。最近では通常ルート以外にアウトレット専用の商品を開発する例もある→ナイキショップ。
 さまざまなメーカ−、業種のアウトレットショップが広い駐車場を囲んで集積されている郊外型集積をアウトレットモールという。有名ブランドをディスカウントで入手出来る、というデスティネーションで広域からの来店を訴求する。
 我が国では、お客は休日にヤングファミリィがレジャーを兼ねてショッピングに来る、というパターンが多い。御殿場、りんくうの「プレミアムアウトレット」(チェルシージャパン(株))が有名。
 総合ディスカウントショップをはじめ、アウトレット以外のディスカウント業態も集めた集積はパワーセンターと呼ばれる。福岡県久山町のトリヤス久山など。

当コーナーの趣旨
2004/08/03
このコーナーでは当社が視察した小売その他の集客施設の「店づくり」について、論評します。

アップしましたら【Dailyflash】でお知らせします。

既存各コーナー同様、よろしくお願いします。

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